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■2010/03/20 (Sat)
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東京都の青少年健全育成条例の改正において議論されていた『非実在青少年規制』が先送りされるようです。先送りであって否決ではありません。今後も油断ならない状況が続くだろうと考えられます。
改めて『非実在青少年規制』とは何であるのか振り返りましょう。以下が『非実在青少年規制』の概要です。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
何ともわかりにくい言葉が羅列しますが、要するに「存在しない青少年」を取り締まる法律です。何となく見た目が幼いとか、若作りしているキャラクターでもアウトです。一部の成人向けコミック、それもロリコンを題材にした作品だけ取り締まり対象になると思っている人もいますが、それは勘違いです。ほぼすべての成人向けコミックが対象になります。
規制対象は一般向け漫画にも向けられ、キャラクター作りに対しても制限がかけられます。恋愛をテーマにした漫画は全滅の恐れすらあります。声優の演技や声なども規制の対象になるらしく、声質が幼い声優は失業します。人気の高い女性声優などはほぼ全員が規制対象になると思われます。作家や出版社は、警察の検閲にビクビクしながら創作をしなければならなくなるわけです。
私はこれを知った段階でブログに取り上げようと思ったのですが、知ったときにはもう可決まで何日もない状態でした。情報を収集している間にも時間は過ぎて行き、今に至ってしまったわけです。
今回の『非実在青少年規制』における問題は、その内容以上に誰も知らないうちにこっそり法案を決めようとしたその方法にあります。私の家で購読している読売新聞には、『非実在青少年規制』の文字は一度も掲載しなかったと思います。3月19日になって、なにげなくテレビをつけると、この問題について報道されていたのですが、「『非実在青少年規制』とは何か?」という説明から始めていたので今までまったく報道していなかったのだと思います。インターネットがなければ、そんな法案が提示されていたことすら知ることができなかったと思います。
「サブカルチャー叩き」は戦後以来、周期的に繰り返され、およそ15年から20年周期で発生し、その時代の作家が標的にされ指弾されています。今回の件もその一端であるという見方はありますが、私は少し違うと思います。
まず第一に、世間に対してサブカルチャーの有害性をアピール、扇動活動など一切行っていない。一般の人々を巻き込み、思考や行動に影響を与えようというのを目的としていません。
第二に、その上でこっそり法改正してしまおうと強行したことです。今までのやり方よりよっぽど巧みで、効果的な方法です。
第三に周期がこれまでより短く、より反対派の勢力が強大になっているという点です。漫画、アニメと少し違う分野ですが、2002年7月に出版された森昭雄の『ゲーム脳の恐怖』があります。こちらはゲームですが、同じサブカルチャー叩きと括れば、期間はたったの8年です。2008年日本ユニセフが中心となった『準児童ポルノ』から見ると、期間はさらに短い2年です。
過去のサブカルチャー叩きは感情論に過ぎず、その感情を多数の人々に伝播して啓蒙(洗脳?)を促すという手法でしたが、最近は似非とはいえ科学的な考証を背景にしているし、都知事が先頭に立って法改正まで行おうとしました。『非実在青少年規制』に限っていえば、今後、毎年この時期に取り沙汰されるかもしれません。
今回の件はインターネットを通じてその存在を知ることができました。会議での信じがたい罵詈雑言を文章化した生々しい記事に行き当たることができたし(大葉ナナコ先生によれば私は認知障害者に当たるそうですよ)、都知事本人の映像も動画サイトなどで見ることができました。しかし、これまでの規制派の傾向を見ると、行動や手段が確実に複雑化、巧みになっています。ひょっとしたら、今回の件でインターネットに情報が漏れるということを学習したかもしれません。次はインターネットですら情報を得ることができないかもしれません。
私見ですが、『非実在青少年』という造語はSF的だと思います。SFとは現実をベースにしながら、その概念を飛躍させる何かを導入し、それで社会や人間がどうなっていくのかをシュミレーションしていくエンターティメントです。私はずっと以前、『視聴率保護法制定』というSF小説を構想したのですが、発想は似ていると思います。
ただ作家はそれを空想の世界という前提で描くのですが、中には現実に実行しようする人も出てきます。現実と非現実の境目の曖昧さについて考えさせられます。まあ、宗教という現実と非現実の境目が曖昧なものが人類始まって以来あるのだから、そこを批判するつもりはありませんが。
ポルノと犯罪の因果関係はよくわかっていません。アメリカでは児童ポルノに関する取り締まりは非常に厳しく、FBIは捜査として偽の児童ポルノサイトを作り、そのサイトにやって来た者を逮捕しました。イギリスでは児童ポルノ一斉摘発作戦(オペレーション・オー)が決行され多くの逮捕者を生みましたが、逮捕された者の中から32人が自殺しました。それでアメリカでもイギリスでも性犯罪、児童に対する強姦が減ったのかといえば、そういう話はまったく聞きません。逮捕者だけ増えて、実際の犯罪発生率はまったく変わらなかったようです。
この結果を規制派は知っているはずでしょう。それでも規制を強行しようとしているのだから、規制派の心理的背景に狂信と妄執を疑うしかありません。「統計データがなければ禁止できないのはナンセンスだ」という発言もあるようですから、データがあろうがなかろうが、自分の思想・妄想の実現のためなら手段を選ばないようですが(いまだにピューリタズムは梅毒の恐怖に怯えて、価値観を他人に押し付けようというのか……。あっ、独り言です)。
少数意見ですが「一度法改正して駄目なら戻せばいい」という意見もあります。これは、私個人的にはどうかと思います。というのも、「戻せない」だろうと思うからです。一度法改正したら過去に引き返せません。人間の意識が変わってしまうのだし、何より政治家にとっては自己否定に繋がります。もし悪化しても、意地でも規制を強めていくのではないか、と私は思うのです。根拠のない意見ですが。
※ 『視聴率保護法制定』。近い未来、「テレビ以外の全ての映像メディアは有害」という見解の下、テレビ以外の情報が規制される。人々の暮らしにとって有益で健全な思想を育むという名目で、一定以上の視聴率を維持するのが日本人の新たな義務となった。政府公式発表の放送は視聴率100%維持が絶対で、視聴しなかった者は特定され罰則を受ける。そんな法律が制定された最中、凶悪事件が発生。容疑者となったのは主人公の親しい友人。主人公は友人が無実である確信を持っていたが、報道はその友人を犯罪者と見做して調査を始める。……という内容の小説。
私は素人なのでよくわかりませんが、日本の漫画とアニメが世界的な支持を得るようになった背景には、日本の娯楽表現に規制があまりなく、その一方で外国には強力な規制があったからだ、という意見があります。アメリカのコミック、フランスのバンド・デシネといった西洋の漫画も法的な規制や時代の抑圧を受けていたようです。その規制が強かった時代に日本の漫画が広まり、人々の深層に「漫画といえば日本」という意識が強く定着していったというのです。この「メディア史観」が正しいのかよくわからないので、詳しい解説はちゃんとした先生に聞いてください。
現在はどの国でも日本の漫画を目標に追いつけ追い越せという活動を始めています。これまでの漫画表現の規制なども見直され、どの国でも自由な表現で描けるようになっています。そんな最中、かつて外国で実施されたような規制を日本で行ったらどうなるか。せっかく輸出産業としての力を得た漫画の勢いを大幅に削ぐ結果になるでしょう。日本を目標とする外国の漫画に立場を奪われるのは確実です。輸出産業として力も失うはずです。
石原慎太郎都知事は、枯れたとはいえかつては作家だった人間です。表現の規制や制限が作家と作品にどんな影響を与えるかよく知っているはずです。知った上で規制をかけようとしたのだから、度し難い人物としか言えません。石原慎太郎は自国の輸出産業のひとつを自分の手で殺そうとしたのだから、政治家としての能力を疑います。
頻繁に見かけた噂ですが、サブカルチャーが標的にされるのは天下り可能な団体がサブカルチャー関連の企業にないからだ、という意見があります。
これは噂に過ぎません。妄想と恐れという歪みが作り出した都市伝説的な思考です。私はサブカルチャー叩きの背景にあるのが“狂信”であると考えているので、“お布施”くらいでサブカルチャー叩きがなくなるとは思えません。
とはいえ、そういった考えに至る“気持ち”は理解できます。パチンコのような、常に実際的な社会問題を作り出している賭博行為を規制しようという人がまったく現れないのも、天下り可能だから、という考えもあります。
アニメ、漫画、ゲームといったサブカルチャーは技術や芸術性はさて置くとして、市場はかつてないほど大きく膨れ上がり、今や世界を巻き込む勢いを持っています。アニメ『けいおん!』が放送されいた三ヶ月は、日本は不況の最中とは思えないくらい活発に経済が動きました。いっそ、このまま『けいおん!』が放送され続けたら日本経済持ち直すのではないかとすら思ったくらいです(まあ、素人の妄想ですが。経済がそこまで簡単じゃないくらいわかってます)。
それくらいに大きな利益を作り出すのですから、ヤクザや準ヤクザ(公務員)といった人たちが「ショバ代よこせ!」と言ってくるのも無理はありません。または、事件の背後でそういった要求があったのかもと想像する人もいるでしょう。
もし今回の事件の後、どこかで謎の公的機関がこっそり作られ、アニメの制作費と収入がその企業に流れていたらアタリです。私はそういう企業やお金の流れといった話がわからないので、知り得た人はそれぞれの媒体で大いに盛り上がってください。私も乗っかりたいと思います。実際そんな機関が作られたら、「規制だ!」なんて大騒ぎする人もいなくなるのだろうけど、犠牲は大きすぎます。ただでさえアニメーターが苦しい生活をしているのだし、この状態での搾取は業界の底辺を崩壊させます。
東京にいて規制だの利権団体だのといった話に疲れて創作に集中できないのなら、いっそ引越ししたほうがいいです。出版社印刷所アニメ会社全員で大移動です。その期間、サブカルチャー文化は供給停止するでしょうけど、繰り返しうるさく騒ぐ隣人がいるなら、引越しも考えの一つとしてありかもしれません。
だいたい、東京なんて土地は人の住む場所じゃありません。人が多すぎだし、ヤクザやカルト宗教だらけで犯罪の数も非常に高いです。気候が厳しく、雪で交通機関が麻痺するのはしょちゅうだし、しかも大地震の不安が常に取り巻いています。運動しようと外出しても排ガスだらけで空気は悪いし、人が多いので何某のトラブルに巻き込まれるかもしれません。土地代が高くて一戸建ては無理。ビルを立てて会社を作るのも無理。暮らしは小さなアパートとか、仕事は貸しビルのワンフロアで満足するしかありません。よくもまあ、あんなゴミ箱の中に我慢して住んでいるなとは思います。
もし大移動するなら岡山がいいですよ。あそこは静かで暮らしやすいです。
続き:6月21日『非実在青少年規制』否決へ
関連情報リンク
第28期東京都青少年問題協議会委員名簿(PDF)
東京都青少年健全育成条例改正法問題のまとめサイト
ニコニコ大百科 非実在性少年とは
「反オタク国会議員リスト」メモ
たけくまメモ
→都条例「非実在青少年」規制問題について
→精華大学による「東京都青少年健全育成条例改正案」に対する意見書
→まんが・条例ができるまで(1992年作品)
改めて『非実在青少年規制』とは何であるのか振り返りましょう。以下が『非実在青少年規制』の概要です。
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一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
□□□□□□□□
何ともわかりにくい言葉が羅列しますが、要するに「存在しない青少年」を取り締まる法律です。何となく見た目が幼いとか、若作りしているキャラクターでもアウトです。一部の成人向けコミック、それもロリコンを題材にした作品だけ取り締まり対象になると思っている人もいますが、それは勘違いです。ほぼすべての成人向けコミックが対象になります。
規制対象は一般向け漫画にも向けられ、キャラクター作りに対しても制限がかけられます。恋愛をテーマにした漫画は全滅の恐れすらあります。声優の演技や声なども規制の対象になるらしく、声質が幼い声優は失業します。人気の高い女性声優などはほぼ全員が規制対象になると思われます。作家や出版社は、警察の検閲にビクビクしながら創作をしなければならなくなるわけです。
私はこれを知った段階でブログに取り上げようと思ったのですが、知ったときにはもう可決まで何日もない状態でした。情報を収集している間にも時間は過ぎて行き、今に至ってしまったわけです。
今回の『非実在青少年規制』における問題は、その内容以上に誰も知らないうちにこっそり法案を決めようとしたその方法にあります。私の家で購読している読売新聞には、『非実在青少年規制』の文字は一度も掲載しなかったと思います。3月19日になって、なにげなくテレビをつけると、この問題について報道されていたのですが、「『非実在青少年規制』とは何か?」という説明から始めていたので今までまったく報道していなかったのだと思います。インターネットがなければ、そんな法案が提示されていたことすら知ることができなかったと思います。
「サブカルチャー叩き」は戦後以来、周期的に繰り返され、およそ15年から20年周期で発生し、その時代の作家が標的にされ指弾されています。今回の件もその一端であるという見方はありますが、私は少し違うと思います。
まず第一に、世間に対してサブカルチャーの有害性をアピール、扇動活動など一切行っていない。一般の人々を巻き込み、思考や行動に影響を与えようというのを目的としていません。
第二に、その上でこっそり法改正してしまおうと強行したことです。今までのやり方よりよっぽど巧みで、効果的な方法です。
第三に周期がこれまでより短く、より反対派の勢力が強大になっているという点です。漫画、アニメと少し違う分野ですが、2002年7月に出版された森昭雄の『ゲーム脳の恐怖』があります。こちらはゲームですが、同じサブカルチャー叩きと括れば、期間はたったの8年です。2008年日本ユニセフが中心となった『準児童ポルノ』から見ると、期間はさらに短い2年です。
過去のサブカルチャー叩きは感情論に過ぎず、その感情を多数の人々に伝播して啓蒙(洗脳?)を促すという手法でしたが、最近は似非とはいえ科学的な考証を背景にしているし、都知事が先頭に立って法改正まで行おうとしました。『非実在青少年規制』に限っていえば、今後、毎年この時期に取り沙汰されるかもしれません。
今回の件はインターネットを通じてその存在を知ることができました。会議での信じがたい罵詈雑言を文章化した生々しい記事に行き当たることができたし(大葉ナナコ先生によれば私は認知障害者に当たるそうですよ)、都知事本人の映像も動画サイトなどで見ることができました。しかし、これまでの規制派の傾向を見ると、行動や手段が確実に複雑化、巧みになっています。ひょっとしたら、今回の件でインターネットに情報が漏れるということを学習したかもしれません。次はインターネットですら情報を得ることができないかもしれません。
私見ですが、『非実在青少年』という造語はSF的だと思います。SFとは現実をベースにしながら、その概念を飛躍させる何かを導入し、それで社会や人間がどうなっていくのかをシュミレーションしていくエンターティメントです。私はずっと以前、『視聴率保護法制定』というSF小説を構想したのですが、発想は似ていると思います。
ただ作家はそれを空想の世界という前提で描くのですが、中には現実に実行しようする人も出てきます。現実と非現実の境目の曖昧さについて考えさせられます。まあ、宗教という現実と非現実の境目が曖昧なものが人類始まって以来あるのだから、そこを批判するつもりはありませんが。
ポルノと犯罪の因果関係はよくわかっていません。アメリカでは児童ポルノに関する取り締まりは非常に厳しく、FBIは捜査として偽の児童ポルノサイトを作り、そのサイトにやって来た者を逮捕しました。イギリスでは児童ポルノ一斉摘発作戦(オペレーション・オー)が決行され多くの逮捕者を生みましたが、逮捕された者の中から32人が自殺しました。それでアメリカでもイギリスでも性犯罪、児童に対する強姦が減ったのかといえば、そういう話はまったく聞きません。逮捕者だけ増えて、実際の犯罪発生率はまったく変わらなかったようです。
この結果を規制派は知っているはずでしょう。それでも規制を強行しようとしているのだから、規制派の心理的背景に狂信と妄執を疑うしかありません。「統計データがなければ禁止できないのはナンセンスだ」という発言もあるようですから、データがあろうがなかろうが、自分の思想・妄想の実現のためなら手段を選ばないようですが(いまだにピューリタズムは梅毒の恐怖に怯えて、価値観を他人に押し付けようというのか……。あっ、独り言です)。
少数意見ですが「一度法改正して駄目なら戻せばいい」という意見もあります。これは、私個人的にはどうかと思います。というのも、「戻せない」だろうと思うからです。一度法改正したら過去に引き返せません。人間の意識が変わってしまうのだし、何より政治家にとっては自己否定に繋がります。もし悪化しても、意地でも規制を強めていくのではないか、と私は思うのです。根拠のない意見ですが。
※ 『視聴率保護法制定』。近い未来、「テレビ以外の全ての映像メディアは有害」という見解の下、テレビ以外の情報が規制される。人々の暮らしにとって有益で健全な思想を育むという名目で、一定以上の視聴率を維持するのが日本人の新たな義務となった。政府公式発表の放送は視聴率100%維持が絶対で、視聴しなかった者は特定され罰則を受ける。そんな法律が制定された最中、凶悪事件が発生。容疑者となったのは主人公の親しい友人。主人公は友人が無実である確信を持っていたが、報道はその友人を犯罪者と見做して調査を始める。……という内容の小説。
私は素人なのでよくわかりませんが、日本の漫画とアニメが世界的な支持を得るようになった背景には、日本の娯楽表現に規制があまりなく、その一方で外国には強力な規制があったからだ、という意見があります。アメリカのコミック、フランスのバンド・デシネといった西洋の漫画も法的な規制や時代の抑圧を受けていたようです。その規制が強かった時代に日本の漫画が広まり、人々の深層に「漫画といえば日本」という意識が強く定着していったというのです。この「メディア史観」が正しいのかよくわからないので、詳しい解説はちゃんとした先生に聞いてください。
現在はどの国でも日本の漫画を目標に追いつけ追い越せという活動を始めています。これまでの漫画表現の規制なども見直され、どの国でも自由な表現で描けるようになっています。そんな最中、かつて外国で実施されたような規制を日本で行ったらどうなるか。せっかく輸出産業としての力を得た漫画の勢いを大幅に削ぐ結果になるでしょう。日本を目標とする外国の漫画に立場を奪われるのは確実です。輸出産業として力も失うはずです。
石原慎太郎都知事は、枯れたとはいえかつては作家だった人間です。表現の規制や制限が作家と作品にどんな影響を与えるかよく知っているはずです。知った上で規制をかけようとしたのだから、度し難い人物としか言えません。石原慎太郎は自国の輸出産業のひとつを自分の手で殺そうとしたのだから、政治家としての能力を疑います。
頻繁に見かけた噂ですが、サブカルチャーが標的にされるのは天下り可能な団体がサブカルチャー関連の企業にないからだ、という意見があります。
これは噂に過ぎません。妄想と恐れという歪みが作り出した都市伝説的な思考です。私はサブカルチャー叩きの背景にあるのが“狂信”であると考えているので、“お布施”くらいでサブカルチャー叩きがなくなるとは思えません。
とはいえ、そういった考えに至る“気持ち”は理解できます。パチンコのような、常に実際的な社会問題を作り出している賭博行為を規制しようという人がまったく現れないのも、天下り可能だから、という考えもあります。
アニメ、漫画、ゲームといったサブカルチャーは技術や芸術性はさて置くとして、市場はかつてないほど大きく膨れ上がり、今や世界を巻き込む勢いを持っています。アニメ『けいおん!』が放送されいた三ヶ月は、日本は不況の最中とは思えないくらい活発に経済が動きました。いっそ、このまま『けいおん!』が放送され続けたら日本経済持ち直すのではないかとすら思ったくらいです(まあ、素人の妄想ですが。経済がそこまで簡単じゃないくらいわかってます)。
それくらいに大きな利益を作り出すのですから、ヤクザや準ヤクザ(公務員)といった人たちが「ショバ代よこせ!」と言ってくるのも無理はありません。または、事件の背後でそういった要求があったのかもと想像する人もいるでしょう。
もし今回の事件の後、どこかで謎の公的機関がこっそり作られ、アニメの制作費と収入がその企業に流れていたらアタリです。私はそういう企業やお金の流れといった話がわからないので、知り得た人はそれぞれの媒体で大いに盛り上がってください。私も乗っかりたいと思います。実際そんな機関が作られたら、「規制だ!」なんて大騒ぎする人もいなくなるのだろうけど、犠牲は大きすぎます。ただでさえアニメーターが苦しい生活をしているのだし、この状態での搾取は業界の底辺を崩壊させます。
東京にいて規制だの利権団体だのといった話に疲れて創作に集中できないのなら、いっそ引越ししたほうがいいです。出版社印刷所アニメ会社全員で大移動です。その期間、サブカルチャー文化は供給停止するでしょうけど、繰り返しうるさく騒ぐ隣人がいるなら、引越しも考えの一つとしてありかもしれません。
だいたい、東京なんて土地は人の住む場所じゃありません。人が多すぎだし、ヤクザやカルト宗教だらけで犯罪の数も非常に高いです。気候が厳しく、雪で交通機関が麻痺するのはしょちゅうだし、しかも大地震の不安が常に取り巻いています。運動しようと外出しても排ガスだらけで空気は悪いし、人が多いので何某のトラブルに巻き込まれるかもしれません。土地代が高くて一戸建ては無理。ビルを立てて会社を作るのも無理。暮らしは小さなアパートとか、仕事は貸しビルのワンフロアで満足するしかありません。よくもまあ、あんなゴミ箱の中に我慢して住んでいるなとは思います。
もし大移動するなら岡山がいいですよ。あそこは静かで暮らしやすいです。
続き:6月21日『非実在青少年規制』否決へ
関連情報リンク
第28期東京都青少年問題協議会委員名簿(PDF)
東京都青少年健全育成条例改正法問題のまとめサイト
ニコニコ大百科 非実在性少年とは
「反オタク国会議員リスト」メモ
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→精華大学による「東京都青少年健全育成条例改正案」に対する意見書
→まんが・条例ができるまで(1992年作品)
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