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■2009/03/01 (Sun)

24d233e2.jpgいつもの5人組が、リアル鬼ごっこに夢中になっていた。
路上を走り、公園を横切り、町に舞台を移して、いつのまにか知らない路地裏に踏み込んでいっていた。
すると、急に町の喧騒が遠ざかって沈黙が漂った。周囲は高いビルに取り囲まれて陰を落としている。
そんな場所に、ひっそりと映画館が立っていた。
『カスカベ座』
こんな人なんて誰も来そうにない場所に、どうして映画館が?
疑問に思うより先に、しんのすけたちは好奇心と冒険心に胸躍らせて、映画館の中に入ってしまう。
c996c5e9.jpgeebf7f29.jpgの気配は全くないのに、映写機はカタカタと動き続けている。不気味な雰囲気だが、子供の冒険心が優る。皆で一緒に映画をみていたが、ふと気付くと、しんのすけ一人になっていた。しんのすけは、皆が先に帰ったと思い込む。
一人きりで家に帰っていくしんのすけ。もうすっかり夜が遅くなっていた。
しかし、他の子供たちがまだ映画館から帰ってきていない。
映画館の中で、子供たちが消えてしまった。
しんのすけは、ひろしとみさえを引き連れて、再び映画館へと向かった。
b0d22b82.jpge64a754a.jpg映画の世界に入ってしまうと、日常での記憶は消えてしまう。子供たちはすでに映画の世界に取り込まれていて、日常の記憶をなくしてしまう。日常を忘れるのも映画の魔力の一つだ。

子供たちは、夢中で遊んでいるうちに、不可思議なアウターゾーンへと踏み込んでいく。
子供の頃には、そういう体験がしばしばある。
遊びで夢中になって駆け回っているうちに、いつも決して行かない、入ってはいけない場所に入ってしまう。
そこで、思いがけない何かを発見する。
現実ではない、異世界への扉。
すぐに帰らなくちゃいけない。
でも、もう帰り方がわからない。異世界の空気はあまりにも魅力的で、帰ろうとしても子供の心を捉え、いつのまにか異世界の住人にしてしまう。
細くて暗い路地の向こう。
そんな場所にある映画館は、もしやアウターゾーンかもしれない。
916a4cfa.jpg04c8e2cb.jpg西部劇世界に登場する人物たちは、皆どこかで見た顔ばかり。マニアなら、にやりとさせる場面が多い。子供より、大人を夢中にさせてしまう『クレヨンしんちゃん』らしい。

『クレヨンしんちゃん』の劇場シリーズといえば、毎回、不可解でシュールな異世界が登場する。
今回の主要な舞台は、もっと現実的な映画館であり、《西部劇》の世界観だ。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』ははっきりと《西部劇》であると設定された珍しい作品だ。
ただし、登場人物の大半は“日本人である”と設定している。
完全な《西部劇》ではなく、わざわざ日本人を交えた無国籍映画とするところが、マニアックな『クレヨンしんちゃん』シリーズらしいひねり方だ。
0d536685.jpg左のカットは、どう見ても水野晴郎。映画好きで、映画世界に迷い込んできた、という、あまりにもそのまんまな設定。右のカットは、今作のヒロイン、つばきちゃん。毎回ヒロインには独特のこだわりがあり、今回もなかなかの美少女が登場する。
6bff4d78.jpg

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』での西部劇は、やや特殊である。
はっきりとそこが映画の中であることを強調し、映画の仕組みそのものが解説される。
永遠に繰り返される映画世界。
同じ場面、同じ時間を繰り返す世界。
そう、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』での映画世界は、延々と同じリールを繰り返し続けているのだ。
だから、映画が終わりたくても、決して終われないのだ。
67cf6139.jpg作品としては、他の劇場シリーズよりアクションは少なめ。一方でバイオレンスが多い。いつもの痛快さとは違って、重さのあるドラマを作り出している。ただし、半ばにダレ場があり、やや長い印象がある。ダレ場も本作の特色でもあるが、展開が合理的ではなく、ややマイナス点だ。


毎回、独特な印象を与える『クレヨンしんちゃん』の劇場シリーズだが、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』が与えるインパクトは、その他のシリーズよりもっと独特だし、深い。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』が解説しているのは、映画という魅力、映画の魔力それ自体である。
映画の世界は、途方もなく魅力的だ。スクリーンに映されるカットの隅々までに魔力が込められている。
できれば、この恍惚的な瞬間を永久に続けたいとすら思う。
だが、永久に終わらない映画がもしあったとしたら。しかも、その世界から逃れられなくなったとしたら。
そんな映画がもし存在したら、映画の魔力は悪魔の呪術となって、見る者を無間の地獄の中に取り込んでしまうだろう。
5443857c.jpg映画への愛情がたっぷり詰まった作品。
『クレヨンしんちゃん』の劇場シリーズといえば『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』が圧倒的人気で、本作は陰に隠れやすい。だが、間違いなく傑作映画のひとつだ。



映画とは、いつか終わるものだ。
どんな魅力的な映画も、どんなカリスマ性を帯びた登場人物の人生も、たった2時間でお別れするのが映画だ。
映画には次の展開があり、クライマックスがあり、感動的なエンディングがある。
5fb6b926.jpgだからこそ映画は素晴らしい。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』が語り、表現したのは、映画そのもの魅力だ。
そして、映画への無限の愛情である
そんな魅力的な映画も、やはり2時間で終わり、日常に帰らなければならない。

作品データ
監督:水島努 原作:臼井儀人
音楽:荒川敏行 宮崎慎二 脚本:水島努
絵コンテ:水島努 原恵一
色彩設計:野中幸子 色指定:下浦亜弓
制作:シンエイ動画
出演:矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治
    こおろぎさとみ 真柴摩利 林玉緒
    一龍斎貞友 佐藤智恵 斎藤彩夏
    村松康雄 長嶝高士 宝亀克寿
    玄田哲章 大塚周夫 内海賢二

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■2009/02/24 (Tue)

5ae527be.jpg1999年 東南アジア某国
国連平和維持軍のレイバーが、何者かに襲撃を受けた。
指揮者の柘植は、ただちにモニターで周辺の状況を確認する。すでに、ゲリラ部隊に取り囲まれている。
「ゴングゼロより本部。発砲の許可を要請する」
4e024239.jpg「発砲は許可できない。全力で回避せよ」
「回避不能。本部、聞こえるか!」
しかし、それ以上の応答はない。
レイバー隊を取り囲むゲリラ部隊が、一斉に射撃を開始する。
柘植はなす術もなく、そこから一歩も動けない。レシーバーに、部下達の悲痛な叫びがこだます。
柘植は、命令を無視して衝動的に応戦をする。
やがて、銃撃は収まった。
何もかもが沈黙する。
たった一人きりで生き残った柘植は、損傷したレイバーの中から脱出する。
外では、雨が降っていた。
柘植は周囲を見回す。
あれだけ激しかった戦闘。だが、どこにも戦闘の影は見付からなかった。
06d843a9.jpg
ラーダーを脱出した柘植は、茫然とする。あれだけ激しいと思えた戦闘のあとは、どこにもなかった。
背後には、カンボジアの巨顔遺跡が柘植を見下ろしている。巨顔遺跡は、神の象徴だ。


11b6b23b.jpg4年後。東京。
突如、横浜ベイブリッジがミサイルで爆撃された。
いったい誰が? 何の目的で?
だが、どこからも犯行声明はなく、状況と憶測だけが錯綜する。
そんな最中、一人の男が特車2課の後藤隊長を訪ねていた。
1ed779b6.jpg男は自衛隊陸幕調査別室の荒川と名乗った。自衛隊の内部観察官だ。
荒川は、後藤に今回の事件の首謀者の名を告げ、協力を求めてきた。
事件の中心人物の名は、柘植行人。ベイブリッジ爆破グループの中心人物であり、荒川が全力で捜索する人物であった。
だが、その所在は不明なまま、事件だけが進行していく。
7b97f9ef.jpgモニターの映像が繰り返し描かれる。現実とモニター世界との境界線の危うさを表現する。どちらも危うい現実。荒川は「吹っ飛んだベイブリッジは現実だ」と指摘する。



映画『パトレイバー2』が製作されたのは1993年だ。あれからすでに十数年の時が流れている。
だが、『パトレイバー2』が描く都市の景観は圧巻だ。当時の東京の姿を、とてつもない観察眼で接写している。
映画監督押井守が常に主張し続けてきたことだが、アニメの画面には意図したものしか描かれない。
だから、徹底的に“何か”を描いて、画面を埋めなければならない。
では、何を描くのか。
押井守は画面のすべてを徹底的にコントロールし、あらゆるサインを込める。
押井守の映画は、カットの一つが一つの哲学であり、思想であるのだ。
96535190.jpg哲学的な映画だが、少なからず“笑い”もある。押井守はかつてタイムボカンシリーズ、うる星やつらシリーズを手がけ、笑いの感性は極めて高い。



現実の世界は、いつの間にかパトレイバーが描く未来世界を飛び越えてしまった。
だが、『パトレイバー2』で語られたテーマは、現在でも重く響いてくる。
日本の平和と、国防意識。
それから現実とモニター世界の錯乱。
あれから数十年の時が過ぎているのに、日本を取り巻く状況はなにひとつ変わっていない。
いや、多少の変化の兆しはある。
中心的言論と、相応する影響力を持っていたテレビは、完全に軸が折れ、狂信と化して、自身がいかに正しいかを喚くだけの産物となってしまった。
現実と非現実の危うさは、現代でも同様に語られるべきテーマである。

201ee2d0.jpg95b92dae.jpg水族館の会合のあと、後藤は別れ際に、荒川に訪ねる。
「奴の最終的な目的って、何なんだろうな。奴さん一人で、戦争でもおっぱじめるつもりか」
「戦争だって? そんなものはとっくに始まっている。問題なのは、いかにけりをつけるか。それだけだ」
荒川は、なにか宣言でもするかのように、海岸線を見詰めながら答えた。

776c2fa4.jpg「後藤さん。警察官として、自衛官として、俺たちが守ろうとしているものって何なんだろうな。前の戦争から半世紀……。俺もあんたも生まれてこのかた、戦争なんてものは経験せずに生きてきた。平和。俺たちが守るべき平和。だが、この国のこの街の平和っていったいなんだ。かつての総力戦と、その敗北。米05de0685.jpg軍の占領政策。ついこのあいだまで続いていた核抑止による冷戦とその代理戦争。そして、今も世界の大半で繰り返されている内戦。民族衝突。武力紛争。そういった無数の戦争によって構成され、支えられてきた血まみれの経済的繁栄……。それが俺達の平和の中身さ。戦争への恐怖に基づく、なりふり構わない平和。正e39befb1.jpg当な代価を、よその国の戦争で支払い、そのことから目を逸らし続ける、不正義の平和」
「そんなきな臭い平和でも、それを守るのが俺達の仕事さ。不正義の平和だろうと、正義の平和より、よほどマシだ」
「あんたが正義の戦争を嫌うのはよくわかるよ。かつてそれを口にした連中にろ25be7d03.jpgくな奴がいなかったし、その口車に乗って酷い目にあった人間のリストで、歴史の図書館は一杯だからな。だが、あんたは知っているはずだ。正義の戦争と、不正義の平和の差は、そう明瞭なものではない。平和という言葉が、嘘吐きたちの正義になってから、俺たちは俺達の平和を信じることができずにいる。戦争が平和を生むように、平和もまた戦争を生む。単に戦争でないというだけの消極的で空疎な平和は、いずれ実体としての戦争によって埋め合わされる。そう思ったことはないか? その成果だけはしっかり受け取っていながら、モニターの向うに戦争を押し込め、ここが戦線の単なる後方に過ぎないことを忘れる。いや、忘れた振りをし続ける。そんな欺瞞を続けていると、いずれは大きな罰が下る、と」
f05831f1.jpga9f597f1.jpg戒厳令シーンのある一連のカット。
戦車の上の自衛官と、オフィスビルのサラリーマン。どちらも「あれはなんだろう?」というような目で見ている。どちらも、目の前の現実に対して、受け入れられていない様子が描かれる。

『パトレイバー2』が語る平和論は、現代においても決して無視することができない。
日本の平和はあるときから、いや《占領下での平和》が始まったときから、欺瞞に基づくものだった。
危うい均衡の上に成り立った、ただ状況が戦闘ではないというだけの平和。
世界の勢力と均衡が崩されれば、ただちに保障を取り消される危うい平和。
我々はそんな危うさの上に立ち、気付きつつも知らない振りとして、身勝手に平和を叫んでいるだけに過ぎない。
685a000f.jpgそもそも存在の曖昧な自衛官と、治安を守る警察官。最終的には、警察官と自衛官という対立となり、後藤は自らの職務を果たすために活動する。
戦争を題材にした映画だが、アクションシーンは僅少だ。あくまでも日本の平和論が物語の中心となっている。そのために、テレビシリーズ版のキャラクターはほとんど登場してこない。
映画は、まるで突きつけるように、平和の崩壊をシュミレーションしてみせる。
都市に戒厳令が敷かれ、空中に戦闘ヘリが舞い、往来を戦車が立ち塞がる。
自衛隊内のタガが外れ、守るべきものも戦う相手も定めないままの、ただのデモンストレーションに過ぎない戒厳令が敷かれてしまう。
東京の風景に、戦争の風景がじわりじわりと侵食する。
だが、東京は相変わらず日常を進行させる。
戦争と平和が、奇妙に交じりあって日常を合成する。あきらかな戦争の風景が都市に同居しているのに、都市は相変わらずの日常を続けている。
あまりにも奇妙で、現実感のない平和。それが、我々が過ごしている平和の実体なのだ。
だが、映画は警察官を主人公としている。
後藤は、決して荒川と柘植に同調も迎合もせず、あくまでも警察官として、“欺瞞だらけの平和”を維持しようとする。

作品データ
監督:押井守 原作:ヘッドギア
音楽:川井憲次 脚本:伊藤和典
出演:大林隆之介 榊原良子 冨永みーな 古川登志夫
    池水通洋 二又一成 郷里大輔 千葉繁
    阪脩 西村智道 仲木隆司 立木文彦
    安達忍 小島敏彦 竹中直人 根津甚八

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■2009/02/14 (Sat)

裏山の広場に、のび太は寝転がっていた。
傍らには、0点のテスト用紙。
「あ~あ、どうしようっかな……」
唐突に、風が吹いた。テスト用紙は、風に飛ばされてしまう。
40635db1.jpgb40d0e13.jpg
藪を抜けると、そこはゴミ置き場。投棄された洗濯機に、木の苗が放り捨てられていた。


のび太は、テスト用紙を追いかけて、森の中へ入っていく。
深い藪を抜けた向うに、ゴミ捨て場があった。
のび太は、そこでテスト用紙を拾う。
それからのび太は、投棄された洗濯機に、木の苗が放り捨てられているのに気付く。
「木の赤ちゃん……?」
のび太はふと思いついて、木の苗を持ち帰ってしまう。
c0d37c92.jpg1956ce1e.jpg“植物自動化液”を浸して一日置くと、木の苗は意思を持って動き出した。
こう見ると、眼鏡をかけていないのび太の顔が、随分、現代風になっているとわかる。


家に帰り、こっそり庭に植えようとするが、ママに「駄目よ」と釘を刺されてしまう。
そこでドラえもんは秘密アイテム“植物自動化液”を出し、木の苗に注ぐ。
すると翌日の朝、木の苗は意思を持って活動を始めた。
のび太は、動く木の苗に「キー坊」と名付けた。
3a83a771.jpg7877673f.jpg異世界の風景。植物が中心となる文明都市。発想は、平凡というしかない。
それにしても新シリーズのスネ夫の前髪は、やわらかくなった。


自然の破壊と、逆襲、人間文明の反省。
一昔前のSF漫画では主流となっていたテーマだ。原作『ドラえもん』においても、執拗に繰り返された題材である。
『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』は古びたテーマを、最新の感性で再生させる。
3e92da92.jpg7f09bc38.jpg今回、いい味を出していたのは、ジャイアンだ。
過去シリーズでは、それほどコメディリリーフではなかったが、今回は笑いの中心である。



物語の中心にあるのは、動き出す植物である。
子供は、しばしば植物に対しても人格があると見做し、ごっこ遊びの相棒にする。
キー坊の発想は、いわば子供遊びが原形だ。
子供の物語としては実にふさわしい創造物だ、
25e3c854.jpg表情の動きが楽しい。表情の豊かさは、新シリーズの特徴だ。
アニメ本来の動きの面白さを取り戻している。



劇場版『ドラえもん』は、全体を通して、キャラクターの動きが特徴的だ。
どの場面も表情は豊かで“線の檻”に捕らわれない、自由な動きを見せる。
アニメは、いつから〈止め絵にパクとパチだけ〉でキャラクターを描くようになったのだろう。
『ドラえもん』のキャラクターは、現代の日本アニメへのアンチテーゼのように自由に動き、線の一つ一つには意識的なかすれを加え、温かみを与えている。
それでいて、背景美術は写実的で克明に描かれ、やわらかなキャラクターと豊かな感性で両立し、ぬくもりのある画面構成を生み出している。
cf538107.jpg中盤あたりから、物語の連続性はガタガタと崩壊する。
後半の展開は、もはや、“場面”が並んでいるだけだ。
シーンの一つ一つに繋がりがまったくなく、流れとしてみることができない。
ついには、見る行為が、作業か何かのようになってしまっていた。


ただし、物語の後半は、尻すぼみに崩壊していく。
脚本の準備不足か、構想力の欠如か。
物語に論理的構造は消えうせ、ただ場面だけが羅列される。
後半になって登場するキャラクターにしても、中途半端で順序の悪さが目立つ。
50b1931c.jpg冒険アニメの金字塔。
子供時代、誰もが一度は夢中になるのが、ドラえもんの劇場シリーズだ。
そんな輝きを、次回作には取り戻して欲しい。



しかし、それでも有り余る魅力があるのが『ドラえもん』の映画シリーズだ。
唐突に展開する戦いや、急激な変調を見せる物語は、現実的なパースティクティブをもった現代的な物語というより、古典的な民話や神話物語を連想させる。
現代の詩人が失った感性が、子供向け漫画映画の中に残されていた。
いつか、“子供時代の思い出”のひとつに数えられる映画になれば良いだろう。

作品データ
監督:渡辺歩 原作:藤子・F・不二雄 音楽:大野木寛
出演:水田わさび 大原めぐみ かかずゆみ
    木村昴 関智一 堀北真希
    有田哲平 三宅裕司

 
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■2009/02/13 (Fri)

赤い海に水没する街。車道には、戦車が警戒態勢で整列している。
突然現れる、正体不明の巨人――使徒。
碇シンジは、十年ぶりに再会した父親に、「エヴァに乗り使徒と戦え」と命じられる。
シンジは、戦いの恐怖と、父親の反発から、何度も逃げ出そうとする。
それでもシンジは、幾多の葛藤を潜り抜けて、戦う決意を固める。
ddfb7754.jpg36d3c94a.jpg
あれから十年。碇シンジの顔つきも、やや凛々しくなった。


あの衝撃的なテレビシリーズから、十年。
エヴァンゲリヲンは、劇場作品として、完全復活を成し遂げた。
8430336c.jpgd361fa74.jpgヒロイン、綾波レイは、しばしば“萌え”の原点として語られることがある。(萌えの語源は、セーラームーンの土萌蛍から)


だが、かつてのエヴァシリーズと、様相は異なる。
テレビシリーズでは執拗に描かれた、メランコリーが希薄になった。
男性性が欠落した碇シンジと、傷だらけの少女、綾波レイ。
今回の新劇場版においては、どちらも、キャラクターとして描かれているだけだ。
少年のメランコリーは、もはや中心的テーマではない。
ec3c3357.jpg
追加作画されたシーンは、どれもトレス線がシャープだ。
古い作画と、どうしても較べて見てしまう。



人間のドラマは、どこまでも希薄で、淡々と描かれている。
具体的なアクションは、ほとんど起きない。
継ぎ接ぎのカットが並び、断片的なナレーションが流れるだけだ。
人間のドラマに、時間的な繋がりも、地理的な連続性もない。
心象風景が、わずかに流れるだけだ。
e91e618d.jpgda1abba3.jpgメカの描写が凄まじい。人間のドラマは希薄で、映画の中心がメカにあるとわかる。
技術が徹底されているが、どうしても子供っぽいものを感じる。


その一方で、過剰に描かれたのが、メカのギミックだ。
メカの描写は、どこまでも詳細で、一つ一つのアクションが執拗に描かれる。
音楽も、人間のドラマより、メカの魅力をいかに増幅させるか、という部分に力点が置かれている。
だからこの映画は、人間のドラマではなく、“ドラマチックなメカ”が中心のアニメと呼ぶべきだろう。
e3223267.jpg
エヴァと周囲のスケールが、より詳細に描かれるようになった。



そうしたメカへの愛情、フェティシズムは強烈だ。
徹底した描写は、“アニメはディティールを描けない”という通念を軽々と飛躍する。
強大なメカが、モーター音をかき鳴らしながら次々と現れ、盛大に破壊されていく。
映画のほとんどが、メカと破壊の連続だか、それがとてつもなく楽しい。
映像に音楽の力が宿ると、メカにも魂が宿る。
作り手のフェティッシュが、凄まじいエネルギーとなって、躍動し始める。
その瞬間、映画はかつてない輝きを放ち始め、大きなドラマが動き出す。
57ce7548.jpg22b13869.jpgd98e3ee2.jpg




あれから、すでに十年の歳月が流れた。
しかし、エヴァンゲリヲンは、いまだに古びない。
十年間、日本のアニメの進歩に、とどめを刺し続けた作品だ。
今でも最も強烈だし、いまだにアニメの業界内において、イコン的存在である。
アニメは、今もエヴァが見せたイマジナリィから逃れることも、越えることもできない。

作品データ
総監督 庵野秀明
監督 鶴巻和哉 摩砂雪 音楽 鷺巣詩郎
出演 緒方恵美 三石琴乃
   山口由里子 林原めぐみ

 
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