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■2009/09/26 (Sat)
映画:外国映画■
18世紀のパリは、悪臭そのもののような都市だった。
下水は整備されておらず、汚物と汚水は路上に打ちすてられ、その汚物を踏んでしまわないためにハイヒールが必需だった。
ジョン=バティスト・グルヌイユが生まれたのは、そんな中でも悪臭のきつい、魚市場だった。
バティストの母親は、すでに四人の子供を屋台の下で生んでいた。だがすべての子供は、魚市場の酷い悪臭に自ら息を止めて死亡した。死亡した子供は、魚のはらわたと共に捨てられた。
だが、バティストは特別な子供だった。
バティストはそこに漂うすべての匂いに関心を持って交わり、生きる選択をした。
当時のパリは“悪臭の街”の象徴だった。オシャレな街として整備されるのはずっと後の話。バティスト少年の周囲には死が取り巻いている。この映画はあえてだと思うが死を重く描いていない。他人の死を重要視しないのがこの映画とバティストを描く上のテーマなのだろう。
バティストは孤児院に預けられ、成長して皮職人の親方に預けられた。
ある日、皮職人の親方は、バティストをパリの街に連れて行く。
バティストにとって、はじめて訪れるパリの往来。
そこでバティストはあらゆる香りに接し、はじめて“良い香りと悪い香り”の2種類あると自覚する。
“性の目覚め”ならぬ“香りの目覚め”だ。バティストはこの時の香りが忘れられず、この思い出を神聖視し始める。
パリの街で、バティストを惹きつけたのは、一軒の香水屋だった。
それ以上にバディストを惹きつけたのは、路地裏を歩く一人の少女だった。
バティストは香りの正体を知ろうと、少女を追った。
少女は、バティストに襲われると思い、悲鳴を上げる。バティストはとっさに少女を黙らせようとして、誤って殺してしまう。
その途端に、少女から匂いは消えていた。
バティストは少女の服を剥ぎ取り、詳しく調べるが、あの匂いはどこにもない。
これを切っ掛けに、バティストは究極の香りを作り、香りを永久に保存する方法に執着するようになる。
バティストの最初の師匠はダスティン・ホフマン。やはり鼻の大きさか?天才の思考は常に社会通念を越えるから天才なのである。時にタブーを犯すが、自身の理念のためなら恐れてはならない。
映画館には当然、匂いはない。
だから映画『パフューム ある人殺しの物語』は何度も対象に向かってクローズアップを繰り返す。
観客に、それが持っている匂いを連想させるためだ。
映画の主人公バティストが最も関心を持つのは、美女の香りである。
バティストは、少年時代の初恋を思い出すように、何度も美女を夢の中に見る。むき出しのうなじ。緩くウェーブを描いた赤毛。くっきりとした眉に、強く輝く眼差し……。
カメラは美女の身体にどこまでも接近していき、それが持っている香り以上に強烈なエロチズムを際立たせる。
映画中では赤毛が美人の記号として描かれる。トム・ティクヴァ監督は赤毛に何か思い入れでもあるのだろうか?もっとも『パフューム』はフェチ映画だからテーマと合っていてOK。
バティストは天才であるが、すぐに異常な人間であるとわかる。
バティストは美女ににじみ寄り、服を剥ぎ取って陰部にまで鼻を近づけるが、性欲に関心がない。バティストの関心は肉欲の部分には決して向かわず、あくまでも香りだけにこだわる。
美女が放つ香りを保存するために、手段を選ばない。
バティストは純粋なのだ。だから社会的規律が定める罰にも恐れを抱かない。ただ自身の目的だけが、バティストの行動全体を支配し、突き動かすのだ。
バティストは指も使わず、舌も使わない。ただ身体から際立つ香りだけで、美女の体をなぞり、探っていく。
そんなフェティシズムがバティスト少年の運命を決定付け、奈落へと突き落としていく。
映画記事一覧
作品データ
監督・音楽・脚本:トム・ティクヴァ 原作:パトリック・ジュースキント
音楽:ジョニー・クリメック ラインホルト・ハイル
脚本:アンドリュー・バーキン ベルント・アイヒンガー
出演:ベン・ウィショー ダスティン・ホフマン
〇〇〇アラン・リックマン レイチェル・ハード=ウッド
〇〇〇アンドレス・エレーラ サイモン・チャンドラー
〇〇〇デヴィッド・コールダー カロリーネ・ヘルフルト
下水は整備されておらず、汚物と汚水は路上に打ちすてられ、その汚物を踏んでしまわないためにハイヒールが必需だった。
ジョン=バティスト・グルヌイユが生まれたのは、そんな中でも悪臭のきつい、魚市場だった。
バティストの母親は、すでに四人の子供を屋台の下で生んでいた。だがすべての子供は、魚市場の酷い悪臭に自ら息を止めて死亡した。死亡した子供は、魚のはらわたと共に捨てられた。
だが、バティストは特別な子供だった。
バティストはそこに漂うすべての匂いに関心を持って交わり、生きる選択をした。
当時のパリは“悪臭の街”の象徴だった。オシャレな街として整備されるのはずっと後の話。バティスト少年の周囲には死が取り巻いている。この映画はあえてだと思うが死を重く描いていない。他人の死を重要視しないのがこの映画とバティストを描く上のテーマなのだろう。
バティストは孤児院に預けられ、成長して皮職人の親方に預けられた。
ある日、皮職人の親方は、バティストをパリの街に連れて行く。
バティストにとって、はじめて訪れるパリの往来。
そこでバティストはあらゆる香りに接し、はじめて“良い香りと悪い香り”の2種類あると自覚する。
“性の目覚め”ならぬ“香りの目覚め”だ。バティストはこの時の香りが忘れられず、この思い出を神聖視し始める。
パリの街で、バティストを惹きつけたのは、一軒の香水屋だった。
それ以上にバディストを惹きつけたのは、路地裏を歩く一人の少女だった。
バティストは香りの正体を知ろうと、少女を追った。
少女は、バティストに襲われると思い、悲鳴を上げる。バティストはとっさに少女を黙らせようとして、誤って殺してしまう。
その途端に、少女から匂いは消えていた。
バティストは少女の服を剥ぎ取り、詳しく調べるが、あの匂いはどこにもない。
これを切っ掛けに、バティストは究極の香りを作り、香りを永久に保存する方法に執着するようになる。
バティストの最初の師匠はダスティン・ホフマン。やはり鼻の大きさか?天才の思考は常に社会通念を越えるから天才なのである。時にタブーを犯すが、自身の理念のためなら恐れてはならない。
映画館には当然、匂いはない。
だから映画『パフューム ある人殺しの物語』は何度も対象に向かってクローズアップを繰り返す。
観客に、それが持っている匂いを連想させるためだ。
映画の主人公バティストが最も関心を持つのは、美女の香りである。
バティストは、少年時代の初恋を思い出すように、何度も美女を夢の中に見る。むき出しのうなじ。緩くウェーブを描いた赤毛。くっきりとした眉に、強く輝く眼差し……。
カメラは美女の身体にどこまでも接近していき、それが持っている香り以上に強烈なエロチズムを際立たせる。
映画中では赤毛が美人の記号として描かれる。トム・ティクヴァ監督は赤毛に何か思い入れでもあるのだろうか?もっとも『パフューム』はフェチ映画だからテーマと合っていてOK。
バティストは天才であるが、すぐに異常な人間であるとわかる。
バティストは美女ににじみ寄り、服を剥ぎ取って陰部にまで鼻を近づけるが、性欲に関心がない。バティストの関心は肉欲の部分には決して向かわず、あくまでも香りだけにこだわる。
美女が放つ香りを保存するために、手段を選ばない。
バティストは純粋なのだ。だから社会的規律が定める罰にも恐れを抱かない。ただ自身の目的だけが、バティストの行動全体を支配し、突き動かすのだ。
バティストは指も使わず、舌も使わない。ただ身体から際立つ香りだけで、美女の体をなぞり、探っていく。
そんなフェティシズムがバティスト少年の運命を決定付け、奈落へと突き落としていく。
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作品データ
監督・音楽・脚本:トム・ティクヴァ 原作:パトリック・ジュースキント
音楽:ジョニー・クリメック ラインホルト・ハイル
脚本:アンドリュー・バーキン ベルント・アイヒンガー
出演:ベン・ウィショー ダスティン・ホフマン
〇〇〇アラン・リックマン レイチェル・ハード=ウッド
〇〇〇アンドレス・エレーラ サイモン・チャンドラー
〇〇〇デヴィッド・コールダー カロリーネ・ヘルフルト
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