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■2009/04/07 (Tue)
戦国時代。
英雄たちがぶつかり合い、命を落とした時代。
戦争の炎が日本全体を包み、留まるところを知らなかった時代。
そんな最中、二人の若き武将が、運命のような邂逅を交わす。
aa7d71db.jpg伊達政宗の馬は、マフラー付きのハーレータイプのハンドルつきだ。突っ込みどころだろうか。突っ込んだら負けなのだろうか。




夜の草原を、騎馬の一団が猛然と駆けていた。
a9efaa5c.jpg先頭に立つのは、右目に眼帯をつけ、青い陣羽織を羽織った男だった。
奥州の武将、伊達政宗だ。
「アー・ユー・レディ! ガイズ!」
伊達政宗が振り向き、後に続く配下に檄を飛ばした。
伊達の配下たちは、手を振り上げて「イエェェ!」と派手に返事を返す。
「OK! 派手に楽しめよ!」
伊達政宗が馬の速度を速めた。
間もなく草原が途切れ、その向うに白く霞む空が見えた。朝日が登りかけている。
そこで、二つの軍団がぶつかり合うのが見えた。
「奥州筆頭伊達正宗。推して参る!」
伊達政宗が斜面を駆け下り、合戦の只中に突入していく。
8bc7cb93.jpgもう一人の主人公、真田幸村。伊達政宗と真田幸村は、運命のように出会い、互いを宿敵と認め合う。




一方、ある城では門を固く閉ざし、篭城の態勢に入っていた。だが城門に、何かとてつもない力でぶつかってきた。
f068e5bb.jpg突然に、城門が吹っ飛んだ。激しく燃える炎と共に、男が単身で乗り込んできた。
「かような城門に、我が槍は阻めぬ!」
ただちに城を守る兵士たちが、この男を取り囲んだ。だが単身にも関わらず、男は動揺を示さず槍を身構えた。
「真田幸村、見参! 勇猛なる者はお相手仕る!」
兵士たちが挑発に乗って、声をあげた。一斉に刃を煌かせて、真田に突撃する。
真田幸村の槍が、赤く燃え上がった。次の瞬間、凄まじい火柱が立ち上がった。真田に立ち向かった兵たちが、次々と火柱に吹き飛ばされていく。
435394c7.jpg激しいぶつかり合いに、山の山頂が吹き飛ぶ。『300』も裸足で逃げ出し勢いだ。しかし場面設計は派手だが、構図の作り方は単調だ。平面的にキャラクターが配置される場面がいくつも見られる。



957a9f4c.jpg『戦国BASARA』は冒頭のシーンから強烈だ。
異様な熱血ハイテンションで幕を開ける歴史異譚アニメ。歴史を題材にとられているが、もちろん正確な学術的な検証に基づく作品ではない。
事実に捉われず、どこまでも自由な感性でイメージを膨らませた豪快な作品だ。
登場人物はみんな異様に奇抜で過剰に装飾が施さ2d649335.jpgれ、そのパワーは常人の力を軽く跳躍している。
だがアニメとしてはノーマルで、歴史人物に日本のアニメのフォーマットが当てはめられている。
跳躍した場面が羅列する一方で、アニメ作品としては、普遍的なアニメの系図上にある作品だ。
3a17d79c.jpg美しすぎる男達の物語。ごくわずかに登場する女たちは、ぽおと頬を染めて男たちを眺めるだけである。




作品の特徴は、あまりにも美しく描かれた男性たちである。
どのキャラクターも若々しく、ヒーロー然としている。
女性のキャラクターも登場するが、非常に数は少ない。それに、男性も女性と同じくらい端整で、儚げな瞳はいつも潤いに揺れている。
戦場を舞台としているが、血生臭い殺し合いはなく、むしろ猫の喧嘩のように、男達の戯れが描かれる。
一方で、戦いのシーンはとてつもなく激しい。
どのキャラクターも超人的な力を発揮し、超人的なパワーのぶつかり合いに、山は吹き飛び川が逆流する。
『戦国BASARA』は、歴史から人物だけを取り出し、ヒーローアニメとして解釈され、再構築された作品なのだ。
異譚の歴史アニメーションの始まりだ。

作品データ
監督:川崎逸朗 原作:CAPCOM 原作監修:小林裕幸 山本真
脚本:むとうやすゆき 作画監督:大久保徹 美術監督:吉原俊一郎 高峯義人
キャラクター原案:CAPCOM/土林誠 キャラクターデザイン:大久保徹
音楽:野澤弘之 色彩設計:広瀬いづみ
アニメーション制作:Production I.G
出演:中井和哉 保志総一郎 森川智之 玄田哲章
   子安武人 朴ロ美 桑谷夏子 森田成一
   坪井智浩 甲斐田裕子 大川透 若本規夫



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