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■2009/08/03 (Mon)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P013 第2章 毛皮を着たビースト

10

休校は6日間続いて7日目に学校は再開された。
学校が始まると、みんな何もかも当り前の顔をして、毎日が平然と始まった。この学校で起きた事件も、もうどこか遠い場所のできごとみたいだった。私の一週間連続日直の日々も、やはりその後も再開された。
私は、皆から集めた現国のノートを抱えて、廊下を歩いていた。全部でだいたい32人分のノートはかなり重かった。私はひいひいと汗をかきながら、やっと職員室にたどり着いた。
職員室は扉が開けたままだったので、挨拶もなくその中へ入っていき、糸色先生の机へ向かった。
「先生、提出物のノートです。助けて」
私はふらふらと糸色先生の下へと向かった。
「日塔さん、大変でしたね」
糸色先生は私に気付くと、すぐに席を立った。ノートの束の上半分を手に取り、机の端に置く。私はやっとノートの重さから解放されて、先生が置いた場所に残りのノートの束を重ねた。
それで、一番上になったノートを見て、あれ? となった。
「可符香ちゃんのノート。先生、可符香ちゃんって、提出物も“風浦可符香”なんですか?」
一番上になっていたのは可符香のノートだった。名前記入欄のところに“風浦可符香”と書かれ、最後の“香”にキツネの尻尾マークが付け足されていた。
「ええ、そうですよ」
糸色先生は椅子に座りながら答えた。
「先生、まさかと思いますけど、出席簿とかも“風浦可符香”なんて書いていたり、しませんよね?」
私は念のためと思って訊ねてみた。
「もちろん、風浦可符香で記入されていますよ。なにか、問題でも?」
糸色先生はさも当り前といった調子で答え、机の奥に並んだ書類の中から出席簿を引っ張り出した。出席簿は写真入りで生徒の名前が記されていたけど、どうやらコーヒーをこぼしたらしく、全体がココア色になって文字が滲んでしまっていた。果たして、本当に“風浦可符香”と書いているのか私にはわからなかった。
「先生、いいんですか? 風浦可符香って、たしかペンネームですよ。本当の名前じゃないんですよ。それで、いいんですか?」
私は冗談ではなく、笑顔を消して確認するように訊ねた。
「私は個人の自由を尊重しますので。憲法にもそう定められているので、認めないわけにはいきません」
糸色先生は真面目な顔をして可符香のノートを手にとり、開いてみた。
ノートの中身は意外とまともだった。黒板に書かれていた内容が、しっかり写し取られている。……と思ったら、ページがめくられると、奇怪なキャラクターをお花畑の絵が現れた。さらに次のページへ行くと、また真面目なノートに戻った。なんだか、可符香らしいノートだと思った。
「でも、先生。まさか、可符香ちゃんの住所も知らないなんて、言いませんよね?」
糸色先生にも、何か信条のようなものがあるらしい。それでも私は、もう一つ質問してみた。
すると糸色先生は、心外だったらしく、厳しい顔をして私を振り返った。
「日塔さん、失礼を言わないで下さい。私はあの子の担任ですよ。もちろん知っています。ポロロッカ星です」
糸色先生は、物凄い真面目な顔をして断言した。
私はぽかんとしながら、頭の中に「コリン星→千葉県」「ポロロッカ星→?」という図式を描いていた。
「あの、先生、本気ですか」
「もちろん、本気です」
「担任としてそれでいいんですか?」
「日塔さん。この世の中、深入りすべきではないことがたくさんあるのですよ。日塔さんも、もう少し大人になるとわかると思います。わからないことは、あえて知るべきではないのです。知らぬが華。ならば、私はあえて多くを知ろうと思いません」
糸色先生は冗談などひとかけらもない顔で、何かを諭すように私に言った。
「いや、生徒の正しい名前と住所くらい、知っておきましょうよ」
という私の的確と思える突っ込みが、先生に届くとは思えなかった。

次回 P014 第2章 毛皮を着たビースト 11

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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