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■2010/01/03 (Sun)
映画:外国映画■
ジーン・アイリス・マードックは著名な作家として知られている。
サルトルの研究書を始め、1995年までに26冊の小説や戯曲、詩篇を発表した。
アイリスは奔放な性格の一方で、博識で知性が深く、戦後のイギリスを代表する女性作家であった。
アイリス・マードックはイギリスでは著名な作家だ。日本でもいくつか著書が翻訳され出版されている。
ある晩、アイリスはレストランで夫のジョンとの対話中、自分が同じ言葉を繰り返していることに気付く。
兆候はゆっくりと、だがあるときを境に崖崩れのように迫ってきた。
別の日のインタビュー番組の出演中に、アイリスは唐突に自分の言葉を失い、インタビューアの質問もわからなくなる。そのとき以来、自分が何をしているのか、外出しても何の用事だったのかわからなくなる。
物忘れは急速に多くなり、ちょっとした出来事にも動揺し、混乱するようになった。
病院で検査を受けると、アイリスは“認知症”の診断が下される。
若き日のアイリスを、ぽっちゃり美人のケイト・ウィンスレットが演じる。プライベートでの食生活がわかりやすく映画に現れる女優だ。『アイリス』でも裸を披露するが、かなり太っている。
どんなに優れた知性も豊かな知識も、いつかその人間とともに失われてしまう。
アイリスはイギリスを代表する作家にして哲学者だったが、その例外になはれなかった。
アイリスは次第に言葉を失い、思考する手段をなくす。
世界はゆっくりと霞んでいき、アイリスの自我は、自身の内部世界に閉ざされていく。
ジョン役のジム・ブロードベントとヒュー・ボネヴィル。印象が非常に似ているので、若い姿、老いた姿に違和感がなかった。アイリスの認知症に気付いたジョンは、アイリスに言葉を思い出させようと常にノートを持たせる。
夫のジョンは、献身的にアイリスの介護を続ける。
だが変わっていくアイリスにジョンは動揺し、苛立ち、怒りをぶつける。もはやアイリスは、知的でユーモアのセンスのある、作家のアイリスではない。
アイリスはやがて記憶のすべてを失い、人格まで変わってしまう。
それでも、愛はとどまり続けるのか。
ジョンにとって、アイリスの介護はまさに試練だった。
その愛情に偽りはないのか、真実のものなのか。
若い頃のアイリスは、ジョンと交際中でも別の男性とセックスする奔放な女性だった。若い頃、老いた頃と2つの時代が交差するが、どちらもジョンによるアイリスへの愛情を試す試練として描かれる。
作家時代のアイリスは、常に言葉の重要性について語り続けてきた。
人間の意識は言葉によって制限され、品格を維持する。あるいは、言葉は人間の深層をなにひとつ指し示さない。
だがアイリスは、“愛”だけは唯一の言葉であると信じていた。
アイリスを支え、作家たらしめていたのは、言葉だ。それが失われた時、アイリスの本質はどのように変異するのか。
“愛”は言葉のない世界でも存在しえるのか。
映画記事一覧
作品データ
監督・脚本:リチャード・エアー 原作:ジョン・ベイリー
音楽:ジェームズ・ホーナー 脚本:チャールズ・ウッド
出演:ジュディ・デンチ ジム・ブロードベント
〇 ケイト・ウィンスレット ヒュー・ボネヴィル
〇 エレノア・ブロン アンジェラ・モラント
サルトルの研究書を始め、1995年までに26冊の小説や戯曲、詩篇を発表した。
アイリスは奔放な性格の一方で、博識で知性が深く、戦後のイギリスを代表する女性作家であった。
アイリス・マードックはイギリスでは著名な作家だ。日本でもいくつか著書が翻訳され出版されている。
ある晩、アイリスはレストランで夫のジョンとの対話中、自分が同じ言葉を繰り返していることに気付く。
兆候はゆっくりと、だがあるときを境に崖崩れのように迫ってきた。
別の日のインタビュー番組の出演中に、アイリスは唐突に自分の言葉を失い、インタビューアの質問もわからなくなる。そのとき以来、自分が何をしているのか、外出しても何の用事だったのかわからなくなる。
物忘れは急速に多くなり、ちょっとした出来事にも動揺し、混乱するようになった。
病院で検査を受けると、アイリスは“認知症”の診断が下される。
若き日のアイリスを、ぽっちゃり美人のケイト・ウィンスレットが演じる。プライベートでの食生活がわかりやすく映画に現れる女優だ。『アイリス』でも裸を披露するが、かなり太っている。
どんなに優れた知性も豊かな知識も、いつかその人間とともに失われてしまう。
アイリスはイギリスを代表する作家にして哲学者だったが、その例外になはれなかった。
アイリスは次第に言葉を失い、思考する手段をなくす。
世界はゆっくりと霞んでいき、アイリスの自我は、自身の内部世界に閉ざされていく。
ジョン役のジム・ブロードベントとヒュー・ボネヴィル。印象が非常に似ているので、若い姿、老いた姿に違和感がなかった。アイリスの認知症に気付いたジョンは、アイリスに言葉を思い出させようと常にノートを持たせる。
夫のジョンは、献身的にアイリスの介護を続ける。
だが変わっていくアイリスにジョンは動揺し、苛立ち、怒りをぶつける。もはやアイリスは、知的でユーモアのセンスのある、作家のアイリスではない。
アイリスはやがて記憶のすべてを失い、人格まで変わってしまう。
それでも、愛はとどまり続けるのか。
ジョンにとって、アイリスの介護はまさに試練だった。
その愛情に偽りはないのか、真実のものなのか。
若い頃のアイリスは、ジョンと交際中でも別の男性とセックスする奔放な女性だった。若い頃、老いた頃と2つの時代が交差するが、どちらもジョンによるアイリスへの愛情を試す試練として描かれる。
作家時代のアイリスは、常に言葉の重要性について語り続けてきた。
人間の意識は言葉によって制限され、品格を維持する。あるいは、言葉は人間の深層をなにひとつ指し示さない。
だがアイリスは、“愛”だけは唯一の言葉であると信じていた。
アイリスを支え、作家たらしめていたのは、言葉だ。それが失われた時、アイリスの本質はどのように変異するのか。
“愛”は言葉のない世界でも存在しえるのか。
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作品データ
監督・脚本:リチャード・エアー 原作:ジョン・ベイリー
音楽:ジェームズ・ホーナー 脚本:チャールズ・ウッド
出演:ジュディ・デンチ ジム・ブロードベント
〇 ケイト・ウィンスレット ヒュー・ボネヴィル
〇 エレノア・ブロン アンジェラ・モラント
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