■ 最新記事
(08/15)
(08/14)
(08/13)
(08/12)
(08/11)
(08/10)
(08/09)
(08/08)
(08/07)
(08/06)
■ カテゴリー
お探し記事は【記事一覧 索引】が便利です。
■2009/07/05 (Sun)
シリーズアニメ■
第3次世界大戦勃発。東京を始めとする日本の各都市は、世界から爆撃の中心地となり、紅蓮の炎に包まれた。
放射能に汚染されたかつての爆心地は、ブラックスポットと呼ばれ、現在も巨大な壁に隔離されている。汚染区域は「街(シティ)」からも隔絶され、東京の夜に真っ黒な闇を作り出していた。
だがそんな荒れ果てた大地にも、いつの間にか人が住み着くようになった。
多くは大気汚染によりすぐに死亡したが、まもなく、その彼らの中から不思議な能力を持つ者が現れ始めた。
火、風、重力。彼らはあらゆる超自然的力(フラグメント)を自由に操る。
シティに住む人々は、彼らを畏敬の念と共に「ニードレス」と呼んだ。
『NEEDLESS』は激しいアクションが連発するアニメーションである。主人公達の下には、刺客と称される特殊能力を持った超人が次々に現われ、凄まじい戦いを繰り広げる。
超人的な技が交差し、圧倒的なアクションがぶつかり合う。
なぜ、今この作品を描かなければならかったのか。その回答が、明らかにされるときがくるかもしれない。時代と作品の相互性がどこかで示されるかもしれない。でなければ、あまりにも時代錯誤だ。作り手による、なんらかの思惑が、必ずあるはずだ。
だが、見た目の激しさと裏腹に、『NEEDLESS』という作品自体に、まったく独創性を感じない。
キャラクターのデザインはどれも仰々しく、派手なファッションとベタ塗りのような極彩色で描かれているが、その実体は単調だ。
どこかで見た台詞回し。どこかで見た演技様式。どこかで見たカット構成。どこかで見たドラマ設計。
何もかもに既視感を感じる。果たしてこれはオリジナル作品だろうかと首を傾げたくもなる。
直線が多用されるキャラクターだが、物語も直線的に滑り落ちていく。物語の起伏に意外な波が起きる気配はなく、一直線に進み、一直線に収束していく。昨今の個性的なアニメーションが作られるようなった最中において、信じられないくらい単調な作品だ。
見た目の派手さやキャラクターの仰々しさとは真逆の印象に、奇妙なくらい新鮮さを感じない作品である。
ギャグパートはアメリカン・コメディのように大味で強引。
人物名はほとんどが西洋名だ。西洋コンプレクスがあからさまに現れている。
『NEEDLESS』は、すべて既存のイメージだけで構築された作品だ。
物語の主要な舞台である世紀末的風景。その原因として語られる第3次世界大戦。悪の支配者と戦おうとするレジスタンスの存在。どれも、20世紀の漫画世界でうんざりするほどコピーされた設定である。
キャラクターたちはそれぞれ特徴的な能力、必殺技を持っているが、その全てにおいて既視感がある。
「このキャラクター、別の漫画で見たな」「この必殺技、別の漫画で見たな」という既視感に対し、新たな挑戦はなく、そのまま再現されて描かれてしまっている。
『NEEDLESS』で見た光景は、なにもかもがすでに別のアニメーションの中で間違いなく描かれたものばかりだ。
『NEEDLESS』という作品を制作し、わざわざ繰り返す必要があったのだろうか。
激しいアクション。繰り出される必殺技。だがどれもこれも、見たことがある。意外性がまったくない。この作品におけるオリジナルの部分とは、どこなのだろう。もしかして、我々の既存の認識そのものを突きつけるのがこの作品のテーマなのだろうか。
『NEEDLESS』はテンプレートと呼ばれる設定に対して、ほとんど無抵抗のままアウトプットされた作品だ。作家としてのオリジナルの部分はどこにあるのか、美術家としての主体性と主張はどこにあるのか。
最新のアニメーションなのに、20年近く前の再放送作品を見ているかのような、奇妙な感覚に引き摺られてしまった。
確かに、世紀末的風景を舞台としたSF冒険ものは、かつてアニメーションで大いに流行した題材である。
やがて迫ってくる21世紀未来への不安、世界の核開発の驚異、SFの業界的な流行。当時描かれていたSFアニメーションは、その時代が持っていたエネルギーが反映されている。
だが、時代はとうに変わっている。子供でも、代用的な不安の解消を必要とせず、時代はもっと直接的な問題に対して向き合おうという準備ができている。将来の不安や、世界の不安。現代は、もっと具体的な問題と向き合う覚悟ができている。戯れの世界でも、代用的なSF冒険物語などもはや必要としていないのだ。
単純な勧善懲悪の物語だが、女性キャラは性的な部分を強調的に描かれている。児童ポルノ法に対する反逆的なメッセージだろうか。ちなみに、画像検索に掛けると、一番にエロ画像が出てきた。我々をそういった方面に誘っているのだろうか。
なのに、『NEEDLESS』はかつて体験した物語を、2次創作物のように、一切のフィルターを通さずアウトプットされた。
なぜ、今この作品でなければならなかったのか?
アニメシリーズすべてを鑑賞し終えた後に、我々に驚くような回答が与えられるのだろうか。
今後の展開に望みを託したいと思う。
作品データ
監督:迫井政行 原作:今井神
キャラクターデザイン:加藤裕美 総作画監督:小堺能夫
シリーズ構成:西園悟 脚本:西園 悟 江夏由結 テクニカルディレクター:沼田誠也
美術監督:岡本有香 色彩設計:上村修司 撮影監督:松井伸哉
音楽:加藤達也 飯塚昌明 音響監督:高桑 一
アニメーション制作:マッドハウス
出演:子安武人 喜多村英梨 遠藤 綾 伊瀬茉莉也 伊藤健太郎
加藤英美里 内海賢二 東地宏樹 豊口めぐみ
谷山紀章 後藤沙緒里 牧野由依 茅原実里
放射能に汚染されたかつての爆心地は、ブラックスポットと呼ばれ、現在も巨大な壁に隔離されている。汚染区域は「街(シティ)」からも隔絶され、東京の夜に真っ黒な闇を作り出していた。
だがそんな荒れ果てた大地にも、いつの間にか人が住み着くようになった。
多くは大気汚染によりすぐに死亡したが、まもなく、その彼らの中から不思議な能力を持つ者が現れ始めた。
火、風、重力。彼らはあらゆる超自然的力(フラグメント)を自由に操る。
シティに住む人々は、彼らを畏敬の念と共に「ニードレス」と呼んだ。
『NEEDLESS』は激しいアクションが連発するアニメーションである。主人公達の下には、刺客と称される特殊能力を持った超人が次々に現われ、凄まじい戦いを繰り広げる。
超人的な技が交差し、圧倒的なアクションがぶつかり合う。
なぜ、今この作品を描かなければならかったのか。その回答が、明らかにされるときがくるかもしれない。時代と作品の相互性がどこかで示されるかもしれない。でなければ、あまりにも時代錯誤だ。作り手による、なんらかの思惑が、必ずあるはずだ。
だが、見た目の激しさと裏腹に、『NEEDLESS』という作品自体に、まったく独創性を感じない。
キャラクターのデザインはどれも仰々しく、派手なファッションとベタ塗りのような極彩色で描かれているが、その実体は単調だ。
どこかで見た台詞回し。どこかで見た演技様式。どこかで見たカット構成。どこかで見たドラマ設計。
何もかもに既視感を感じる。果たしてこれはオリジナル作品だろうかと首を傾げたくもなる。
直線が多用されるキャラクターだが、物語も直線的に滑り落ちていく。物語の起伏に意外な波が起きる気配はなく、一直線に進み、一直線に収束していく。昨今の個性的なアニメーションが作られるようなった最中において、信じられないくらい単調な作品だ。
見た目の派手さやキャラクターの仰々しさとは真逆の印象に、奇妙なくらい新鮮さを感じない作品である。
ギャグパートはアメリカン・コメディのように大味で強引。
人物名はほとんどが西洋名だ。西洋コンプレクスがあからさまに現れている。
『NEEDLESS』は、すべて既存のイメージだけで構築された作品だ。
物語の主要な舞台である世紀末的風景。その原因として語られる第3次世界大戦。悪の支配者と戦おうとするレジスタンスの存在。どれも、20世紀の漫画世界でうんざりするほどコピーされた設定である。
キャラクターたちはそれぞれ特徴的な能力、必殺技を持っているが、その全てにおいて既視感がある。
「このキャラクター、別の漫画で見たな」「この必殺技、別の漫画で見たな」という既視感に対し、新たな挑戦はなく、そのまま再現されて描かれてしまっている。
『NEEDLESS』で見た光景は、なにもかもがすでに別のアニメーションの中で間違いなく描かれたものばかりだ。
『NEEDLESS』という作品を制作し、わざわざ繰り返す必要があったのだろうか。
激しいアクション。繰り出される必殺技。だがどれもこれも、見たことがある。意外性がまったくない。この作品におけるオリジナルの部分とは、どこなのだろう。もしかして、我々の既存の認識そのものを突きつけるのがこの作品のテーマなのだろうか。
『NEEDLESS』はテンプレートと呼ばれる設定に対して、ほとんど無抵抗のままアウトプットされた作品だ。作家としてのオリジナルの部分はどこにあるのか、美術家としての主体性と主張はどこにあるのか。
最新のアニメーションなのに、20年近く前の再放送作品を見ているかのような、奇妙な感覚に引き摺られてしまった。
確かに、世紀末的風景を舞台としたSF冒険ものは、かつてアニメーションで大いに流行した題材である。
やがて迫ってくる21世紀未来への不安、世界の核開発の驚異、SFの業界的な流行。当時描かれていたSFアニメーションは、その時代が持っていたエネルギーが反映されている。
だが、時代はとうに変わっている。子供でも、代用的な不安の解消を必要とせず、時代はもっと直接的な問題に対して向き合おうという準備ができている。将来の不安や、世界の不安。現代は、もっと具体的な問題と向き合う覚悟ができている。戯れの世界でも、代用的なSF冒険物語などもはや必要としていないのだ。
単純な勧善懲悪の物語だが、女性キャラは性的な部分を強調的に描かれている。児童ポルノ法に対する反逆的なメッセージだろうか。ちなみに、画像検索に掛けると、一番にエロ画像が出てきた。我々をそういった方面に誘っているのだろうか。
なのに、『NEEDLESS』はかつて体験した物語を、2次創作物のように、一切のフィルターを通さずアウトプットされた。
なぜ、今この作品でなければならなかったのか?
アニメシリーズすべてを鑑賞し終えた後に、我々に驚くような回答が与えられるのだろうか。
今後の展開に望みを託したいと思う。
作品データ
監督:迫井政行 原作:今井神
キャラクターデザイン:加藤裕美 総作画監督:小堺能夫
シリーズ構成:西園悟 脚本:西園 悟 江夏由結 テクニカルディレクター:沼田誠也
美術監督:岡本有香 色彩設計:上村修司 撮影監督:松井伸哉
音楽:加藤達也 飯塚昌明 音響監督:高桑 一
アニメーション制作:マッドハウス
出演:子安武人 喜多村英梨 遠藤 綾 伊瀬茉莉也 伊藤健太郎
加藤英美里 内海賢二 東地宏樹 豊口めぐみ
谷山紀章 後藤沙緒里 牧野由依 茅原実里
PR