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■2009/07/24 (Fri)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にしたパロディ小説です。パロディに関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P002 第1章 当組は問題の多い教室ですからどうかそこはご承知下さい


今日はいつもより早起きだった。
もしかしたら一番乗りかも、と思って教室の扉を開けると、やはりというかもう誰かがいた。
一級測量士の腕章を左の袖につけた女の子が、教壇の脇に測量機を置いて机の歪みをミリ単位で調整していた。
3d589daa.jpg木津千里だ。ちょっとでも歪みを許さない、几帳面な女の子だ。だから2のへ組の机は、常に碁盤目のようにきちっと整列していた。
「おはよう、千里ちゃん。もういい?」
千里が測量機の片付けに入ったので、そろそろいい頃かな、と私は声をかけた。
「おはよう、奈美さん。ええ、いいわよ。」
千里が私を振り返って笑顔で答えた。
長い髪を、額の中心で両側に振り分けた見事な富士額。何もかもきっちりしていないとすまない、千里らしい髪型だ。ちょっと小柄かもしれないけど、肌が白くてきれいな女の子だった。
私は自分の机まで行き、鞄を机の上に置いた。いつも机がきっちりしているから実に心地いい気分だった。
「ちょっと、あなた。」
でも千里が、恐い声になって私を睨み付けた。
「はい、なんでしょう」
私は始まった、と思って体を固くして身構えた。
「なんでそんなに鞄軽いのよ。ちょっと、机のなか見せない。――やっぱり! 教科書を置いていって。あなた、二ヶ月遅れているんだから、ちゃんと教科書持って帰って勉強しないといけないでしょ。そもそも教科書を置いて帰るのは許しません! そういうところ、きっちりしてよ!」
千里は信じられないくらい凄い剣幕で私に迫ってきた。
きちんとしすぎて周囲にそれを要求する。美人だし、頼りになるところはあるけど、ちょっと口うるさいし、それに怒ると恐い女の子だった。
「うん、わかったから。ちゃんとするから、落ち着こうよ」
私は千里を宥めようとした。
d8bb1611.jpg「おはよう」
次に教室に入ってきたのは、低くクールな女の子の声だった。
「あ、おはよう。」
私と千里は同時に振り向いて、同時に挨拶を返した。
小節あびるだ。痩せていて、背の高い女の子だった。肩までの髪を三つ編みにしている。きれいな女の子だけど、体中が包帯だらけだった。右手はギプスに固められて吊っているし、左の目にはいつも眼帯。
詳しい事情はわからないけど、どうやら父親から暴力を受けているらしい。そんな噂が絶えず、だから包帯だらけなのだという。
「何か?」
あびるは自分の席に着くと、じっと見ている私たちにクールな目を向けてきた。
「ううん、別に。」
私と千里は、また同時に言って首を振った。あびるが現れると、気を遣うからかどうしても重い気持ちになってしまう。
53367414.jpgとそこに、空気を入れ替えるように教室の扉が開いた。入ってきたのは、高校生と思えないくらい小さな女の子だった。
「これ、落ちてた。まだ食べられる」
小さな女の子が、私にビニール袋を見せた。
「これコンビニのお弁当じゃない。駄目じゃない、勝手に持ってきちゃ」
ビニール袋の中は、形の崩れたお弁当で一杯だった。どうやら、コンビニで廃棄になった弁当を持ってきてしまったらしい。
この女の子は関内・マリア・太郎。やはり詳しい事情はわからないんだけど、男子生徒っていうことで登録されている。
マリアはどこかの国から日本に密航してきた人だった。肌は浅黒くて、手入れしていない髪はいつもバサバサだった。セーラー服にはスカーフがなく継が当ててあって、それに裸足だった。
マリアは同じく密航してきた人たちと貧しい暮らしをしているらしく、落ちているものでも拾って生活しないと、食べてもいけないそうだった。
「でも、まだ食べられるよ。賞味期限2時間過ぎただけだよ」
マリアは天真爛漫な笑顔で私に言った。貧しいけど、マリア自身に悲壮感はまったくなかった。
「確かにそうだけど……」
私はどう答えていいかわからなくて、言葉を詰まらせてしまった。
「日本、いい国ネ。賞味期限1秒でも過ぎたら、全部捨ててくれる。客が手をつけなかった食事も全部捨ててくれる。おかげで、マリア食べ物に困らない。ひとつ、いるか?」
マリアは愛らしい微笑で私に弁当のひとつを差し出した。
「いいよ。私は自分のお弁当持ってきてるから」
私は苦笑いで遠慮した。食べ物は残さず食べないとね。
ふと私のスカートの中に入れた携帯電話が振動した。誰かからメールが入ったらしい。
私は携帯電話を引っ張り出し、メールを確認した。
b82bd3b1.jpg《ゴミ漁りか 親父失業でもしたのか》
強烈な毒舌メール。私はどんよりしながら、芽留だな、と思ってその姿を探した。
音無芽留はいつの間にやってきたのか、自分の席にちょこんと座っていた。
「芽留ちゃん、違うから。あれは、マリアちゃんのお弁当だから」
私はちょっと叱るつもりで芽留の席に近付いた。
でも芽留は、目線を逸らして、素早く携帯に文字を打った。すぐに私の携帯が振動した。
《実況マダー?》
芽留は、直接会話しない。普段の芽留は大人しくて極端な口下手だけど、メールの中ではひどい毒舌になる。いわゆる、メール弁慶だ。
それでも、本人はちっちゃくて礼儀正しいから、直接何か言って怒ってやろうという気持ちにはなれない。
731f7429.jpg「ちょっとのいてくれる。訴えるわよ」
いきなり、私の側に圧倒するような背の高い金髪の女の子が現れた。
「あ、ごめんなさい。どうぞ」
私は慌てて頭を下げて、道を開けた。
金髪の女の子は、私に挨拶もせず通り過ぎていった。
「あ~あ、ウザイ。あびる、昨日の宿題見せてよ」
「うん、いいよ」
金髪の女の子は、木村カエレだ。一応断っておくけど、不良の子じゃない。どこかの国の帰国子女で、ちょっと傍若無人なところもあるけど、あちらの国では普通らしい。
もともとは、クラスの成績アップのために投入された帰国子女だったけど、今ではすっかり足を引っ張っていた。どこの国の帰国子女なのか、いまだに誰も知らない。
そのとき、涼しげな風が流れ込んできた。7月の蒸し暑い空気がさっと流れたような心地よい気分になった。とそんなとき、すぐ側で何かがぱたぱたとはためくような気がした。
281060c5.jpgなんだろう、と振り向くと、いつの間にかすぐ側に、15センチもない場所に男の子がひとり立っていた。
「キャア! いつからそこにいたのよ!」
私はびっくりして、慌てて三歩下がった。
最初からいましたよ。ずっと側にね
男の子はニヤニヤ笑って、眼鏡の向うからいやらしい目で私を見ていた。
臼井影郎。眼鏡で高校生にして絶望的な薄毛。さっきはためいていたのは、臼井の寂しい頭髪だった。臼井は存在感が極端に薄く、こうしていつの間にか側にいることがよくあった。
「あっち行ってよ! 気持ち悪い!」
私はあからさまな嫌悪を示して、臼井を本気で蹴るつもりで足を振り上げた。
はいはい
臼井はニヤニヤした顔を崩さず、私の側から離れた。
ああ、もうやだ。私の周囲に臼井が吐いた空気があると思っただけでも気持ち悪くなって、そこから離れた。
9814aef2.jpgそんなどんよりとした空気も、すぐに新しい空気に入れ替わる感覚があった。
「おはよう、奈美ちゃん、千里ちゃん」
「おはよう、可符香ちゃん。」
私たちの側に現れたのは、風浦可符香だった。前髪を大きな髪留めで留めている女の子で、瞳の色が薄く、わずかに赤味がかっていた。
可符香は不思議な女の子だった。可符香が現れると、不思議と周りの空気がほんわか暖かいものに包まれるような気がする。どことなく、おとぎの物語に登場する妖精さんのような雰囲気があった。
ただ、
「昨日のお月様、血のように赤かったね。きっともうすぐ誰かに不幸が訪れるよ」
と可符香は、何もかもを包み込むような微笑と共に、信じられないダークネスな発言をした。私は思わずどんより重い気持ちになった。
可符香は接しているだけで明るく優しい気持ちになれる女の子だったけど、ちょっと電波なところがあった。
ところで、“風浦可符香”の名前は本当の名前じゃないらしい。本人曰く、ペンネームだそうだ。可符香の本当の名前は誰も知らない。どういう理由か、可符香は本当の名前を隠そうとしていた。
予鈴が鳴った。もうすぐ授業だ。
私は自分の机に座って、机の教科書を確認した。よしよし、ちゃんとあるぞ。
おっと、忘れるところだった。
7f7067f9.jpg私は日塔奈美。どんな女の子なのかというと……普通の女の子です。
見た目も、可愛いというほど可愛くないし、絶望するほどぶさいくでもない。何か得意のものがあるわけでもないし、変わった趣味を持っているわけでもない。学校の成績も、良くもなければ悪くもない。テストの点数はいつも平均点ピッタリだった。
何もかもが普通。どこにでもいる平凡で平均的な女の子。それが私だった。

次回 P003 第1章 当組は問題の多い教室ですから…2 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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