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■2010/01/26 (Tue)
誰もが人に聞いた。
「タイラー・ダーデンを知っているか?」
5c82a097.jpg
僕は半年間、不眠症に悩まされていた。眠れない日々が続くと現実の何もかもが曖昧になる。遠くにかすんで、コピーのコピーのコピーのように擦り切れてしまう。
「不眠症では死なないよ」
医者は突き放すように診断を下した。600328ee.jpg薬も出してくれない。頼むよ、苦しんだ。
「君が苦しい? 睾丸ガン患者のグループに出てみろよ。あれが本当の苦しみだ」

僕は睾丸がん患者のグループセラピーに参加した。そこで出会ったのがボブ。
cca4e5d5.jpgボブはボディビルの元チャンピオンだったが、筋肉増強剤の濫用でホルモンバランスが崩壊し、今や神の乳房を持つ大男になっていた。
見知らぬ他人の告白は僕の心を揺さぶった。自分でも思いがけず堰が崩れて、涙が出た。沈黙と忘却の暗黒に身を投じて、自由になる心地を見出した。
僕は眠れるようになった。
それが切っ掛けで、僕は毎日あらゆるグループセラピーに参加した。
アルコール依存症、過食症、脳神経症……。
僕はガンでもなければ死に掛けてもいなかった。この連中が取り囲む世界の、小さな中心だった。僕は毎晩彼らと一緒になって死を見つけ、その度に再生した。蝶が脱皮して背伸びをしている感じだ。マスターベーションより遥かに心地のいい解放感だった。

218306aa.jpgそんな夢心地をあの女がぶち壊しにした。
「ここ、睾丸ガン患者のグループでしょ?」
やってきたのはマーラ・シンガー。
女が睾丸ガン患者? とんだイカサマ女だ。どこも悪くなかった。
fd262ea7.jpgマーラは血液感染症の会にも顔を出していた。隔月の異常赤血球症患者の会にも。金曜の結核患者の会にも出席していた。
マーラ……観光気分の見物人。
「あなたも同じよ。インチキ」そう言われたような気がして、僕は泣けなくなり、再び不眠症になった。

5686b2a1.jpg飛行機では何もかも1回分だ。1回分のパックの旅。砂糖もミルクも1回分。バターも1回分。おままごとのような機内食。1回分のシャンプー液。
機内で隣り合わせる人は1回分の友達だ。タイラー・ダーデンはそんf79aa0ab.jpgな1回分の友達の1人だった。
「知ってるか? ガソリンと冷凍オレンジジュースでナパーム弾が作れる。家庭にあるどんなものでも爆弾が作れる。本気だしゃあね」
タイラーは1回分の友達の中で最高の男だった。
cf9b6d7a.jpg
タイラー・ダーデンとの出会いは僕を劇的に変えた。いや僕だけではなく、僕たち皆を変えた。タイラーは男達が喉元で引っ掛かっていたものを引っ張り出したんだ。
aaad8481.jpgタイラーは男たちを集めて「ファイト・クラブ」を作った。それは僕から皆へのプレゼントだった。
「諸君。ファイト・クラブへようこそ。
ファイト・クラブルールその1。ファイト・クラブのことは口にするな。
ファイト・クラブルールその2。絶対にファイト・クラブのことは口にするな。
ファイト・クラブルールその3。降参を告げたり、大怪我や戦意喪失はそこでファイト終了。
ファイト・クラブルールその4。1対1で戦う。
ファイト・クラブルールその5。1組ずつやる。
ファイト・クラブルールその6。シャツと靴は脱げ。
ファイト・クラブルールその7。決着がつくまでファイトをやめることはできない。
ファイト・クラブルールその8。初めてこのクラブに来た者は必ず戦え」
f2eec490.jpg『ファイト・クラブ』はコロンバイン高校銃乱射事件の後、最初に公開されたバイオレンス映画だった。まだ社会がヒステリックにざわついている最中で、『ファイト・クラブ』は格好の槍玉に挙げられた。批評家からはボロ糞の評価が下され、興行的には惨敗。製作を決行した会社役員が何人も更迭された。
fa389b0e.jpg現代は広告が人間を形成している。広告媒体であるメディアが人間を作り、その人間が社会を作る。現代におけるイデアの神はメディアである。
俺たちは何を考えるべきであるのか、ある対象に対してどう感じるべ7157b0ca.jpgきなのか。好意を抱くべきか嫌悪をするべきなのか。その判断のすべてを、俺たちはメディアに委ねて、自身で思考する努力を怠っている。
俺たちは広告業界というお釈迦様の掌で踊らされいるだけの間抜け161d336d.jpgな猿だ。
それはお前自身の考えか?
お前自身の言葉はどこにある?
目を見開いてそこにある現実を見ろ。人間自身を見ろ。俺は俺だ! 0362fba9.jpgお前が見ているのは広告業界の作り出した幻影だ。
f1e1922b.jpg『ファイト・クラブ』が社会的な影響から逃れ、純粋に作品が評価されるまで数年の時間が必要だった。今では各映画誌で集計する“映画史上の名作ランキン541cdb06.jpgグ”などに必ず20位以内に選出される。
現代人は広告業界が分類したカテゴライズを受け入れてしまっている。現代人は人間を見て人間を見ていない。現代人が見ているのは“何系”と集約されたカテゴライズであって、人間自身ではない。
b2354e3d.jpg自分は“何系”の人間であるのか。自分がどの括りに属する人種なのか絶えず注意を払い、その属性が社会での自分の立場を決定してくれると信頼している。
現代人の実体は、中身のない抜け殻だ。それをごまかすように、広9c8eccc4.jpg告会社が宣伝する装飾でアバター(仮人格)を飾り立てている。お前たちは広告会社の作り出したイミテーションであって、コピーを繰り返して象のぼやけた影に過ぎない。
現代人はヒューマニズムの力を失っている。個人としての力など誰も7eb1fa0d.jpg求めていない。ただ社会を機能させるための成員であることだけが求められ、その人間が誰であるかなど誰も求めていない。もっといえば、お前などいなくても社会は何の問題もなく機能するのだ。今や人間が社会を動かしているのではなく、社会が人間を奴隷にしている460ff90b.jpgのだ。
672e1721.jpg日本ではブラッド・ピット主演のアイドル映画として売り出された。「ブラピかっこいー! サイコー!」と。宣伝とかけ離れた暴力映画であると知って観客は驚いe0eff8b6.jpgただろう。もちろん日本での興行は惨敗だった。
現代人の孤独は社会が積極的に作り出したものだ。社会が集団を細かなカテゴライズで分断させ、その内部に格差と不和を作り出し、連帯の力を弱めた。広告会社が戯れに作った言葉を社会に浸透さ0afb71f7.jpgせ、自分たちの影響力を誇示するためだ。
結果として人間は人間ではなく、カテゴライズという一集団でその対象を見るようになった。同じ国籍の人間だが違う人種だ。それがいつの間にかセックスする相手もいない孤独を作り出した。
3b4a0df2.jpg現代人は人間の社会の中で漂流する、宿命的な異民族である。しかもそこに、中心となる社会がない――いや、中心と思われていた社会はあったのだが、その地位を失いつつある。
『ファイト・クラブ』はそんな現代社会の閉塞感に対して強烈なルサンc460db73.jpgチマンを叩きつける。俺は俺だ。広告会社の作り出した格差ではなく、己の拳で己自身を叩きつける。会社では何の役に立たない“立場”である平社員が、ファイト・クラブでは上司を叩きのめしている。それがファイト・クラブの魅力だ。
273ee97a.jpg映画中にはしばしばタイラー・ダーデンがサブミニナルで映し出される。エドワード・ノートンが夢想したり、場面を嘲笑している瞬間などに現れる。ところで睾丸ガン患者グループのシーン、背景にアメリカ国旗が飾られている。「これが今のアメリカ」というわけなのだろうか。
b3abb878.jpgタイラー・ダーデンは過剰に誇張された父性だ。過剰であるからこそ、タイラーはシンボリックな存在として、カリスマ的な崇拝すべき対象となった。
カリスマは人々に言葉を与え、扇動し、新たな社会を作り出す。それf378e7bd.jpgがいつの間にか支配と被支配という組織社会を作り出すようになる。
タイラー・ダーデンは男性性のシンボルとして男達から解放を与えた。その次の段階として破壊のシンボルへと移行した。より過剰な力で、社会を再創造しようと目論んだのだ。
59f7684a.jpg父性は解放を促すイコンではなくなり、単に支配するだけの存在に変わる。
17b12e1a.jpgお前は自分以外の全てがクソだと思ってやがる。はっきり言ってやる。そのクソはお前の尻から出た物e7ab9737.jpgだ。もっと言ってやる。そのクソはお前自身だ。広告が作り出したまやかしの幻覚に逃れるな。お前はい0f824e49.jpgつから何も感じないジジイみたいに萎えちまったんだ。殴り合ってみろ。狂気を呼び覚ませ。苦痛を取りed633664.jpg去るな。不愉快から目を逸らして逃げるな。世界のすべてを受け入れ、自分の足で歩け。
文化とは芸術が劣化し大衆化した姿だ。人間はその文化を模倣して、それを足がかりに生活し、行動規範を決めている。
fb4b11bd.jpg『ファイト・クラブ』の公開後、多くの人が懸念したのは『ファイト・クラブ』そのものを模倣することだった。コロバイン高校銃撃事件の直後という時期もあり、人々は『ファイト・クラブ』を警戒した。当時、人々はコロンバイン事件の真相を人間の心理や社会に求めず、誰もが何かの57ac5859.jpg――例えば映画やテレビゲームの影響であると信じようとしていた。社会は安易な答えで安心を得ようとしていた。
だが考えてみれば『ファイト・クラブ』はコインの裏と表のような存在だ。コインの表とは即ち広告会社が作り出したアジテーションだ。45e0101a.jpg『ファイト・クラブ』が語ってみせたのは、もはや空気のようになって存在すら感じられず、しかし確実に我々の生活からモラル、美意識にまで影響を与え、操作している広告会社の存在についてだ。『ファイト・クラブ』は人間が擦り切れのコピーになっている現実を指弾し、ニー9a29a0de.jpgチェ的な力の回復を促している。
『ファイト・クラブ』は見る者の心理に語りかけ、行動を引き起こさせる強引な力がある。それが見る人によっては凄まじい嫌悪感を呼び起こすのだろう。称賛する人がいる一方、拒絶する人も多かった。
c4991acf.jpgそれこそ、その状況こそ『ファイト・クラブ』が目論んでいるテーマだ。“動揺”を与えるために作られた映画だからだ。
1d27ecb2.jpg『ファイト・クラブ』は甘い揺り篭に守られている現代人を目覚めさせ、顔を掴んで無理やり振り向かせようとしている。そこに何が見えるのか? そこで見えたものがこの映画の答えだ。

映画記事一覧

作品データ
監督:デヴィッド・フィンチャー 原作:チャック・パラニューク
音楽:ザ・ダスト・ブラザーズ 脚本:ジム・ウールス
撮影監督:ジェフ・クローネンウェス 衣装:マイケル・カプラン
編集:ジェームズ・ヘイグッド 特殊メイク:ロブ・ボッティン
出演:エドワード・ノートン ブラッド・ピット
  ヘレナ・ボナム=カーター ミート・ローフ・アディ
  ジャレッド・レトー ザック・グルニエ
  ピーター・イアカンジェロ デヴィッド・アンドリュース
  リッチモンド・アークエット アイオン・ベイリー



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