■ 最新記事
(08/15)
(08/14)
(08/13)
(08/12)
(08/11)
(08/10)
(08/09)
(08/08)
(08/07)
(08/06)
■ カテゴリー
お探し記事は【記事一覧 索引】が便利です。
■2016/06/24 (Fri)
創作小説■
第14章 最後の戦い
前回を読む
4
クロースの兵達が隊列を整えると、火矢の応酬を始めた。烈風が吹き、木の葉がざわざわと揺れた。僧兵達が魔法の盾を作り出すが、同時にクロースの神官が魔法を打ち消す呪文を唱えた。次々に放たれる火矢は、僧兵を討ち、木々に火を点けた。クロース兵達は、麓の森に火を放ち、煙に紛れて進軍した。
僧兵達は魔力を帯びた武器で、敵に立ち向かっていったが、クロースの兵士は1人1人が屈強で、僧兵達が築いた防壁は次々に打ち破られていった。
この戦いに、オーク達の騎兵が加わった。その数は小さかったけど、クロースの兵達をはるかに上回り、敵の一角を圧倒した。
オーク達は僧兵に指示を出し、丸太を切り出して火を点け、山を登ろうとする兵士達に向かって放り投げた。燃えさかる丸太は斜面を転げ落ち、密集状態の敵を薙ぎ倒していった。
燃える丸太が敵の勢力を切り崩すと、オーク達はそこに斬り込んでいった。オークの剣術は荒ぶる鬼神の如く。クロース達はその気迫の凄まじさにおののき、およそ為す術もなく倒されていった。
オーク達の勢力が、戦局をにわかに変化させていった。
その様子はクロースの陣営からも見えた。これまで順調に進んできた作戦が、はじめて押し戻されるのに、ひどくじれったいものを感じた。それも、わずか30人の騎士に!
リーフ
「あの男は何者だ!」
アレス
「存じませぬな」
リーフ
「知っておるだろう!」
アレス
「いや、初めて見る顔ですな」
リーフ
「貴様、お前達の姫がどうなっても知らんぞ。我らの神に従え! 神に対して不誠実が許されると思うな。そんな態度を続けると、いつか貴様の頭に天罰が下るぞ!」
アレス
「貴様のような名ばかりの賤民に誇り高き名を教えてやる必要はない」
リーフ
「なんだと?」
アレス
「私の役目はただ戦うことだけです」
◇
クロース軍陣営後方。
馬車の荷台の上に、ステラ姫を入れた檻が置かれていた。ステラは膝に顔を埋めたまま、動かなかった。これを監視しているのは、ティーノであった。
ティーノ
「まずいぞ、まずいぞ。あいつはダラスの軍勢を潰した奴だ。せっかくここまで逃げてきたのに……」
クロース兵
「何をしておるか! ちゃんと見張りを務めよ! 逃げてきたお前を引き入れた恩を忘れるな!」
ティーノ
「は、はい!」
騎士が去って行った。
ティーノ
「おのれ下品な馬乗りのくせに! わしはクロースの司祭だぞ! 国に帰ったら覚えておれ。わしを見下したやつ全員を告発して、焚刑にしてくれる」
クロース兵
「何を喚いておるか!」
ティーノ
「ひぃぃ、お許しを!」
次回を読む
目次
PR