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■2009/10/07 (Wed)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P078 第7章 幻想の解体


私たちは沈黙して、遠藤を注目した。遠藤の顔は、変装が剥がれ落ちてしまいそうなくらいに、汗をかいていた。全身を小刻みに震わせて、糸色先生を細く閉じかけた目で睨みつけていた。もうその姿を見て、時田という感じはしなかった。
「遠藤、君はこれから警察に出頭したまえ。蘭京殺しの犯人としてな」
男爵が遠藤に指示を与えた。男爵の言葉に、少し疲労が浮かんでいる感じがあった。何もかもが暴かれて10年越しの計画を潰された徒労のようなものがあったのだろうか。それでも男爵は、自分が設定したゲーム・ルールに従い、潔く敗北を認めたのだ。
「御意」
遠藤が執事のような恭しい礼を男爵にした。もともと、執事体質の人間だったのかもしれない。
「先生、それじゃ時田さんは? 殺されちゃったの?」
私は急に本物の時田が心配になって、糸色先生を振り返った。
「いいえ。多分、殺されていません。さっきも言いましたが、死体を隠すのは難しいんですよ。計画が終了するまで、死体は発見されるわけにはいきません。だから絶対に発見されないという自信のある場所で、生きたまま隠しているのでしょう」
糸色先生の言葉から緊張が解放されていく感じがあった。糸色先生の表情に、心配は浮かんでいなかった。
「それは、どこですか?」
千里が心配そうな顔をして糸色先生を見上げた。
「あの坑道です。私の実家の地下。あそこなら、隠すのにうってつけでしょう。私の実家で、あそこだけあまり管理されていない場所でしたから。私は見合いを避けて、地下の坑道に逃げ込みました。しかし、そこで思わぬものが現れて気を失ってしまいました。あの玩具ですが、実は警備室のコンピューターと連動していて、特殊なパスワードを打ち込むと動く仕組みになっているんですよ。遠藤さんは私をあれ以上先に進ませないために、あの玩具を動かしたのでしょう」
糸色先生は普段の穏やかさに戻りながら、私たちに説明した。
私は今さらながら、警備室で見かけたニセ時田の行動を思い出していた。なにやら謎めいたウインドウを開き、複雑なキー入力をしていたニセ時田。あれはコンピューターに、地下の玩具を動かすよう命令を与えていたのだ。
私は信じられないくらいあからさまなニセ時田の細工を、目の前で見ていたのだった。もっとも、コンピューターの知識がなく、気がつかなかったのだけど。
「大した男だな。正解だ。あの坑道の真直ぐ進んだところで、時田が幽閉されている。飢えてなければ、まだ生きているだろう」
遠藤が時田の顔をにやりとさせて答えた。声の低い凶悪そうな声だった。
「ご心配なく。すでに家の者に知らせてありますので」
糸色先生が遠藤を振り返って、挑発を押し返すように言った。
その直後、見計らったように携帯の着信音がした。糸色先生は懐から携帯電話を引っ張り出すと、通話にした。
電話の相手は倫からだったらしい。糸色先生は短くやり取りを終えて、電話を切った。
「報告がありました。あの坑道から、本物の時田が発見されました。それから、実家の警備員リストの中から遠藤喜一の名前が発見されました。一年半前、退職したようですが。時田と入れ替わったのも、その頃でしょう」
糸色先生の言葉は、謎が明かされてストレスから解放されたみたいだった。
そんなとき、ふと客間のドアが開いた。なんとなく、部屋に明るい暖かな気持ちになれるものが流れ込むような気がして、私は振り返った。皆も振り返っていた。部屋の入口に、ワンピース姿の赤木杏が立っていた。ううん、違う。風浦可符香だ。顔はまったく一緒だけど、あの雰囲気は絶対に風浦可符香だ。
「あら、みんなでお茶会?」
皆に注目されて、可符香は少しびっくりしたみたいだったけど、それでもいつもの包み込むようなポジティブな言葉を掛けてきた。やっぱり可符香だ!
私はソファから飛び上がって可符香の側へ走った。そのまま可符香の体を抱きしめた。皆も立ち上がって、可符香の前に集ってきて、順番に抱擁した。あびると藤吉が、感激のあまり泣いてしまっていた。可符香はきょとんとしていたけど、それでも笑顔で私たちの抱擁に応じてくれた。
そんなふうに大騒ぎしている最中、私は一人、糸色先生はどうしたのだろうと振り返った。糸色先生は一人きりで、男爵の前に進んでいた。
「全て終了、ですかね」
「そのようだな」
糸色先生が世間話でもするように切り出した。男爵はソファに座ったまま、糸色先生を見上げた。その顔に、少しも痛手は浮かんでいなかった。
「あなたのことです。諦めていないんでしょう」
糸色先生の顔と言葉に、少しの緊張が宿った。
「もちろんだ。君は興味深い人間だからね。私は正直なところ、10年間の事件なんてなんとも思っていないのだよ。ただ君と、もう少しゲームを楽しみたい。それから、君が苦しみ、骸を晒す様を見たい。それだけなのだよ」
男爵がにやりと口元をゆがめた。私は男爵の微笑を直感的に嫌悪した。その微笑に、なぜか性的なものを感じていたからだ。
「何度でも挑戦を受けましょう。何度でも挑戦を受け、その度に打ち砕いてみせます」
糸色先生は静かに、それでいて決定的な言葉を突きつけた。
「それは人生に楽しみができたな」
男爵は同意を求めるみたいに、糸色先生に微笑みかけていた。
糸色先生が踵を返した。私が見ているのに気付いて、糸色先生はあっと顔を伏せて、それから笑顔を作った。
「さあ皆さん。帰りますよ!」
「はい!」
糸色先生が歩きながら、私たち全員に明るい声をあげた。私たちは糸色先生を振り返って、返事を返した。

次回 P079 終章 華やかな少女写真誌

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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