忍者ブログ

89c79c73.png
■ コンテンツ ■

ad17d9bc.png 2f3a1677.png c1a81a80.png 9452a147.png 5350f79a.png 01b9b1e8.png 29aa8305.png d5525adf.png 0e6a6cf4.png b76ca7e7.png fea5d7ae.png
■ Twitter ■

■ ブログランキング

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
■ ショップ

DMM.com DVD通販、レンタルなどの総合サイト
■2024/03/29 (Fri)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

にほんブログ村 アニメブログへ
■ [1037]  [1036]  [1035]  [1034]  [1033]  [1032]  [1031]  [1030]  [1029]  [1028]  [1027]  ■


■2016/01/13 (Wed)
第5章 Art Crime

前回を読む

24
 ツグミは外の風景を見ようとは思わなかった。堅気ではない男が、じっとツグミを見ている。ツグミは怖くて、リュックを盾のつもりで抱きしめて、体を小さく縮めた。
 足が震えて止まらなかった。脇の下に汗が染み出してくる。寒いところに飛び出したみたいに、呼吸が震えた。
「貸金庫の中に、何が入っていた」
 しばらくして、宮川が切り出した。ツグミは、ビクッと宮川を振り返った。
「別に。……貯金、していました」
 消え入りそうな声で、首を横に振った。
 宮川は組んでいた足をさっと戻し、ツグミに顔を寄せた。
「嘘は言わないほうがいい。君は2日前、倉敷に行った。そこで1枚の絵画を受け取った。絵画の中から、貸金庫のカードを手に入れた。自分たちだけの秘密のつもりか? 我々はぜんぶ知っている。ついさっきまで、君には尾行が付いていた。もう1度聞く。貸金庫に、何が、入っていた?」
 静かに、ゆっくりと、一語一語に脅しが込められていた。
 ツグミは怖くて、さらに座席の隅に逃れようとした。しかし、それ以上に下がれる場所はなかった。空気が急に薄くなったみたいに、浅く呼吸をしていた。恐怖に耐え切れず、泣いてしまいそうだった。
 ちらと隣に座る大男に目を向けた。サングラス越しに、異様にギラギラした目をツグミに向けていた。
 誰も助けてくれない。心が挫けそうだった。ツグミは諦めて、コートの左ポケットに手を入れた。震える指先が、『それ』を握る。
 ツグミは1度間を置いて、宮川と大男を見た。2人は一様に、目で「早くしろ」と急き立てていた。
 ツグミはゆっくりと宮川の前に手を差し出し、開いて見せた。百円のライターだった。
「何だ、これは?」
 宮川は苛ついた顔で、ツグミを睨み付けた。
 ツグミはその一睨みだけで、全身にゾッと寒気が走るのを感じた。手を出したままの格好で、動けなくなってしまった。
 ツグミが答えないでいると、宮川はもう1度、百円ライターに目を向けた。それで、何かに気付いたように、眉間に皺を寄せた。
「燃やしたな」
 確認するように、宮川がツグミを睨む。
 ツグミは口を開くが、声が出なかった。その代わりに、小さく頷いた。
 貸金庫に入っていたのは1号の絵は、トイレに持っていって、即座に燃やした。百円ライターと一緒に入れてあったのは、そうしろという指示だ、と解釈した。
 突然に、宮川がツグミを殴った。ツグミの左顔面に拳がぶつかる。巨大な鉄塊みたいだった。
 ツグミは窓に体をぶつけて、一瞬、くらっと意識が暗転しかけた。手に持っていたライターが、どこかに吹っ飛んでしまう。
 すぐに痛みは来なかったが、顔の左側を押えた。ショックがあまりにも大きくて、涙がぽろぽろとこぼれた。

次回を読む

目次

※ 物語中に登場する美術家、美術作品、美術用語はすべて空想のものです。

拍手[0回]

PR
にほんブログ村 アニメブログへ
■ [1037]  [1036]  [1035]  [1034]  [1033]  [1032]  [1031]  [1030]  [1029]  [1028]  [1027]  ■


■ ブログの解説 ■

漫画・アニメ・キャラクターを中心に取り扱うブログです。 読みたい記事は、左の目次からお探しください。

QLOOKアクセス解析


■ ブログ内検索  ■

私が描きました!

アマゾンショップ

アマゾンのサイトに飛びます
フィギュア

アニメDVD

新刊コミック

ゲーム

ライトノベル

楽天

アマゾン<シャッフル>ショップ

私が描きました!

Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]