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■2016/02/23 (Tue)
創作小説■
第9章 暗転
前回を読む
14
オーク「ソフィー!」
オークはソフィーの姿を探して、屋敷の外に飛び出した。
するとそこに、ソフィーが背中を向けて立っていた。深い緑だったはずのローブが、真っ黒になっていて、闇に溶け込みそうになっていた。
オーク
「ソフィー!」
オークが駆け寄る。ソフィーの体が崩れた。オークはソフィーの体を抱き留める。
ソフィー
「オーク様……いったい何が」
オーク
「魔物に連れ去られかけたのです」
ソフィー
「えっ? そんな……」
オーク
「無事で良かった……」
ソフィーの顔に困惑が浮かんだ。オークがソフィーを抱きしめる。
と、そこに――。
アレス
「オーク殿! 危ない!」
オークははっと振り返った。ナイフの刃がすぐそこに迫っていた。
オークはとっさに身を返す。最初の一撃をかわし、剣を抜いた。だが勢いが強く、オークは尻を付いてしまった。
ソフィーが杖を振りかざす。だが、杖は何の力も宿らなかった。
そこに、別の裏切り兵士が飛び出してきた。オークの剣が振り落とされる。
絶体絶命。
だが裏切り兵士の体が吹っ飛んだ。オークは体を起こした。救ってくれたのはアレスだった。
アレス
「いったい何が起きた! こやつらも悪魔に操られているのか」
アレスが動揺を込めた怒りの声を上げる。
オーク
「いいえ。しかしどうやら、悪魔に魂を売ったようですね」
裏切り兵士達が暗がりからぞろぞろと現れる。
戦いが始まった。同じ紋章を胸に抱いた兵士同士が剣を交える。裏切り兵士達は暗がりの中から、茂みの中から、次々と現れた。いつの間にか、後を尾られていたのだ。
オーク
「走ります! ソフィー!」
オークは戦いを切り捨てて、走り始めた。アレスや、従う兵士が続いた。裏切り兵士もオークを追いかけた。
オークは走りながら裏切り兵士と戦った。次々と迫る刃を斬り返し、兵士達を斬り伏せた。その猛襲も、やがて終わった。裏切り兵士達の勢いはようやく途切れて、夜の静寂が戻ってきた。
馬を留めた場所まで戻ってくると、オークは兵達の中から3人を選抜した。
オーク
「王に報告を。間者が紛れ込んでいます! 王に兵の要請を」
兵士
「はっ!」
3人の兵士達が、王城に馬首を向けて、走っていった。
オークとアレスも馬に乗る。
アレス
「我々はどうする?」
オーク
「砦に戻ります。何が起きたか、確かめないとなりません。ソフィー一緒に」
ソフィー
「ええ」
オークは馬を走らせた。ソフィーやアレス達もオークに続く。間もなく、砦が見えてきた。だが砦は炎に包まれ、戦の物音が夜の闇に散っていた。
オークは驚きの様子で、砦の前に立ち尽くした。
オーク
「これは……」
アレス
「おのれ……。裏切りはもっとも許せん行為だ! 不実な輩は全部切り捨ててくれる!」
アレスが砦へと馬を進めた。オークも後に続く。
砦の中はすでに混乱状態だった。あちこちで戦いが行われている。同じ装束を身にまとった兵士達が、殺し合いを始めている。どちらが味方で、どちらが敵か、判別不能の状態だった。
アレスは流浪騎士団と合流して、向かってくる裏切り兵士と戦いを始めた。
ルテニー
「オーク!」
オーク
「ルテニー! 状況を」
ルテニー
「見ての通りだ!」
オーク
「退避します! 争うな! 砦の外へ! 退避だ! 私に従う者は従いて来い!」
オークが砦の中へ入っていき、仲間達に呼びかけた。ソフィーがオークに従いて行く。仲間の兵士がオークの声に応じて集まってくる。
同時に、裏切り兵士達もオークを狙って飛びついてきた。槍の攻撃がオークを狙う。オークは剣で槍を返し、裏切り兵士を斬りつけた。
オークは混沌の中へと入っていく。仲間達に戦いの中断を呼びかけ、従いて来るように呼びかけた。
兵士達が戦いを中断して砦の外へと脱出する。オークは混沌の中へさらに深く分け入っていった。戦いはなかなか収まらない。オークは仲間の全てを救おうと、通りに入っていき、兵士達に呼びかけた。
が、矢の一撃がオークの背中を貫いた。
ソフィー
「オーク様!」
ソフィーの悲鳴のような声。
オークは急に意識が遠ざかり、馬から転げ落ちた。裏切り兵士が殺到してきた。オークは剣を求めたが、見付からなかった。裏切り兵士が接近し、今まさにその刃がオークに振り下ろされる……。
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