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■2016/03/28 (Mon)
第10章 クロースの軍団

前回を読む
16
 貴族達は会議室を出て、廊下を進む。が、角を曲がったところで足を止めて、ウァシオを取り囲んだ。

貴族
「ひどいじゃないか。命の危険はないと言ったのに! 私は死ぬのは嫌だぞ!」
貴族
「あの王は狂ってる! どうかしてるぞ!」
ウァシオ
「この腰抜けどもめ。甘えるな。殺される覚悟のないやつが政治などするな!」

 ウァシオの一喝で、貴族達はうろたえて、押し黙ってしまった。

貴族
「しかし我々はどうすれば……」
貴族
「そうだ。このまま兵を召集すれば、我々が今の今まで進めてきた計画は……」
ウァシオ
「従えばいいさ。ただし、わかっておろうな」
貴族
「も、もちろんだ。そちらこそわかっておるだろうな」
ウァシオ
「案ずるな。私は約束を守る男だ。王とは違う。計画がうまくいけば、いい暮らしをさせてやるぞ。さあもう行け。まだ計画が終わったわけではないぞ」

 ウァシオの命令に、貴族たちがぱたぱたと廊下を走っていった。

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■2016/03/27 (Sun)
第6章 フェイク

前回を読む

25
 窓の外は、もう車ばかりだった。高田の姿はもう見えない。
 ツグミはゆっくり頭をあげようとした。しかしモップ頭の青年が振り返って、頭を下げるように、と指示した。ツグミは頷いて、黒いシートの上で寝転がった。
 迂闊に外を覗き込んで、目撃されてはいけない状況なのだった。ツグミは寝転がって、黒のシートに頭を押しつける。ワゴン車の震動が直接体に伝わってくる。それにゴムの臭いが強烈に立ち上がってきて、不快だった。時々辺りを見回すけど、窓から見えるのはビル群の先端か、灰色の雲ばかりだった。
 ツグミは状況の確認を諦めて、膝を抱えて小さくうずくまった。
 後ろめたかった。計画通りに進んでいるけど、警察の人を裏切ったんだ、と思った。目の前で高田が転んだ光景が忘れられなかった。自分が突き飛ばしたような気がして、ひどい罪悪感に捕らわれてしまった。
 ツグミは胸の奥を何かに掴まれたようになって、泣き出しそうになった。
 でも、今は我慢しようと思った。鼻に腕を押し当てた。コルリを救い出すため。コルリを救い出すまで。それまで冷静でいようと決意を改めた。
 いつの間にか、ワゴン車は静かな通りへ入ったようだ。周囲を包んでいた車の気配は消えていた。どこかの敷地内に入っていくようだ。
 ツグミはどこだろう、と頭を上げた。工場だろうか。鉄屑が、あちこちに積み上げられていた。重機か何かの廃品がいくつも散乱していた。汚いところだった。
 ワゴン車はゴミゴミとした只中に、僅かな空間を見つけて駐めた。
 運転席の男とモップ頭の青年が車を降りた。ツグミも降りるのだろうと思って体を起こした。
 ハッチが開いた。開けたのはたぶん運転席の男だ。ツグミは初めて男の顔を見た。
 男は40過ぎといったところだろう。ざらついた肌が年齢をよく表している。目鼻立ちにこれといって特徴はないが、目が極端に薄目だった。ツグミは男が目を閉じているのかと思った。
 ツグミは杖を突いて、ワゴン車の後部へ向かった。男がちょっと手助けをしてくれて、ようやく車から降りる。
 男はワゴン車のナンバープレートを外し始めた。見ると、替えのナンバープレートをいくつか用意しているようだった。
 男の作業を見守っていると、ツグミにヘルメットが差し出された。振り返ると、モップ頭の青年が、ヘルメットを手に持っていた。モップ頭の青年はすでに作業着を脱いでいて、厚手の革のジャンパーを着て、手にはグローブが填められていた。
 モップ頭の青年の後ろに、バイクが1台置かれていた。ブルーを基調にしたネイキッドだ。
 ツグミはヘルメットを受け取った。モップ頭の青年がバイクの側へ向かう。ツグミはヘルメットを被りながら、青年の後に従いていった。首のところがうまく留められず、戸惑ってしまった。
 モップ頭の青年もヘルメットを被り、バイクに跨がった。バイクのキック・スターター・レバーを踏んで、「ブオォ!」と爆音を鳴らす。
 モップ頭の青年は、「乗れ」と言いたげにツグミを振り返った。
 ちょっと抵抗感があった。バイクに乗るのは初めてで恐いし、それに男の人と密着するのが恥ずかしかった。
 でも今は我慢。ツグミは呼吸を1つして決心すると、バイクの側へ向かった。しかしネイキッドのシートはツグミの腰より位置が高い。
 どうやって乗ればいいんだろう、とツグミはまごついた。バイクの右側に周り、右脚を軸にして、何とか左脚を上げてみる。
 モップ頭の青年は、乗りやすいようにバイクを右に傾けてくれた。ツグミは左脚をシートに引っ掛けて、次に飛び上がるようにして、ようやくバイクに跨がった。
 モップ頭の青年が、さらに「ブォォ」と爆音を鳴らす。ツグミは青年の背中を前にして、またまごついてしまった。
 今は我慢。我慢……。
 そう念じて、ツグミは青年の背中にぴったり体を付けて、腕を青年のお腹のところでしっかり結んだ。杖は邪魔にならないように、手首を内側に折り曲げた。
 青年の背中は、こうやって体を密着させると、思いのほか大きくて暖かかった。

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※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

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■2016/03/26 (Sat)
第10章 クロースの軍団

前回を読む
15
 会議室に、伝令の兵士が飛び込んだ。

兵士
「申し上げます。セルタの砦に6万の異教徒の軍団が迫っております。現在、オーク様を中心とする部隊が戦っております。夷狄の軍団は我らの国を欲しています。セルタの砦が全力で進行を阻止しておりますが、多勢に無勢。至急、軍団の召集を」

 だが貴族達は、ぴくりとも反応を見せなかった。

セシル
「お聞きの通りだ。いま事実として戦争は起きている。戦士達が命がけで戦っている。今すぐに貴辺らが抱えている兵団を召集してもらおう。この国を守るために」
ラスリン
「しかしセシル殿、やはりあの伝令は聞き届けられませんな」
セシル
「何?」
貴族
「そうとも。第1にあの報告は本物か? 本当に戦闘の様子を見てきた者の報告かどうか、我々にはちょっと判断できかねますな。それにあの伝令……もしや王が用意した偽物ではないかね。本物はもうちょっともっともらしいと思うのですがねぇ」
貴族
「そうだ。王が戦争したいがために、嘘の報告を用意した可能性だって捨てきれない」
セシル
「おのれ貴様ら。この期に及んでたわけたことを……。今は事実かどうかを議論している場合ではないわ」
ラスリン
「王よ、勘違いなさっては困る。我々は民の命こそ第一に考えておるのです。私たちは、本当に民を愛しているのです。それを、戦争好きの王の妄想で、むざむざ危険にさらすのはおかしいと言っておるのです。それこそ、執政の役目に反するものでございます。王のしようとしていることは、結局は国内に混乱を持ち込み、徒に民の命を弄んでいるだけ。これを暴君の所行といわず、なんと言いましょうか」
セシル
「どいつもこいつも、この腰抜けどもめ……そこまで戦争から目を背けたいか。貴様らは国の危機に対して、下らん詮議を続け、徒に事態を悪化させたいのか!」
貴族
「貴公こそ愚か者の執政だ。その考えが、民を破滅に導いているというのがなぜわからんか」
セシル
「現状を見よ。現実を見よ。今どこで何が起きているのか。今まさにセルタの砦で戦が起きているのだ。間もなくこの城にも侵略者の手が及ぶだろう。こんな時に話し合いなどしておる場合か!」
貴族
「だからそれが王の妄想の産物だと言っておるのだ。王は早々に医師の診断を受けるべきですな。ドルイドのインチキまじないではなくな」
貴族
「この無能の王め! この国から出て行け! この国は我々のものだ! 無能の王は出て行け!」
セシル
「おのれ……」

 セシルに抑えがたい怒りが襲った。セシルは暴言を吐いた貴族を掴み、ナイフでその首を掻き切った。
 会議室が騒然とした。切られた貴族は、テーブルの上に倒れのたうった。喉と口から血を吐きながら、最後に空気を求めるように手を伸ばし、絶命した。

貴族
「狂ってる! 狂っているぞこの王は!」
貴族
「暴君め、本性を見せたな!」

 貴族達が大騒ぎではやしたてる。セシルは茫然と、罵声を浴びていた。
 沈黙を守っていたウァシオが席を立った。貴族達が自然に声を抑えた。

ウァシオ
「ついにやったな。裁判を受ける覚悟はできておるだろうな」
セシル
「罰なら謹んで受けよう。だが私は王だ。私の命に従え! 従わぬ者は順番に殺す。行け! 行って兵を集めよ!」

 しかし貴族の誰も応じなかった。

ウァシオ
「セシル王よ、そんなに戦がやりたいか。ならば王の妄想に従ってやろうではないか。なあ、みんな。余興だ。軍団を集めてやろうじゃないか。もしかしたら、本当に侵略者とやらが来ているかもしれんからな」

 貴族達が笑った。笑って、会議室を退出していった。

ウァシオ
「セシル王は休養でも取るんだな。貧相な顔がより暗くなっておるぞ。さて、私も仕事があるから、失礼するよ」

 ウァシオが会議室を去って行った。
 セシルは深く深呼吸をして、気分を鎮めた。血の付いたナイフを、腰に戻す。1つだけ備えられた窓を見上げた。いよいよ白く霞みはじめていた。夜明けだ。

兵士
「セシル様」
セシル
「軍団の召集には早くても2日かかる。私も行かねば……」

 セシルは会議室を退出した。

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■2016/03/25 (Fri)
第6章 フェイク

前回を読む

24
 左手に少し開けた脇道が出た。やはり脇道だったが、さっきの場所よりはるかに広い路地だった。
 その路地に、白いワゴン車が1台、停まっていた。こちらに背を向けて、観音開きの後部ハッチを開けたままにしていた。
 白いワゴン車の側に、男が立っていた。白い作業着を着ていて誰だろうと思ったけど、モップ頭の青年だった。岡田書店でレジ打ちをやっているバイトの人だ。
 モップ頭が、ツグミを振り向いて手招きをした。
 ツグミは少し戸惑うが、小さく頷いてワゴン車に向かおうとした。しかし視線を感じて振り返る。
 まさか、とツグミは振り返った。路地裏の入口に高田が立っていて、覗き込もうとしていた。あの強烈な三白眼が魔力を帯びて、ツグミを振り向かせたのだ。ツグミが振り向いたせいで、目が合ってしまった。高田が「あっ!」という顔をした。
「ツグミさん、待ちなさい!」
 高田は怒鳴りながら、路地裏に飛び込んできた。
 ツグミは高田を無視して、白いワゴン車を目指して杖を突いた。
 モップ頭の青年がツグミを待っていられず、向かってきた。モップ頭の青年はツグミの体を抱き上げて、丁寧とはいえないやり方でツグミをワゴン車の中に放り込んだ。
 ツグミは投げ込まれた勢いで、車の奥へ転がった。体のどこかをすりむいて、ヒリヒリした。モップ頭の青年が後部ハッチを閉めた。バタンッという音が、耳の奥につんっときた。
 すぐに車がスタートした。走り始めてから、モップ頭の青年が助手席に飛び込む。
 揺れが激しかった。ツグミは振り飛ばされないように、地面に這いつくばった。
 ワゴン車はすぐに停まった。ツグミは頭を上げて、運転席側を見た。
 ワゴン車は後部座席が取り払われて、空きスペースになっていた。黒いゴムのようなシートが貼られていて、隅に雑誌がいくつか束になって置かれていた。何の雑誌なのかはあえて見なかった。
 ワゴン車は路地を出ようとするところだった。アーケードが左手にあり、右手に車道があった。通行人に遮られて、なかなか進み出せない状態だった。
 ツグミは後部ハッチの窓を覗き込んだ。高田が細い路地を潜り抜けたところだった。あのパリッとしたグレーのスーツが、あちこち泥で黒くしていた。
 高田はワゴン車が停まっているのを見て、走り出した。
「停まりなさい! 停まりなさい!」
 高田が叫びながら走る。俊足だった。もの凄い速さで、ワゴン車に接近する。
 ツグミは焦った。運転席を振り返った。
 運転手がクラクションを鳴らす。ようやく人に途切れ目ができて、車が進み出した。
 ツグミはもう一度、後部ハッチを振り返る。
 高田がハッチを掴もうと、手を伸ばしていた。
 一瞬早く、車が加速した。
 あとちょっとの差で、高田の指先はハッチに届かなかった。高田は飛びつこうとした勢いで、転んでしまった。
「高田さん、ごめんなさぁい!」
 ツグミは思い切り、声を張り上げた。
 ワゴン車が方向を変えた。ツグミは自分の体を支えきれず、振り回されてしまった。車の壁に頭をぶつける。結構痛くて、しばらくうずくまってしまった。

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■2016/03/24 (Thu)
第10章 クロースの軍団

前回を読む
14
 ソフィーが召使い達に命じて、鎖帷子を身につけるのを手伝わせていた。
 知らせを受けたローザが、部屋に入っていく。

ローザ
「ソフィー! 行くの?」
ソフィー
「あの方が戦っています。待っているわけにはいきません。私もあの人の側で戦います」
ローザ
「でもソフィー。あなたはまだ動ける状態じゃないのよ。それに魔力が……」
ソフィー
「わかっています。でも行かなければなりません」
ローザ
「……そう。それじゃ、あの人の側にいてあげてね。私にはできないから」
ソフィー
「はい」

 ローザがソフィーを抱擁した。

ソフィー
「……ローザ様?」
ローザ
「なんだか、もうあなたには逢えないような気がして……」

 ローザは肩を震わせて泣いていた。

ソフィー
「必ず戻ります。平和を勝ち得たら、お茶でも飲みながらゆっくりお話しましょう。ね?」
ローザ
「はい」

 ソフィーは鎖帷子の上にローブを羽織り、部屋を出た。
 そこに、カインが待ち受けていた。

カイン
「僕も戦います」
ソフィー
「あなたには城を守るという大きな役目があります。父君の側にいてあげてください」
カイン
「でも……」
ソフィー
「お父さんを1人にしてはいけません。あなたが支えてあげてください」
カイン
「……はい」

 カインはソフィーの前で膝をついて、見送った。
 ソフィーが杖を手に、城を出る。用意させていた馬に跨がった。
 するとその様子を見ていた兵士達が駆け寄ってきた。

兵士
「ソフィー様、どこへ行かれる」
ソフィー
「セルタの砦へ。救援に向かいます」
兵士
「何と。……ならばそれがしもお供します。道中、あなたを守るために」
兵士
「ならば私も。ソフィー様を守らなければなりません」
兵士
「私もだ! ソフィー様のためなら、どこまでも従いていこう!」

 兵士達が次々と名乗り出ると、武器を持ち、馬に乗った。
 ソフィーはゆっくりと城の前の坂道を降りていく。兵士達はソフィーの姿を見ると、我も我もと付き従った。城下町に出る頃には、その数は1つの軍団というほどになっていた。
 ドルイドの乙女を中心にした行列は、神秘的な気風を漂わせ、街道を行く人達は彼らのために道を空けた。人々がドルイドの乙女に頭を下げる。
 ソフィーは大門の前までやってきた。大門はいまだに封殺された状態で、兵士と村人達が言い争いをしていた。だがその騒動も、ソフィーが近付くと、自然にみんな押し黙り、彼女のために場所を空けた。

ソフィー
「この者達を城に入れなさい。民の無事こそ王の望みです」

 その声には凜として、聖母のぬくもりが漂っていた。
 即座に門が開かれた。ソフィー達の隊列が大門を潜り抜けていった。村人達はソフィーに感謝を込めて、頭を下げて見送った。

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