忍者ブログ

89c79c73.png
■ コンテンツ ■

ad17d9bc.png 2f3a1677.png c1a81a80.png 9452a147.png 5350f79a.png 01b9b1e8.png 29aa8305.png d5525adf.png 0e6a6cf4.png b76ca7e7.png fea5d7ae.png
■ Twitter ■

■ ブログランキング

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
■ ショップ

DMM.com DVD通販、レンタルなどの総合サイト
■2024/05/05 (Sun)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  ■


■2009/08/29 (Sat)
映画は詳しい解説より先に、実例を示している。

6b34fc8b.jpg彼はアダム。失業中で借金を抱えている。最近、事故に遭ったが何の医療保険を持っていなかった。だから、自分で傷口を縫い合わせて治療を行っている。

彼はリック。
88a23f00.jpg彼は仕事中、テーブルソーで2本の指を切断してしまった。中指と薬指だ。
リックはまず思った。
「保険がない。治療にいくらかかる?」
病院へ行くと、医者はリックに選択肢を示した。中指を接合したら6万ドル。薬指を接合したら1万2000ドル。リックは薬指の治療を選択した。

6578c388.jpgラリーとダナのスミス夫婦はその日、引越しをした。引越し先は娘夫婦の物置部屋だった。
二人は仕事と環境に恵まれていた。ダナは新聞の編集員で、ラリーは組合所属の機械工。6人の子供は大学に進学し、今はそれぞれ仕事に就いている。
だがラリーが心臓発作を起こし、ダナはガンを患った。ラリーとダナは医療保険に入っておらず、自己負担がかさんだ。治療を受け続けるためには、自宅を手放さなければならなかった。

b1cc2d5d.jpgフランク・カーディルは79歳になる老人だ。本来なら、楽隠居が約束されるはずの年齢だ。
だが、彼の公的医療保険(メディケア)では夫婦に必要な薬代が全額カバーされない。だから現在も働き続けている。

4f20b9f2.jpgローラは車両事故に遭った。時速70キロで正面衝突。意識を失った。救急隊員に助け出され、救急車で病院へ行った。
保険会社はローラに保険金を支払わなかった。「事前許可のない救急車の利用には、保険金は下りない」というのが、保険会社からの答えだった。
果たしてローラは、いつ保険会社に連絡するべきだったのだろうか? 衝突して気絶している間だろうか。

e7ce2cf1.jpg元保険会社の職員はこう語る。
「コール・センターには問い合わせが来るけど、どの会社でも断るような色んな既往症があるの。糖尿病、心臓病、何種類かのガン……。そういう病気を持っている人は、加入できないわ。その病名のリスト? すごく長いわよ。この家を包めるくらい。中には審査を待たず、NGとわかるケースはあるわ」

8903d4cb.jpgリンダ・ビーノ医師は医療審査の仕事をしていた。だが仕事の方法に嫌気がさして辞めてしまった。
「否認率10%の維持が至上命令なの。審査医事例について、毎週レポートが戻ってくる。全体の承認率と否認率の比較。審査医ごとの否認率。他の審査医と比較した表も別のリポートで届くわ。ここで否認率1位になった医師にはボーナスが出る仕組みなの。業界では保険給付を“医療損失”と呼んでいるわ。医師は患者の治療を拒まなくてはならない。保険会社を得させるためにね」
f56e5cbf.jpgある男性は保険会社に「マイケル・ムーアがあなたの会社を取材しようとしている」と言ったら、簡単に保険金の給付が認められたそうだ。なるほど、これはなかなかいい手である。



ドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアは568865e9.jpgアメリカの医療制度を疑問に思い、“保険会社とのトラブル事例”と募集した。すると、週末までに2万5000以上のメールが届いた。
映画の冒頭に掲げられたのは、そのほんの数例に過ぎない。
医療問題は我々の生活に密接に関わってくるが、実際にどんな問題があるか気付きにくい。健康であるうちは、対岸の火のように感じてしまう。
上に挙げられた事例は、アメリカでは特別な話ではないようだ。しかし、だというのに驚くほどほとんどの人がその実体について知識がない。多くの人は病気になり、病院での治療が必要になり、はじめて知る事実ばかりである。
134595ad.jpgマイケル・ムーアと言えば突撃取材だが、『シッコ』では登場回数は極端に少ない。「自分より彼らを見てくれ」ということだろう。ところど、この映画の公開後、随分後に、「この映画はヒラリー・クリントン候補を礼賛している」という某雑誌の記事を見かけた。しかし、それにはあたらないだろう。なぜなら大統領選挙はこの映画の2年後。誰もこの映画のことなど覚えていないだろう。
確かに偏りのあるドキュメンタリーである。
856f8286.jpg米国の問題を列挙した後は、外国の医療制度に目を向ける。カナダ、イギリス、フランス、キューバ……。
アメリカ以外の医療制度は天国のように描かれている。現実にはどの国でも負の側面はあるはずだ。『シッコ』ではその負の側面について、敢えてなのか、無知によるものなのか何一つ触れられていない。
ドキュメンタリーの主眼はあくまでも“アメリカの医療制度”だ。外国が天国にように描かれるのも、単にアメリカ医療制度が真っ黒だというだけの話だろう。
b2b7e8a8.jpgニクソンの証言は盗聴されたものだ。デマゴギーを見破るのは難しい。政治家はデマの大衆を騙すプロであるし、マスコミはいつも政治家の目論見に加担するだけ(しかも我々は政治家の発表は、ほとんどマスコミを介しないと知識が得られない)。マスコミは政治家のデマに気付いていても、大抵の場合、黙っている。肝心なのは、自分自身で情報を探し、政治家の発言が正しいか検証することだ。とはいっても、ほとんどの人には難しい話になってしまうのだが。

しかし、ではなぜそうなってしまったのか。なぜより良くしようとしないのか。
発端は1971年2月17日のニクソン大統領と顧問の対話にあった。
顧問「副大統領の問題について、一つに絞り込みました。カイザー・パーマネンテのような保険維持機構を入れるかどうかです」
ニクソン「私は医療保障などに興味はないよ
顧問「ですが、彼らは民間企業です」
ニクソン「ならば話は別だ」
顧問「E・カイザーは営利目的で財団を運営しています。なぜそれができるかと言うと、彼を呼んで話を聞いてわかったんですが、医療費を抑えた者に報奨金を出す仕組みでした。医療を施さないほど儲かる仕組みだったのです」
ニクソン「それは良い!」
その翌日、ニクソンから新しい医療制度が発表された。ニクソンの発言を信じるならば、新しい医療制度になれば、米国は最高の医療技術を維持でき、すべての国民が必要な時に医療を享受できるはずだった。
だが、実際には真逆の現象が起きた。患者は治療を受けられず、医療技術は低下した。医療保険会社は大儲けして、病院の体制はモラルとともに崩壊した。
942df81a.jpg(自称)自由国家であるアメリカにとって、社会主義は恐怖の対象だ。自由が奪われ、思考を失った全体主義に陥る……。話は変わるが、少し前にアメリカで発表されたインターネットの有害性を告発する論文を見た。長い論文だったのだが、話の後半に入って、急に共産主義の恐怖に話が変わった。「ある有名なサイトではユーザーを共産主義に洗脳しようとしている」「ネットを使うと、いつの間にか共産主義に洗脳される」。馬鹿みたいな話498f6449.jpgだが、アメリカではいまだに「共産主義の恐怖」は国民を黙らせる、国民に警戒心を抱かせる有効的な言葉であるのだ。とここで思うのだが、日本ではどうだろう。マスコミは方法は違うだけで、アメリカが実践しているネガティブ・キャンペーンと同じやり方で、自分たちに感心をむけさせようとしてはいないだろうか?ネットより、新聞やテレビのほうが偏りがなく、良心やプロ意識で作られている……(日本の場合では、パソコン使用による、健康d29353bb.jpgの恐怖、社会性が保てず、孤独に陥る、それから脳に問題を発生させる。どれも、最近の日本人が根本的に抱いている不安の事例そのものである。その国独自の恐怖意識を喚起させようとしている点で、やっている行為は同じである)。と日本のマスコミは力説しようとする。どこか、必死なものすら感じさせるが。外国を見ていると、自分の国でも見せ方が違うだけで同じことが行われているとよくわかる実例である。
問題の背景にあったのはデマゴギーであった。政治家は新しい制度の素晴らしさを語る。そこに負の側面があっても、決して口にしない。
マスコミは大衆の友達のような顔をしているが、味方だと思わないほうがいい。
人々は政治家の言葉を信じ、新しい体勢を受け入れようとする。大衆は新しい何かを受け入れようと熱狂状態になる。だがそんな状況こそ、政府が意図的に作り出したものなのだ。
映画中に、こんな台詞がある。
「国家を支配するには2つの方法がある。恐怖を与えることと、士気を挫くこと」
ドキュメンタリーの後半は、医療問題を飛び越して政治に対して批判に移る。
本当に生活や国家をより良くする方法やチャンスはいくらでもある。だがその度に、政治はデマゴギーを我々の前に、罠のように張り込む。
大衆が何もかもを信じるようになれば、咎める者はいなくなる。気付けば、大衆は互いの手で目隠しし合うようになっているかもしれない。そうなると、より良くするチャンスは失われるだろう。
だから我々は、与えられるだけの情報にはいつも警戒しなくてはならない。なぜならそれは、アメリカだけの話ではないからだ。

映画記事一覧

監督:マイケル・ムーア



拍手[0回]

PR
にほんブログ村 アニメブログへ
■ [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  ■


■2009/08/25 (Tue)
雨が降ると街が静かになる。人があまり外に出ないからか、雨が騒音を吸い取ってくれるからか。
せせらぎのような音がさらさらと流れ、時々、車が水溜りをはねる音が静けさを破る。
まるで街全体が何かを待ち構えるように、軒下で身を潜めている。もしかしたら、待ち構えているのは我々が想像もしない危険かもしれない。
映画『セブン』では、ほとんどのシーンで雨が降っている。まるで騒々しいロサンゼルスの喧騒を押し殺すように、小さな滝が流れる音が延々続いている。
眠らない街、ロサンゼルス。華やかなネオンが常に街を色鮮やかに照らし続ける大都市。
そんなロサンゼルスの街が、長く続く雨に静まり返っている。
だがそんな雨の中でも、やはり事件は起きている。声を押し殺すようにしながら、最もおぞましい事件は粛々と進行していた。

81a556ef.jpgその日の朝、サマセットはある事件現場を訪ねていた。不倫のもつれによる、銃殺事件だ。サマセットは朝の身支度の延長のように、静かに事件現場を見ていた。
「子供は事件を見たのか?」
壁に飛び散った血痕を眺めながら、サマセットは初動捜査を担当した刑事に尋ねた。
「それがどうした? あんたが定年でよかったぜ、サマセット。子供が8670a8f7.jpg見たかだと? だから何だ。女房が人を殺した。子供の心配は仕事じゃない」
刑事は理解不能を示して奥へ引っ込んでしまった。
入れ違うように、若い刑事がサマセットの前にやってきた。
df27589f.jpg「サマセット刑事? ミルズ刑事です。着いたら、いきなりここへ行けと命じられて……」
着任したばかりの新米刑事だ。所在なげにしているが、何かしたいらしくうろうろと現場の様子を見ていた。
「電話でも話をしたが、質問がある。なぜ来cc714530.jpgた? なぜわざわざこの街に? それが不思議でな」
「きっとあんたと同じだ。好きで来たんだろう?」
サマセットはミルズを連れて外に出た。絶え間なく振り続ける雨で、ロサンゼルスの街が淡く煙っていた。
「知りもせんで……」
サマセットは呆れた気分で若者から目を逸らした。
「何が聞きたい?」
「簡単だ。君は喧嘩までしてここに来た。そんな奴は初めてだ」
「活躍したくてね。最初からあまり難癖つけないでくれ。あんたがボスだ」
ミルズは快活そうに飛び跳ねてみせた。サマセットは軽く微笑んだ。血の気だけは多そうだ。
「お前は黙って見ているだけでいい。7日間は大人しく見ていろ」
サマセットは言い置いて、事件現場から離れていった。
――あと7日間。そうすれば定年だ。
15ddf560.jpgdc962cc1.jpgbd508cc3.jpg



52b2a3e1.jpg32660015.jpgオープニングデザインは衝撃的だった。この作品を切っ掛けに、どの映画、ドラマでもオープニングデザインを採用するようになった。ただし、類似品模倣品を大量生産する結果となった。今でも、だ。
だが翌日の朝、事件が始まった。
月曜日。
最初の死体はギネス級のデブ男だった。男は両足を縛られ、銃を首に突きつけられた状態で、12時間食い続けていた。側にバケツが用意されて、ゲロを吐きながら延々食べさせられ続けていた。
死因は、膨張しきった胃を犯人が蹴ったために、内出血を起こしたのだ。デブ男はスパゲッティに顔を突っ込んだ状態で死亡。
現場にはGLUTTONY(グラトニー)と落書きが残され、さらにミルトンの『失楽園』を引用したメモが残されていた。
“地獄より光に至る道は長く険しい”

火曜日。
殺されたのはグールド弁護士だった。犯人は金曜日に法律事務所に忍び込み、グールド弁護士を土曜日から月曜にかけて殺害。全身を縛り、右手だけ自由を与えて包丁を握らせ、きっちり1ポンド分の肉を、自分の体から切り分けるように指示を与えていた。
グールド弁護士は腹の肉を裂いて、出血多量死。その血で、絨毯にGREED(強欲)の落書きをしていた。
絵画の裏を調べると、何者かの指紋で“HELP ME”とメッセージが残されていた。

木曜日。
指紋の鑑定結果、アランという名の男が捜査線上に浮かび上がった。アランは麻薬、強姦、少女暴行などの前科があるが、グールド弁護士の口ぞえで釈放されていた。
ロス市警はアランをグールド弁護士殺しの犯人と特定、スワットを組織してアランの自宅に突入させる。
しかしそこにいたのは、ベッドに縛り付けられ衰弱しているアランだった。
側には写真が置かれ、アランがベッドに縛り付けられ、全身の筋肉が衰弱していく過程が一枚一枚記録されていた。ベッドの上には、SLOTH(怠惰)と落書き。グールド弁護士事務所に残されていた指紋はアランの右手指のものだが、アランの右手は切り落とされていた。またアランは、舌を切り取られていた。
そんな状態だが、アランは辛うじて生きていた。ただし、全身は衰弱し、脳は軟化。事件について聞きだせる状態ではなかった。

土曜日。
娼婦の女が殺された。犯人は娼婦屋敷へ行き、行為中の二人を拳銃で脅迫。男に異様に巨大で先に刃物がついた張り型を装着させ、娼婦とセックスさせる。娼婦は張り型で子宮を引き裂かれ、内臓をえぐられて死亡。
個室の入口に、LUST(肉欲)の落書き。

日曜日。
犯人から電話で告白。駆けつけると、女がベッドの上で横たわり死亡。
女は犯人から顔を切り刻まれ、そのうえに包帯が巻かれていた。一方の掌には睡眠薬が糊付けにされ、もう一方の手には電話が握らされていた。
「助けを呼べば醜い顔で生きられる。嫌なら自分で死ね」という犯人のメッセージだった。女は自殺を選んだ。

残りはあと二人。地獄のような1週間が終る。その最後に、いったい何が起きるのか……。


f0eff6bd.jpgデビッド・フィンチャーにとって『セブン』は散々だった『エイリアン3』のリベンジ作品だった。1千枚の企画書を提出し、プロデューサーを説得したらしい。



映画『セブン』はホラー映画であるし、監督自身そう公言してる。
だがハリウッド製ホラー映画の定石は一切踏襲していない。観客を驚かすような音はなく、ショックシーcd339ac7.jpgンへの強引なジャンプカットもない。
どの事件も衝撃的だが、あくまでも事件として、静かに淡々と語られていく。カメラワークは決して近寄りすぎず、ロングサイズを維持したまま、観察している刑事の視点で語られていく。
その後の事件解説も、考証に基づいて冷淡なくらい警察の行動が静かに綴られていく。
デビッド・フィンチャー監督は、通俗的なジャンル的表現に頼らず、独自の方法と観察眼で、事件の過程を一つ一つ追跡し、じっくり熟成させて映画を練り上げている。
5c0af228.jpgこの作品で、デビッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットは初めて顔を合わせた。この作品の後も、ベストコンビの関係は変わらず、ヒット作傑作を次々と制作している。



映画『セブン』は非常に静かだ。ハリウッド映画お得意のクラシック調の伴奏音楽は最小限に抑えられている。
風景の描き方もとことん色彩が抑えられ、モノクロ映画の印象で描かれている。色彩と光の洪水のよう35f7d649.jpgな常にお祭り状態のロサンゼルスの風景を、どこまでも陰鬱に、何かを炙り出すような暗い映像で描かれている。
映画『セブン』には2流監督がついやりがちな安っぽいハッタリ表現は一切ない。
映像も音も徹底的に抑えられ、それでいて映画には平坦さがなければ緊張を失う隙など1コマもない。まるで沈黙するような静けさ、寡黙さが全体に漂っている。
デビッド・フィンチャー監督は演出の力と緻密に練りこまれた考証、それから感性の強さだけで映画と観客に挑戦し、それらすべてにおいて完全勝利している。
62fb4e64.jpg「衝撃のラスト15分」を売り文句にする映画は山ほどあるが、本当に衝撃的だったのはこの映画だけだ。この映画の静けさを比較できるのはただ一本だけ、『シャイニング』だろう。


ロサンゼルスには毎日のように凶悪殺人事件が起きている。ロサンゼルスでは昔からそうだった。いや、人間は旧約聖書の時代から、暴力とは切り離せない宿命にあった。
一方で人間には、事件が起きるとそれを追いかけたがる習性を持っている。
警戒心のため? 好奇心のため?da2e3196.jpg
それはよくわからない。ただその事件がより凶暴でセンセーショナルであればあるほど、人間は気分を高揚させ、好奇心を掻き立てさせる。
警察を職業に選ぶ人間には、その習性が普通の人より少し強く、訓練のせいなのか特殊な方向へと向かわせてしまうのだろう。
事件、死体、流血……。そこで何が起きたのか、犯人は誰なのか。警察はそれら全て暴き立て、そこから一切の疑問の余地がないようにしないと気が治まらないのだろう。
e9a9dabf.jpgまるでドキュメンタリーのように事件を追っていく。監督が猟奇事件に興味を持つ切っ掛けになったのは、幼少期、ゾディアック事件の中心となった土地に住んでいたからという。


人間には社会的な正気と、そうではない狂気の二つの部分があり、人間の意識はそのどちらかで常に左右ふらふらと揺れている。その境界線が崩れた結果として、人を殺したりなどの事件が起きるのだろう。
人間は教訓話で語られるような善人でもなければ、自立的な存在でもない。その社2ff2f45d.jpg会性がほんの少し揺るがされると、簡単に境界線をまたいでしまう。人間の社会は完全ではないし、社会性もまた完全ではないし、だからこそ故障のようにどこかに欠陥を示す。
そういった例は稀であるが、ロサンゼルス規模の過密都市で警察をやっていれば、毎日、毎時間、毎秒といった速度でそういった類の事件に接してしまう。
だからサマセットはうんざりしていた。
サマセットはロサンゼルスという地獄から、警察であるという悪夢から逃れたいと思っていた。
しかし、地獄から天国に至る道は、あまりにも険しく遠い。
映画『セブン』は7日間で全てが終わる映画だ。その最後で、果たしてサマセットは地獄を脱出し、天国に抜けられたのだろうか。

参考資料(ウィキペディア)
神曲  失楽園  カンタベリー物語  七つの大罪
ダンテ・アリギエーリー  ジョン・ミルトン
ジェフリー・チョーサー  トマス・アクイナス

映画記事一覧

監督:デヴィッド・フィンチャー
音楽:ハワード・ショア 脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
撮影:ダリウス・コンジ 編集:    リチャード・ブランシス=ブルース
オープニング・デザイン:カイル・クーパー
出演:ブラッド・ピット モーガン・フリーマン
    グウィネス・パルトロー ジョン・C・マッギンレー
    リチャード・ラウンドトゥリー R・リー・アーメイ
    マーク・ブーン・Jr ダニエル・ザカパ
    アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー ジョン・カッシーニ
    ケヴィン・スペイシー



拍手[0回]

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  ■


■2009/08/24 (Mon)
「今、世界には5億5000万丁の銃がある。ざっと12人に1丁の計算だ。残る課題は――1人1丁の世界」
aafe9322.jpg6a320ebd.jpg夥しい薬莢の上に立つユーリー。いかにも典型的なサラリーマン風情といった感じだ。思考回路もサラリーマン的で、商品をいくら売っていくら儲けるしか考えがない。
ユーリーは、幼い頃、家族と一緒にアメリカに渡って来た。
20歳を過ぎるまで、ユーリーはその町が、人生の終点だと思っていた。
ある日、ロシア人レストランで、銃撃戦を目撃する。
ユーリーは、本物の銃撃戦に衝撃的なものを受け、武器での商売を思いつく。
633e7f93.jpgdd937101.jpg『武器』は魅力的なアイテムである。形としても洗練され芸術的に美しく、自身の肉体を補強してくれそうな幻想を与えてくれる。だが魅力的ゆえに、『武器』は危険でもある。
ユーリーには、武器商人の才能があった。
商売を始めると、ユーリーは瞬く間に成功し、ライバルたちを次々と追い抜いていく。
やがて経済的にも豊かになり、ずっと片思いだったエヴァとも結婚。何もかもが順風に思えた。
しかし、インターポールのバレンタインが、ユーリーを執拗に追い始める。
成功に思えた仕事と暮らしが、少しずつ綻び、崩壊していく。
417000e4.jpg5b77ab05.jpg映画は断片的だが少年兵について触れられる。簡単に人を殺傷できる武器が大量に流通すると、どうなるか。兵士は大人である必要はなくなる。ユーリーの弟という設定のジャレット・レトだが、似ていない。
人間には、得手不得手というものがある。
才能が見出されると、どんな人も情熱的になり、仕事に熱中するようになる。
人には“天職”が必要だ。ユーリーの場合、それが武器商人だった。
武器を見る目利きとしての力。商売口上のセンス。危機を乗り切る、とっさのユーモア。
なにもかもが、武器商人に必要な才能だった。ユーリーは、潜在的にその才能を備えていた。
8790d5ca.jpg440e65e8.jpg武器商人として成功していくと、自信とともに傲慢さを身につけていく。商人にモラルは問えるのか?右はアメリカの商人がレーニン像に尻を置いて稼ぎを計算している図。この映画中でも改心のショットだ。
事実に基づく映画だが、物語はやや非現実的に映る。
あまりにも物事がうまく行くし、ウクライナの武器庫へ入っていく場面は「まさか」と思う。
しかし、どの描写も事実らしい。冷戦終結後、格納庫の武器は大量に“どこかに”流出している。
映画は、戦争を題材にしているとは思えないくらい陽気で、リズミカルで、ユーモアに満ちている。前半だけ鑑賞すると、おしゃれな映画でも見ているような気分になる。
9951489a.jpg5eed248f.jpg左はアメリカ軍が戦地で放置した大量の武器。右は武器の青空市に群がるアフリカ人たち。どこまで実際に基づいて描かれているのだろう、と思わせる場面だ。
だが、これはもう一つの戦争の実態を描いた作品だ。
“なぜ戦争はなくならないのか”
それは武器を売る人間がいるからだ。武器で大儲けできる人がいるからだ。
しかもそういう人達が、我々の頭上で政治を担っている。
国のトップにいる人達こそが、平和を望まぬのだ。
c8586f91.jpg98abb29e.jpg左のカットは多分、大きな十字架だろう。後半は売っている商品に対する罪悪の話になる。だが、もっとも大きな権力が、ユーリーの引退を決して認めない。巨大な力は、巨大な権力の中へ入っていく。
武器商人に必要なのは、多分、無関心と無知だ。
罪の意識や、後ろめたさ。そんなものがあると、当然だが戦争を商売になどできない。
銃撃戦を見るたびに、札束が舞う…。そんなイメージがないと、武器商人は務まらない。
彼らは、自分たちが決して危害を受けない場所で、戦争のたびにいくら儲かるのかそろばんを弾く。
いつか自分が売った武器が、自分を殺すかもしれない。
戦争と死は、彼らの手で広まり、いつか自分のところに返ってくる。

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本:アンドリュー・ニコル
音楽:アントニオ・ピント
出演:ニコラス・ケイジ イーサン・ホーク
    ブリジット・モイナハン ジャレッド・レトー
    イアン・ホルム ドナルド・サザーランド



拍手[0回]

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  ■


■2009/08/23 (Sun)
2027年のロンドン。
原因不明の不妊症が広がり、世界から子供の姿が消えた。
世界で最も若い少年で知られるディエゴ・リカルドだったが、その日の朝、死亡したとニュースが告げていた。
ディエゴ・リカルドのファンの者が、路上で刺し殺したのだ。
18年の短い生涯だった。
7dff5ad1.jpga740e1db.jpg思い出写真、ペット、鑑賞する者のない芸術。セオは麻薬を吸ってジョークを飛ばしあう。希望のない未来では、自分を慰め、子供がいないから昔を語り合う。映画は人類の黄昏を描くようである。
希望を失った未来社会の物語だ。
社会は後退し、世界の先進都市は崩壊し、政治機能は停止した。世界でロンドンだけが鎖国を敷くことで、かろうじて秩序を保たれていた。
だが現実には、ロンドンは不法入国者で溢れ、治安は悪く、反政府組織があちこちで危険な地下活動を行っていた。
a8da6d27.jpg絶望に流されるままだったセオは、妊娠しているキーを見て衝撃を受ける。希望というのは、いつも知らないどこかではぐくまれているものだ。だが、社会の中心は希望に気付かず、政治的攻防を繰り返し続ける。


ある朝、セオは路上を歩いていた。
9fef43ff.jpg崩れた壁の向うに、檻に入れられた人たちの群れが見えた。不法入国者たちだ。これから、イギリスの外に送り返されるのだ。
不法入国者たちがあげる声で、雑踏は喧騒で満ちていた。
一方の壁のこちら側は、ディエゴ・リカルドの死で嘆く人たちで沈黙していた。
道の端に写真が飾られ、写真の周囲に献花が一杯に集まっていた。献花を捧げる人たちが、膝をついて、泣き声を押し殺そうとしている。
セオは、そんな人たちの側を、無感情に通り抜けようとした。
そうして道路に出ようとすると、突然に背後から襲われた。セオは手を縛られ、目隠しされて車の中に押し込まれた。
連れて行かれた先にいたのは、かつてのセオの恋人、ジュリアンだった。
「ひどいな……」
セオは茫然と、20年ぶりに見たジュリアンの顔を見詰めた。
ジュリアンは今は“フィッシュ”と呼ばれる反政府活動に身を置き、指名手配されていた。
「芝居じみてた? 警察の目が厳しくて、他に方法がなかったの。元気だった」
一方のジュリアンは楽しげに微笑んでいた。
だがジュリアンは、かつての恋人に会いに来たのではなかった。
ある女性のために、通行証を手配して欲しい、という。
その女性は、キーという名前で、8ヶ月目になる子供を胎に宿していた。
出産すれば、世界が18年ぶりに目撃する子供である。
d82eb4b5.jpg最初に『トゥモロー・ワールド』を観たとき、この車の長回しが疑問だった。どうやって撮影されたのか?答えは天井を抜いてコントロール式カメラを設置し、カメラが俳優から外れた瞬間をデジタルで繋いでいたわけである。答えを聞かされると、なるほど、と思う。デジタルはいかにも大袈裟な場面のみに使うのではなく、こんな使い方もあるのだ。

映画『トゥモロー・ワールド』が描く未来社会の風景は、どんよりと重く、絶望的空気が濃く満ちている。
セオの毎日は、仕事にも行かず友人の家へ行き、麻薬を吸って夜を過ごしている。
セオに限らず、『トゥモロー・ワールド』の社会は誰もが絶望的な気分のなかを過ごしている。
政府すら状況を変える力はなく、イギリスの住民に坑欝剤と自殺薬を配給として配っていた。
子供の姿が消えて、未来から可能性と希望が失われた近未来社会。
だからといって人間が平和的に結びつくこともなく、むしろ政治的渾沌を深め、社会はどこまでも荒廃して秩序は後退している。
反政府組織フィッシュは、妊娠しているキーに希望を望んでいるのではなく、それを利用して、政治的な転覆だけを画策している。
97bbff90.jpg荒廃したSF描写はリドリー・スコットが描いたものから脱却している。イギリスの風景に、被災地の荒廃を加え、そのうえにテクノロジー追加している。このちぐはぐな感じが、映画独特の異世界的空気を作り上げている。


『トゥモロー・ワールド』が描くSF的風景は、どのSF映画より重く、暗い。
多くのSF映画は世紀末的“雰囲気”を描いてきたが、『トゥモロー・ワールド』はもっと“確定的”な絶望を描いている。
実写、アニメを問わず、SFを描く作法は、実景をどこかに残しながら手を加えていくことであった。
『ト39c5fc87.jpgゥモロー・ワールド』の描き方は、SFの作法を丁寧に踏襲している。
実際のロンドンの風景を汚し、テクノロジーを追加しつつも、時代錯誤としか言いようのないファッションや、古びた車両を走らせている。
だが、それ以上に、“子供が誕生しない”という設定が、SF的な倦怠感を増幅させている。
そんなどこまでも深く、重い絶望を描きながらも、映画はささやかな希望を与えている。
世界から姿を消した、新たな誕生の予感。
絶望しかないと思える未来に、かすかな希望を与えて、映画は終わる。

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン 原作:P・D・ジェイムズ
音楽:ジョン・タヴナー 脚本:ティモシー・J・セクストン
出演:クライヴ・オーウェン ジュリアン・ムーア
    マイケル・ケイン キウェテル・イジョフォー
    チャーリー・ハナム クレア=ホープ・アシティ
    パム・フェリス ダニー・ヒューストン
    ピーター・ミュラン ワーナ・ペリーア



拍手[1回]

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  ■


■2009/08/23 (Sun)
国際刑事法廷。
窓の外は様々な国旗がはためいている。その日、ハン大使が大事な発表を行う予定だった。
問題の中心にあったのは、世界中で暗躍する中国系犯罪組織の存在だった。組織(トライアッド)は秘密結社であり、本部がどこであり、リーダーが誰なのかも不明だった。ハン大使は、組織(トライアッド)の秘密を暴く、重要な情報を掴んでいた。それは、『シャイシェン』と呼ばれる謎の何かに秘密が隠されていた。
だがハン大使が『シャイシェン』について口にしようとしたその時、何者かが狙撃する。
fbd4975a.jpg5be94d8d.jpg護衛官と勤めているカーター刑事。一方リー警部は交通整備を任されていた。リー警部は警察無線でハン大使の狙撃を知り、駆けつけようとする。
当日、ハン大使の護衛官を勤めていたカーター刑事は、即座に犯人追跡に乗り出す。
間もなくカーターは狙撃手を路地裏に追い詰める。だが狙撃手はカーターの幼馴染であるケンジだった。
カーター刑事は衝撃を受け、ケンジを見逃してしまう。
落胆するカーター刑事は、ハン大使が入院している病院に向かう。だが護衛は一人もおらず、病院を何者かが襲い掛かる。
カーター刑事はリー警部とともに襲撃者を倒し、その一人から証言を聞きだす。
「『シャイシェン』の謎を解く手掛かりがフランスにある」。
カーター刑事はリー警部とともにフランスへ向かう。
ac2145a8.jpgケンジ役を演じるのは真田広之。ゲストがヒールを演じるのはアメリカ映画の基本ルールだ。舞台はフランスで敵は中国犯罪組織、なのにボスは日本人という奇妙な組み合わせの映画だ。


80928e5a.jpgジャッキー・チェン、クリス・タッカー共演のヒットシリーズ第3作目だ。
物語はロサンジェルスからフランスに移り、前2作のような大騒ぎを繰り広げる。
舞台となるのはいずれも有名な観光名所で、フランス旅行で巡る場所は概ね登場する。凱旋門やシャンゼリゼ通り、エッフェル塔。観光旅行の気分を味わうには最適な映画だろう。
6540233a.jpgアクションもコメディも、物語の合間に無理矢理突っ込んだ印象の映画。映画の売りになる描写が物語と調和せず、浮き上がってしまっている。どんでん返しもなく、映画としては極めて単調で凡庸。


映画の物語に見所は少ない。大きなうねりもなく、映画の最後までストンと落ちていくような物語だ。
5e5bea84.jpgアクションシーンには切れがなく、カメラワークがむしろ俳優の動きを殺してしまっているように見える。コメディシーンは物語の合間に突っ込んだ感じで、展開の速度を停滞させてしまっている。
どんな危機に直面しても、大きな困難はなく簡単にすり抜けてしまう。所詮はコメディ映画だから、と開き直っているようにすら見えてしまう。
大味な映画と写るかもしれないが、あくまでもこの作品はフランス観光旅行を楽しむ映画だ。日曜日の1時間半を埋める最適な映画だろう。

映画記事一覧

監督:ブレット・ラトナー 脚本:ジェフ・ネイサンソン
音楽:ラロ・シフリン 撮影:ジェームズ・ミューロー
出演:ジャッキー・チェン クリス・タッカー ヴィニー・ジョーンズ
    真田広之 ノエミ・ルノワール マックス・フォン・シドー
    イヴァン・アタル 工藤夕貴 ロマン・ポランスキー
    ジュリー・ドパルデュー チャン・チンチュー ツィ・マー



拍手[0回]

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  ■


■ ブログの解説 ■

漫画・アニメ・キャラクターを中心に取り扱うブログです。 読みたい記事は、左の目次からお探しください。

QLOOKアクセス解析


■ ブログ内検索  ■

私が描きました!

アマゾンショップ

アマゾンのサイトに飛びます
フィギュア

アニメDVD

新刊コミック

ゲーム

ライトノベル

楽天

アマゾン<シャッフル>ショップ

私が描きました!

Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]