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■2015/08/16 (Sun)
第2章 聖なる乙女

前回を読む
 日が暮れかけた頃、コリオソリテース族の集落に辿り着いた。平原を横切る小さな小川に、ほんの3軒ばかりの集落が沿うように暮らしていた。

トムの母親
「トム! トム!」

 若者と少女が現れると、母親が大慌てで駆け寄ってきた。少女は母親にトムを引き渡す。

トムの母親
「ああ、トム……トム……よく無事で。ドルイド様、戦士様、ありがとうございます。ありがとうございます」
少女
「いいえ。その代わりに、一晩の宿をいただけませんか。悪い妖精を追いかけて、私も彼もクタクタです」
トムの母親
「ええ、もちろんです。どうぞ、こちらへ。アンタ! アンタ!」

 トムの母親が走って主人を呼びに行った。
 間もなく日が暮れようという時間なのに、集落の全員が集まって旅人を歓迎した。トムの母親は、知る限りの言葉でお礼と感謝を告げた。
 なぜか名乗らない2人に、村人らは誰も不審がる様子を見せなかった。若者は名乗らない代わりに、妖精との戦いを武勇伝に変えて子供達に語って聞かせた。
 2人には猪料理が振る舞われ、上等な布団があてがわれた。そうして床に就くと、それまで疲れた様子など見せなかった少女だったが、ふたつと呼吸せぬうちに眠ってしまった。疲れ切っていたのに関わらず、そういう素振りを一切見せずに、村人や子供の母親に、ドルイドらしい謙虚さで物腰柔らかに接していたのだ。美しいばかりではなく、術に長け、知性においても気品においても1つ欠けるもののない、まさに才女だった。
 若者はそんな少女の寝姿に思わず感じ入ってしまい、少女の寝顔に言いそびれた「おやすみ」を告げて眠った。


 若者が目を覚ました。辺りはまだ暗かった。家の中に光はなく、しんと静まり返っている。隣で眠っているはずの金髪の乙女の姿はなかった。
 若者は起きあがると、家の外に出た。草原は静かだった。草はひっそりと夜霧をまとわせ、空はまだ赤黒く、星が少し残っていた。集落の周囲には丘すらなく、草原が茫漠と天と地が混じりあう果ての果てまで続いていた。
 鶏が目覚めを告げる時間にも至っていない。朝と夜が不安定に対立する時間だった。そんな端境に、少女が1人きりで佇んでいた。

×××
「――早起きですね」

 少女が振り返る。いつもの華やかさはなく、少し暗い影をまとわせていた。

×××
「何か考え事ですか」
少女
「あの子は幸福になれるでしょうか。妖精に連れ去られた子供は、いつか妖精に魅了され、妖精を求めて人里に戻らなくなると聞きます。もしそうなると、決して幸福にはなれぬと」
×××
「あなたにも経験が?」
少女
「いいえ。でも私も普通の子供にはない経験をしました。いつも1人きりで、孤独と不安に怯えておりました」
×××
「修行の最中にですか?」
少女
「いいえ。今はとても充実しています。でもかつての思いに向けると、私はいったいどこに帰るのだろう、と……そんな気持ちにかられるのです。私には懐かしいと感じるものがありません。帰る場所も。ただ、真っ白なうつろがあるだけ……」
×××
「……ご覧なさい。あの空を。あの地を。美しいと感じる心はおありでしょう。心満たされるものがあるのなら、心を病む心配はありません」
少女
「…………」

 少女はかすかに微笑む。

×××
「それに、あの子供の未来なら何も案ずる必要はありません。連れ去られた古里に戻しました。僧侶なら、幸福を祈ってください」
少女
「そうですね」
×××
「さあ戻りましょう。身体が冷えてしまいます」

 若者は少女の手を握った。柔らかく、旅にも戦にも向かない手だった。

少女
「はい。――あっ」

 少女は歩き出そうとするが、膝が崩れた。若者がその体を抱き留める。

×××
「走りすぎたのです。今日はゆっくり歩きましょう」
少女
「そうですね」

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