忍者ブログ

89c79c73.png
■ コンテンツ ■

ad17d9bc.png 2f3a1677.png c1a81a80.png 9452a147.png 5350f79a.png 01b9b1e8.png 29aa8305.png d5525adf.png 0e6a6cf4.png b76ca7e7.png fea5d7ae.png
■ Twitter ■

■ ブログランキング

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
■ ショップ

DMM.com DVD通販、レンタルなどの総合サイト
■2024/11/22 (Fri)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [217]  [216]  [215]  [213]  [212]  [211]  [210]  [209]  [207]  [206]  [205]  ■


■2009/08/27 (Thu)
1851ef17.jpg下級武士である平松正四郎は、御勘定仕切りの監査で、城に三日間ぶっ通しで勤めていた。
そんな時、老職部屋の若い付番が、平松に声をかけた。田原様がお呼びです、という用向きだった。
正四郎が行ってみると、田原権右衛門はいきなり、
「お前の家にいるあの娘は、どういう関係の者だ」
4b71c075.jpgと、厳しく問い詰める。
実は平松は、城代家老の娘との縁談話が決まったばかりだった。
そんなところに、家に見知らぬ女がいるとなると、大問題だ。
しかし正四郎は、三日間、城に務めきりなので、なんの話なのかさっぱりわからない。
御勘定仕切りの仕事を投げ出すわけにも行かず、正四郎が家に帰ったのは、その翌日のことだった。
2b297e54.jpg謎の女は確かに家にいた。何日も旅してきたように服はボロボロで、飢えで倒れてしまう。しかも記憶喪失だ。この女は何者なのか。着ていた着物はどうやら武家のものらしい。針仕事をこなすなど、ヒントになりそうなものは多い。


正四郎が慌てて家に帰ると、確かに女はいた。
だが、女は記憶をなくしていて、何を尋ねても答えを返さない。
家扶の吉塚に尋ねるも、素性がわからず、わからないまま家にあげてしまった、と話す。
fcb5aff4.jpg「これは、誰かのいたずらか、あるいは罠に違いない……」
そう考えた正四郎は、娘を一度追い出し、その後をつけてみることにした。
ところが娘は当てもなく歩き、ついには人気のない観音堂に入っていった。
そんな場所で娘は小さく震え、おかあさま、と呟く。
しかもそこに、駕籠かきの男が二人やってきて、娘に声をかける。
これはいけない、と思った平松正四郎は、娘の前に現れ「それは私の連れだ」と引き止める。
こうして、この謎の女は、平松の家で養われることとなった。
fde63ea2.jpg山本周五郎作品には、「下級武士の下に、ある日、女が訪ねてきて……」というシチュエーションは意外と多い。どれも傑作なのでお勧めだ。(ぱっとしない少年の下に美少女が訪ねる、という展開はアニメでも多いが。何か繋がるものでもあるのだろうか)


『その木戸を通って』この作品が制作されたのは、1993年8月だ。
a205c39e.jpgだが、作品は一度BSで放送されたきり、完全に忘れられ、ビデオとして製品化すらされなかった。
皮肉にも、市川崑監督死去により、『その木戸を通って』は掘り起こされ、再び光に当てられることとなった。
制作当時の情緒や、幻想小説的な不可思議さは、まったく魔力を失われていない。
十数年の時が流れているが、そんな経過などまったく感じさせない傑作だ。
362ce7df.jpg場面によって色彩がうまくコントロールされている。雨のシーンでは特に幻想的な雰囲気が出ている。ふさを中心に描く場面には、紫の色彩がよく使われている。



『その木戸を通って』は山本周五郎の小説を原作にした作品だ。
4e5c89aa.jpg物語は、記憶喪失の女と、その女に恋心を抱く男のロマンスだ。
だが、『その木戸を通って』は解明の物語ではない。
女の失われた記憶が重要なのはもちろんだが、そのすべてがすっかり解明される物語ではない。
それゆえに、映画には幻想的な空気に満ちている。
記憶喪失という神秘を背負った女と、その周囲の人間の感情の動きを、映画は静かに描き、重ねていく。
77822a27.jpg映画版『その木戸を通って』では原作にはない、その後のエピソードが少し追加されている。2時間映画ならではの情緒を引く結末だ。小説版映画版どちらにおいても、静かな物語だが果てしないドラマを背景に予感させる作品になっている。


女はやがて“ふさ”の名前が与えられ、平松家での日常を順応していく。
それでも時々、ふさを過去の記憶が襲う。
ふさは、過去の記憶に怯えている。その記憶が、今の幸福な生活をすっかり奪い去っていくのでは、と怯えている。
幻想とは、一般に考えられているような明るいメルヘンではない。
人間精神の最も深い闇、猥雑で、おぞましい悪霊の潜む場所だ。
21ca7c83.jpgそんな場所で、子鬼達が人間の魂を戯れで秤にかけている。
映画は、時々、ふさの意識の内部へと潜り込んでいく。日常が覆いつくす現実に、幻想をひっそりと混じらせ、我々を“あちらの世界”へと引き込もうとする。
ふさは、あちらの世界の住人だ。だから幻想の景色がフレーム一杯に覆い、現実世界が失われたその時、ふさは“あちらの世界”へと去ってしまう。
“木戸”とは“ゲート”だ。
女は、やがてやってたときのように去っていく。名のなかった、謎の女だったときのように。
だが平松正四郎の心に、あるいは我々観客の心に、多くの痕跡を残していく。

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本:市川崑 原作:山本周五郎
音楽:谷川賢作 脚本:中村努
撮影:秋場武男 編集:長田千鶴子
出演:中井貴一 浅野ゆう子 フランキー堺 神山繁
    市川比佐志 岸田今日子 石坂浩二 榎木孝明



拍手[0回]

PR
にほんブログ村 アニメブログへ
■ [217]  [216]  [215]  [213]  [212]  [211]  [210]  [209]  [207]  [206]  [205]  ■


■ ブログの解説 ■

漫画・アニメ・キャラクターを中心に取り扱うブログです。 読みたい記事は、左の目次からお探しください。

QLOOKアクセス解析


■ ブログ内検索  ■

私が描きました!

アマゾンショップ

アマゾンのサイトに飛びます
フィギュア

アニメDVD

新刊コミック

ゲーム

ライトノベル

楽天

アマゾン<シャッフル>ショップ

私が描きました!

Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]