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■2009/09/12 (Sat)
映画:日本映画■
はるかな天上から、天使がふわりと舞い降りてきた。
少女は、天使の姿をしていて、翼を背負っていた。
天使ははてしなく続く街と、その中でもがく人々を見下ろして、静かに、優しげに微笑む。
確かに深田恭子には年齢不詳のイメージがある。深田恭子自身が持っている特性をすくいあげ、天使という通俗的イメージに当てはめて作った作品だ。
コンビニ店員のカトウ。
シングルファザーの吉川。
クラスメイトから仲間はずれにされている瑞穂。
誰もが困難や葛藤を抱えて、言葉にならない苦悩を抱えている。
社会は、すべての人間にカテゴライズされた立場が与えられている。
だが彼らを取り巻く社会は、その人間の参加を承認していない。
ただ「立場」が与えられただけであって、その人間であることは求められず、堅牢なる社会構造の一端であることだけが求められている。
個人としてのアイデンティティすら社会の一部に飲み込まれ、個人としての必要を喪失した現代。
そうした時代の中で展開する葛藤と苦悩の物語。
現代にありがちなテーマの選択だ。
異論はあると思うが、デジタルこそ作家の飛躍したイメージを具現化するツールである。デジタルを使い、どんな作家独自の飛躍したイメージを刻印できるか。だが映画『天使』は通俗的イメージを決して越えない、凡庸な作品に止まった。
映画としては、陳腐極まりない作品だ。
登場人物が非常に多く、様々な状況が同時進行で描かれる。
だが、映画としての厚みはまったく感じられない。
テレビドラマで見るようなコミック的感覚をなにひとつ増強せず、劇場用カメラで撮影しただけの作品だ。
天使の姿にしても、作家独自のイマジナリィはなく、いかにも通俗的なイメージをなぞっただけだ。
宮坂まゆみの作家としての主体性は一片のない、発見を見出せない作品だ。
表現者としての基本ルールは、一度なんらかのメディアに使用された表現は『文法』として定着するまで再使用禁止である。作家が気にしなくても、周囲が「パクリだ!」「平凡だ」と糾弾するだろう。だが『天使』は何もかもが通俗的イメージだけで描かれた。それにおそらく監督も原作者も実社会での労働経験がないのだろう。どの瞬間にも厚みはなく、日常の描写すら親しみをもてない。
深田恭子を中心に置いたアイドル映画である。
深田恭子自身の魅力をいかに引き出し、増幅させられるかが、この映画の狙いだ。
天使の扮装をした深田恭子が、自由に飛び交い、言葉なく微笑む。
深田恭子は、はっきりと大人の女性だが、どこか少女的な幼さが漂う。
白い衣を身に纏った姿は、穢れなき存在を的確に具現化している。
深田恭子のために製作された映画であり、深田恭子に魅力を感じさせられるかがすべての作品だ。
もし、そこに陶酔的魅力を発見できれば、映画『天使』は成功したといえるだろう。
映画記事一覧
作品データ
監督:宮坂まゆみ 原作:桜沢エリカ
音楽:吉俣良 脚本:奥寺佐渡子
出演:深田恭子 永作博美 永瀬正敏 内田朝陽
〇〇〇佐藤めぐみ 小出早織 西田尚美 鰐淵晴子
〇〇〇大竹佑季 小林明実 森迫永依 泉谷しげる
少女は、天使の姿をしていて、翼を背負っていた。
天使ははてしなく続く街と、その中でもがく人々を見下ろして、静かに、優しげに微笑む。
確かに深田恭子には年齢不詳のイメージがある。深田恭子自身が持っている特性をすくいあげ、天使という通俗的イメージに当てはめて作った作品だ。
コンビニ店員のカトウ。
シングルファザーの吉川。
クラスメイトから仲間はずれにされている瑞穂。
誰もが困難や葛藤を抱えて、言葉にならない苦悩を抱えている。
社会は、すべての人間にカテゴライズされた立場が与えられている。
だが彼らを取り巻く社会は、その人間の参加を承認していない。
ただ「立場」が与えられただけであって、その人間であることは求められず、堅牢なる社会構造の一端であることだけが求められている。
個人としてのアイデンティティすら社会の一部に飲み込まれ、個人としての必要を喪失した現代。
そうした時代の中で展開する葛藤と苦悩の物語。
現代にありがちなテーマの選択だ。
異論はあると思うが、デジタルこそ作家の飛躍したイメージを具現化するツールである。デジタルを使い、どんな作家独自の飛躍したイメージを刻印できるか。だが映画『天使』は通俗的イメージを決して越えない、凡庸な作品に止まった。
映画としては、陳腐極まりない作品だ。
登場人物が非常に多く、様々な状況が同時進行で描かれる。
だが、映画としての厚みはまったく感じられない。
テレビドラマで見るようなコミック的感覚をなにひとつ増強せず、劇場用カメラで撮影しただけの作品だ。
天使の姿にしても、作家独自のイマジナリィはなく、いかにも通俗的なイメージをなぞっただけだ。
宮坂まゆみの作家としての主体性は一片のない、発見を見出せない作品だ。
表現者としての基本ルールは、一度なんらかのメディアに使用された表現は『文法』として定着するまで再使用禁止である。作家が気にしなくても、周囲が「パクリだ!」「平凡だ」と糾弾するだろう。だが『天使』は何もかもが通俗的イメージだけで描かれた。それにおそらく監督も原作者も実社会での労働経験がないのだろう。どの瞬間にも厚みはなく、日常の描写すら親しみをもてない。
深田恭子を中心に置いたアイドル映画である。
深田恭子自身の魅力をいかに引き出し、増幅させられるかが、この映画の狙いだ。
天使の扮装をした深田恭子が、自由に飛び交い、言葉なく微笑む。
深田恭子は、はっきりと大人の女性だが、どこか少女的な幼さが漂う。
白い衣を身に纏った姿は、穢れなき存在を的確に具現化している。
深田恭子のために製作された映画であり、深田恭子に魅力を感じさせられるかがすべての作品だ。
もし、そこに陶酔的魅力を発見できれば、映画『天使』は成功したといえるだろう。
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作品データ
監督:宮坂まゆみ 原作:桜沢エリカ
音楽:吉俣良 脚本:奥寺佐渡子
出演:深田恭子 永作博美 永瀬正敏 内田朝陽
〇〇〇佐藤めぐみ 小出早織 西田尚美 鰐淵晴子
〇〇〇大竹佑季 小林明実 森迫永依 泉谷しげる
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