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■2013/04/18 (Thu)
シリーズアニメ■
「ほら。餅じゃなくて団子だけど」
パックには団子が二つ載せられていた。
「わぁーい!」
ゆずこが元気な声をあげてバンザイ。ゆかりはおしとやかに手を一度叩く程度に留めた。
でも私はちょっと溜め息をこぼす。さっき本屋で漫画を買ったばかり。なのに2人にせがまれて団子を買っちゃった。でも、二人の喜ぶ姿が見られたから、まあいいか。
3人でお店の前のベンチに座る。ゆずことゆかりはさっそく団子を食べ始めている。
「おいしー」
「うん。それにお餅って腹持ちがいいよねー」
二人が満足げに感想を漏らしている。
すると、ゆずこがはっと気付いたように、団子でゆかりを指した。
「おもち……だけに」
なぜか低く重い声で、団子を持つ手が震えていた。
「いえーい!」
満足だったらしく、ゆずことゆかりがハイタッチ。
「お前らアホだろ!」
私の突っ込む声をそよ風のごとく受け流して、ゆずことゆかりはまた団子を食べ始めた。
私は、本を入れた紙袋の封を開けて、ちょっと中を覗く。ここで読んじゃおうかな? いや、団子一つだしすぐに食べ終わっちゃうか。
と、ゆずこが私を覗き込むようにしてじっと見ていた。
「なに?」
「ねーゆいちゃん。ほっぺにちゅーしていい?」
お弁当のおかずをおねだりするように、ゆずこは言った。
「はあ、やだよ!」
でも私は大慌て。思わず顔をのけぞらせてしまう。
「ええ、なんで!」
私の拒否が予想外だったらしく、ゆずこが声を上げた。
「なんでもなにも……」
どうしよう、どう言い返せばいいんだろう。私は恥ずかしくてうつむいてしまう。
すると、ゆずこは急に立ち上がった。
「じゃあおっぱい揉ませて!」
「なんで難易度あげてくるんだよ!」
ゆずこは思いっきり言葉に力を込める。私は同じ勢いで、怒鳴って返した。
それで満足だったらしく、ゆずこはいつもの柔らかい笑顔に戻ってベンチに座った。串に残った団子を、口の中にぱくっと入れる。
「あ。ゆずちゃん、ついてる」
するとゆかりが自分の頬を指して言った。
ゆずこは、あっと指で自分の頬を触ろうとしたが、何か思いついたみたいに引っ込めた。それから、私の側へすすすと近寄ってきて、
「ゆいちゃん。ぺろって取って」
私を覗き込んで、頬を差し出してくる。
「ちょ!」
「ゆずちゃんずるい~」
ゆかりが笑顔のまま私に顔を寄せてくる。
「ぺろって。ぺろってして~」
「手で拭け!」
私はベンチの端っこへ下がる。
でもゆずこが体を寄せて迫ってくる。そんなゆずこの体にもたれかかって、ゆかりまでも迫ってきた。
「ぺろがいいです~」
ゆずこが甘ったるい声で懇願してきた。
どうすりゃいいんだよ。
何とも言えず、個性的なバランス感覚でキャラクターが描かれている。
とりあえず、顔を10等分にしてみた(左の画像はクリックすると拡大する)(ゆかりを取り上げたのは、笑顔の時の目のラインに特徴が出るから)。1番上の線を0%として、前髪の生え際が描かれているのが10%のところである。眉毛は20%のところ。目の上端は40%のところよりやや上から、思い切って縦に長く、下端は60%~70%のちょうど中間辺り。目のラインはくっきりと強調され、必ず前髪のラインの上に被る。口は一番下で、開くと顎の輪郭線に接する。
可愛い顔を描く時は、目を下の方に大きく描き、頭を大きくする。これは子供の顔や猫の顔から観察して割り出されたセオリーである。しかし『ゆゆ式』は目の位置は中間ラインよりかなり上。髪の生え際のラインとなると、頭の上輪郭線とほぼ接する位置であり、反対に口の位置は下顎のラインと完全に接してしまっている。
もっとも、『ゆゆ式』に限らず昨今のアニメ界隈では“美少女の描き方”にかなりの変動が現れてきている。顔全体に対する顔面領域が大きく、生え際は上の方へ追いやられ、そのぶん目や鼻や口の領域が大きく作られている。目は大きく描かれ、鼻や口はそれなりの距離を作ってある程度のゆとりを持って配置されている。可愛いキャラクターを描く時は、目を中間ラインより下へ、というセオリーはそろそろ過去のものになりつつある。
ただ『ゆゆ式』の描き方は、そういった中でも突き抜けてしまっている。従来のセオリーから完全に外れる描き方で、それでいてちゃんとキャラクターが“可愛い”と感じられる。
このバランス感覚の発見が、作者三上小又の一つの功績であり、この個性はそれだけで名刺になり得るものである。
映像はゆい、ゆずこ、ゆかりの3人を中心においてすっきりとまとめられている。背景は輪郭線がくっきりと描かれているものの、色彩は淡く、ロングサイズになると全体が描写されずところどころ白くディティールが飛ばされてある。モブはゆいたちと同居するときはシンプルなラインで、グレー一色でまとめられている。
中心に立っているゆいたちも構図の中心でありながら、色彩は淡く柔らかい。落ち着いた雰囲気のある色彩感覚である。
キャラクターの線は、もちろんかなりデフォルメされ最小限のラインのみが選択されて描かれているが、部分的に実在的な肉体感覚を思わせる瞬間がある。よく見られるのが手の描き方。指の一つ一つの肉付きの柔らかさや、微妙な角度で変わるフォルムの違いなど、デフォルメでありながらパターン化された描写に陥らずにしっかりと描いている。
映像の特徴的な部分と言えば、フェティッシュなものを感じさせるクローズアップの多用だ。足や指先、セーラー服の裾からちらと見えるへそなど。物語の進行に特に効果を持たない描写でありながら、執拗に描写される。あからさまにフェティッシュな描写だが、ただただ同性から見た可愛らしさを追いかけだけで、性的な感覚からずっと遠く、むしろ心地よい気持ちを後に残してくれる。
物語の中心にいるのはゆい、ゆずこ、ゆかりの3人。物語の中身と言えば、ただただひたすら、この3人の過剰とも言えるスキンシップが延々続くだけである。
その触れ方が、ただ触るとか抱きつくといったものではなく、身体が強く意識されている。第1話ではゆいのおさげを、ゆずことゆかりが弄って遊ぶ場面が描かれている。おさげといったキャラクターの特徴を引っ張り出して弄る場面は珍しいし、またその時の身体の描き方に実在感があるために表面的に弄っている感じではなく、ちょっとした生々しさがそこにある。
もちろんそこに性的なやらしさはどこにもない。女の子同士の目線で、ただただお互いが「可愛い」。可愛いから触りたいし愛でたい。お互いのことがすごく好き。それでいてキャラクターのやりとりにも映像にも性的な視線がまったく感じられない。おっぱいを触っても、恥ずかしいけど性的な意思はなく、ただそこにある実在を感じていたいから。手を触ったりおさげを弄ったりする行為からもう少しハードルが高いだけで、あくまでもスキンシップの一つ、性的ではない愛でたいという感情の一様でしかないのだ。
『ゆゆ式』のキャラクターは見ての通り、かなり個性的なバランス感覚で描かれている。生え際は極端に上、目は極端に大きく、口は極端に下。思い切った、というよりある種の突き抜けたバランス感覚で描かれるが、それでもキャラクター達は可愛いと感じられる不思議なフォルムだ。おそらく、作者自身もこのバランスを発見した時、「あ、可愛い」と気付いただろう。いや、「可愛い」と思わなかったら、このスタイルを突き詰めて名刺代わりの「自分の絵」にしようとは思わないはずだ。
「この子たちが可愛い」そういう思いが、そのまま作品に反映され、キャラクター達に仮託され、お互いでキャラクターを愛で合う。
「この子たちが好き」
混じりもののない「この子たちが好き」という純度の高さが、作品をほほえましい少女のスキンシップの物語にしているし、映像化も原作の意思をよくよく汲み取って、フェティッシュでありながら性的な臭いはまったくさせずにある種の無邪気さを感じさせるくらいのおだやかな少女達の物語にしている。
何となく心地いい気持ちになる作品である。
映像には柔らかいぬくもりが行き届いているし、笑いはあってもささやかに添えられるだけ。フェティッシュな画像が連続するが、見ている者を動揺させるような性的な強烈さはなく、そこにあるのはただお互いが「可愛い」という気持ちだけ。3人固まっていて、いつも一緒にいられて楽しい、そういう気持ちだけである。
見ている者の心情を激しく揺さぶるものは何もない。ただこの子たちが無邪気にスキンシップする姿がほほえましい。それだけの物語だけど、映像全体に張り巡らされたお互いを愛でたいというぬくもりが、作品を受容的な優しさに満たしている。
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■ 第3話の感想
■ 第4話の感想
作品データ
監督:かおり 原作:三上小又
シリーズ構成:高橋ナツコ キャラクターデザイン:田畑壽
メインアニメーター:まじろ・小嶋慶祐 美術監督:加藤浩
色彩設計:水田信子 音響監督:明田川仁
撮影監督:若林優 編集:須藤瞳
アニメーション制作:キネマシトラス
出演:大久保瑠美 津田美波 種田梨沙
堀江由衣 茅野愛衣 潘めぐみ 清水茉菜
パックには団子が二つ載せられていた。
「わぁーい!」
ゆずこが元気な声をあげてバンザイ。ゆかりはおしとやかに手を一度叩く程度に留めた。
でも私はちょっと溜め息をこぼす。さっき本屋で漫画を買ったばかり。なのに2人にせがまれて団子を買っちゃった。でも、二人の喜ぶ姿が見られたから、まあいいか。
3人でお店の前のベンチに座る。ゆずことゆかりはさっそく団子を食べ始めている。
「おいしー」
「うん。それにお餅って腹持ちがいいよねー」
二人が満足げに感想を漏らしている。
すると、ゆずこがはっと気付いたように、団子でゆかりを指した。
「おもち……だけに」
なぜか低く重い声で、団子を持つ手が震えていた。
「いえーい!」
満足だったらしく、ゆずことゆかりがハイタッチ。
「お前らアホだろ!」
私の突っ込む声をそよ風のごとく受け流して、ゆずことゆかりはまた団子を食べ始めた。
私は、本を入れた紙袋の封を開けて、ちょっと中を覗く。ここで読んじゃおうかな? いや、団子一つだしすぐに食べ終わっちゃうか。
と、ゆずこが私を覗き込むようにしてじっと見ていた。
「なに?」
「ねーゆいちゃん。ほっぺにちゅーしていい?」
お弁当のおかずをおねだりするように、ゆずこは言った。
「はあ、やだよ!」
でも私は大慌て。思わず顔をのけぞらせてしまう。
「ええ、なんで!」
私の拒否が予想外だったらしく、ゆずこが声を上げた。
「なんでもなにも……」
どうしよう、どう言い返せばいいんだろう。私は恥ずかしくてうつむいてしまう。
すると、ゆずこは急に立ち上がった。
「じゃあおっぱい揉ませて!」
「なんで難易度あげてくるんだよ!」
ゆずこは思いっきり言葉に力を込める。私は同じ勢いで、怒鳴って返した。
それで満足だったらしく、ゆずこはいつもの柔らかい笑顔に戻ってベンチに座った。串に残った団子を、口の中にぱくっと入れる。
「あ。ゆずちゃん、ついてる」
するとゆかりが自分の頬を指して言った。
ゆずこは、あっと指で自分の頬を触ろうとしたが、何か思いついたみたいに引っ込めた。それから、私の側へすすすと近寄ってきて、
「ゆいちゃん。ぺろって取って」
私を覗き込んで、頬を差し出してくる。
「ちょ!」
「ゆずちゃんずるい~」
ゆかりが笑顔のまま私に顔を寄せてくる。
「ぺろって。ぺろってして~」
「手で拭け!」
私はベンチの端っこへ下がる。
でもゆずこが体を寄せて迫ってくる。そんなゆずこの体にもたれかかって、ゆかりまでも迫ってきた。
「ぺろがいいです~」
ゆずこが甘ったるい声で懇願してきた。
どうすりゃいいんだよ。
何とも言えず、個性的なバランス感覚でキャラクターが描かれている。
とりあえず、顔を10等分にしてみた(左の画像はクリックすると拡大する)(ゆかりを取り上げたのは、笑顔の時の目のラインに特徴が出るから)。1番上の線を0%として、前髪の生え際が描かれているのが10%のところである。眉毛は20%のところ。目の上端は40%のところよりやや上から、思い切って縦に長く、下端は60%~70%のちょうど中間辺り。目のラインはくっきりと強調され、必ず前髪のラインの上に被る。口は一番下で、開くと顎の輪郭線に接する。
可愛い顔を描く時は、目を下の方に大きく描き、頭を大きくする。これは子供の顔や猫の顔から観察して割り出されたセオリーである。しかし『ゆゆ式』は目の位置は中間ラインよりかなり上。髪の生え際のラインとなると、頭の上輪郭線とほぼ接する位置であり、反対に口の位置は下顎のラインと完全に接してしまっている。
もっとも、『ゆゆ式』に限らず昨今のアニメ界隈では“美少女の描き方”にかなりの変動が現れてきている。顔全体に対する顔面領域が大きく、生え際は上の方へ追いやられ、そのぶん目や鼻や口の領域が大きく作られている。目は大きく描かれ、鼻や口はそれなりの距離を作ってある程度のゆとりを持って配置されている。可愛いキャラクターを描く時は、目を中間ラインより下へ、というセオリーはそろそろ過去のものになりつつある。
ただ『ゆゆ式』の描き方は、そういった中でも突き抜けてしまっている。従来のセオリーから完全に外れる描き方で、それでいてちゃんとキャラクターが“可愛い”と感じられる。
このバランス感覚の発見が、作者三上小又の一つの功績であり、この個性はそれだけで名刺になり得るものである。
映像はゆい、ゆずこ、ゆかりの3人を中心においてすっきりとまとめられている。背景は輪郭線がくっきりと描かれているものの、色彩は淡く、ロングサイズになると全体が描写されずところどころ白くディティールが飛ばされてある。モブはゆいたちと同居するときはシンプルなラインで、グレー一色でまとめられている。
中心に立っているゆいたちも構図の中心でありながら、色彩は淡く柔らかい。落ち着いた雰囲気のある色彩感覚である。
キャラクターの線は、もちろんかなりデフォルメされ最小限のラインのみが選択されて描かれているが、部分的に実在的な肉体感覚を思わせる瞬間がある。よく見られるのが手の描き方。指の一つ一つの肉付きの柔らかさや、微妙な角度で変わるフォルムの違いなど、デフォルメでありながらパターン化された描写に陥らずにしっかりと描いている。
映像の特徴的な部分と言えば、フェティッシュなものを感じさせるクローズアップの多用だ。足や指先、セーラー服の裾からちらと見えるへそなど。物語の進行に特に効果を持たない描写でありながら、執拗に描写される。あからさまにフェティッシュな描写だが、ただただ同性から見た可愛らしさを追いかけだけで、性的な感覚からずっと遠く、むしろ心地よい気持ちを後に残してくれる。
物語の中心にいるのはゆい、ゆずこ、ゆかりの3人。物語の中身と言えば、ただただひたすら、この3人の過剰とも言えるスキンシップが延々続くだけである。
その触れ方が、ただ触るとか抱きつくといったものではなく、身体が強く意識されている。第1話ではゆいのおさげを、ゆずことゆかりが弄って遊ぶ場面が描かれている。おさげといったキャラクターの特徴を引っ張り出して弄る場面は珍しいし、またその時の身体の描き方に実在感があるために表面的に弄っている感じではなく、ちょっとした生々しさがそこにある。
もちろんそこに性的なやらしさはどこにもない。女の子同士の目線で、ただただお互いが「可愛い」。可愛いから触りたいし愛でたい。お互いのことがすごく好き。それでいてキャラクターのやりとりにも映像にも性的な視線がまったく感じられない。おっぱいを触っても、恥ずかしいけど性的な意思はなく、ただそこにある実在を感じていたいから。手を触ったりおさげを弄ったりする行為からもう少しハードルが高いだけで、あくまでもスキンシップの一つ、性的ではない愛でたいという感情の一様でしかないのだ。
『ゆゆ式』のキャラクターは見ての通り、かなり個性的なバランス感覚で描かれている。生え際は極端に上、目は極端に大きく、口は極端に下。思い切った、というよりある種の突き抜けたバランス感覚で描かれるが、それでもキャラクター達は可愛いと感じられる不思議なフォルムだ。おそらく、作者自身もこのバランスを発見した時、「あ、可愛い」と気付いただろう。いや、「可愛い」と思わなかったら、このスタイルを突き詰めて名刺代わりの「自分の絵」にしようとは思わないはずだ。
「この子たちが可愛い」そういう思いが、そのまま作品に反映され、キャラクター達に仮託され、お互いでキャラクターを愛で合う。
「この子たちが好き」
混じりもののない「この子たちが好き」という純度の高さが、作品をほほえましい少女のスキンシップの物語にしているし、映像化も原作の意思をよくよく汲み取って、フェティッシュでありながら性的な臭いはまったくさせずにある種の無邪気さを感じさせるくらいのおだやかな少女達の物語にしている。
何となく心地いい気持ちになる作品である。
映像には柔らかいぬくもりが行き届いているし、笑いはあってもささやかに添えられるだけ。フェティッシュな画像が連続するが、見ている者を動揺させるような性的な強烈さはなく、そこにあるのはただお互いが「可愛い」という気持ちだけ。3人固まっていて、いつも一緒にいられて楽しい、そういう気持ちだけである。
見ている者の心情を激しく揺さぶるものは何もない。ただこの子たちが無邪気にスキンシップする姿がほほえましい。それだけの物語だけど、映像全体に張り巡らされたお互いを愛でたいというぬくもりが、作品を受容的な優しさに満たしている。
次の記事
■ 第3話の感想
■ 第4話の感想
作品データ
監督:かおり 原作:三上小又
シリーズ構成:高橋ナツコ キャラクターデザイン:田畑壽
メインアニメーター:まじろ・小嶋慶祐 美術監督:加藤浩
色彩設計:水田信子 音響監督:明田川仁
撮影監督:若林優 編集:須藤瞳
アニメーション制作:キネマシトラス
出演:大久保瑠美 津田美波 種田梨沙
堀江由衣 茅野愛衣 潘めぐみ 清水茉菜
YouTube:ACE2013PV
ニコニコ動画:ゆゆ式 第1話「高校生になりました」
ニコニコ動画:ゆゆ式 第1話「高校生になりました」
おまけ!
第1話冒頭のカット。何気ないけど手の描き方。もちろん絵全体がデフォルメされた線で描かれているのだけど、手の描き方が一つのキーとなって、キャラクターに存在感を与えている。
本屋で警報器が鳴り、手を一杯に挙げるゆずこ。へそがちらり。
他の場面を見てわかるように、この制服の冬服は丈がだいぶ長い。見えるはずがないが、それでもおへそを見せたい、本筋から離れてクローズアップまでしてみせるところに演出家の意思の強さを感じる。
やはりこの手。手の描き方。省略された線だけど、きちんと形が捉えられている。キャラクターのアクションや、声優の演技があるけど、接触する瞬間のこの手の描き方があるから実在的なものを感じさせる。
ブログ本文中にある、おさげを弄って遊ぶ場面。キャラクターをうまく動かして、おさげがふわりと頭に乗っている感じがうまく出ている。ゆずことゆかりの姿勢の崩し方も重心位置がしっかり捉えられている。
松本頼子の足のクローズアップ。妙に肉付きがしっかり描かれている。
他の場面を見てわかるように、足がクローズアップされることが多い。また、足の動きはクローズアップで描くと、3コマ撮りだと動きが飛んで見えてしまうため、フルコマで描かれている。
椅子に座るゆずこ。椅子にぺたんと座った瞬間の、ささやかなスカートのなびき。ちゃんと下方向からスカートの中に空気が入った、という感覚がうまく描けている。もちろん、他と同じように物語を作る上で必要なカットではないのだけど、「どうしてもこの瞬間の、この動画が描きたかった」という演出家の意思が率直に現れている。
第2話冒頭。「なんつってつっちゃった」たかがそれだけのことなのに、異様にテンションが上がってしまう。しかしギャグではない(というより、この作品はギャグらしいギャグはまったく描いていない)。この子たちがおおはしゃぎして楽しんでいる空気に、気持ちを合わせたい場面だ。
おっぱい! 妙におっぱいにこだわる作品だが、性的なやらしさを回避している。あくまで少々度の過ぎたスキンシップ、程度の描写にとどまっているところが良い。
えらく誇張された松本頼子のおっぱい。実在感はあるけど、描写や行為にやはりやらしさは感じない。あくまでも無邪気な意思でのやりとり。
ホワイトボードに書かれた「私もスキー」。お互いが好きで、愛でていたい。ある種、作品の象徴的なシーンにも思えた。
第2話Bパートの後半。制服が夏服に切り替わる最初の場面。なぜかこの作品でもっともフェティッシュに感じられた一連のシーン。クローズアップの区切りとり方に秘密があるのだろうか。
「おさげのなかに入りたい……」と言うゆかり。この時の何気ない手の仕草。女の子が無意識にやりがちな仕草を、うまく捉えて再現している。
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