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■2013/10/13 (Sun)
『凪のあすから』は朝の風景から始まる。少年が慌ただしく朝食の準備をしている。上半身裸なのはきっと暑い夏だからだろう。
ごく普通の日常的な風景に見えて、何かがおかしい――。空中を魚が漂っているし、テレビの中では天気予報の代わりに“潮予報”が流れている。少年は籠の中に入れた青い炎をコンロに移して、強火にしている。それに、画面がじわりと青い。
少年が家から外に飛び出した瞬間、違和感の正体が明らかになる。空一杯にただよう魚の群れ。空の向こうには水面が描かれ、さらに向こう側に“地上”がちらりと見える。
そう、そこは水の中。少年たちは水の中に街を作り、住んでいる人達だったのだ。

『凪のあすから』は地上と水中、二つの世界が交差する物語である。地上の街は間違いなく現実に存在すると思われる日本の街だ。一方、水中の「海村」は絶対にあり得ない空想の街でありながら、どこか非現実と言い捨てるわけにはいかない高密度に作られた世界観である。
海村はかなり傾斜のきつい町で、正面から見ると瀬戸内に見られる町のように全体が立ち上がっているように見える。接近してみると、入り組んだ階段が斜面を這うように登っていて、尾道を連想させる。白漆喰を中心にした風景に、青いペンキと茶煉瓦が少しずつ混じって、色の印象は爽やかだ。配色は笹倉鉄平の絵画を感じさせるものがある。町の外縁に建設途中で放逐された高速道路の柱が描かれているが、これがクロード・ロランの絵画に描かれるギリシャ風柱を連想させる。高速道路としては柱が細すぎるので、おそらくはオブジェとして描かれているのだろう。
町全体のシルエットはイタリアのアマルフィ海岸が参考にされていると推測されるが、細部は明らかに日本のもので作られている。日本の植物に、日本語の表記の入った、日本でよく見られる標識や看板、日本的な衣装を着た人達、石畳も日本で見られるものが使われている。全体のイメージはイタリアのアマルフィ海岸やクロード・ロランの絵画といったものが参考にされているが、細部はあくまでも日本のもの、日本に極めて近い文化様式を持った風景が作られている。様々なものを参考にしながら、描き手の理想がそこに込められた世界となっている。
地上の世界は間違いなく実在する日本の風景だ。海村は異世界でありながら、その日本の風景と現実的な地続きを感じさせる空間として構築されている。日本と深い関連を持ち、明かな接点を持って発展していきながら、しかし地上とは明らかに異なる文化様式が創造されている。
トールキンが完全な異世界を作り上げ、自ら“準創造”と呼んだが、『凪のあすから』が試みた創造は、それよりもかなり現実世界と接点を持った、シミュレーション的な発想で世界が作られている。このあまりにも見事な創造に、私は手放しの賞賛を送らねばならない。

海村の住民は一見するとごく普通の人間として描かれているが、細かなところで地上人物との差異が作られている。
まず目の色。瞳も縁の線も、青で描かれている。少し緑が混じった青だ。BLブラックが使用されていないので、少し色が抜けたような淡い印象がある。これが制服の青の色彩と関連を作り、なかなか美しくまとまっている。
瞳の中には3種類のハイライトが使用されている。瞳のもっとも暗い部分と重なる一番大きなハイライト。最近、色んなアニメで見かけるようになった表現方法だ。点々と打たれたハイライトは2つの色パターンが使われている。
海村キャラクターの中でもっとも瞳が大きく描かれるのは向井戸まなかだ。向井戸まなかが斜めに顔を向けた時、瞳の形は水滴を連想させるような歪み方をする。向井戸まなかのような大きな目を持った生き物の瞳がこのように歪むと思えないが、瞳の内部に描かれた瞳孔、ハイライトで立体的なイメージが表現されている。アニメ特有の様式的な表現といえるだろう。
水中世界は全体が青みがかった色調が使われる。おそらくは仕上げまでは通常に作られ、撮影段階で全体を青くするフィルターが使われていると推測される。同じ色を比較してみると、下の画像のように海の世界がやや青くなっているのがわかる(向井戸まなかの肌の影色を比較している)。実線はもちろん黒で描かれているが、このフィルターを使った場合、不思議と線が青く浮き上がってくる。どういった効果によるものなのかはわからないが、海世界独特の雰囲気が演出されている。


一方、地上世界は海岸沿いの風景らしく、夥しい量の錆で覆われている。この錆は、美術スタッフの手によるものではなく、デジタル貼り込みによるものではないだろうか。錆だけではなく、雨の跡や、海風でかすれた看板文字や、様々なものが一杯に貼り込まれた上で完成形にしている。
P.A.WORKSを印象づけているものといえば、高品質な背景であり、背景美術の見事さが、作品の品格を間違いなく底上げしているといえるだろう。もちろん、個々の美術スタッフのポテンシャルの高さがこの世界観を支えているのは間違いないが、やはり撮影スタッフの存在を、あるいは撮影スタッフの連係プレーを無視して語るわけにはいかないだろう。
 P.A.WORKS作品には常にどこかしらに光が当たり、深くはないが爽やかな印象を持ったコントラストが描かれているが、この光の効果も撮影スタッフが底上げしているものだろうと考えられる。この光の効果が的確だから、平面上に書かれた絵画に過ぎないものを実写的な印象にしているのだろう。
細かく見てみると、光は太陽の位置だけではなく、壁や床に当たって反射しているところまで作られている。コントラストも場面設計に合わせて再調整されているようだし、奥行きにもピントの調整が加えられている。これらが元々完成度の高い背景美術をより高品質なものにしているのだろう。
それから雲の描き方だ。同じ場面では同じ雲が描かれ、雲の位置でキャラクターがどの方向を見ているかわかるし、またキャラクターと雲がどのような連携を持つかでシーンの心情を表現している。雲が単に書き割りではなく、シーン全体の設計に対して重要な役割が与えられている。

物語は波路中学廃校のため、海村の少年少女が陸上の学校、美濱中学校に通うようになったというところから始まる。そこで向井戸まなかが木原紡と“特別な出会い”を経験してしまう。
これは中学生――思春期の少年少女の物語だ。古里の海世界を離れて地上に出るというシチュエーションは、外の世界に歩み出そうとする少年少女の身体的心情的移り変わりを表現したものだろう。
そこで、向井戸まなかは木原紡という風変わりな少年に恋をする。しかしまなかはうろこ様に呪いを受け、膝に奇怪な魚を付けられてしまう。これはおそらく、初潮の暗喩だろうと考えられる。初潮でなくても、向井戸まなか自身にコントロールできないものの芽生えの象徴――すなわち“性欲”である。
またこの呪いが、神さまポジションのうろこ様が与えるもの、というところも象徴的である。人間の理性ではどうにもならぬもの、内なる声=神、というわけだ。
もっとも、そういった性的なモチーフが露骨に描かれているわけではない。膝に受けた魚の呪いは、先島光には明かせるけど、他の誰にも明かせない。この段階では二人だけの秘密として描かれていた。二人だけの秘密、という絆の強さというモチーフでも利用されている。この秘密を共有して、先島光は喜んでいる。
しかし、向井戸まなかは不本意とはいえ木原紡にこの秘密を明かしてしまう。向井戸まなかは木原紡がこの秘密を受け入れたことに喜ぶ。2人きりだけの秘密だったところに木原紡が割り込んできて、先島光は怒りを覚える。この怒りははっきり嫉妬だ。
『凪のあすから』はオーソドックスな恋愛ストーリーと見てもいいだろう。しかし現実的に見えるこの物語はファンタジーでもある。海村の人間が地上の人間に恋をすると、追放されるのである。その暗い実例を、先島あかりというキャラクターに演じさせている。現実的な世界を背景にしているが、少しずつ非現実的なルール付けが物語に混入しているのだ。そういうところで、ファンタジー空間を作り出したことに意義が現れてきている。
思春期の恋愛と性――。第2話で、先島光は寝ようとする直前に向井戸まなかの姿を想像する。ただしその姿は裸。裸が描かれたのはただのイメージではないだろう。先島光が向井戸まなかに抱いている性的な欲望……もっとも、それが光自身に明確な自覚として現れているかまだわからないが。
海と陸の異文化恋愛。日本が古来から描いてきた異類婚姻譚の物語であり、思春期の性と恋愛の物語であり。性に関するモチーフがどこまで描かれるかわからないが……最後まで暗喩程度の描写になるか、どこかで表面的な理性が転落して性欲に飲み込まれるか……しかし芽生え始めた性に対する感覚が、恋愛をはじめようという行動と無関係ではないだろう。
異類婚姻譚というファンタジーであり、現実的な思春期の恋愛を描いた物語であり。『凪のあすから』は思った以上に多重的に世界観を構築する狙いがありそうである。

『凪のあすから』は恐ろしく入念に作り込まれた世界観に裏打ちされた映像作品である。一見すると、海の世界はなんのために作られたのだろうか――と思わせるが、異世界というモチーフが『凪のあすから』を標準的な恋愛物語から少し特殊なものに変えている。恋愛をすると追放されるという罰が与えられるという不安。それはお伽話的なルールだけど、高度に作り込まれ考証が行き届いた世界観だから、現代の物語として自立可能なものにしている。
お伽話を、現代を背景にした世界観の中で再現する。もちろんそこには現代的な視座も加えられている。思春期の葛藤や苛立ち。お伽話的な異類婚姻譚でありながら、青春ストーリーという要素も絡みついてくる。より複雑化し、現代的な高度さを持ったお伽話、というふうに表現するべきかも知れない。
『凪のあすから』のストーリーが、もしかすると日本人がずっと深い所に抱き続けていた精神を呼び起こすかも知れない。

続き→とらつぐみTwitterまとめ:作品紹介補足

作品データ
監督:篠原俊哉 原作:Project-118
シリーズ構成:岡田麿里 キャラクター原案:ブリキ
キャラクターデザイン・総作画監督:石井百合子 キーアニメーター:高橋英樹
美術監督:東地和生 美術設定:塩澤良憲 撮影監督:梶原幸代
色彩設計:菅原美佳 3D監督:平田洋平 特殊効果:村上正博
編集:高橋歩 音楽:出羽良彰 音響監督:明田川仁
アニメーション制作:P.A.WORKS
出演:花江夏樹 花澤香菜 茅野愛衣 逢坂良太
   石川界人 名塚佳織 鳥海浩輔 小松未可子 石原夏織

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