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■2012/07/10 (Tue)
\アッカリ~ン/
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『ゆるゆり』が始まった。



『ゆるゆり』が始まったのは2008年、最初の掲載雑誌は『コミック百合姫S』であった。しかしマイナーな弱小雑誌の宿命に翻弄されるままに流浪し、現在では姉妹誌『コミック百合姫』で連載が続いている。
本来であれば、掲載されている雑誌が休刊になると漫画の連載はその時点で終了となる。どんなに濃密な長編ドラマが予定されていようと、雑誌休刊という絶対的な強制力には逆らえず、どんな状況であれ物語は強制終了、編集者は社内異動で保護されるものの、ほとんどの作家は世間に放逐である。雑誌休刊で捨てられた作家のその後は、野良犬すら拾い上げない哀れなものである。
しかし『ゆるゆり』だけは、雑誌が休刊になろうが作品が移籍しようが、何食わぬ顔で、その後もあの驚嘆すべき掲載スピードを緩めず連載が続いていったのである。
間もなく多くの読者も『ゆるゆり』という作品に気付き、その特異性が注目され、今では『コミック百合姫』最大の稼ぎ頭として邁進し続けている。

b161cc76.jpegそれでは、『ゆるゆり』に注目すべき特異性とはなんであろうか。第1は作品が持っているゆるやかな柔軟性である。
『ゆるゆり』の主人公は歳納京子である。第2巻のあとがきで、作者自身の発言でそう書かれている。歳納京子は常に漫画の中心にいて扇動者としての役割を持って物語を牽引し、扉絵でも登場回数が多い。歳納京子は間違いなく実質主人公である。
しかし歳納京子が主人公であるという事実にちょっとした論争が起き、編集者が「赤座あかりが主人公ではないか?」と提示されたことにより、主人公の交代が執り行われたのである。
赤座あかりが主人公である根拠――第1回掲載時の登場の仕方が何となく主人公っぽかったからだ。
これを指摘され、作者も「じゃあ赤座あかりが主人公で」となんともいえないゆるさと柔軟さで主人公交代が受け入れられたのである。

2d138b8c.jpegしかし『ゆるゆり』の登場人物の関係性を見ると、赤座あかを主人公とする上での問題点が発見される。例えば、主要3人……4人の登場人物の関係性を大雑把に書くと、下のようになる。
歳納京子→吉川ちなつ→船見結衣
→は強い感心と結びつきを現している。関係性、という面では、歳納京子と船見結衣は幼馴染みという点で強い結びつきを持っている。
80c3e558.jpegここに、赤座あかりの名前は出てこない。
さらにこの関係性を生徒会一同他を巻き込んで延長すると、以下のようになる。
池田千鶴→池田千歳→杉浦綾乃→歳納京子→吉川ちなつ→船見結衣
やはり赤座あかりの名前が出てこない。上に取り上げられなかったキャラクターたちも、それぞれ対にキャラクターが存在し、そこで何かしらのドラマが生まれるように作られている。が、あかりだけがこのウロボロスの輪の中にいないのだ。
38e6ff8b.jpeg柔軟さ、という意味ではもう一つ。全てのキャラクターが自身が漫画の登場人物という自覚を持っている、ということにある。原作3巻第23話「方式が決定しました」では物語中時間が前進しない事実が取り上げられ、それを全キャラクターが何事もなかったように受け入れてしまう。本来ならばあえて触れられない漫画外部の事情、あるいはルール付けが漫画内部の課題として取り上げ、漫画の内外の境界を曖昧にさせている。

655777b3.jpeg漫画の初期において、作者自身、あかりの取り扱いに苦心する形跡が見られる。
原作第2巻15話yryrホラー・ショー(アニメ版9話)の2ページ目1コマ目に赤座あかりが間違いなく登場する。しかし、その後全てのコマから座あかりが剥落し、最後の最後で、実は幽霊だった、というオチで再登場する。
どうしてこうなったのか。おそらく、作者がネームの段階で、座あかりを書くのを忘れていたためだろう。作者自身座あかりの不在に気付き、オチに使ってしまおう、と考えたのではないか。作者自身が赤座あかりがいないミスに柔軟に対応した結果、赤座あかりの影の薄さが強調されたのだ。
しかし、目立たない、影が薄い、存在感がない、その事実を個性と捉えることで、むしろ赤座あかりのキャラクターは、登場しないことによって強調されていくのだ。全登場人物から無視される、トラブルに見舞われてもほっとかれる、そもそもエピソードに登場していない、などを繰り返すほどに、そこに描かれていないはずの赤座あかりの存在感はより強く際立ち、作品を支配するアイコンとして輝き始めるのだ。
……と、いうことにしておこう。

dc86a76b.jpegd0d29a74.jpeg『ゆるゆり』のもう一つの特異性、といえば驚異としか言いようのない執筆速度、掲載量である。
第1回目の掲載は、後で見るとおとなしめの2話掲載である。その後、ゆるやかにペースを上げていき、第2巻で1度の雑誌出版で5回掲載。その後、執筆ペースはインフレ状態でそのうちにも『コミック百合姫S』の掲載作品はほとんど『ゆるゆり』のみで埋まるという謎の事態に突き進み、この段階で雑誌出版スピードより単行本出版スピードのほうが先になり、第6巻は『まんがなもり ゆるゆりSPECIAL』という雑誌で独立。第7巻は全編書き下ろしとなった。
2ee3d627.jpegその間も、作家なもりは漫画執筆だけではなく、様々な版権画を大量に描き、ファン向けのサイン色紙を大量に生産、さらに仕事以外の趣味でも絵を描きその多くはネット上で公開されている。執筆量、速度、しかもいずれも品質が高く、これらの記録的な偉業の数々は“なもり伝説”として一つ一つ綴られている。(ニコニコ大百科:なもり

bb533950.jpegでは作家なもりの速筆の正体はなんなのだろう。
左は第2巻あとがきに描かれた歳納京子である。頭上からふってくる丸々としたくらげ(のようなもの)を、バレーのように打ち返している姿が描かれている。
これはおそらく、一発書きだろう、と考えられる。
根拠は線全体の流れかたである。線が均一に描かれているのは、線の太さに差が出ない画材が使用されているからだろう(SignoやHI-TECかも知れない)。しかし、それだとしても線の流れが均一である。もしも下書きのある漫画原稿であれば、肌の質感、髪の毛の柔らかさ、服の素材、それぞれで様々な太さに描き分けられる。左の絵の場合、全体が同じ緊張感を持って線が流れている。また、線の継ぎ目が修正されていない。
147fa642.jpegキャラクターの表情、視線の方向、動きに合わせて全身の動き、髪の毛や服のふわりとした浮かび上がり方。中心軸がやや左に傾いているものの、絵としての完成度は極めて高い。何より迷いがない。もしもこの状態の絵が何かの間違いで雑誌掲載されたとしても、某富樫のように「手抜きだ!」と糾弾する声はおそらくないだろうし、そもそも一発書きだとほとんどの人が気付かないかも知れない。
全編書き下ろしとなった第7巻ではあとがきもキャラクターが中心の漫画が描かれた(右)。ある程度下書きがあったかも知れないが、ほとんど一発書きであると想像される。
なもりは動きを捉えるのがうまい。全身の動きに合わせて、髪の毛、上着、スカートがつられて動く瞬間をしっかり捉えている。もしアニメーターだったら、いい原画を描いただろう。

7f312b55.jpegコマ割の構成はシンプルで、ほとんどのページで3段構成、1段2コマ、合計6コマ構成で描かれる。第1巻、2巻の頃は2段構成でさらに大きなコマが使用されていた。
ここで比較として『じょしらく』を取り上げてみよう(『じょしらく』を比較として取り上げたのは、比較対象として妥当性云々ではなく、単になんとなく机の上に置いてあったからだ。どちらもオチのない漫画、という共通点があるからいいだろう)
『じょしらく』は当初3段構成、大きなコマでキャラクターが描かれていたが、その後コマのが小さく分割されるようになり、2巻以降は4段から5段構成が基本となり、一つのコマに複数キャラクターが描かれ、台詞量も多く、勢いを付ける集中線などの漫符が多く取り入れられている。
一方『ゆるゆり』での漫画の構成はもっとシンプルだ。台詞量は少なく、漫符も必要最低限しか描かれていない。ほとのどのコマで背景が描かれていないのも特徴だ。シンプルにキャラクターの表情や、台詞のやりとりを追いかけられるように、不要な素材を削ぎ落とした結果だろう。

33044e8c.jpegあとは漫画を執筆する上での圧倒的な集中力、その集中力を維持し続ける体力だ。漫画を描き続けるためには、一度スイッチを入れたらずっと戻ってこれなくなるくらいの集中力維持が必要で、これは凡人には決して得ることのできない天才の特徴の一つである。
また作家なもりは、間欠泉のごとくアイデアが沸き続けているのだろう。ここまでの執筆速度を維持するためには、その分のアイデアも必要になってくる。アイデアが出てこなくなったら、当然執筆速度も落ちるはずだが、なもりの場合、加速し続けている。アイデアが途切れることなく延々出続けているためだろう。
第7巻のあとがきで、作者の近況の代わりに、各キャラクターたちの近況が描かれた。これがたっぷり14ページ。振り返ってみるまでもなcb0331ab.jpegく、あとがきに描かれる作者の近況は淡泊で密度が浅い。作者自身の生活が押し潰されて消失するくらいに、漫画の仕事に集中しているのためだろう。今は、歳納京子たちが何をするのか、それがあまりにも楽しくて夢中になっているのだ。
アニメ配信に併せて、ニコニコ静画では「大室家」の連載が始まった。てっきり4コマ漫画か何かだろう、と思っていたら、本格的に構成された漫画だった。連載回によってページ数は変動するようだが、ほぼ週刊雑誌連載分が毎週掲載されている。アニメ配信中はずっと連載が続くようだから、アニメシリーズ1本終わる頃には単行本1冊くらいになりそうだ。ところで、どうして大室家だったのだろう? 取り上げるべきキャラクターは他にもいるような……赤座家とか。

bcde6143.jpegさて、あれから1年の時を隔てて『ゆるゆり』が帰ってきた。1年の時間を通り過ぎて、前回を圧倒的に凌駕するクオリティを備えて……というわけではなさそうだ。1年前に公開された第1期の『ゆるゆり』を比較しても、これといって変わったところは見いだせない。掲載雑誌の危機であろうと移籍があろうと、なにごともなくしれっと漫画が続いた原作『ゆるゆり』のように、アニメ『ゆるゆり』は1年の時を跳躍して何事もなかったかのように再開された。
色彩の構成は第1期と変わらない、あまり差の出ない穏やかなぬくもりで描かれている。線と影はシンプルで、少女たちの身体と動きを捉える必要最低限の要素で構成されている。相変わらず元気な歳納京子の線は、大胆に省略されたり、あえて歪まされたり、アニメーターが動きを楽しんでa51cb181.gifいるのが見ていて伝わってくる。オープニングでもセンターに堂々と立ち、主人公としての存在感を見せつけている。
特にノリノリでアクションを決めたのはオープニングである。規則性のほとんどない謎の動きを、フルコマで描いている。オープニングはほぼフルコマで描かれ、前作とは違う贅沢さを感じさせる)


f5b5e92e.jpeg『ゆるゆり♪♪』第1話は赤座あかへのサービスである。全キャラクターの関係性から外されているはずの赤座あかりが、全員から刺激的な視線を集中させている。まさに百合ハーレムアニメ。なんという違和感!
いつもは大人しく控えめな赤座あかりが鬱陶しいくらいに厚かましいダンディズムを発揮し、女の子たちを虜にしていく。そのあまりの不自然状況に、視聴者たちは夢の話だと察する。この夢が前半9分にもおよび、あまりにも長く、しつこい内容であるのに関わらず、視聴者たちは座あかりへの同情と哀れみを込めて、このささやかな夢の一時を妨害しないよう暖かく――見なかったことにするのだ。

c46128fb.jpeg『ゆるゆり』はただキャラクターたちが何をするのか追いかけて眺めていく作品である。大上段に漫画技法云々について語ろうとしても、革命的な何かが出てくるような作品ではないだろう。小さな特異性はあるものの、それが漫画全体の表現に対して何かしらの影響を与えることもないだろう。
おそらく、作者であるなもり自身、歳納京子たちが何をするのか、何をやらかすのか、空想の中で好き勝手遊び回っている状況を楽しんでいるのだろう。作家として、歳納京子を制御して特定のどこかへ導こうという発想は多分ない。読者と同じ目線で、作者自身もキャラクターたちを追いかけている、そんな感じかも知れない。
みんな『ゆるゆり』に夢中なのだ。

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作品データ
監督:太田雅彦 原作:なもり
副監督:大隈孝晴 シリーズ構成・脚本:あおしまたかし キャラクターデザイン・総作画監督:中島千明
総作画監督:越智信次・尾尻進矢 色彩設計:真壁源太 美術監督:鈴木俊輔(スタジオ風雅)
撮影監督:佐々木正典 音響監督:えびなやすのり 音響制作:ダックスプロダクション
音楽:三澤康広 音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:動画工房
出演:三上枝織 大坪由佳 津田美波 大久保瑠美
    藤田咲 豊崎愛生 加藤英美里 三森すずこ
    倉口 桃 白石涼子 後藤沙緒里 竹達彩奈 悠木碧

 


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