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■2010/01/03 (Sun)
映画:外国映画■
ステファンは父親の死を切っ掛けに、パリに戻ってきた。母の紹介でラトレイユ社にデザインの仕事に就く。
同じ頃、アパートの隣部屋に若い女性が引っ越してくる。ステファニーだ。
間もなくステファンは、ステファニーに恋心を抱くようになる。しかし内気なステファンは、なかなか恋心を打ち明けられない。
隣人ステファニー。ステファニーも空想的な性格で、ステファンと意気投合する。ただし、ルックスは……。
うまくいかない現実の不満を、ステファンは夢の中でぶちまける。
仕事を認めてくれない社長を“炒め物”にしたり、現実世界で口にできない、彼女の気持ちを告白したり。ステファンの夢は次第に膨れ上がり、現実と混同していく。
ステファンは現実世界の何もかもが気に入らない。父の死も受け入れられないし、仕事も、同僚も嫌い。そんな不満を夢の中でぶちまけようとする。
ステファンの思い描く夢は“幻想的”とは程遠い。映像世界で描かれがちな美意識の風景ではない。あまりにも未完成で子供のお遊戯のようだ。
夢の中が子供じみているように、ステファン自身、子供だった。
人間関係がうまくいかない。仕事も簡単に投げ出してしまう。なに一つうまくいかず、なに一つ成し遂げられないのだ。
ステファンはステファニーを夢の世界に取り込んでしまう。次第に夢は、本人の意思で制御不能になっていく。ユングは浮遊の夢を「性」の象徴と見做しているが。
夢は、必ずしも本人の自由になるものではない。快い夢がある一方で、不愉快な悪夢もある。覚醒した状態で描く妄想や願望といったものも、必ずしも希望的な産物とは限らない。
夢とは現実の縮図であり、本人の主観によって再構築された一つの世界だ。思い通りに制御しようとしても、夢の奔放さは決して抑えられない。
ステファンは自分の夢に、何でも取り入れようとしていた。はじめは世界を自分の思い通りに描くために。嫌いなものを排除し、好きなものを手に入れたくて。
しかし夢はやがて主体意思を持ち始め、ステファニーを得ようとする。夢は暴走し、願望は悪夢をもたらす。
今度はステファニーが、ステファンの夢の中に潜り込んでいく。
映画は夢と現実の境界線を、どこまでも曖昧にしていく。
馬のぬいぐるみは、夢と現実の境界線を象徴する。『ブレードランナー』でも似たような描かれ方をした。
映画と夢は似ている。映画は夢のイメージと現実を繋ぎ合わせた姿をこの世に現出させる手段であり、装置だ。
ただし映画は、徹底的に制御され、社会性が意識されている。
『恋愛睡眠のすすめ』では意識的に“無秩序”の状態が演出されている。
しかし、渾沌とした夢世界に恐ろしげなものはない。子供のおもちゃ箱のように、温かみに溢れている。
『恋愛睡眠のすすめ』は映画の実体の1つである夢を描いた作品だ。
映画記事一覧
作品データ
監督:ミシェル・ゴンドリー
音楽:ジャン=ミシェル・ベルナール
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール
〇 ミュウ=ミュウ アラン・シャバ
〇 エマ・ドゥ・コーヌ ピエール・ヴァネック
同じ頃、アパートの隣部屋に若い女性が引っ越してくる。ステファニーだ。
間もなくステファンは、ステファニーに恋心を抱くようになる。しかし内気なステファンは、なかなか恋心を打ち明けられない。
隣人ステファニー。ステファニーも空想的な性格で、ステファンと意気投合する。ただし、ルックスは……。
うまくいかない現実の不満を、ステファンは夢の中でぶちまける。
仕事を認めてくれない社長を“炒め物”にしたり、現実世界で口にできない、彼女の気持ちを告白したり。ステファンの夢は次第に膨れ上がり、現実と混同していく。
ステファンは現実世界の何もかもが気に入らない。父の死も受け入れられないし、仕事も、同僚も嫌い。そんな不満を夢の中でぶちまけようとする。
ステファンの思い描く夢は“幻想的”とは程遠い。映像世界で描かれがちな美意識の風景ではない。あまりにも未完成で子供のお遊戯のようだ。
夢の中が子供じみているように、ステファン自身、子供だった。
人間関係がうまくいかない。仕事も簡単に投げ出してしまう。なに一つうまくいかず、なに一つ成し遂げられないのだ。
ステファンはステファニーを夢の世界に取り込んでしまう。次第に夢は、本人の意思で制御不能になっていく。ユングは浮遊の夢を「性」の象徴と見做しているが。
夢は、必ずしも本人の自由になるものではない。快い夢がある一方で、不愉快な悪夢もある。覚醒した状態で描く妄想や願望といったものも、必ずしも希望的な産物とは限らない。
夢とは現実の縮図であり、本人の主観によって再構築された一つの世界だ。思い通りに制御しようとしても、夢の奔放さは決して抑えられない。
ステファンは自分の夢に、何でも取り入れようとしていた。はじめは世界を自分の思い通りに描くために。嫌いなものを排除し、好きなものを手に入れたくて。
しかし夢はやがて主体意思を持ち始め、ステファニーを得ようとする。夢は暴走し、願望は悪夢をもたらす。
今度はステファニーが、ステファンの夢の中に潜り込んでいく。
映画は夢と現実の境界線を、どこまでも曖昧にしていく。
馬のぬいぐるみは、夢と現実の境界線を象徴する。『ブレードランナー』でも似たような描かれ方をした。
映画と夢は似ている。映画は夢のイメージと現実を繋ぎ合わせた姿をこの世に現出させる手段であり、装置だ。
ただし映画は、徹底的に制御され、社会性が意識されている。
『恋愛睡眠のすすめ』では意識的に“無秩序”の状態が演出されている。
しかし、渾沌とした夢世界に恐ろしげなものはない。子供のおもちゃ箱のように、温かみに溢れている。
『恋愛睡眠のすすめ』は映画の実体の1つである夢を描いた作品だ。
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作品データ
監督:ミシェル・ゴンドリー
音楽:ジャン=ミシェル・ベルナール
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール
〇 ミュウ=ミュウ アラン・シャバ
〇 エマ・ドゥ・コーヌ ピエール・ヴァネック
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