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■2009/09/01 (Tue)
シリーズアニメ■
前巻までのあらすじ(第十集より)
ジョン=マッツオのたっての願いを世迷い言と断りきれずステージに立つも、ボーイズソプラノを強要されて声帯潰し、2分でブーイング退場。次週に控えたシャンソンの発表会も棒に振り、失意の中ピアノの森に走るもそこは漫画の森。強制的に整理券を渡されサイン会に並ぶやいなや前の男が話しかけてきた。「フランスではMANGAは9番目の芸術って言われているんですよ」と最近流行のオタナショナリズムを延々聞かされ疲弊する。話がグレンダイザーの視聴率にさしかかった時、ようやく順番が廻ってきて見た先にいたのはなんと「メープルピンピン」と名を変えたかつての椎名先生。「何やってんスか?」「いや、いろいろあってね」と、ボツ原稿と生肉で出来た締め切りを知らせる闇の時計台の話をし始めた。その時、遠くからこの世のものとは思えぬ鐘の音が。「逃げろ! 緑のヤツが来るー。」
尼になった急場
原作124話 昭和83年1月23日掲載
凍えるような木枯らしが吹く頃だった。千里がバス亭へ行くと、後ろに受験生が列を作って並び始めた。バス停の背後には予備校。受験生たちは必死な顔で、問題集や参考書を眺めていた。原作124話 昭和83年1月23日掲載
「急場しのぎじゃあ、学も身につかないでしょうに。」
千里は呆れる気持ちを隠さず呟いた。
「いやいや、むしろ今の時代、“急場しのぎ力”が問われるのです」
糸色望の声が千里に掛けられた。千里が振り向くと、植え込みのブロック塀に望が座っていた。
「でも、急場しのぎでは根本的な解決にならないじゃないですか。」
しかし千里は、望の意見に反抗して声をあげた。
「急場しのぎですから、その場さえしのげればいいいのです。先生は知っています。ウチの組の皆さんがこの力を持ち合わせている事を」
望は強い言葉で千里を諭そうとする。
ところ変わって、2のへ組教室。
「実は今日、私の誕生日なんだ」
唐突な日塔奈美の宣言。へ組一同が茫然と奈美を注目した。
「知ってた?」
「いや、初めて知った」
小節あびると藤吉晴美が顔を合わせる。どちらの顔も祝うといより、きょとんとした無表情だった。
「ははは、いーよ、いーよ。どうせ……」
奈美ががっかりした声をあげた。その目に、薄く涙が浮かぶ。
「何かお祝いしないとね。ちょっと待ってて」
場を取り繕うようにあびるは言うと、教室を出て行った。すぐに戻ってきた。
「こ、これ」
あびるが持っていたのは、たった今、自動販売機で買ってきたパックのジュース。
奈美の表情に、どんよりと横線が落ちる。
「ええ、どうしよう! 私も何も用意していない! ……あ」
おろおろとする晴美だったが、すぐに何か気付いたらしい。晴美は自分の鞄をごそごそと探り始める。そうして出てきたのは、漫画の単行本。しかも中途半端に第3巻。
急場しのぎのプレゼントは次から次へと集ってくる。
牛乳パックにお菓子、なんか鞄に入っていたらしい薬、折鶴、消しゴム、変な落書きが入ったモグ・ピープル……。
学校で急場しのぎで用意されたプレゼントには、切なさが漂う。
でもまだ、プレゼントを用意していない少女がいた。風浦可符香だ。
「どうしよう私は、みんなのように気のきくようなプレゼントを持ち合わせていない。そうだ。私には歌があるじゃないか!」
今のアニメに/足りないもの/それは/乱源流/つまり/大人のキャラクター
絵コンテ・演出:飯村正之 作画監督:山縣亜紀 色指定:森綾
制作協力:虫プロダクション
三十年後の正解
原作172話 昭和84年3月4日掲載
今日はテストの返却日。テストを返却された直後から、教室全体がざわざわとし始めた。原作172話 昭和84年3月4日掲載
「あー! ここ正解なのに×が付いています!」
初めに大声をあげたのは木津千里だった。千里は望の立つ教壇の前に進み、テストを用紙を見せて抗議する。
「正解なのに×。大人の世界ではしばしば、正解が正解でない事があるのです!」
しかし望は、言い訳もせず堂々と自説を宣言し始めた。
「はー!」
千里は当然納得がいかず、望に食って掛かろうとする。
その時、唐突に背後の黒板が左右にスライドをし始めた。その向こうに現れたのは2のほ組教室――ではなく、クイズ番組のスタジオだった。
いきなりだが、クイズ番組の始まりだった。最初の回答者は芸人達。回答席に、若手の芸人達がずらりと並んだ。
「問題です。「猿も木から落ちる」と同じ意味のことわざで、河童の何というでしょうか?」
ピンポーン
「川流れ」
ブブー。
「ええー、合っているじゃない!」
千里が困惑を込めた声をあげた。
「質問の回答としてはね」
小節はあびるは淡々と千里に言葉を返した。
芸人がクイズ番組にフツーに答えてはならない。芸人にとって、クイズ番組は一種の大喜利である。
次の回答者は会社員達。出題者は会社社長である。
「キミたち。DIGOって誰の孫だか知ってる?」
ピンポーン
「竹下元首相の孫ですよね」
当り……だけどブブー。
正しい答え方はこうだ。
「存じません。流行には疎いもので。どなたか有名な方のお孫さんなんですか?」
正解だけど、正解ではない場合がある。とくに世間では、正しく答えてはならない状況は多くある。特にそれは国家においては顕著だった。
例えば「高知県足摺岬沖豊後水道周辺で領海侵犯したのはどこの国の潜水艦でしょう」
答えは「中国」
しかし、答え方としては正しくない。正しくは、
「国籍不明の潜水艦。もしくはクジラを誤認」
次の問題はある人物。「偽造パスポートで入国し、某テーマパークで遊んでいたあの中年の男は誰?」
答えは「金正男」
しかし、答え方としては正しくない。正しくは、
「もにょもにょもにょもにょ」
どんな答えでも、正しければ良いというものではない。正しい行動をとれば良いというものでもない。世の中には、正解ではない正解がいくつもあるのだ。
ツッ/コ/ン/だら/負けかなと/思っている
絵コンテ・演出:飯村正之 作画監督:田中穣 青葉たろ 岩崎安利 色指定:石井理英子
ジェレミーとドラゴンの卵
原作169話 昭和84年2月4日掲載
ゴルフ場。短く刈り込まれた緑の芝生がどこまでも続いていた。なだらかな起伏を持つ丘をずっと進んだところに、旗がひらひらとはためいている。原作169話 昭和84年2月4日掲載
ティーイングランドに立ったのは藤吉晴美だった。ゴルフクラブを持ち、思い切りよく振りかぶる。ボールが空の青に消えた。再びグリーンに現れたときには、はるか彼方だった。290ヤード。
「おー、凄い飛距離! ナイスショット!」
風浦可符香が元気な声をあげた。
だが例によって、糸色望の顔は淡白で暗い。
「……まあ、シロウトなんて飛距離さえ出れば、スコアボロボロでも満足するものです。しかし世の中、あまり飛距離が出すぎてもいかがなものかというものも存在するのです」
「何か、言ってることが矛盾していません?」
また始まった、なんてあきれた顔を隠しながら、日塔奈美が意見をした。
「お兄様、新しいコースが完成しましたわ。皆さんをお連れして」
糸色倫がカートに乗ってきて声を掛けた。
そういうわけで移動してきた場所は、小石川の町中だった。
一番ホールとして案内されたのは、独身男性の一人部屋。散らかった部屋に、ジャージ姿の男性が退屈そうにベッドの角にもたれかかっている。
「部屋じゃない?」
千里が不可解をあらわすように声をあげた。
「この少年の飛距離がどんなものか見てみましょう」
「ちなみにボールもクラブも使いません」
望と倫が、ルールを端的に説明した。
間もなくして男が動き出した。ジャージ姿のまま、靴を穿いて部屋を後にする。
近所のコンビにでも行くのか――。いや、そのまま駅に向かい、電車に乗った。最終的には友達と映画館に到着。
そう、これは――家からジャージで外出できる距離!
他にもコースは色々と用意されていた。
繁華街で、路上駐車した車からどこまで離れられるか。
某テーマパークから、マスコットキャラクターの耳付きカチューシャをしたままどこまで遠くへ行けるか。
コミケで恥ずかしいキャラクターがプリントした紙袋を手に入れて、どこまで遠くへ行けるか。
幼子を車内に放置して、親はどこまで遠くに行けるか。
そして男が一度は挑戦してみたい難コース。それは――裸でどこまでいけるか!(関連する壁紙が商品紹介下の「続き」にあります)
飛距離の競い合いはまだまだ続く。次なる挑戦は、
「何?」
宿直室。小森霧が急な来客に振り返った。
「引きこもりがどこまで遠くにジャンプを買いに行けるか」
「これは飛距離でないでしょ。引きこもりだけに」
常月まといが挑発的に笑った。
これには、霧はむかぱっと感情を示した。
「私、バーディくらいなら出せるよ!」
霧が不満な顔を浮かべて立ち上がった。
つづく
どこまで労働基準法ぶっちぎれるか/どこまでスケジュール引っぱれるか/どれだけ睡眠時間を削れるか/どれだけ保険料を滞納できるか/どれだけ食費を削れるか/どこまでこの仕事を続けることができるのだろうか(あまり無理しないで下さい)
絵コンテ:龍輪直征 演出:宮本幸裕 作画監督:小林一三 色指定:石井理英子
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作品データ
監督:新房昭之 原作:久米田康治
副監督:龍輪直征 キャラクターデザイン・総作画監督:守岡英行
シリーズ構成:東富那子 チーフ演出:宮本幸裕 総作画監督:山村洋貴
色彩設計:滝沢いづみ 美術監督:飯島寿治 撮影監督:内村祥平
編集:関一彦 音響監督:亀山俊樹 音楽:長谷川智樹
アニメーション制作:シャフト
出演:神谷浩史 野中藍 井上麻里奈 谷井あすか 真田アサミ
〇〇〇小林ゆう 沢城みゆき 後藤邑子 新谷良子 松来未祐
〇〇〇矢島晶子 後藤沙緒里 根谷美智子 堀江由衣 斎藤千和
〇〇〇上田耀司 水島大宙 杉田智和 寺島拓篤 高垣彩陽
〇〇〇立木文彦 阿澄佳奈 中村悠一 麦人 MAEDAXR
この番組はフィクションです。実在するドン・ブリコ、竹下元首相、ハン級原子力潜水艦とは一切関係ありません。
さのすけを探せ!
今回はあまりにも多すぎで、隠しキャラクターらしくない。一部省略しようと考えたが、ネタ解説も出来ると思い、見つけたものは全て採用。そのかわり、いつもより画像は圧縮ぎみにしたのでご容赦していただきたい。まずは左上の画像。唐突に日塔奈美による「今日が誕生日なんだ」宣言。急ごしらえで用意される誕生日プレゼントそのなかに、さのすけが登場する。
続いて始まる、風浦可符香による、耳に心地よい電波ソング。風浦のアイドル風ファッションも載せたかったが、容量的につらいので見送り。
以後のカットで、さのすけを抱き続ける日塔奈美。並べてみると、同じ構図で描かれているのがわかる。
黒板ネタ文字。
圧縮しすぎてわかりづらくなってしまったが「昨今の視聴者は自ら楽しむ努力を怠りすぎると思う」と書いている。
そうだろうか? むしろ今はプロと一般人の距離が遠くなりすぎて、互いの感情にすれ違いがある、というべきではないだろうか。
黒板ネタ2。
やはり圧縮しすぎで読みづらいが、「SEGA再び世界一シナリオ」と書かれ、箇条書きが続いている。SEGA信者は世界中に分布し、彼らはSEGAゲームこそ至高のものと信じて疑わない。だが、念のために訂正しておくと、SEGAゲームが批評的、市場的、両面からいって世界一であった試しはない。SEGAゲームの質の良さは否定しないけど。
右画像の黒板には、「働く暇がない」なんて羨ましい書き込みがある。黒板の左側には、買う予定のアニメDVD。どこの貴族様でしょうか?
右画像の黒板には、絶望先生に寄せられるクレーム処理のマニュアルが羅列されている。圧縮しすぎて字が読めなくなってしまって申し訳ない。
圧縮しすぎで読みにくくなってしまったが、黒板にはこう書かれてある。
「師匠は電話にもメールにも出てくれません。着信拒否をなさっているようです。なのにあの言われようです」
普通に推測すれば、漫画家の畑健二郎による書き込みであろう。どうやら、「踏み台にされた」などの話は、久米田康治による一方的な意見であるかもしれない。
白いドラえもんもどきも、背景キャラクターとして定着しつつあるようだ。ここでは特に取り上げないが。
172話「三十年後の正解」より。
久藤准一の文庫本の表紙にさのすけ。
宿直室のテレビの上。このシーンでは同ポジでいくらか小ネタがある。あとでもう一度取り上げる。
左の回答者、SZBH作詞家康斉亭(T)のシャツにさのすけ。
右にドラえもんもどきがいるが、スルー。
右画像は、壁の張り紙の中にさのすけ。
左端から2番目の人物の帽子に、さのすけの顔。
音無芽留の部屋。ベッドの中にさのすけ。
その他、気になったもの
右の同ポジで繰り返し小ネタが語られた。ここの場面は、原作にない場面である。1回目。
交「ゴールデンなのにつまんない番組だな。アニメやればいいのに」
霧「正解」
そういえば、7時から8時の時間にアニメが消滅した。最後に残っていた『名探偵コナン』もいつの間にやらどこかに飛んでいってしまった。どのアニメも深夜に追い込まれた感じがする。実際、深夜アニメを見ていると気付くが、「これ、むしろ7時の時間帯で放送したほうがいいんじゃい」と思える作品はたくさんある。アニメは日本の代表すべき文化、なんて言っているが、今の状況が続けば、一部の限られた人による文化、知的財産になってしまう。
……いや、違うか。そういえば私は子供のころ、夕食時に私だけアニメを見るから別部屋に追い出されていたっけ。ゴールデンタイムでやっている、皆が面白いといういわゆるバラエティ番組などは、今も昔も面白いと思ったことは一度もない。でも、将来的な社交性を考えると、周りと同じハードルに下げて、同じものを見て同じ感想を持ったり、周囲と同じ考え方をする努力や才能が必要なのだろう。「みんなが面白いと思う」と「実際に面白い」は別種のものなのであり、社交性を重要視する日本人にとっては、前者の発想こそが重要なのだ。アニメははじめから一部の人のためのもの。深夜に追いやられて正解かも。
では2本目。
交「このおっちゃん千里の姉ちゃんに葬られられなかったっけ?」
霧「この人は三つ子の四男よ」
小芝居に登場する刑事を見て、交が一言。そんな設定は初耳だ。
別のシーンでの小ネタ。
まじるのゆう欝 その4
定額給付金、そして・・・
小森「交君は、定額給付金で何を買ったのかな」
交「DVD買ったぞ。」
小森「へえ、それは経済的にも業界的にも貢献になるね」
交「これだぞ」
しかし交の買ってきたのは、「ぼやきKATU」「怖い動画」「……SP(テレビの総集編らしい)」
小森「アニメDVDじゃないんだ。」
台詞のない書き込み部分に、
「いい大人がアニメ買わねーよ/高けーし」
「それを言っちゃあ…」
と続けられている。
一本目の小ネタと話は繋がるが、これが一般的な人の考えだろう。アニメより、もっと通俗的なテレビの総集編DVDを買うほうが普通の判断。確かにアニメDVDは高いし……。(売り上げが伸びれば、多少安くなる切っ掛けはあるのだけど)
久米田康治の仕事場風景。仕事から脱走する久米田康治。アシスタントの前田君が「久米田の野郎」という台詞を吐き捨てる。これは、原作にない台詞。おそらく、漫画家の赤松建の言葉だろう。
すでに定番になったエヴァンゲリオン風パロディ。キャラクターにあわせて、誕生日らしき日付が出てくる。が、すぐに「おや?」と思って確認。どうやら、担当声優の誕生日が書かれているようだ。もっとも、日付には間違いがあるようだ。あえて注釈を加えないが、気になった人はそれぞれで確認してみてほしい。アニメ中に提示された日付を一応列挙しておく。(うろペンと糸色倫の誕生日が同じとは?)
日塔奈美 3月31日
木津千里 1月20日
木村カエレ 2月5日
常月まとい 9月8日
小森霧 6月19日
久藤准一 6月14日
加賀愛 1月8日
臼井影郎 8月7日
木野国也 12月20日
うろペン 5月4日
青山 10月11日
芳賀 6月14日
関内・マリア・太郎 6月2日
一旧さん 10月11日
糸色望 1月18日
糸色倫 5月4日
補足:日塔奈美の誕生日は1月23日とされている(確定的な情報ではない)。もし記述にあるとおりの3月31日が誕生日だとすると、受験シーズンは終っているので不自然。新谷良子の誕生日が3月31日であるから、やはり声優の誕生日であろう。
ちなみに糸色望の誕生日は11月4日。木津千里は6月15日。小節あびる9月中旬頃(16日という推測あり)。臼井影郎12月24日。
さて、そろそろ第3期も終わりである。特に話題にならず、驚くような仕掛けもなく、あっという間に走り抜けた(抜けようとする)第3期。次は4期だ。アニメ中でも話題になりかけているが、果たしてどうだろう。例によって、DVDの売り上げ次第では、となるのだろうか。
絶望絵描き歌
左:高垣彩陽右:井上喜久子
これまでの流れがあるから、取り立てて解説することも驚くべきものもないと思う。
エンドカード
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