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■2016/07/02 (Sat)
第14章 最後の戦い

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 戦いが再開された。下方から火炎の礫が雨の如く降り注ぎ、同時にクロースの兵士が駆け上ってきた。
 死力を尽くした戦いは、以後、一時もとどまらず続いた。日が沈み夜が訪れても、朝日が昇っても、戦闘はずっと続いた。
 戦局はクロース側の優位のまま、進行した。ドルイドの僧兵にできることは、ただ粘るだけだった。そこに踏みとどまり、命尽きるまで敵を斬り続ける。それだけだった。
 オークも戦いに復帰し、獅子奮迅の活躍を見せるが、それも戦局を変えるには至らなかった。そもそもクロース優位の状況を覆すのは、あり得ないところまで追い詰められていた。
 押し寄せてくる敵に勢いに耐えかねて、ドルイド達は追い立てられるように上へ上へと引き下がった。山脈のいたるところで死体が放り出されていた。戦いが進んだ後には火が点けられ、森がごっそり消失した。神殿もことごとく破壊された。気付けば山は、生きている者以上に死体の数のほうが多くなっていた。日が当たると、山全体が赤く染まり、死体と焼け焦げた臭いが風に乗って国中に広がった。かつてあった神聖さなど、もはや失われていた。ドルイドの聖地は邪教徒らに踏みつぶされ、破壊され、今や禍々しい死者の山となっていた。

 そんな戦いが、7日間休まず続けられた。ついに僧兵達は、本殿を背にして退く場所を失ってしまった。
 誰もがもう体力の限界で、目を閉じた拍子に死んでしまう者もいたので、眠る者もなかった。

老師
「……やむを得ん。ここを捨てよう」
オーク
「しかし、これ以上さがる場所などない!」
ソフィー
「いいえ、オーク様。この本殿は仮の物。ここを訪れた人に安らぎを与える場所です。本当の本殿は、このさらに奥にあります。オーク様、撤退を」
オーク
「撤退だ! 退け! 退け!」

 生き残った僧兵達に撤退命令を下す。すでにわずか100人という数だった。
 僧兵達は戦いをやめて、敵の前から逃げ出すように山の斜面を駆け上っていった。




 一方、僧兵の攻撃が急にとどまり、撤退していく様に、クロース軍は降伏と見なしていた。勘違いした兵達が万歳三唱した。

リーフ
「よし、軍を進めよ。我らの勝利だぞ」

 リーフが指示を出す。軍団がゆっくりと山を登っていく。

アレス
「しかしリーフ殿。どうしてここまでしてこの山にこだわる。ここに何があるのです?」
リーフ
「ルーンと呼ばれるものを知っているか」
アレス
「ルーン。魔法使いが使う言語と聞いておるが……」
リーフ
「ルーンは我々が扱う文字とは違う。北の神、オーディンより与えられし言葉だ。その言葉は伝えられた当時から形を歪めず、神の提示した精神をそのまま残している。この言葉を得た人間は、万物に直接働きかけ、操作できるいう。……もしこの力を我々クロースが得ればどうなると思う? クロースはより大いなる力を持つことになる」
アレス
「……おぞましいな」
リーフ
「フフフ……。我々の言葉にも、かつて神秘の力はあった。しかし聖典に記されたヘブライ語を自由に操れる者はもう我々の中にすらいない。消費し拡散していく過程で、神秘の力が失われてしまったからな。今クロースの信仰が揺らぎ、人々が不信を抱くようになったのはそのせいだ。だから我々はクロースの栄光を取り戻すために、さらには世界支配のために、ルーン文字が必要なのだ」
アレス
「……そのためにいったいどれだけの人を殺し、奪うのか! これがお前達の言う平和とかいうやつか!」
リーフ
「やむを得ない犠牲だ。それに異教徒ならいくら死んでも何ら問題ない。悪は滅び去った方が、平和に近付ける。害虫駆除だ。お前は邪教徒に肩入れしているようだな」
アレス
「どんな人間であれ、生きることに尊厳があるはずだ」
リーフ
「おかしなことを言う。殺すのはお前の仕事だろ。今のはジョークか?」

 リーフとアレスが先頭に立ち、山を登っていった。参道の向こうに、本殿が現れる。兵士達が警戒するが、僧兵の姿はその周辺に見当たらなかった。
 リーフは釈然としない気持ちで、本殿へと入っていった。

リーフ
「何だ、これは……」
兵士
「ここが邪教徒の本殿です」
リーフ
「馬鹿者! そんなものはわかっておる。どこに書物があるのかと聞いている。我々の目的は邪教徒の殲滅である以前に、ルーンを手にすることだ。そのルーンが書かれた書物はどこにあるのだ!」

 本殿には書物は1冊も置かれていなかった。中央に祭壇が配され、巨大な大木が建物を貫くように立っている。大木には縄が張られ、護符が貼り付けられている。本殿にある物は、それが全てだった。

アレス
「リーフ殿、戦いはすでに終わりだ。ドルイドは書物など使っておらん。すべて口伝で行う。そなたらが求める物など、はじめからなかったのだ」
リーフ
「何をいっておるか馬鹿者。少しは頭を使え。奴ら、逃げる時に書物を残らず持ち去ったのだ。クソッ……忌々しい。目障りだ。燃やしてしまえ!」
アレス
「なりません! ここは彼らの貴重な文化です。丁重に保管するべきです」
リーフ
「ああ? 貴様、性根だけではなく頭まで腐っているのか。これのどこが貴重だ。見ろ、この建築を。どこに美がある。どこに知恵がある。ただの古びた小屋ではないか。貴重というのはクロースの大聖堂のことを言うのだ。それ以外はすべてゴミだ。残しておけば有害な思想のもとになる。跡も残さず燃やせ!」

 リーフ達は神官達に命じて、松明の火を神殿に移した。

アレス
「やめろ! ここにも歴史がある。伝統や教えを軽んじてはならない!」
リーフ
「ふざけるな! お前、誰のおかげで生かされていると思っている。命令には従え。神に服従しろ。そしてその御使いであるこの私にひれ伏せ。わかったか!」
アレス
「…………」
リーフ
「どうした!」
アレス
「……私は後方に下がらせてもらいます」

 アレスは背を向けて、山を下りていった。

リーフ
「おい、どこへいく! 私に逆らうのか! おい!」
兵士
「リーフ様!」
リーフ
「なんだ」
兵士
「本殿の裏に、道が見付かりました」

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