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■2010/01/02 (Sat)
オクターブ01ざわざわ……
ざらざら……
真直ぐのつもりの線は、よれてからまってぐちゃぐちゃに潰れる。

私がアイドルになったのは15歳の頃――。
コソコソととなり町まで買いに行ったオーディション雑誌。
みんな、私がMステとかに出たら、びっくりするだろうなぁ。

-She’sN-
シーズン
デビュー曲は『メトロノーム・ラブ』。
可愛くオシャレして、メイクして、照明一杯のステージに立つ。
みんな私を見てくれている。
私、“あっち側”にいる。
テレビの向こう側にいる。
ちっちゃい頃の夢のなかに――いる。

でも、She’sNはたった1年で解散した。
売れなかった。
まったく。ぜんぜん。
誰からも注目されなかった。
誰も私を注目していなかった。
私は田舎に帰って高校に進学した。
でも待っていたのは、好奇の目。根拠のない噂。――中傷。
「ほら、あれあれ」
「どれ?」
「窓際で教科書読んでいるアレ」
「あ~」
「んで、何だっけ? She’sN? 知らねぇ~」
「だから、売れないがら戻って来たんだべ」
「あんなちっちぇえ水着で写真とられでさぁ」
「ねえ~」
「耐えられんべ」
「やっぱ東京でヤりまぐってだんだべな」
「そりゃそーだべ」
「そごは腐ってもゲーノー界。乱交三昧?」
「あの子、小学生の時からスカートのスソ直すフリして太ももチラチラ~って」
「ひえ~」
「神社沿いの誰かどキスしてんのアニキが見だって」
「国道沿いのホテル、松山センセど出てきたってマジ?」
「ここだげの話だげんちょ、子供おろしたがら戻ってきたんでねえがってお母さんが……」

ざわざわ……
ざらざら……
もう、友達なんかいらない。
私はまた上京した。私を知っている人が誰もいない場所に。誰も私を噂にしない場所に。
人ばかりの街に、埋没したくて――。
孤独になりたくて――。

時々、オナニーする。
たった一人きりで、服を着たまま乳首をいじってパンツの中に指を突っ込む。
1人になりたいのに、イメージの中には寄りそうもう1人がいる。
他人にしてもらったら、こんなのじゃなくてもっと気持ちいいんだろうな。こんな、自分で触るよりも、何十倍も――。
でも、わからない。
ちんこって、どれくらいなんだろう。
指2本くらい?
それとも手首くらい?
そんなのが私の中に入ってくるの?
わかんないや。

「あれ、お客さん。テレビとか出てたでしょ?」
いきなり、声を掛けられた。コインランドリー。男の人。
え?
どうして?
私を知ってるの?
「あんた、いつもそれ、カワイイって誉めているつもりなんだろうけど、ただのヤバイ人だから。てか、そもそも女は洗濯中に男に近寄って欲しくないわけ」
「何で?」
「想像しろ。経営者だろ」
……ただのナンパだった。
私を助けてくれた女の人。岩井節子。22歳。昔、フェンネルってユニットを組んでた。作曲家の人。
でも、売れなくて今はコインランドリーの経営を兄弟でやっている。
――私と一緒だ!
「わ、私もそうなんです。私、宮下雪乃っていいます。一ヶ月前に上京したばかりで、あ……上京って言っても再上京で、ちょっとややこしんですけど……」
「私は岩井節子。よろしく、宮下雪乃さん」

次に岩井さんと会ったのは銭湯だった。
「さっき、シャンプーしている後ろ姿がやたら絵になってた。鏡越しに見とれちゃった、思わず」
岩井さんは唐突に話を始めた。
「え、あの……はい? や、それは気付きませんで」
「麻婆豆腐好き?」
「は?」
「だから、麻婆豆腐」

私はコインランドリー上の、小さな部屋に招かれた。
「その服、見せびらかしに来るお向かいの子。玲香ちゃんだっけ? 宮下さんがヨダレ垂らすの見たくてしょーがなかったんだろうね」
「ははっ。ヨダレってほどじゃないですよ。でも、やっぱり羨ましかったんです。いっつもフリルとかレースとか、お姫様みたいで――。手に入らないぶん、よけいによく見えたのかな。いつもくるくる~って、私の前で回って見せるんですよ。その度に私は――」
「私のほうが絶対に会う――って思ったんでしょ」
「そ、そんなこと……」
図星を突かれて、私は恥ずかしかった。
「でもさ、複雑だね。かわいいカッコしたいけど、モテたいわけじゃないって」
「単純ですよ。オシャレは自分のためにするもんじゃないですか」
私は少しイラッとして言葉を返した。でも岩井さんは無関心そうだった。
「ふーん、そう?」
「そうって……。じゃあ岩井さんは男のためにオシャレするんですか? 男は服なんか見てませんよ。男なんかいつだって……」
「男なんかいつだって、セックスのことばっか?」
「……え?」
まるで何でも見透かしているように。私はドキリとして勢いを挫かれてしまった。
「よくわかってんね。経験もないのに」
「でも、実際男子ってのはいっつも……」
「あ、やっぱ処女なんだ」
「だから、経験とかじゃなくて、事実として――」
「「埋没したい」なんてすっかり萎縮しちゃって――かわいそう。本当は人に見られるの、好きなのにね。それだけで濡れちゃうくらいに――。さっき、松の湯でほんとは気付いてたね。私が見てたの。鏡越しに私に気付いて、すごく意識してた」
岩井さんが私の側に擦り寄って触ってきた。岩井さんの微笑みが側にある。
私は飲み込まれるように、考えも、言葉も失ってしまった。
「そんなこと……」
ざわざわ……。
「そんなこと?」
ざらざら……。
そのまま岩井さんは私にキスした。
唇の中で、何かが柔らかく溶ける感触――。
岩井さんの吐息は、麻婆豆腐の味がした。
「大丈夫、誰も来ないから。だから、ね。力抜いて――」
私は岩井さんにされるがまま、服を脱がされ、裸を触られ――。
一人きりのオナニーじゃない。私の側に岩井さんがいて、私にぬくもりを与えてくれる。まるでプールを上がった後みたいに、私は気怠く湯の中を漂っているようだった。
気持ちいい――。
でも――。

ざわざわ……。
ざらざら……。


読書記事一覧

漫画・著作:秋山はる
編集・出版:講談社
連載:アフタヌーン(2008年3月号~8月号掲載)






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■2009/12/28 (Mon)
ラブやん12現代のダメ人間を代表する男、大森カズフサの元に天使ラブやんが舞い降りた。ラブやんは愛の天使である。その使命は、カズフサにそれなりに真っ当な恋愛を成就させることであったが――カズフサの恋愛対象・性的志向は法律の範囲外であるロリど真ん中。ラブやんはカズフサの恋愛をどうにかする前に、まず真っ当な人間として更正させようと奮闘する。
だがその甲斐もなく、カズフサは変態の道をひた走る。ラブやんと過ごす日々も次第に長くなっていき、気付けばカズフサは30歳という年齢すら越えてしまった……。
ダメ人間によるダメダメな日常を描いた『ラブやん』も巻を重ねること12冊目である。ここで何か新しい展開があったかといえば何もない
カズフサとラブやんを取り巻く日常は相変わらずであり、自宅を離れて以来、むしろフリーダムに暴走していく。
果たして取り上げて解説する必要はあるのか甚だ疑問であるが、手に入れた以上、意欲的な気分で臨みたいと思う。まあ、軽い罰ゲームだと思って接してくれればいい。

第81話 3つの願い
460e7cae.jpgいつものようにラブ時空通販カタログを見ているラブやん。そこに、とんでもない商品が掲載されていた。
ランプの魔人。
この度、番組が発見・捕獲したランプの魔人――。願いを3つだけ叶える能力を持ちます。当商品は魔人を3つの願いを叶えるまで、もしくは1週間貸し出すというものです……。
……いや、まさかな。そんなあり得ないよな、ランプの魔人でしかも3つの願いなんて……。
だがカズフサは迷わず即断する。そしてカズフサは、ランプの魔人にこう要求する。
「俺をロリキャラにしてくれ」
見事ロリキャラへと変身したカズフサの前に、みのっちと橋本ヒデヒコがやってくる。
おおよそのあらましを聞いたヒデヒコは、興奮しつつもこう提案する。
「俺もロリキャラになる……。するとどうなるだろう。これから6日間、お前と俺で、ごきげんよう、とかキャッキャウフフの日々が!!」
恐るべき着想にカズフサは戦慄。さっそく実行に移そうとするが……。

第82話 ソドムとゴモラ
d7278a6e.jpgある日、目が覚めると、ラブやんが野沢那智声の渋いオッサンになっていた。すでにランプの魔人の効力は消えたはずである。しかし数日後の今、唐突に魔法の力が効力を持ち始めた。
変身系の願いは癖になり、しばらく突発的に発生してしまう場合があるらしい。ならば「俺もひょっとしてまたロリキャラになれる可能性が……」と考えたカズフサは、全力で自己暗示を掛けながら眠りに落ちる。
果たして、再びロリキャラへと変身したカズフサだったが、その股間には思いもよらない物体がひとつ付いていた。
「…………。イヤ、コレはコレで悪くない」
カズフサは少し考えて、付属品を備えたロリキャラである自分を受け入れた。
とそんなところに、やっぱりヒデヒコがやってきて……。




第83話 ターメリック
f012edbf.jpgその日、ラブやんが何の脈絡もなく「やっぱり必要よね! 自然が! 人間には!」と倒置法で語り始める。というわけで、カズフサとラブやんは公園に繰り出し、アハハハ、ウフフフと原っぱに転がる。
だがその時、思いもしない不幸が起きた。ラブやんの服に付着した茶色の染み――ウンコ染みである。
「マナーというものがなっとらん! 見つけ出して文句言ってやる!!」
と意気込んで待ち伏せていたところに現れたのは、どう見てもヤクザのオジサン。色々と葛藤を乗り換えた末に、カズフサは、
「つまりあなたが犬の散歩で置き去りにしているブツのお陰で、非常に迷惑しているワケなんですよ、私たち」
と訴える。
当然のように逆上するヤクザのオッサン。絶体絶命かと思われたその時、意外な救いの手が登場する。



第84話 2次元
01b6db84.jpg「ウンコは食べ物か飲み物か――」
ハムレットの引用ではない。カズフサの日常的な台詞の1つだ。常日頃からこういった問題発言を繰り返すから、カズフサの恋愛は達成しないのではないのか?
そう考えたラブやんは、上司であるメテ・ルーに相談を持ちかける。
「3次元ではかなりキツイ性癖。思えばフサさんのオカズは大体2次元が主体。オブラートに包まれたうんこ描写に慣れてそんなことを言い出したのではないかと……」
ならばまずカズフサの性向を真っ当なものに矯正する必要があるのではないか。そう考えたメテ・ルーはラブやんに「2次元と3次元の違い」を教えよと命じる。
その手段として、ラブやんは「それ系」の実写エロビデオをカズフサに見せようとする。



第85話 まなむすめ
b291230b.jpg「ああ、忘れてたッ!」
突然にカズフサは衝撃に震えながら叫んだ。
「忘れた? フサさん何を忘れちゃってたの? 就職? 全て?」
真剣に相手するつもりはないが、仕方なくラブやんは相手をする。
「何というコトだ……。俺ともあろう者が、こんな重要な事を何年も忘れてしまっていたとは……!! 妹が欲しいィィィィィィ~~……ッ!!
カズフサは思いの全てを叫びに託し、そのまま泣き崩れてしまった。
しかし、カズフサの年齢はとっくに30歳越え。もし妹がいたとしても、いい年であるはず。そう指摘すると今度は、
まなむすめが欲しいいいいっ!!
とカズフサは叫んだ。
さっそくカズフサは、アパートの隣部屋に住んでいるロリ天使クロエ&シラの部屋を突撃する。
「数日でイイので、娘をひとつつお願いしたい」
クロエとシラは現在、隣の爺さんである権造に彼女を作ろうと奮闘している。もし娘役を引き受けてくれたら、権造の性癖を含めて色々アドバイスしてもいいと申し出る。それを交換条件にクロエとシラは納得し、数日間カズフサの娘となり同居する。

第86話 ゴルティーン
5527d47b.jpg「デートして来い!」
テレビ電話越しに、メテ・ルーがラブやんに命じた。といっても、ネイルケアしながらでまったく真剣味がない。
「は?」
ラブやんは何の冗談かと聞き返した。
「もうな、お前ら否定するかもしれないけど立派な夫婦じゃ。互いの存在を再認識する意味で、スパーンとデートに行って来い!」
甚だ不本意だったが、上司の命令だし、「断るとめんど臭いので赤い糸ガッチガッチに結」ぶぞと脅迫され、やむなくラブやんとカズフサは出発した。
それでやってきたのは、テーマパーク・ゴルティーン。第10巻69話に登場した「マジックキングダム」の後に建設された娯楽施設だった。
ここをスルーしてしまうと、後は公園しか行く場所がない。何やら怪しい気配をたっぷり感じたが、カズフサとラブやんは意を決して「ゴルティーン」に突撃する。
しかし、そこは遊園地らしいアトラクションなどまったくない。背の高いオフィスビルが圧倒するように林立していた。
何だここは……?
従業員らしいピエロに「ゴルティーン」について尋ねようとしたが、その時、何者かがピエロを狙撃した。
そう、これこそ「ゴルティーン」の本題。パーク内に潜伏する殺し屋を見付け戦うこと。それが「ゴルティーン」の基本ルールだった。

第87話 合体マシィン
13e1c5a9.jpgある日、カズフサは道端に放置されたマネキンを見つけた。身は小さく、小学生モデルらしい。しかも、女児だ。
…………。
拾ってきた。
そうしてカズフサとラブやんは捨てる捨てないで激しく議論を戦わせる。結果として、「若干大きめのフィギュアだと思えば」とラブやんは了解する。
だが真夜中。部屋の中にぼんやりと立ち、虚ろな微笑を浮かべる人形はこのうえなく不気味だった。
夜にトイレ行けなくなる、というラブやんの意外な乙女チックな願いを受け入れ、カズフサはマネキンの妙にリアルな造形を安心できるアニメキャラに変えようとする。







漫画・著作:田丸浩史
編集・出版:講談社
連載:アフタヌーン(2009年2月号~8月号掲載)




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■2009/12/28 (Mon)
ぢごぷり01ある3月の晴れた日。出産を終えた沖浦あやめは無事に退院した。
18歳。当り前だけど、初めての出産だった。
「うれしそうだね、かなめちゃん」
後ろの座席で、あゆみが声をかけた。その右隣では、チャイルドシートで赤ちゃんが静かに眠っている。
「うっ、それはだって、もう、ガラス越しじゃないから……」
日野あやめはルームミラーの中に映るチャイルドシートをちらちらと見ていた。といっても、その断片が見えるだけで姿そのものは見えない。
日野かなめと沖浦あゆみは双子の姉妹だ。同じ日に生まれた18歳。双子だから当然同じ顔をしているし、髪の癖まで一緒だ。でも、その中身は正反対というほど違っている。
落ち着いたあゆみに対して、かなめは派手好き可愛いもの好き。今だって、堂々としたゴスロリファッションだった。
「そうだね。実際私も、病院では授乳の時くらいしかユメちゃんと会ってなかったけど、今日からはずっと一緒なんだよね」
あゆみは感慨深げに、側で眠っている赤ちゃん――夢子に目を向けた。
「やっぱり、ミルクじゃなくておっぱい? 完全母乳? ……私もミルクあげてみたい」
かなめは真剣な顔で希望を告げた。かなめの頭の中には、少女漫画チックな育児風景が浮かんでいた。
「うん。もちろんミルク上げてもいいけど。でも私、思ってたよりずっと“出る”体質みたいだから……。できるだけ完全母乳、頑張ってみたいの!」
あゆみは大きく膨らんだ自分の胸に手を当てながら、力強く微笑んで見せた。
「……ちぇ」
かなめはつまらなそうに口を尖らせた。ついこの間まで、同じくらいのおっぱいだったのに、とちらと思っていた。

5489c449.jpg登場人物は沖浦あゆみと日野かなめの双子姉妹。それから出産して間もない夢子。出産したのは沖浦かなめである。主だった登場人物はとりあえずこの3人だけである。
ある産婦人科から退院したかなめは、あゆみが運転する車で運ばれて、どこかのアパートの一室へと帰っていく。物語の主要舞台はこのアパートの密室がすべて、と言っていい。アパートの外に出る場面はいくらか描かれるが、断片的なものに過ぎない。だから、赤ちゃんがいるというシチュエーションを持った密室劇と読むべきだろう。
赤ちゃんの容姿は、観察とディフォルメの微妙な組み合わせで描かれている。はっきりと言うべきは、確実に言って赤ちゃんを可愛く見せようとはしていない、ということだ。赤ちゃんは物語に中心にある渦であり、あゆみかなめ姉妹を問答無用に取り込み、追い込んでいく。そもそも、赤ちゃんはただ可愛いだけの存在ではない、と提示したかったのだろう。サブタイトルが「地獄〇丁目」となっているのも、同じ理由からだろう。
b66cf795.jpg沖浦あゆみと日野かなめを取り巻く状況は異様であり、特殊である。まずいって、この2人は何かの仕事に就いているわけではない。18歳という社会的にも幼い年齢だ。だが、生活面資金面に困っているようには見えない。あゆみが運転する場面はよく描かれているのだが、車など18歳の年齢でそうそう買えるものだとは思えない。
そうした疑問に対して、答えを示してくれそうな予備情報は一切示してくれない。物語の中心はあくまでも赤ちゃんと母親の交流に絞られ、描写はアパートの一室内に限定される。
その一方で、育児に関する描写は驚嘆すべき密度で描かれる。ウンチの後始末や、オムツの替え方、体の洗い方や授乳に関する知識。また育児雑誌や本などでなかなか描かれないであろう出産後の母胎の細かな異変、変調まで詳らかに描写している。
だが、『ちごぷり』は育児や母親のためのハウツー本ではない。あくまでもエンターティメントであり、物語の中心は、かなめという視点を通して母親の心理状況とその変化について語られていく。
f9f65769.jpgたかが育児、と考えがちだが、赤ちゃんが介在する日常は驚くほどの緊張感で満たされている。社会的な時間を無視してでの、問答無用の夜泣き、要求、おっぱいくれオムツ替えろの催促。それに応じ、ひたすら消耗していく母親あゆみの心理描写。その描写の一つ一つは、育児に対する甘い幻想など木っ端微塵にしてくれそうな破壊力に満ちている。
あるアパートの一室。自由恋愛の結果としてできた赤ちゃん。しかし育児がうまく行かず次第に追い詰められていく。現代の若く未成熟で社会から切り離された夫婦にありがちな光景である。昨今の育児環境を思うと、笑っていられない光景だ(これを論じるならば、現代社会による『若者に対する拒絶』について語るべきなのだが、それは本旨ではないので、また別の機会に)。もっとも、作者来尾士目の漫画としての狙いは、社会風刺にあるわけではなく、あくまでもエンターティメントだ。しかし、はからずともそうした現代的な側面も描いてしまっている。
『ちごぷり』は密室劇である、とはすでに書いた。アパートという閉鎖された空間に、母親がいて、赤ちゃんがいる。物語の組立てとしては、それが全てだ。
13b2e575.jpg赤ちゃんの世話のためにひたすら消耗し、神経をすり減らしていく……。体力的精神的に消耗し、やつれていく描写は極端だが生々しく、異様な効果を読者に与える。
キャラクターは目の大きな可愛い美少女として描かれているが、それがある程度のクッションの役割を果たしているはずだ。漫画で描かれている心理描写は、表面的な可愛らしさを確実に飛び越えて、抉りこむような心理的生々しさを描き出している。
母親は赤ちゃんに支配された囚人のようなものだし、赤ちゃんによって縛り付けられる空間は監獄の感覚に近い。決して外には出られず、ひたすら自己中心的自我の権化とも言うべき赤ちゃんの奉仕に何もかも吸い取られていく。育児とはここまで過酷で不条理なものなのかと思わせる描写である。
cb59d0ea.jpg物語の展開は、エンターティメント漫画としては恐ろしくスローペースである。赤ちゃんとの関わる日々を、丹念に1日1日丁寧に描かれている。ある意味、現実的にありそうな事件をひたすら描写しているだけ、と言えなくもないが、それでも育児という過酷さ、強烈さを嫌というほど見せ付けていく。世の男は、この漫画を読んで、女たちに土下座しろといったところだ。
『ちごぷり』はただの『育児漫画』である。それ以外の情報は何一つ描かれず、漫画世界の中から削ぎ落とされてしまっている。しかし、その育児に関するディティールは圧倒的である。物語はアパートの一室で完全に自己完結しているが、それでもエンターティメントとして充分に自立する迫力である。物語の行方がどこにむかっているかわからないが、見守っていきたい作品である。

読書記事一覧

漫画・著作:木尾士目
編集・出版:講談社
連載:アフタヌーン(2008年7月号~2009年5月号)






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■2009/12/03 (Thu)
書籍006絶望先生 (7)絶望先生シリーズも重ねることすでに16冊目だ。今回は限定版に限り、オリジナル・アニメーション・DVDが付属される。
附属DVD『獄・さよなら絶望先生・下』の記事へ
漫画もギャグも、絶好調にさえわたる一冊だ。
まずは、各エピソードを俯瞰して見ていこう。


151話 尾州鎮撫隊
始まりは、いつも終わりを切っ掛けにする。
確かに“終わり”の時を迎えて、はじめて知る事実は意外と多い。離婚報道を見てはじめて結婚していたと知り、逮捕されてはじめて犯罪だったと知る。
よく考えれば、確かにそんな切っ掛けは多い。そんな日常によくある話題に改めて光を当てて、驚きと笑いにともに漫画を構築する。


152話 黙認の行方は誰も知らない
世の中には、“公式”に“認定”された資格や団体がいくつも存在する。だが、糸色望は鋭く切り込む。「その認定は、いったい誰が下しているのか?」
我々は“公式”という言葉の魔術に騙されがちだ。“公式”に“認定”されたと聞けば、深く考えず安全な企業や団体であると思い込み、誰が“認定”を下しているかまでは、なかなか考えが及ばない。よくよく考えると、誰が認定したか不明な“公式”は世の中にたくさんある。絶望先生は鋭い視線で、“公式”の胡散臭さに切り込んでいく。


153話 ああサプライズだよ、と私は虚ろに呟くのであった
6aa9ec6d.jpg我が国は、あまりにもサプライズが多すぎる。驚きや衝撃を売り文句にしたビジネスモデル。だが、あまりに過剰なサプライズまみれな日常は、もはやサプライズではない。ならば、と絶望先生は何がサプライズなのかを模索する。

154話 持つ女
二つ目の才能を持つ人は多い(私やあなたの話ではなさそうだ)。だが、我々の社会は、常に一つの才能だけを求める。
それでも、あえて“もしも”と疑問をぶつける。もしもあの著名人が、もう一つの才能を選択していたら、どんな将来が待ち受けていたか?
そんな“もしも”をシュミレートするために、糸色望は絶望少女たちを引き連れて“才能のツインタワー”を目指す。

b4616113.jpg155話 うもれすく
解放! 自由!
どちらも実に魅力的なキーワードだ。解放や自由といった言葉は、なにか根拠のない希望を与えてくれそうな気がする。だが、現実に解放され、自由が与えられるとどんな事態を招くのか。「解放=タガ」である。
解放と自由を主張する扇動者は、それがいかに素晴らしいかを説く。あるいは、独占の忌まわしさを力説する。思えば、何でもかんでも解放し、自由にしすぎたのではないだろうか。解放と自由が、むしろ締りのない荒廃を招いたのではないか。
155話は現代の荒廃のモデルを、ギャグマンガらしいユーモアに包んで指弾する。


156話 君よ知るや隣の国
日常には、ごく些細なやり取りで苛立たされるケースが多い。ふと、考えをめぐらす。あれは、わざとではないか。いや、あれはどこか某国のスパイなのであって、なんらかの目論見を持って、実践しているのではいか。
極めてどうでもよい妄想を、どこまでも逞しく暴走させる。いかにもギャグマンガらしい脱線と逸脱が面白い。

157話 夜の多角形
角が立つと、世の中は厳しくなる一方だ。出る杭は打たれる。
いっそ、あえて角を増やし、円に近付けば世間は容認してくれるのではないか……。
思わず、なるほど、と頷いてしまう。だが実際に角をどこまでも増やし、円に近付くとどうなるのか。漫画はギャグマンガらしい顛末を描く。

158話 アンドロイドは機械の花嫁の夢を見るか
554624e8.jpg漫画の内容は「損して設ける」一つの商法についてだ。
だが正直のところ、今回に限りそんなものはどうでもよいではないだろうか。このエピソードにおいて重要で、核となる部分は、もはや主題にはない。
最重要なのは、小森霧の「チューしなさい」の一言に集約されるのではないか。私はそう断言する。糸色望を演じる神谷浩志すら狂喜させた一言だ。この台詞は、是非とも実際のアニメーションで確認して欲しい。
ところで、漫画の内容を憶えているだろうか? 新キャラクターがいたような気がするが、まあ、どうでもいいや。

159話 学者アゲアシトリの見た着物
体育祭。絶望少女たちがチアリーダーに扮して、元気に足を“揚”げている。そんな女生徒を見ていた糸色望。「今の世の中、なんと揚げ足取りの多いことか!」と絶望する。
今の世の中、確かに些細な発言や事件に過剰に反応し、揚げ足取りする例が多い。一方で、揚げ足取りを狙って人気稼ぎする者もいる。情報化の時代。何でもかんでも過敏になりすぎる我々を、軽く諌めるようなエピソードだ。

160話 最後の、そして始まりのエノデン
160話は、冒頭からいきなり異世界に没入する。行き先不明な列車。だが糸色望は、ただちに「すでに行き先は決まっている」と看過する。
初めから答は決まっている。そのくせに、優柔不断に迷っている振りを見せ、思考の過程を他人になぞらせ、その上にいかにも「やっと答を見つけた」なんて素振りを見せる。この頃の世間には、そんな例がごろごろとある。絶望先生は、現代の個人の意思決定能力のなさを目一杯に叩きのめす。
さよなら絶望先生《本家》 目次ページへ

読書記事一覧

作品データ
漫画:久米田康治
編集:週刊少年マガジン
出版:講談社





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■2009/11/23 (Mon)
さよなら絶望先生 第19集

絶望先生19集第19集の表紙を飾るのは横顔横向きスタイルの多い常月まといだ。いつもの和装に、冬らしいポンチョを羽織っている。前巻に続いて、キャラクターに関する無理矢理ともいえる裏設定が紹介される。もしも第4期アニメーションがあったら、朗読なんて言わずに一本一本映像化してほしいプロットだ。チェイサーライセンスなんて設定、うまく活用したら面白い活劇が描けそうなアイデアである。以下が実際に掲載されているあらすじの全文だ。

前巻までのあらすじ
私、常月まといはどこにでもいる、ちょっと追跡癖のある女の子です。きっかけは光GENJIのおっかけ。もちろん母のおなかの中にいる時だけどね。まあその後いろいろ追跡したけど、最近は担任の先生を熱烈追跡中。ご近所の奥さんに通報されるなんてしょっちゅうなんです。え?なんで逮捕されないのかって?それはコレ。チェイサーライセンス(追跡許可証)があるからよ。何人たりともいくら追跡しても罪を問われないというこの甘美な資格。現在日本で三人しか所持していないんです。一人はマッキー、もう一人は松たか子・・・・そして私の計三人。でも肝心のマッキーときたら、最近は「追いかけるより追いかけられる恋がしたい」と言い出したから大変。


第181話 ウィルス将軍と三人兄弟の医者
3b2db722.jpgAED(自動体外式除細動器)というものがある。心肺停止などに陥った人に使用する実用的な道具である。
だが世の中には、むしろ蘇生してはならないダメAEDもある。昨今、ダメAEDでむりやり蘇生させ延命しているものが蔓延している。
例えば、終りかけの体制の延命のためにミサイルをぶっ放す。(北朝鮮)
死に体の日本経済の不況対策に高速を1000円にしてみる。
消えそうなアイドルが脱ぐ(この場合の延命は本当に束の間だけど)
「それでも救える命は救ってあげないと!」
糸色望の警告にも関わらず、大草麻菜美がDAED(ダメAED)を手に教室から飛び出してしまう。
「先生が最近、私に興味示さないなぁ」と溜め息を吐く小森霧を蘇生。ナース服で回春を図る。
頭髪をごまかしきれない臼井影郎にパーマを当てて延命。これで誰にも頭髪の薄さが気にされなくなった(ちなみにこの後、臼井影朗の出番は極端に減る。19集内にもう出番は……)
次に本屋。売れなくなった古典文学に人気漫画家の表紙に変えて蘇生。
夢中になった大草は、墓場へ行き、すでに絶えたはずのものまで蘇生させてしまう……。


第182話 傍観者たち
ea6cc4d8.jpg衣替えの季節。制服の袖が短くなり、何となく新鮮な空気に満たされるその季節。
そんな衣替えに合わせたかのように、糸色望が袖を破り裂いた、ワイルドな和装姿で教室に入ってくる。
「それでは皆さん。授業を始めます」
何事もなく授業をはじめ、進行し、そのまま放課後を迎える。
――そして翌日。
「何で言ってくれなかったんですか!」
「何が?」
大慌てで飛び込んでくる望に、木津千里が淡白に返す。
「これ! 昨日袖が無かったじゃないですか! どうして誰も言ってくれなかったんですか!」
もちろん、みんな気付いていた。気付いていたが――誰か言うだろう。もう誰か言っただろう、と思って結局だれも袖について指摘しなかったのだ。
いわゆる「傍観者効果(Wikipediaへ)」と呼ばれる心理現象だ。
とある場所で火事が発生し、多くの野次馬が集る。きっと誰かが消防署に通報しただろう。もう消防署に通報されたんだろう……。しかし実際には誰一人消防署に通報していなかった。
よくよく考えてみれば、現実世界に似たような現象はいくつも起きている。
例えばご贔屓にしている漫画が人気低迷で苦しんでいるとき、ファンなら葉書を出せばいいのに――。
「他の誰かが出すでしょう」「別に自分でなくても」
そうして、気付けば人気最下位。打ち切り候補に上げられているわけである。
だが絶望先生に限って、同じ理由で都合がいい場合もある。
「うわぁ、このネタは、抗議されるだろう」「誰かが抗議するだろう」「別に自分でなくても」
結局、苦情は一件も来ないわけである。(注目されていない、という突っ込みはスルーしてあげよう)


第183話 閉門ノススメ
187c86fb.jpgある退屈な平日。日塔奈美はぼんやりと昼の時間を過ごしていた。学校は例のインフルエンザで休校。ラッキーな休日はいいが退屈で退屈で仕方がない――。
単行本より早く、すでに映像化されたエピソードである。
インフルエンザ流行で外出禁止。同じく退屈な時間を過ごす糸色倫は、「自分の家から出られないのならば、隣の家を自分の家にしてしまえばいい!」と思いつく。
思いつきは決行され、隣家は次々と買収されていく。行く先は町のラーメン屋だ。
その途上で日塔奈美の家を通過。仲間に引き入れ共にラーメン屋を目指す。だがようやく辿り付いたラーメン屋は――経営者交代で味が変わってしまっていた。現在の経営者は倫……。とんだ盲点であった。
インフルエンザという流行を題材にしているものの時事ネタは最小限に抑えられ、羅列ネタは一切無し。キャラクターのみの魅力で描かれる『さよなら絶望先生』においては珍しい一篇だ。
ちなみにオマケページには日塔奈美がラーメン作りに入れ込む姿が描かれる。このオマケエピソードは19集内に続きがもう一篇描かれ、内容が本格的になっていく。続く20集にも描かれるのだろうか。

第184話 流行り短し走れよ乙女
a30bcb9a.jpg日塔奈美が流行の本を読んでいる。
「奈美ちゃん、それって面白いの?」
風浦可符香が訊ねる。
「…………すっごい面白いよ。知性溢れる文体が音楽のように流れ込んできて、まるで活字がミュージカルを躍っているよう……」
と言いつつ、実は何が書いてあるのやらさっぱりわからない。でも「わからない」と言ってしまうと何となく自分が頭悪いと見做されるような風潮。「面白いって言わなきゃいけない」という感覚だった。
例えばあるコントライブにて。何が面白いかわからないのにみんな笑っている。そこで笑わないと、笑わない自分のほうがセンスと教養がないように見られそうな雰囲気。
またあるいは、常人には理解できない7色のビブスを使った奇妙な練習方法。解説者はすごいと評価しないといけない雰囲気。
映画においては、海外でカンヌなどの章を獲ると、とりあえず誉めないといけないような雰囲気。
愚民に思考する力はなく、その対象が美しいのか醜いのか、そんな直感的なことすら“権威”を頼り、“権威”が与えたものをありがたがる。その傾向を、糸色望は『無条件幸福』と名付ける。“権威”を批判しつつも、実際にはその“権威”批判の内容すらも“権威”が与えた思考をなぞっているだけの日本人。天から与えられた物にすがりたがる、日本人に根付く賤民気質をユーモアたっぷりに描く。


第185話 ネジまき鳥クロニクル
9292715c.jpgまあ見てのとおり、私はそそっかしい――。
小節あびるの珍しい単独エピソードである。何をしても失敗し身体に痛々しい傷を負ってしまう小節あびる。だからいつも「またムダな仕事増やして!」と怒られていた。
そんな小節が、謎の団体に拉致された。拉致したのは国のお役人。役人たちは小節あびるの才能を見込んである仕事を依頼する。それは――。
「ムダな仕事を作ること」
いかにムダな仕事を作って予算を引っ張ってきて、公務員の利権と雇用を確保するか。役人にとって、それを考え出す能力が最も重大と考えられていた。
有益な仕事をすると民業圧迫になってしまう。だからムダで、過剰な役人を遊ばせておく仕事が必要なのだ。
そんな役人たちに、小節あびるは極めてどーでもいい、「街中のネジを数える」という仕事を提案する。


第186話 貧しき人々の胸
3698ada1.jpg毎年恒例の七夕エピソードである。久米田康治は七夕に何か思い入れでもあるのだろうか、とふと勘ぐりたくなるが――。
糸色望は笹の葉を見て、静かに感傷に浸る。岡田以蔵(Wikipediaへ)の最後の武器。
「私、何かで読んだことがあります」
と加賀愛が話を続ける。囚われた以蔵は斬首の直前、差し入れられた握り飯を包んでいた笹の葉を武器に戦った。でもその武器はあまりにも弱々しく、切なさを感じさせる。
――君が為、尽くす心は水の泡。着えにし後ぞ澄み渡るべき。
世の中、あまりにも持っている武器が弱々しくて哀しくなってしまう人がいる。
例えば、
「オレ、ジブリの試験、受けたことあるんだぜ!」
「ねえ、ボクと付き合ってくれるなら、エヴァパスポートの権利譲ってあげてもいいよ」
「私、ネット(ニコニコ動画)で有名なバンドマンと付き合っているの」
MAEDAX「ボク、その女の人と付き合っていました」
ああ、痛々しい弱くて小さな武器。だが、武器を持たないものは時にそれを必死に振り回さねばならない。
「貧者の一灯を笑うのは、卑しいことです!」
加賀愛が厳しく一喝する。
そんな小さな武器でも、短い刃は尊い力なのだ。と、綺麗にまとまりかけるのだが……。


第187話 誤字院原の敵討
2e94db7d.jpg木津千里が測量器を手に神妙な顔をしていた。
「ちょい右。もう少し水平に。ちょい上。もうちょい、下。」
粘着的精密さで微調整を加えていたのは展示する絵画の傾きだった。ようやく完璧に設置し、木津はうっとりと絵画を眺める。
とそんな絵画を小節あびるがちらと見て――。
「あのさ、すごく言いにくいんだけど……。その絵、上下逆さま」
人間ささいな間違いには気付くが、大きな間違いには気付かない。
例えば、試験の答案用紙。解答欄が1つずつずれてしまっていた。
また例えば、事故で足を骨折しているのに、本人は小指の擦り傷しか気付いていない。
これまた単行本より先にアニメーションで映像化された一篇である。作品云々より、主演俳優と監督の忌まわしき陰謀により、新谷良子が「もろチン!」と叫ぶ切っ掛けを作った注目すべきエピソードである。新谷良子の恥ずかしい「もろチン!」を聞きたい人は、是非ともDVD『懺・さよなら絶望先生』を購入して欲しい。


第188話 かぶったさんのカレーライス
22977fb5.jpg皆既日食。太陽が削られ、真昼にも関わらず街に暗い影が落ちていた。
だが太陽にとっては迷惑な話である。自分と被っているのだから。
皆既日食のその日、地上でも様々なものが被ると予想される――。
なんて言っている間に、木津千里と藤吉晴美がはっと互いを見合わせて固まっていた。同じ柄のものシャツ。何となく2人に気まずい空気が漂う。
物事、被ってしまうと何となく気まずくなり、あるいはその人の個性が減退されてしまう。
例えば、タレントのキャラが被ってしまう。
例えば、好きな女の子が被ってしまう。
「憂ちゃんはオレの嫁だ!」「いや、オレの嫁だ!」(じゃあ梓と澪はいただきます)
政治レベルの話に移せば、領土の所有権が被ってしまう。
漫画にとって最も恐ろしい現象。それはネタが被ってしまうこと――。
そんな糸色望の前に、糸色望そっくりの謎の男が出現する。その謎の男は数十年に一度、皆既日食の日に現れるという――「怪奇日直」である。
糸色望の行く場所、すること、何もかもが被ってしまう。糸色望は他の何かと被らないようにと迷走していく。


第189話 夏かしい人たち
51e9c0d3.jpg夏休みに入った7月。学校という社会規範から開放され、皆は楽しい楽しい時間を過ごしていた。
なのに、8月になるとどうしても心の底から楽しめない。8月に入ったとたん、夏休みはあと1ヶ月しかない事実に気付き、うんざりするような宿題に直面する。
糸色望はこう分析する。それは7月の休みが11日に対し、8月は31日もあるからである。だから、と糸色望は提案する。7月は45日まであるのが適当ではないか(その代わりに8月は21日まで)。そうすれば7月の気分をより長く味わえるのではないか。この提案は、常月まといによって『真のサマータイム』と名付けられる。
それに乗っかるように、日塔奈美も提案する。
「じゃあ、500Kcalのラーメンは多すぎるから、400Kcalは4(150)Kcalまでにするべきです。550Kcalが4(150)Kcalだったら、精神的に大丈夫な気がします!」
……誰も同意しない提案だった。
「少し肥えたか?」
マリアが日塔の胴回りをぷにぷにと指さす。
「ウエストも50センチ台が59センチまでなんておかしい! 5(120)センチまであるべきよ!」(つまり日塔奈美のウエストは62センチ。う~む)
ともあれ、7月を長く取ることこそ本当のサマータイム。各業界でもサマータイムは取り入れるべきである。
……根本的な解決には何もなっていない、ごまかしに過ぎない、という現実問題は置いとくとして。


第190話 散る散る・満ちる
4a650335.jpg木津千里の家に、藤吉晴美から電話が掛かってきていた。
「千里、今からプールに行かない?」
「ごめん、忙しいんだ。」
千里は藤吉の誘いを断り、電話を切った。千里は夏休みに入ると、学校より忙しくなってしまう理由があった。
木津家長女、木津多祢。木津千里の姉。しがらみ大学に通う女学生であった。
その木津多祢が夏休みのあいだ実家に帰省する。その多祢の部屋は、信じられない量のゴミで溢れかえっていた。
「お姉ちゃん、また散らかして! 今朝片付けたばっかりでしょ!」
木津千里は多祢を叱り、部屋の中をきっちり掃除する。だがその直後、部屋はゴミであふれ返ってしまう。
木津多祢には部屋を散らかす才能があった。いや、ゴミを引き寄せる才能というべきか。部屋だけではなく、あらゆる場所を汚いゴミだらけにしてしまう。外出するがどこへ行ってもゴミがついてくる。物だけでなく社会のゴミまで引き寄せてしまう。
木津多祢はゴミを引き寄せるだけではない。ゴミに、あるいはゴミのような人間に好かれてしまうのだ。
そんなゴミ体質の木津多祢に、糸色望は胸をキュンとさせて引き寄せられてしまう。『さよなら絶望先生』としては極めて珍しい、恋愛へと発展しかけるが……。
第9集90話で「私、お姉ちゃんに、ジュース注射したことあるよ。」と話題にされていた千里の姉が満を持しての登場である。何もかもキッチリしている木津千里と正反対の自堕落なキャラクターとして描かれる。キッチリと汚い。不思議なコンビネーションで結ばれる姉妹である。今後の活躍に期待が掛かるキャラクターである。(教員として再登場するか?)

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漫画・著作者:久米田康治
編集・出版:講談社





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