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■2015/08/13 (Thu)
第2章 贋作疑惑

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 サンドイッチが運ばれてきた。ツナやら豚カツがサラダと一緒に挟まれた、実に食欲のそそるサンドイッチだった。サンドイッチが濃い緑茶と共に、ツグミとコルリの前に並んだ。
 しかし、ハンバーグ定食はまだ来ない。サンドイッチを前にしてヒナが恨めしそうな顔をするので、ツグミとコルリはそれとなく食べるのを遠慮した。
「そうそう。二人にお土産があるんや」
 ヒナは気分を改めるように明るい声に変えて、脇に置いたバッグを振り向いた。中を開き、封筒を引っ張り出す。ツグミとコルリは、何だろうと覗き込むようにした。
 ヒナが二人の前に封筒を示した。それから、勿体つけるように「じゃじゃーん」とゆっくり中に収められている物をするすると引っ張り出す。
 チラシだった。B5サイズの小さなチラシで、鞄に押し込まれていたせいで四隅が全部よれて、真ん中辺りに折り目がついていた。
 チラシにプリントされているのは、ミレー(※)の『干草を束ねる人』だった。沈みかけた夕日に背を向け、農夫たちが両手一杯に干草を抱え、束ねようとしていた。収穫期の一場面を叙情的に捉えた作品だ。
 その絵の下部分に、赤の明朝体でこう書かれていた。
『ミレー・バルビゾン派展』
 横に、小さく日時や場所が列記されていた。
「おお、企画展やるんや」
 コルリが興奮したようにチラシに飛びついて、声を上げた。
「うん。そのためにあちこち飛び回ったんやからな。日本の美術館では滅多にお目にかかれないコレクションに、個人コレクター秘蔵作品多数! ツグミもまだ見たことのないはずの、完全未公開の掘り出し物作品もあるんやで。もちろん、全て完璧に真画や。どの絵も出所ははっきりしてるし、私自ら鑑定したんやからな。間違いはないで」
 ヒナは誇らしげな顔で、コルリとツグミを交互に見て説明をした。
「でも、あと2週間やん。間に合うん?」
 ツグミはチラシの開催日時に気付いて、不安になってヒナに訊ねた。
 ヒナは思い出したように顔に疲労を浮かべ、苦笑いをした。
「急な話やろ? 色んな意味でギリギリやわ。まだ交渉も終わってない段階でこんなん作られて、ほんま焦ったわ」
 ヒナに切迫が滲み出ていた。もうこれからの手順を考えているのだろう。
 絵を輸送して、展示のレイアウトを指示し、宣伝でマスコミに愛嬌を振り撒く。2週間という短い期間で、この全てをこなさなければならないのだ。
「私、絶対行くな。ヒナ姉にご苦労さんって言いたいしね」
 コルリが座席に体を戻し、ヒナを応援するように微笑みかけた。
 ヒナがコルリを振り返り、嬉しそうに頷いた。
「嬉しいわぁ。お姉ちゃん、がんばるで。ところで2人とも、私が留守の間、いい子にしとった?」
 ヒナは急に調子を変えて、子供になぞなぞを出す母親の雰囲気で2人を交互に見た。
 ツグミとコルリは、何となくヒナの意図を察して、「うん、うん」と頷いた。
 ヒナはチラシの上にずっと親指で隠し持っていたらしい何かを、「じゃじゃ~ん」と出してみせた。ツグミにはそれが、きらきらと星を散らしているように見えた。
『ミレー・バルビゾン派展・無料入場券』
 無料券は2枚あった。
「頂戴!」
「もらったぁ!」
 ツグミとコルリが同時に声を上げて飛びついた。しかしヒナは、ひらっとかわして無料券を引っ込めた。
「それで、どうなん? いい子にしとった? 私のいない間に、先生に叱られたりとかせんかった? 無駄遣いしなかった?」
 ヒナは無料券をひらひらさせながら、ツグミとコルリに少し厳しめに訊ねた。
「してました! これからもずーっといい子にしてます!」
 ツグミとコルリが掌を合わせて、声をぴったり合わせた。
「よし! じゃあ、これはご褒美。プレゼント」
 ヒナは無料券を1枚ずつ、ツグミとコルリに手渡した。ツグミは無料券を握りしめて、感激で目をウルウルさせてしまった。コルリは「やった!」とガッツポーズ。
 そこに、ようやくハンバーグ定食がトレイに乗せて運ばれてきた。
「来た来た。ご飯にしようか」
 ヒナは待ってました、とハンバーグ定食に手を伸ばした。

※ ジャン=フランソワ・ミレー 1814~1875年。バルビゾンを拠点にした画家。農民や田舎の風景を描いて新時代を築く。

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目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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