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■2009/09/06 (Sun)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P047 第5章 ドラコニアの屋敷


私は茫然と連れて行かれる糸色先生を見ていた。一瞬、何の考えが浮かばなかった。でも、糸色先生が垣根の向うに消えかけた途端、私は衝動的に飛び出していた。
女刑事が私の腕を掴んで、引きとめようとした。でも、千里やまといも同時に駆け出した。女刑事はみんなを止めようと手を伸ばすが、バランスを失って倒れてしまった。
私は外の道路に飛び出した。広くもない道路に、警察の車が一杯に停車していた。警光灯のランプが回転して、暗くなりかける通りに赤い光を投げかけている。通りの左右が黄色のロープで封鎖されていて、見張りの私服警官が立っていた。そのロープの向うに、野次馬が集って私たちを見ていた。
「糸色先生!」
私は糸色先生の姿を探して声をかけた。糸色先生は白黒パトカーの後部座席に入るところだった。
だけどその時、急に周囲の空気が変わった。通りを包んでいたざわめきが、低いささやきに変わった。警察の人たちが、みんな同じ方向を向いて、胸をそらして敬礼した。
私は、警察の人たちが敬礼を送る方向を振り向いた。男が制服警官に促されて、ロープを越えて入ってくる瞬間だった。
しかし、男はどう見ても警察関係者には見えなかった。
背が高く、細く痩せた体型。少し長めの髪は、後ろに流している。少し前頭部が薄くなりかけていた。それから、なにかの式典の後のように、男は黒の燕尾服姿だった。
「お前は……男爵!」
糸色先生が驚愕に凍りついた声をあげた。
「なにやら騒がしいと思ったら、君かね。まさか、こんなところで再会するとはね」
男爵と呼ばれた男は、悠然と杖をついて歩いていた。低く呟くようだったけど、よく通る声だった。
「男爵、どうしてここに。お前は刑務所に送り届けたはず」
糸色先生は男爵を振り向いて、一歩前に進み出た。
「仮釈放になったのだよ。私は温和で素行優良な紳士だからね。むしろ、不当逮捕もいいところだったからな。しかし、君の女グセの悪さは相変わらずのようだね。教職に就いたとは聞いていたが、何人いるのかね? 警部補殿。後でそちらの少女たちから、詳しく事情聴取することをお勧めするよ」
男爵は皺の多い顔をにやりとさせて、私たちを杖で指した。
「勝手なこと言わないで! 糸色先生は誠実な人です!」
私は一歩踏み出して男爵に怒鳴りつけた。一緒に飛び出してきた女の子たちがみんな頷いた。
「信頼されているようだね。羨ましいことだ。優秀な人間には、後継者を育てる義務があるからね」
男爵が私を振り返った。萎れかけた老人の目、ではなかった。男爵の目は異様に強く、魔術的な何かで私を強引に鷲掴みにするようだった。私はそんな目線に、かつて感じた経験のない冷たい戦慄を感じて、ふらふらと後ろに下がって目を逸らした。
「男爵……。これはあなたの罠ですか」
糸色先生が毅然とした声で男爵に訊ねた。
「さて、何のことやら。一応言っておくが、私は正直な人間だ。この件に関しても、私は一切関知していない。ついでに宣言しておこう。君がどんなに知恵を絞ろうとも、君は私に危害を加えられない。君は私に手を触れられないというルールの中で、出口の見付からない迷路を延々彷徨い続けるだろう」
男爵は糸色先生を真直ぐに向いて、静かだが決定的と思える断言をした。
糸色先生はそれに対抗するように、男爵を指でさした。
「ならば私も宣言しましょう。男爵、私はあなたを止めてみます。あのときのように。どんな罠も潜り抜けて」
糸色先生は今までにない強い調子で男爵に言葉を叩き付けた。だけど、男爵は鼻で笑って、糸色先生の言葉を受け流した。
「そういうことは裁判が終ってから言え! もっと言えば刑期を終えて充分反省してから言え! 手錠掛けられたくなかったら、さっさとパトカーに乗れ!」
警部補が糸色先生を怒鳴りつけて、その背中を掴んで無理矢理パトカーの後部座席に押し込んだ。警部補が後部座席の扉を閉じると、すぐにパトカーが出発した。

次回 P048 第5章 ドラコニアの屋敷6 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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