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■2009/04/10 (Fri)
#1 廃部 作品解説

廊下を歩いていると、後ろからどたどたと誰かが騒がしく走ってきた。
振り向かなくてもわかる。田井中律だな、と思って振り返った。
「澪! クラブ見学行こうぜ。軽音部だよ、軽音部!」
律は物凄いテンションで飛びついてきた。
1f2602ca.jpgこういう時のあしらい方は心得ている。私は、すっと持っていたプリントを律に差し出した。
「私、文芸部に入るつもりだから」
「え?」
入部届けだ。もう“秋山澪”のサインも入っている。悪いけど律、そろそろ違う道、行かせてもらうから。
律は茫然と沈黙して、私から入部届けを受け取った。
で、ビリッと破いてしまった。
「なにすんc72fcb7a.jpgだよ、律!」
律の突飛な行動はいつもだ。でも、これは酷い。でも律は私の非難など聞かず、強引に私の手を引っ張って走り始めた。
その軽音部が、まさに廃部寸前だと山中先生から聞かされたのは、その直後のことだった。
それでも律は諦めるつもりはなかった。
放課後、誰もいない音楽室へ向かい、律は篭城でもするみたいに黒板の前で仁王立ちした。
4b707128.jpg「で、どうするの?」
「入部希望者を待つ!」
律は腕組をして、勢いよく宣言した。どこからこんな気合が出てくるのか、わからない。
「待つの?」
「待つ!」
つまり、私を道連れに、ね。しょうがない。律の我儘だから、付き合うか。
fd458d8c.jpgやがて日が傾き始め、窓から差し込む黄昏の色も濃くなってきた。賑やかだった運動部の声も、遠ざかっていく。
「帰ろっか」
私は律に気遣うように声をかけた。律は始めの勢いをすっかり失って項垂れていた。
そんな時、奇跡のように音楽室の扉が開いた。
「あの、見学したい10e9c24a.jpgんですけど」
入った来たのは、長い金髪の、大人しいそうな女の子だった。
律はただちに女の子の前まで走って、その手を握った。というか、むんずと掴んだ。
「軽音部に!」
「いえ、合唱部に」
部屋を間違えたのね。
「今、部員が少なくなって。お願いします。後悔はさせません!」
律はそれでも物凄い勢いでまくし立てた。
「そんな強引な勧誘は迷惑だよ。私、一人で帰るから」
私は律の肩を掴んで、止めさせた。悪いけど、もう付き合ってられない。私は律に冷たく言って、帰る振りをした。
8d9f5c05.jpg「澪! あの時の、あの時の約束は嘘だったのか。私がドラムで、澪がベースで、絶対、絶対一緒にバンド組もうって、約束したじゃないか。二人でライブに行ったあの日は、嘘だったのか!」
律は目にいっぱい涙を溜めて、大袈裟な身振りを交えながら訴えた。
私はあきれ果ててしまって、すぐには声がでなかった。
「その回想が嘘だ」
0e6271d9.jpg「あれ? そうだっけ?」
律はよく思い出を捏造する。
ライブになんて、もちろん行っていない。律に付き合わされてライブのビデオを一緒に見ただけだ。それで感激した律が「これやろ、これ!」と一人で盛り上がっただけだ。
すると、金髪の女の子が、くっくっと笑い声を漏らし始めるた。振り向くと、何が面白かったのか、涙を浮かべるくらい女の子は笑っていた。
「なんだか楽しそうですね。キーボードくらいしかできませんけど、私でよければ、入部させてください。私、琴吹紬です」
信じられない人だ。今ので、入ろうって思ったのか。
「ありがとう。これであと一人はいったら、クラブ再開だね!」
律がまた感激の声をあげた。いや、ちょっと待て。
「私ももう人数にはいっているのね」
もう諦めた。

eeaed80a.jpg校舎の前に咲く桜も、すっかり葉桜になってしまった。冷たい空気が暖かい空気と混じり始めて、心地よい風が巡っている。
考えことをするには、ちょうどいい温もりだった。
私は平沢唯。高校1年生。窓際の席で、うんうんと唸っているところだった。机の上には“入部届け”。まだ何も書いてなくて、真っ白けだった。
「何を唸ってるの、唯?」
a80b093b.jpg赤い縁の眼鏡にショートヘアの女の子が近付いてきた。この子は、真鍋和。私とは中学生時代からの幼馴染み。
「のどかちゃん。実は、どの部に入ろうか迷ってて……」
「え! まだ決めてなかったの。もう学校始まってから2週間も経ってるよ!」
和ちゃんは、びっくりしたように声をあげた。
「でもでも、私、運動音痴だし、文科系クラブもよくわかんないし」
私はいい考えが浮かばず、声をすぼませた。
和ちゃんは、呆れたようにため息をついて項垂れた。
「こうやって、ニートが出来上がっていくのね」
「部活やってないだけで、ニート!」
私はびっくりしてのけぞった。ニート。あの世間から非難されて、社会への介入すら許されないニートに!
「振り返ってみると、唯って、今まで何の部活もやってこなかったもんね」
和ちゃんは思い出すように窓の外を見詰めた。桜はもう散りかけていたけど、空にはまだ桃色が混じっていた。
「……何かしなくちゃいけない気がするけど、いったい何をすればいいんだろう」
私は困り果てて入部届けに目を落とした。私には、そもそも何ができるんだろう?
33ac5ef0.jpg先生に呼び出されているのを思い出して、職員室へ行った。
「山中先生」
音楽の山中さわ子先生に声をかけた。その後で、山中先生が二人の女の子と話しこんでいるのに気付いた。
「はい、今行くわね。ごめんね。次、音楽の授業があるから。頑張ってね、軽音楽部」
山中先生は二人の女の子に断って、席を立っ762c4393.jpgた。
二人の女の子は、何か困惑したような目で山中先生を見ていた。私は二人の女の子を気にしつつ、教室を後にした。
長い廊下を横切り、音楽室への階段を登る。
「あの、さっき話していた“けいおんぶ”って?」
「軽音部?」
山中先生が、私の危うげな発音を正した。
「って、なんですか?」
「軽い音楽って書いて、軽音よ」
「軽い、音楽?」
「そう。軽い音楽」
軽い……。それって、もしかして簡単な音楽のこと。私でも、できるのかな?
5b029f49.jpg6c110ca9.jpgdf901624.jpg






83660b14.jpgという過程を経て、軽音部を中心とした青春物語が始まる。
音楽を題材にされたアニメ作品は数多いが『けいおん!』はもっと日常的な部分に接地している。
廃部寸前のゆるい文系部に、集ってくる珍メンバーたち。
そういった展開はアニメ・コミックにおいては定番であり、もっともありきたりな類型の一つだ。
『けいおん!』を魅力的にさせているのは、キャラクターであり、周辺を覆う背景である。
キャラクターは独特の柔らかさで描かれ、動きは細かく、声優の声が入ると、線画のキャラクターが呼吸しているようにすら感じる。
背景描写はつまびらかで、実景をよく観察され、作品の中に再現されている。
細かく描かれた背景美術が、キャラクター達の日常空間に現実味を与えている。
京都アニメーションらしいキャラクター、作品構造が現れた作品だ。
続きが楽しみな作品だ。



作品データ
監督:山田尚子 原作:かきふらい
キャラクターデザイン・総作画監督:堀口悠紀子 脚本:吉田玲子
音楽プロデューサー:小森茂生 音楽:百石元 音響監督:鶴岡陽太
楽器設定・楽器作監:高橋博行 編集:重村健吾
美術:田村せいき 色彩設計:竹田明代
アニメーション制作:京都アニメーション
出演:豊崎愛生 日笠陽子 佐藤聡美 寿美菜子
真田アサミ 藤東知夏 米澤円



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