■ 最新記事
(08/15)
(08/14)
(08/13)
(08/12)
(08/11)
(08/10)
(08/09)
(08/08)
(08/07)
(08/06)
■ カテゴリー
お探し記事は【記事一覧 索引】が便利です。
■2016/02/13 (Sat)
創作小説■
第9章 暗転
前回を読む
9
間もなく夜が明けようとしている。砦がほのかな光に浮かび上がろうとしている。朝と夜の端境の時間に入り、影はより深く、沈黙は冷たさを引き連れて漂う。人の影のない新しい道路に、何かが現れる。頭には目や鼻がなく、大きく引き裂けた口から、舌をちろちろと出していた。背骨は曲がり、脚は獣のように太く、長い尻尾を持っていた。明らかに人ではなく、魔の眷属だった。
そんな怪物が3体、辺りを警戒するように見回しながら、道路を進んでいく。
バルコニーを歩いていた兵士が、道路を歩く得体の知れない化け物に気付く。
見張り兵士
「ば……」
叫ぼうとした。が、誰かが見張り兵士を掴んだ。何者かは見張り兵士を掴み、その首をナイフで裂いた。見張り兵士が呻き声を漏らす。さらにナイフで心臓を一突き。見張り兵士は死んだ。
殺したのは同じ兵士だった。裏切り兵士は自分が殺した兵士を引き摺って、建物の奥へと引っ込んだ。それと入れ替わるように、パッツォがバルコニーに出てきて、化け物の様子を見守った。
化け物は建物の中へと入っていく。建物の中を探るように見回しながら、奥へと入っていく。
と、そこに女が横切った。女は化け物に気付くと、持っているものを落とす。
女
「キャー!」
金切り声が砦中に響く。
兵士達が飛び起きた。武器を手に殺到する。化け物達も戦闘態勢に入った。興奮して奇怪な声で叫ぶと、目に付いた人に襲いかかった。
化け物は大きな脚で高く跳躍した。兵士に被さると、爪で引き裂き、牙で喉許を噛み切った。
化け物は次々と兵士達を殺す。兵士達は武器を手に化け物に斬りかかる。化け物は素早く、しかも強靱な生命力の持ち主だった。刃で切っても、矢で射ても、なかなか致命傷にならない。
アレス達流浪騎士団たちもやってきた。オークも剣を手に飛び出してくる。ソフィーもやって来て、兵士達に祝福を与える。
化け物は砦の施設を破壊し、兵士を殺害していく。兵士達は果敢に戦い、ついに化け物を撃退した。
オーク
「……これで終わりですか」
化け物の黒い血を浴びて、まだ戦闘の興奮が収まらないように息をしている。
アレス
「どうやら終わりのようだ。しかしこいつはいったい何だ?」
ソフィーが道路に出て、杖を緩く振っていた。杖の先に、黒い粒がくるくると渦を巻いている。やがて黒い粒が消えた。
ソフィーがオークの許へとやってくる。
ソフィー
「バゲインです」
砦に、朝日が昇る……。
次回を読む
目次
PR