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■2016/07/08 (Fri)
創作小説■
第14章 最後の戦い
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11
夜が明けると同時に、僧兵達の攻撃が中断された。とどまらず続いていた魔法の攻撃はやみ、刃を交えていた僧兵達は突然戦いを中断して遁走した。森から戦いが去り、唐突に静けさが包んだ。
クロースの兵達は突然戦いが終わった状況にとまどい、剣を握りしめたまま、茫然と仲間同士顔を見合わせていた。
そこに、僧侶の数人が兵士達の前に現れた。兵士達は警戒して武器を振り上げた。
しかしドルイドたちは、身に武器を帯びず、殺気すらまとわず、たた頭を下げて、奥へ行くように促した。それから、ドルイドたちは闇に身を躍らせ、それきり影も気配も消してしまった。
クロース兵はしばらくぽかんとしていた。いくら警戒しても、ドルイド僧の気配はどこにもない。伏兵が隠れている様子もない。クロース兵は慎重に進み、クリアリングまで到達したが、そこにもドルイド僧はいなかった。
クロースの勝利だった。
この一報は、ただちにリーフの許に届けられた。
兵士
「ドルイド僧が撤退しました。この先の広場まで、敵は1人もいません」
リーフ
「……そうか。……そうか。ハッハッハッ! 我々の勝利だ。他愛のない奴らだ。死ぬまで戦うかと思ったが、最後には尻尾を巻いて逃げおったか。ハッハッハッ!」
というクロース軍も、残り僅か2000人。10分の1まで減らされていた。兵士の数を抽出すると、さらに少ない。
リーフはもうわずかしない配下を引き連れて、密林の中心部へと向かった。
いよいよ日の出の時刻を迎えて、森は青く浮かんでいる。森の獣も静まり返って、玄妙なる静寂が漂っていた。
やがて進む先に、明るい光が落ちるのが見えた。
リーフ
「あれか!」
リーフは歩を急がせた。クリアリングに入っていく。
しかしそこで彼らを迎えたのは、文字通り何もない空間だった。ただそこに円形の空間が広がり、それに沿うように円柱が囲んでいる。中央に杖が1本、立ったまま浮かんでいた。
リーフ
「……なんだこれは。何もないではないか。どこだ! 書物はどこだ! ルーンはどこだ! 探せ。必ずどこかに隠しているはずだ。すぐに見付け出せ!」
リーフが逆上した部下たちに命じる。
その時だった。
杖が青く輝いた。呼応するように、周囲の円柱も輝き始めた。空中に光のリングが出現した。リングは無数に現れ、ゆるく回転していた。リングに、ルーンが刻まれていた。
リーフ
「……おお見付けたぞ。やっと見付けたぞ。ルーンだ。あれを我が手に……」
リーフは頭上で回転するリングに手を伸ばした。
◇
爆音が轟いた。凄まじい爆発だった。山脈全体が大きく揺さぶられ、土煙が火柱のごとく立ち昇った。大木が次々に倒れ、そこにいた全ての人間を飲み込んでいった。
山の一角が瞬時に崩壊する爆発だった。そこに踏み込んでいた異教徒の全てを灰に変え、それを免れた者も大木と土砂の下敷きになって命を落とした。クロース兵の残り2000名は、この瞬間に全滅した。
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