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■2013/04/07 (Sun)
ツイッターまとめ■
1・国立メディア芸術総合センター
まずはじめに、国立メディア芸術総合センターについての話から始めたい。といっても、何のことだがわからない人が殆どだろう。むしろ、「国営漫画喫茶」あるいは「アニメの殿堂」といった俗称の方に親しみ感じる人が多いだろう。「アニメの殿堂」と聞けば、「ああ、あったなそういうの。当時の野党の誰かが批判してたよな」と思い出してくれるだろうと思う(その誰かとは、間もなく総理の座につくことになる鳩山由紀夫である)。
国立メディア芸術総合センターは2007年(平成19年)に構想され、その内容は日本のメディアアートを芸術品として収集・保存・修復した後に展示公開するための施設である。この施設ではコンテンツの保存と研究調査を始めとして、海外からの集客を狙い入館料による利益を出し、かつ人材育成というテーマも同時に抱えていた。構成委員には漫画やアニメ関係者が多く名前を連ねていることに注目して欲しい。日本アニメーター・演出協会などの団体も関わっていたようだ
詳しい概要についてはリンクを貼り付けておくので、そこから情報を得て欲しい。
Wikipedia:国立メディア芸術総合センター
Wikipediaに基本的な概要が書いている。
国民が知らない反日の実態:国立メディア芸術総合センターの真実
調べている過程で発見したブログ。話の途中から「中国の陰謀」なんかが出てきてやや飛躍した感じだが(ソースが2ちゃんねるの書き込みだし)、要点がまとめられているし、取り上げている動画には注目に値する。
こちらの動画はニコニコ生放送で広告担当者に「国立メディア芸術総合センターとは何か?」をインタビューしたもので、わかりやすく要約されている。少し長い動画だがこちらはぜひ再生してほしい。
内容を聞いてわかるように、テレビや新聞で見聞きした内容とはだいぶ違ったものであるということがわかるだろう。広報担当者ははっきりと、「アニメーターの劣悪な賃金体制の是正」をテーマに掲げている。作品発表や公開も、あるいは世界への発信も国立メディア芸術総合センターが中心地になって行っていくという構想もあり、そこからアニメコンテンツへの宣伝販売へと繋げ、そこで得た利益を業界の収益に還元する構想だったようだ。民間経営だから収益は絶対的に必要だし、背景に業界の命運も背負うから果然収益や集客へのこだわりも生まれただろう。立地の良さもあったので、「私のしごと館」のようにはならないはずだった(「私のしごと館のようになる!」という意見も見つけたので一応)。
海外ではすでに様々な動きが始まっている。2分40秒当たりから中国では900億円という巨額を出資しアニメ産業発展基地を作ろうという構想をはじめ、すでに起工式は終わっている、という話も出てくる。中国のアニメと言えば「どうせパクリでしょ?」と軽んじる人は多いが、国がそれだけ支援をして人材育成・技術開発に乗り出すのである。そのうちにもオリジナルを制作できる人材は生まれてくるだろうし、技術面などは日本のアニメから充分に学んだ後だから、それを乗り越えていくくらい難しいことではないだろう。それでも軽んじるというような人は、『ウサギとカメ』の寓話の意味をよく考えて欲しい。
未確認情報だが、フランスではすでに日本の漫画・アニメを専門とするミュージアムが作られ、コレクションの収集を始めていると聞く。
この話を聞いて、真っ先に思い出したのが浮世絵だった。浮世絵の美術的価値について日本が気付いた時にはもう遅かった。重要なコレクションのほとんどは海外に渡った後だった。日本の美術館が浮世絵の企画展示をしようと思ったら、ほとんど海外からレンタルしなくてはならなくなった。
『葛飾北斎展 提供:大英博物館』
本当にこういうのがあるから、笑えない事態だ。
日本発の文化で日本を代表する美術品なのに、日本には“それそのもの”がない。これは日本人として恥ずべき状態である。
漫画やアニメも同じ末路をなぞりそうである。漫画の歴史は確かに浅いが、戦前の資料などになると入手困難だし、ただちに修復が必要な状態なものもある。戦後の漫画業界は混沌としていたし、コンテンツ保護の発想もなかなか生まれなかったから、原稿が存在しない漫画も多くある。漫画家自身も原稿を出版社に提出したまま、それきりで手元に置いて保存しようという人も少なかった(最初に「原稿を返してください」と出版社に言ったのは白土三平だという話がある)。漫画家の生活はしばしば困窮することがあり、自ら原稿をオークションにかけて手放す人もいる。
アニメとなるとさらに難しい。セル画はすぐに劣化するので保存が非常に難しい。それにかさばるので、保存していない制作会社は多い。それから……中古販売店に流して小遣いにしている業界人もいるようだ。
宮崎駿は『風の谷のナウシカ』の制作した後、元素材(フィルム)を捨てよう、と言ったそうだ。これはプロデューサーの鈴木敏夫が全力阻止したが、それくらい業界人もコンテンツ保護について無頓着だった。
手遅れになる前に、保存すべき文化はあるのだ。アーティスト気取りで「国が文化を管理するな」と意見する人は多いが、上に掲げた動画にあるように、作品制作について政府が意見する意図はない。ただ保存と管理、修復だけを担う。
過去に積み上げたものは大切である。これを振り返り、研究し解釈を加えることは、ひいては未来を作る上で重要な下準備になる。もしも朽ちるままに任せておけば、研究の機会を失ってしまう。若い世代が過去の作品を学べない状態のままにしていたら、一世代で絶える文化になってしまうだろう。それを阻止するために、文化の積み上げを保存し、過去の地層を閲覧できる状態を作っておこう、というのが国立メディア芸術総合センターの構想の骨子である。
しかし、確かに国立メディア芸術総合センターは拙速であった。
背景にあったのは2008年のリーマン・ショックだ。日本はすでに長いデフレ状態にあり、この金融恐慌の後、さらに深刻なデフレ不況に突っ込む恐れがほぼ確定していた。
時の総理であった麻生太郎は、ただちに経済対策を打つ必要があった。その一環として国立メディア芸術総合センターが掲げられたのだ。中身をどうするのか、の議論はまだ完了していない状態だった。一瞬だけ計画に関わった竹熊健太郎氏は「中身のないただのハコだった」と一蹴している。実際にまだ充分に構想が練られておらず、事業の計画だけを早めてしまったようだ。
「腐ってやがる。早すぎたんだ」……というやつだ。
国立メディア芸術総合センターは当時、新聞・テレビなどのメディアが中心となって、まさに国を挙げてといった状態で批判と非難が集中した。国立メディア芸術総合センターを通して、麻生太郎を叩くための格好の材料になっていたのだ。
実際には、新聞・テレビが流した情報にはかなりのバイアスがあったようだ。今回、大雑把にでも調べたが、「新しい天下りの設置(民間企業だしすでに渡りは禁止されていた)」とか「血税の無駄遣い(景気対策だし収益に見込みはあった)」とか「アニメ業界には全く利益がない。業界無視(上に掲げた動画を見よ)」とか、設置場所が秋葉原とかそういう初歩的な勘違いとかもあり(設置場所はお台場)、実際の委員会が掲げていた目標や構想が、ほとんど全く、というくらいに伝わっていなかったことがわかる。結局、みんな民主党とテレビに騙され、流されてしまっていたのだ。(国立メディア芸術総合センターについて調べようと検索したら、上に挙げたような勘違いして書いたニュース記事やブログ記事が大量に出てきた。本当にまったく伝わってなかったんだな、とここで理解できた)
2009年、政権が交代し、批判の中心に立っていた鳩山由紀夫自身で国立メディア芸術総合センターは完全廃止。国立メディア芸術総合センターは人々の記憶から姿を消し、国家の記録からも抹消され、完全に姿を消した。
私は今でも必要な施設だと思っている。
2・クールジャパン
2010年(平成22年)経済産業省内に「クール・ジャパン室」なるものが設置された。あの「国立メディア芸術総合センター」の構想は、形を変えながら受け継がれたのか、と感心しながら見ていた。……が、この画像を見てその期待は一蹴された。
AKB48!
しかも民間議員の代表として立っているのは秋元康と茂木健一郎の2人である。(クールジャパン官民有識者会議:メンバーリスト)
クールジャパンは何かおかしい。国立メディア芸術総合センターとははっきりと違う。何かがかけ間違えている、この時そんな予感がしたのである。
詳しく概要を確かめてみて、クールジャパンは国立メディア芸術総合センターとはまったく内容の違うものであると理解した。委員会の中に漫画・アニメの関係者の名前が一人もない。議事録のいくつかも見たが、漫画やアニメという言葉はほぼ全くというくらいに出てこない。「コスプレ」という単語が発言者の中からしばしば出てくるが、話の全体から言葉が浮いている感じで、文脈としての必要性を感じない。いかにも知らない人がおずおずと「何か若い人の中で流行っているらしい」という感じのする扱い方である。
クールジャパン官民有識者会議:第13回議事録(PDF) 適当なやつを一つどうぞ。
そもそもクールジャパンは質的に国立メディア芸術総合センターと全く趣旨の異なるものだった。第一に「文化の保存」というテーマが抜け落ちている。国立メディア芸術総合センターには文化を保存し、集客して利益を出す、という一貫した流れがあったが、クールジャパンが目指しているのはあくまでも「紹介のみ」である。技術を持った人や作品を海外に連れて行き、散発的にイベントを催して文化の宣伝をしようというのが目論見である。クールジャパンは現在形における構想であり、国立メディア芸術総合センターは過去形における構想である……これくらいの違いがある。
ついでに言うと、漫画やアニメはクールジャパンのプロジェクトの中には入っていない。いくつかの資料を見たが、漫画やアニメといった記述は“時々”見られたが、ほとんどの資料で記述すらなかった(にも関わらず、初音ミクはほとんどの資料に載っている不思議)。(→クールジャパン官民有識者会議提言概要(PDF))
ネットではクールジャパンで日本の漫画やアニメが紹介されると思っている人は多いが、そういう企画ではない。構成委員に漫画・アニメ業界の人は一人もおらず、議事録にアニメという語すら出てこない。クールジャパンが指向しているのは日本の文化そのもので(建築や食事、技術、伝統芸能等々)、そのリストの中からアニメは完全に抜け落ちている。
それから、これは大きく書かなくてはならない部分だが、クールジャパンは官民一体のプロジェクトである。国立メディア芸術総合センターは設置後は民間運営に移行して収益を出す計画だったが、クールジャパンは政府が常に横に貼り付いている、ということを忘れてはならない。
しかしこのプロジェクトに薄ら寒いものを感じさせるのは、筆頭に秋元康の名前が掲載されていることである(座長は福原義春、座長代理は松岡正剛。秋元康は民間人の代表)。ひょっとしてクールジャパンを利用して、AKB48の海外戦略の足がかりにしようとしているのではないか……そんな恐れすら感じさせ、実際にAKB48のラッピングカーを海外で走らせて疑いの余地なしの現実がすでに起きている。
話は変わるが、このごろ電通がアニメに入れ込んでいる。
マイナビニュース:電通がオタクに熱視線「オタクがラブなもの研究所」を発足
アニメファンがどういうものを好むのか、傾向を調査し、この中で「美オタク」なる謎の用語を作ってカテゴライズを増やしている。
電通は何をするつもりなのか? 何を目的で調査を始めたのか?
当然、何かしらの商売をするつもりだろう。広告会社が商売目的以外で調査をするはずがない。電通は近いうちに、アニメを利用して何か仕掛けるつもりだろう。具体的には電通主導による作品を、もっといえば宣伝過剰なイベント中心のアニメーションが作られるだろう。
少し電通主導のアニメがどんなものになるか想像してみよう。
まず作品本意主義は失われるだろう。売れっ子声優は主人公相当を演じられるが、声優のイメージを崩さないために原作の脚本が書き換えられる。あるいは、人気声優を突っ込みたいがために原作に登場しないキャラクターが追加される。その声優には専業声優ではなく、やはり電通が売り込みたいアイドルがどんどん起用される(剛力彩芽とか)。そういった話題性が中心、社会を巻き込んで派手な宣伝戦略を展開するが、中身が画一的でいまいちなものになる。
宣伝会社がアニメファンの動向を調査しているのだから、その調査通りの内容のものが作られるだろう。「アニメファンはこれこれこういうものを好むから、そういうものを一点集中で制作し続けましょう」と。作家的な視点は軽視され、ビジネス的視点だけで企画が運営され作品が制作される。もしもそこに新しいストーリーのタイプや新しいビジネスの可能性があっても、「それは市場調査にはないから」と切り離される。実際いま音楽の業界では切り離され、電通が売り込みたい人だけが(たった一つの成功法を繰り返しつつ)過剰にメディアに押し出される状態になっている。
確かに現段階においても、業界は似たり寄ったりなものを作っているが、時々際立ったものがその中からぽっと出てきてしまうのは、ある種の“緩さ”のようなものがあるからだ。その時々で、監督やプロデューサーの「これがやりたい!」という思いつきと情熱で現場が突き動かされるから、そういう意外性が突然変異のごとく飛び出すのだ。電通が関われば、そうしたパッションは真っ先に失われるだろう。実際、音楽の業界はすでに死んだ。
とここまでは想像に過ぎないが、電通が関わればそうなるし、すでに予兆が見え始めている。そうなれば、おそらくアニメのユーザーは飛躍的に増えるだろうと思う。何せ電通には相応の実績がある。人を動かすのはうまい。しかしその電通が呼び込んだアニメファンの中に、純粋なアニメ好きはいなくなるだろう。電通が呼び込んだアニメファンは、残念ながら広告に踊らされて一時の気分の高揚で集まるだけで、そのあと一気に流され、何も残さないだろう。「ただその時の気分で見ているだけ」といった人達が中心になり、電通はアニメファンの意識を育てようとは思わない。そういう高い意識を持ったアニメファンは、アニメから去っていき、その後、残り滓のような作品らしきものを見て、ただ言葉なくアニメという文化が死んだことを理解するだろう。音楽の業界がすでにそうなったのだし、電通はどうやら今度はアニメを標的にして同じことを繰り返すつもりのようだ。AKB48のユーザーは推定6万人、この固定された6万人からいかに繰り返しお金を搾り取るか、そういうやり方が業界の命題になりそうだ。
その時には、私も日本のアニメを見捨てるかも知れない。いや、見るべきものがなくなり、結果として見捨てるしかなくなるかも知れない。
アニメはこの頃、妙に注目され、それなりに利益を出す商売として際どく確立し始め、なぜか一般層にも緩やかに広がり始めている。電通が目を付けるのは当然の流れだ。電通が加われば業界は急激に収益を上げるだろうが、その後おそらく何も残らない。ユーザーが残らず、文化も残らず、業界は流されてやってきたユーザーの頭に合わせて、中身のないスカスカな作品を作らざるを得なくなる。
アニメの業界がこの流れに反抗することはできない。アニメは宿命的に下請け。自立できるのは東映とジブリだけ。相応のお金を渡されたら拒絶できないし、お金を受け取ったらクライアントの指示通りのものを作らなくてはならなくなる。アニメ業界の力はそれくらい弱いのだ。
そうなったら、どうすればいいのか? 我々は見ているだけか? いや違うだろう。そんな時に“異議あり”を示せるのは我々だ。“みんなの力”が頼りなのだ。すでに電通は動き始めている。もしも電通が今以上に具体的な意味でアニメの現場と制作に手を加えてきたら……その時はこれを読んでいる“みんなの力”頼みなのだ、ということを忘れないで欲しい。
長い脱線になったが、クールジャパンの話に戻ってこよう。クールジャパンの関係者に電通の名前は出てこないが、AKB48が過剰に前面に押し出されているのを見ると、どこかで電通が関わっているのではないか、と穿った見方をしてしまうのだ。
電通といえば、ちょっと前から初音ミクに注目している。イベントの開催にも電通が関わっているようだ。この頃、色んなメディアでやたら初音ミクを見かけるようになったのは、電通が関わるようになったからだ。それで、クールジャパンの資料のいくつかを見たが、漫画やアニメは文言すらない場合があるのに対して、全ての資料に初音ミクが載っているのだ。漫画やアニメが計画から外されているのに、なぜ初音ミクだけ? 何か奇妙な感じすら受けてしまう。
まだ確たる根拠は見出せないが、クールジャパンの背後には電通が関わっているのではないか。クールジャパンという国家プロジェクトを利用して、電通が特定人物を海外に売り込みたい時のための足がかりとして利用されているのではないか……。
もちろん全て私の空想だ。秋元康とAKB48の二つがクールジャパンの先頭に立っているのを見て、ここまでの空想を組み立てた、というだけの話だ。空想の話だから、早とちりな判断はしないようにお願いしたい。
最後に、クールジャパンというプロジェクトそのものは肯定したい。プロジェクトから漫画とアニメ、それからゲーム、映画は完全に外されたが(委員会リストにも業界関係者がいない)、日本の文化そのものを発信し、関心を持ってもらおうという試み自体は批判すべきものではない。
クールジャパンがピックアップする文化とは、料理や衣装、建築、それから文学、武道、茶道といった思想的精神的なものまで含まれている。これらを海外に宣伝し、そこから利益を出そうという考えは正しい。
ただ、その背後に何かしらの不穏当な影があるのではないか、という漠たる違和感だけをここに書いておきたかった。
それから、やはり文化の蓄積し研究するための機関はやはり必要だ、と最後に書いておこう。
※ この記事は私が個人的にツイッターで書いたものをまとめたものです。
■ツイッター 999toratugumi
■フェイスブック ツイッターの内容が部分的にまとめられています。ブログでまとめられたのは以下の投稿記事(アカウントが必要です)
4月4日 電通がアニメ市場の調査を始めている……
4月5日 「黒執事」の主演に剛力彩芽が抜擢された……
4月5日 電通がアニメファンの傾向を調査し始めている……
◇追加 4月23日 わりと最近クールジャパンに関する見解をブログに……
資料
日本アニメーター・演出協会 ……国立メディア芸術総合センターに協力していた団体
Wikipedia:クールジャパン
経済産業省:クールジャパン/クリエイティブ産業政策
まとめサイト:AKB48が税金を使って海外で宣伝をやっていると物議
ライブドアニュース:AKB48が税金を使って海外で宣伝をやっていると物議(ソース)
まとめサイト:秋元康「日本中の優秀なクリエイターに無報酬で協力してもらおう」
ニコニコニュース:クールジャパン「無報酬」の次は「掲載料負担5万円」?イラストレーターに送られてきたメールの内容がTwitterで話題に ……これはクールジャパンを騙った詐欺ではなく、本家がやっている。
インサイド:「クールジャパン」推進に500億円 税金でクールな文化が作れるのか
ここには載せなかったが、国立メディア芸術総合センターは公なメディアが否定的に、あるいは公なメディアが取り上げた有名人ほど批判的・否定的な意見が発せられた(しかも明らかに間違った情報に基づいて)のに対して、クールジャパンは公なメディアほどやや肯定的な意見が発せられている。が、一般的な人のブログやTwitterではクールジャパンに対して否定的な意見が出始めている、という特徴が見られる。
まずはじめに、国立メディア芸術総合センターについての話から始めたい。といっても、何のことだがわからない人が殆どだろう。むしろ、「国営漫画喫茶」あるいは「アニメの殿堂」といった俗称の方に親しみ感じる人が多いだろう。「アニメの殿堂」と聞けば、「ああ、あったなそういうの。当時の野党の誰かが批判してたよな」と思い出してくれるだろうと思う(その誰かとは、間もなく総理の座につくことになる鳩山由紀夫である)。
国立メディア芸術総合センターは2007年(平成19年)に構想され、その内容は日本のメディアアートを芸術品として収集・保存・修復した後に展示公開するための施設である。この施設ではコンテンツの保存と研究調査を始めとして、海外からの集客を狙い入館料による利益を出し、かつ人材育成というテーマも同時に抱えていた。構成委員には漫画やアニメ関係者が多く名前を連ねていることに注目して欲しい。日本アニメーター・演出協会などの団体も関わっていたようだ
詳しい概要についてはリンクを貼り付けておくので、そこから情報を得て欲しい。
Wikipedia:国立メディア芸術総合センター
Wikipediaに基本的な概要が書いている。
国民が知らない反日の実態:国立メディア芸術総合センターの真実
調べている過程で発見したブログ。話の途中から「中国の陰謀」なんかが出てきてやや飛躍した感じだが(ソースが2ちゃんねるの書き込みだし)、要点がまとめられているし、取り上げている動画には注目に値する。
内容を聞いてわかるように、テレビや新聞で見聞きした内容とはだいぶ違ったものであるということがわかるだろう。広報担当者ははっきりと、「アニメーターの劣悪な賃金体制の是正」をテーマに掲げている。作品発表や公開も、あるいは世界への発信も国立メディア芸術総合センターが中心地になって行っていくという構想もあり、そこからアニメコンテンツへの宣伝販売へと繋げ、そこで得た利益を業界の収益に還元する構想だったようだ。民間経営だから収益は絶対的に必要だし、背景に業界の命運も背負うから果然収益や集客へのこだわりも生まれただろう。立地の良さもあったので、「私のしごと館」のようにはならないはずだった(「私のしごと館のようになる!」という意見も見つけたので一応)。
海外ではすでに様々な動きが始まっている。2分40秒当たりから中国では900億円という巨額を出資しアニメ産業発展基地を作ろうという構想をはじめ、すでに起工式は終わっている、という話も出てくる。中国のアニメと言えば「どうせパクリでしょ?」と軽んじる人は多いが、国がそれだけ支援をして人材育成・技術開発に乗り出すのである。そのうちにもオリジナルを制作できる人材は生まれてくるだろうし、技術面などは日本のアニメから充分に学んだ後だから、それを乗り越えていくくらい難しいことではないだろう。それでも軽んじるというような人は、『ウサギとカメ』の寓話の意味をよく考えて欲しい。
未確認情報だが、フランスではすでに日本の漫画・アニメを専門とするミュージアムが作られ、コレクションの収集を始めていると聞く。
この話を聞いて、真っ先に思い出したのが浮世絵だった。浮世絵の美術的価値について日本が気付いた時にはもう遅かった。重要なコレクションのほとんどは海外に渡った後だった。日本の美術館が浮世絵の企画展示をしようと思ったら、ほとんど海外からレンタルしなくてはならなくなった。
『葛飾北斎展 提供:大英博物館』
本当にこういうのがあるから、笑えない事態だ。
日本発の文化で日本を代表する美術品なのに、日本には“それそのもの”がない。これは日本人として恥ずべき状態である。
漫画やアニメも同じ末路をなぞりそうである。漫画の歴史は確かに浅いが、戦前の資料などになると入手困難だし、ただちに修復が必要な状態なものもある。戦後の漫画業界は混沌としていたし、コンテンツ保護の発想もなかなか生まれなかったから、原稿が存在しない漫画も多くある。漫画家自身も原稿を出版社に提出したまま、それきりで手元に置いて保存しようという人も少なかった(最初に「原稿を返してください」と出版社に言ったのは白土三平だという話がある)。漫画家の生活はしばしば困窮することがあり、自ら原稿をオークションにかけて手放す人もいる。
アニメとなるとさらに難しい。セル画はすぐに劣化するので保存が非常に難しい。それにかさばるので、保存していない制作会社は多い。それから……中古販売店に流して小遣いにしている業界人もいるようだ。
宮崎駿は『風の谷のナウシカ』の制作した後、元素材(フィルム)を捨てよう、と言ったそうだ。これはプロデューサーの鈴木敏夫が全力阻止したが、それくらい業界人もコンテンツ保護について無頓着だった。
手遅れになる前に、保存すべき文化はあるのだ。アーティスト気取りで「国が文化を管理するな」と意見する人は多いが、上に掲げた動画にあるように、作品制作について政府が意見する意図はない。ただ保存と管理、修復だけを担う。
過去に積み上げたものは大切である。これを振り返り、研究し解釈を加えることは、ひいては未来を作る上で重要な下準備になる。もしも朽ちるままに任せておけば、研究の機会を失ってしまう。若い世代が過去の作品を学べない状態のままにしていたら、一世代で絶える文化になってしまうだろう。それを阻止するために、文化の積み上げを保存し、過去の地層を閲覧できる状態を作っておこう、というのが国立メディア芸術総合センターの構想の骨子である。
しかし、確かに国立メディア芸術総合センターは拙速であった。
背景にあったのは2008年のリーマン・ショックだ。日本はすでに長いデフレ状態にあり、この金融恐慌の後、さらに深刻なデフレ不況に突っ込む恐れがほぼ確定していた。
時の総理であった麻生太郎は、ただちに経済対策を打つ必要があった。その一環として国立メディア芸術総合センターが掲げられたのだ。中身をどうするのか、の議論はまだ完了していない状態だった。一瞬だけ計画に関わった竹熊健太郎氏は「中身のないただのハコだった」と一蹴している。実際にまだ充分に構想が練られておらず、事業の計画だけを早めてしまったようだ。
「腐ってやがる。早すぎたんだ」……というやつだ。
国立メディア芸術総合センターは当時、新聞・テレビなどのメディアが中心となって、まさに国を挙げてといった状態で批判と非難が集中した。国立メディア芸術総合センターを通して、麻生太郎を叩くための格好の材料になっていたのだ。
実際には、新聞・テレビが流した情報にはかなりのバイアスがあったようだ。今回、大雑把にでも調べたが、「新しい天下りの設置(民間企業だしすでに渡りは禁止されていた)」とか「血税の無駄遣い(景気対策だし収益に見込みはあった)」とか「アニメ業界には全く利益がない。業界無視(上に掲げた動画を見よ)」とか、設置場所が秋葉原とかそういう初歩的な勘違いとかもあり(設置場所はお台場)、実際の委員会が掲げていた目標や構想が、ほとんど全く、というくらいに伝わっていなかったことがわかる。結局、みんな民主党とテレビに騙され、流されてしまっていたのだ。(国立メディア芸術総合センターについて調べようと検索したら、上に挙げたような勘違いして書いたニュース記事やブログ記事が大量に出てきた。本当にまったく伝わってなかったんだな、とここで理解できた)
2009年、政権が交代し、批判の中心に立っていた鳩山由紀夫自身で国立メディア芸術総合センターは完全廃止。国立メディア芸術総合センターは人々の記憶から姿を消し、国家の記録からも抹消され、完全に姿を消した。
私は今でも必要な施設だと思っている。
2・クールジャパン
2010年(平成22年)経済産業省内に「クール・ジャパン室」なるものが設置された。あの「国立メディア芸術総合センター」の構想は、形を変えながら受け継がれたのか、と感心しながら見ていた。……が、この画像を見てその期待は一蹴された。
しかも民間議員の代表として立っているのは秋元康と茂木健一郎の2人である。(クールジャパン官民有識者会議:メンバーリスト)
クールジャパンは何かおかしい。国立メディア芸術総合センターとははっきりと違う。何かがかけ間違えている、この時そんな予感がしたのである。
詳しく概要を確かめてみて、クールジャパンは国立メディア芸術総合センターとはまったく内容の違うものであると理解した。委員会の中に漫画・アニメの関係者の名前が一人もない。議事録のいくつかも見たが、漫画やアニメという言葉はほぼ全くというくらいに出てこない。「コスプレ」という単語が発言者の中からしばしば出てくるが、話の全体から言葉が浮いている感じで、文脈としての必要性を感じない。いかにも知らない人がおずおずと「何か若い人の中で流行っているらしい」という感じのする扱い方である。
クールジャパン官民有識者会議:第13回議事録(PDF) 適当なやつを一つどうぞ。
そもそもクールジャパンは質的に国立メディア芸術総合センターと全く趣旨の異なるものだった。第一に「文化の保存」というテーマが抜け落ちている。国立メディア芸術総合センターには文化を保存し、集客して利益を出す、という一貫した流れがあったが、クールジャパンが目指しているのはあくまでも「紹介のみ」である。技術を持った人や作品を海外に連れて行き、散発的にイベントを催して文化の宣伝をしようというのが目論見である。クールジャパンは現在形における構想であり、国立メディア芸術総合センターは過去形における構想である……これくらいの違いがある。
ついでに言うと、漫画やアニメはクールジャパンのプロジェクトの中には入っていない。いくつかの資料を見たが、漫画やアニメといった記述は“時々”見られたが、ほとんどの資料で記述すらなかった(にも関わらず、初音ミクはほとんどの資料に載っている不思議)。(→クールジャパン官民有識者会議提言概要(PDF))
ネットではクールジャパンで日本の漫画やアニメが紹介されると思っている人は多いが、そういう企画ではない。構成委員に漫画・アニメ業界の人は一人もおらず、議事録にアニメという語すら出てこない。クールジャパンが指向しているのは日本の文化そのもので(建築や食事、技術、伝統芸能等々)、そのリストの中からアニメは完全に抜け落ちている。
それから、これは大きく書かなくてはならない部分だが、クールジャパンは官民一体のプロジェクトである。国立メディア芸術総合センターは設置後は民間運営に移行して収益を出す計画だったが、クールジャパンは政府が常に横に貼り付いている、ということを忘れてはならない。
しかしこのプロジェクトに薄ら寒いものを感じさせるのは、筆頭に秋元康の名前が掲載されていることである(座長は福原義春、座長代理は松岡正剛。秋元康は民間人の代表)。ひょっとしてクールジャパンを利用して、AKB48の海外戦略の足がかりにしようとしているのではないか……そんな恐れすら感じさせ、実際にAKB48のラッピングカーを海外で走らせて疑いの余地なしの現実がすでに起きている。
話は変わるが、このごろ電通がアニメに入れ込んでいる。
マイナビニュース:電通がオタクに熱視線「オタクがラブなもの研究所」を発足
アニメファンがどういうものを好むのか、傾向を調査し、この中で「美オタク」なる謎の用語を作ってカテゴライズを増やしている。
電通は何をするつもりなのか? 何を目的で調査を始めたのか?
当然、何かしらの商売をするつもりだろう。広告会社が商売目的以外で調査をするはずがない。電通は近いうちに、アニメを利用して何か仕掛けるつもりだろう。具体的には電通主導による作品を、もっといえば宣伝過剰なイベント中心のアニメーションが作られるだろう。
少し電通主導のアニメがどんなものになるか想像してみよう。
まず作品本意主義は失われるだろう。売れっ子声優は主人公相当を演じられるが、声優のイメージを崩さないために原作の脚本が書き換えられる。あるいは、人気声優を突っ込みたいがために原作に登場しないキャラクターが追加される。その声優には専業声優ではなく、やはり電通が売り込みたいアイドルがどんどん起用される(剛力彩芽とか)。そういった話題性が中心、社会を巻き込んで派手な宣伝戦略を展開するが、中身が画一的でいまいちなものになる。
宣伝会社がアニメファンの動向を調査しているのだから、その調査通りの内容のものが作られるだろう。「アニメファンはこれこれこういうものを好むから、そういうものを一点集中で制作し続けましょう」と。作家的な視点は軽視され、ビジネス的視点だけで企画が運営され作品が制作される。もしもそこに新しいストーリーのタイプや新しいビジネスの可能性があっても、「それは市場調査にはないから」と切り離される。実際いま音楽の業界では切り離され、電通が売り込みたい人だけが(たった一つの成功法を繰り返しつつ)過剰にメディアに押し出される状態になっている。
確かに現段階においても、業界は似たり寄ったりなものを作っているが、時々際立ったものがその中からぽっと出てきてしまうのは、ある種の“緩さ”のようなものがあるからだ。その時々で、監督やプロデューサーの「これがやりたい!」という思いつきと情熱で現場が突き動かされるから、そういう意外性が突然変異のごとく飛び出すのだ。電通が関われば、そうしたパッションは真っ先に失われるだろう。実際、音楽の業界はすでに死んだ。
とここまでは想像に過ぎないが、電通が関わればそうなるし、すでに予兆が見え始めている。そうなれば、おそらくアニメのユーザーは飛躍的に増えるだろうと思う。何せ電通には相応の実績がある。人を動かすのはうまい。しかしその電通が呼び込んだアニメファンの中に、純粋なアニメ好きはいなくなるだろう。電通が呼び込んだアニメファンは、残念ながら広告に踊らされて一時の気分の高揚で集まるだけで、そのあと一気に流され、何も残さないだろう。「ただその時の気分で見ているだけ」といった人達が中心になり、電通はアニメファンの意識を育てようとは思わない。そういう高い意識を持ったアニメファンは、アニメから去っていき、その後、残り滓のような作品らしきものを見て、ただ言葉なくアニメという文化が死んだことを理解するだろう。音楽の業界がすでにそうなったのだし、電通はどうやら今度はアニメを標的にして同じことを繰り返すつもりのようだ。AKB48のユーザーは推定6万人、この固定された6万人からいかに繰り返しお金を搾り取るか、そういうやり方が業界の命題になりそうだ。
その時には、私も日本のアニメを見捨てるかも知れない。いや、見るべきものがなくなり、結果として見捨てるしかなくなるかも知れない。
アニメはこの頃、妙に注目され、それなりに利益を出す商売として際どく確立し始め、なぜか一般層にも緩やかに広がり始めている。電通が目を付けるのは当然の流れだ。電通が加われば業界は急激に収益を上げるだろうが、その後おそらく何も残らない。ユーザーが残らず、文化も残らず、業界は流されてやってきたユーザーの頭に合わせて、中身のないスカスカな作品を作らざるを得なくなる。
アニメの業界がこの流れに反抗することはできない。アニメは宿命的に下請け。自立できるのは東映とジブリだけ。相応のお金を渡されたら拒絶できないし、お金を受け取ったらクライアントの指示通りのものを作らなくてはならなくなる。アニメ業界の力はそれくらい弱いのだ。
そうなったら、どうすればいいのか? 我々は見ているだけか? いや違うだろう。そんな時に“異議あり”を示せるのは我々だ。“みんなの力”が頼りなのだ。すでに電通は動き始めている。もしも電通が今以上に具体的な意味でアニメの現場と制作に手を加えてきたら……その時はこれを読んでいる“みんなの力”頼みなのだ、ということを忘れないで欲しい。
長い脱線になったが、クールジャパンの話に戻ってこよう。クールジャパンの関係者に電通の名前は出てこないが、AKB48が過剰に前面に押し出されているのを見ると、どこかで電通が関わっているのではないか、と穿った見方をしてしまうのだ。
電通といえば、ちょっと前から初音ミクに注目している。イベントの開催にも電通が関わっているようだ。この頃、色んなメディアでやたら初音ミクを見かけるようになったのは、電通が関わるようになったからだ。それで、クールジャパンの資料のいくつかを見たが、漫画やアニメは文言すらない場合があるのに対して、全ての資料に初音ミクが載っているのだ。漫画やアニメが計画から外されているのに、なぜ初音ミクだけ? 何か奇妙な感じすら受けてしまう。
まだ確たる根拠は見出せないが、クールジャパンの背後には電通が関わっているのではないか。クールジャパンという国家プロジェクトを利用して、電通が特定人物を海外に売り込みたい時のための足がかりとして利用されているのではないか……。
もちろん全て私の空想だ。秋元康とAKB48の二つがクールジャパンの先頭に立っているのを見て、ここまでの空想を組み立てた、というだけの話だ。空想の話だから、早とちりな判断はしないようにお願いしたい。
最後に、クールジャパンというプロジェクトそのものは肯定したい。プロジェクトから漫画とアニメ、それからゲーム、映画は完全に外されたが(委員会リストにも業界関係者がいない)、日本の文化そのものを発信し、関心を持ってもらおうという試み自体は批判すべきものではない。
クールジャパンがピックアップする文化とは、料理や衣装、建築、それから文学、武道、茶道といった思想的精神的なものまで含まれている。これらを海外に宣伝し、そこから利益を出そうという考えは正しい。
ただ、その背後に何かしらの不穏当な影があるのではないか、という漠たる違和感だけをここに書いておきたかった。
それから、やはり文化の蓄積し研究するための機関はやはり必要だ、と最後に書いておこう。
※ この記事は私が個人的にツイッターで書いたものをまとめたものです。
■ツイッター 999toratugumi
■フェイスブック ツイッターの内容が部分的にまとめられています。ブログでまとめられたのは以下の投稿記事(アカウントが必要です)
4月4日 電通がアニメ市場の調査を始めている……
4月5日 「黒執事」の主演に剛力彩芽が抜擢された……
4月5日 電通がアニメファンの傾向を調査し始めている……
◇追加 4月23日 わりと最近クールジャパンに関する見解をブログに……
資料
日本アニメーター・演出協会 ……国立メディア芸術総合センターに協力していた団体
Wikipedia:クールジャパン
経済産業省:クールジャパン/クリエイティブ産業政策
まとめサイト:AKB48が税金を使って海外で宣伝をやっていると物議
ライブドアニュース:AKB48が税金を使って海外で宣伝をやっていると物議(ソース)
まとめサイト:秋元康「日本中の優秀なクリエイターに無報酬で協力してもらおう」
ニコニコニュース:クールジャパン「無報酬」の次は「掲載料負担5万円」?イラストレーターに送られてきたメールの内容がTwitterで話題に ……これはクールジャパンを騙った詐欺ではなく、本家がやっている。
インサイド:「クールジャパン」推進に500億円 税金でクールな文化が作れるのか
ここには載せなかったが、国立メディア芸術総合センターは公なメディアが否定的に、あるいは公なメディアが取り上げた有名人ほど批判的・否定的な意見が発せられた(しかも明らかに間違った情報に基づいて)のに対して、クールジャパンは公なメディアほどやや肯定的な意見が発せられている。が、一般的な人のブログやTwitterではクールジャパンに対して否定的な意見が出始めている、という特徴が見られる。
余談
私はつい最近まで、外国人労働者が半数近くを占める職場で働いていた。ブラジル人を中心に、ペルーや中国人といった人もいた。
一緒に働いているわけだから、自然そういった人達とも仲良くなり、日常的な会話もするわけだが、しばしばこんなやりとりがあった。
「(ブログ主)さん、家ではなにしてるの?」
「アニメ見てます」(私は基本オタであることを隠さない)
「ああ、……HENTAI」
というやりとりが3回あった(本当に3回こんなやりとりをした)。
どうにもこうにも……外国人は日本のアニメと聞くと、真っ先にHENTAI――すなわちポルノアニメを連想するようだ。こういったやりとりが3度もあった、ということはおそらく他の誰に聞いても同じような回答が返ってくるだろう。HENTAIは外国人の間で、もはや“普遍的”といっていいくらいにまで広がり、刷り込まれている一般認識なのだ。
そうなった理由。言うまでもなく主犯は「毎日新聞」である。みんな忘れている頃だと思うが、もっと大きく主張して、問題を顕在化したい。なにせ、外国人の頭の中には「アニメ」と聞けばイコールで「HENTAI」という言葉が出てくるくらいにまで広がっているのだ。問題の主犯が「アニメ自体」ではなく、「毎日新聞が」醸成したイメージの方なのである、と。だからもっとくっきりと、誰にでもわかるような形で毎日新聞の問題であることを顕在化し、そこからアニメを分離させる必要がある。
では海外で日本のアニメを売り込む場合、どんなことに注意すべきなのか? 真っ先に必要なのはこのHENTAI問題の解決と、意識の是正である。作品そのもので売り込むのも間違いないだろう。しかし、より多くの人が先行するイメージとしてHENTAIという語が刷り込まれ、これが場合によっては作品と接する時の障壁となってしまう。
問題を是正する時、間違えている部分をピックアップして、それに“要注意”と張り紙するのは普通の対処法だ。カウンセリングと一緒で、無意識に忌避する理由をまず顕在化する。そういった努力が必要なのではないだろうか。
それにはまず政府は何をするべきなのか。幸いにして、毎日変態新聞問題は主犯がはっきりしている。
朝比奈豊とライアン・コネルの2人である。
残念ながらライアン・コネルは現在も消息不明である。しかし朝比奈豊の所在ははっきりしている。毎日新聞社代表取締社長だ。
政府がまずすべきこと、この朝比奈豊を国会で証人喚問して、改めて尋問すべきだろう。なぜあんな事件を起こしたのか(国家を意図的に陥れた罪は非常に重い)。これが問題を顕在化させる最初の一歩になるはずだ。
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