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■2016/01/14 (Thu)
第8章 秘密都市セント・マーチン

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 3日後の朝、150人の選抜された精鋭達が、千人近い兵士に伴われて城を出た。城を出ると、すぐにネフィリムの大軍勢との戦闘になった。これを切り抜けるために、千人の兵士が動員されたのだ。
 兵士とネフィリムの戦いは苛烈を極めたが、それでも魔の軍勢の間に突破口を作り出すと、精鋭達は戦場を駆け抜けていった。
 旅が始まると、150人の戦士達は50人ごとの軍団に分かれて、それぞれの地下空洞の入口を目指した。東はバン・シーとセシルを筆頭とする50人。南は土地勘があるということからオークが先頭に立った。西の方角にはウァシオを中心とする軍団が向かった。
 オークは急ぎの遠征ながら、旅先に見える風景の1つ1つが懐かしく、かつての旅に1人思いを馳せていた。随伴した僧侶の提案で、大パンテオンにも立ち寄った。地上のネフィリムの数が異様に多くなり、誰もが神聖な聖地がどうなっていたか気がかりであった。
 しかし意外にも大パンテオンは、老師達による結界が張られ、ネフィリムの襲撃は皆無であった。周辺の村や集落にも僧侶が派遣され、被害の情報はなかった。
 オーク達は思いがけず平和な風景に出くわし、兵士達は旅の成功をそこで祈願して、1日逗留した。
 その後の旅は過酷なものになっていった。ネフィリムの勢力は国土全体に及び、人里少ない場所へ行くと、小規模のネフィリムに何度も遭遇したし、行く先々でネフィリムに襲われて壊滅した村や町に出くわした。
 生き残っている村では、人々が防衛のために同盟関係を結び、団結してネフィリムの戦いに取り組んでいた。旅の予定にはなかったが、オークはそういった村を見付けては加勢し、壊滅させられネフィリムの根城になった村を見付けては容赦のない攻撃を加えた。
 そうしている間にも、遠征の日々は過ぎていく。オーク達は着実に南へと歩を進めていった。そろそろ洞窟のある森が近い。オークは草原のはるか彼方に目を向けた。

オーク
「あの方向に古里があります」
アステリクス
「それは懐かしいでしょう」
オーク
「……不思議と何の感情も沸いてきません。ミルディであった頃があまりにも昔に思えます」

 名前が変わってから、ミルディであった頃が急速に過去の遺物に感じられるように思えた。記憶が失われたのではない。あそこでの日々や暮らし、戦い……。全て覚えている。しかしなぜか生々しいものがそこになく、どこか他人の記憶のようにすら感じられた。

アステリクス
「こんな時代だからでしょう。戦が終われば、一時帰郷するのがよろしいでしょう。疲れた体を癒やすには、古里が一番です」
オーク
「いいえ。あの里はすでに絶えました」
アステリクス
「……そうでしたか」

 オークは淡々と答える。今はオークとして、洞窟に向かうことが先決だった。

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