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■2009/08/18 (Tue)
創作小説■
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判】
4
廊下を覗くと、足元で常夜灯が点々と光を投げかけているのが見えた。建物は古いが、意外と設備は新しいのかもしれない。
千里やまといはどっちに行ったのだろう。糸色先生はどこへ逃げたのだろう。私は廊下に出て、とりあえず正面の道を進んだ。
私は千里やまといほど、懸命にはなれない。千里やまといと同じ勢いで糸色先生が好き、とは言えない。でも糸色先生は若くてかっこいいし、落ち着きもあるから、憧れてはいる。こうして歩いていると、ひょっとしたら、棚から牡丹餅が落ちてくるかもしれない。私はその程度のつもりで、糸色先生を捜しはじめた。
間もなく廊下の先に中庭が現れた。中庭に置かれている石灯篭の中で、蝋燭の炎がゆらりと揺れている。中庭を挟んだ向こう側にも屋敷が続いているのが見えた。
私は渡り廊下を抜けて向こう側へ行くと、さらに廊下を進んでいった。どの廊下も点々と常夜灯の光が当てられている。土壁に埋め込まれている美術品が、常夜灯の光で立体的な影を浮かばせていた。私は、襖の装飾や壁に彫られたレリーフを何となく見ながら、廊下を奥へ奥へと進んでいった。
ふと私は、後ろを振り返った。そうすると、果たして自分がどの方向からやってきて、どの角を曲がってきたのかわからなくなってしまった。
私は心をざわざわとさせて、やってきた道を引き返そうとした。襖の模様や、横木に飾られた美術品が手掛かりになるはずだった。でもどの角を曲がっても、見覚えのある風景は出てこなかった。
道に迷った。私はようやく自覚して、本格的に焦った。初めて来る街とかならともかく、まさか誰かの家で迷子になってしまうなんて思いもしなかった。
どうしよう。そうだ、誰かに聞こう。糸色家には、たくさんの召使がいたはずだ。
そう思って辺りを見回した。でも、屋敷はしんと静まり返っていた。自分の胸の鼓動が、はっきり聞こえるくらいだった。
誰もいない。私の焦りは、困惑に変わりつつあった。なんだか周囲の闇が、急に恐いもののように思えてしまった。私はその場にしゃがみこんで、自分を抱くようにした。体が怯えを感じて、小さく震えていた。
すると、どこかで物音がするのを感じた。ざわざわとさざめく風の音に、それとは違うなにかの気配が混じった。
一瞬は不気味に思った。でも私は、誰かに会えるかも、と思って立ち上がった。
音が来た方向をたどって、廊下を進んでいく。廊下はやがて、庭のほうにせり出していった。広い庭園ではなく、茂みが多く、暗い影を落とす小さな庭だった。音は、庭の向うから聞こえてきた。
私はいよいよ本格的に不気味なものを感じた。幽霊や妖怪なんて信じる年頃でもなかったけど、古い様式を持った糸色家は、そういったものが現れそうな雰囲気が辺り一杯に漂っていた。
それでも私は、靴脱石に置かれた草履を履いた。不気味に思う気持ちの中に好奇心もあったし、それに人恋しかった。
庭は真っ暗ではなく、二つの石灯篭が光を放っていた。それを頼りに進んでいくと、奥に細い道があるのに気付いた。細い道は暗かった。細い道に沿って、点々と提灯が配されて、ぼんやりと揺れていた。足元の敷石が鈍く光を宿していた。
霊界トンネル。そんなものがもしあったとしたら、こんな眺めでこんな雰囲気だろう。私はむしろ肝試しの気分になって、真っ暗な細道に入っていった。
あの音は間もなくはっきりとした形を持って聞こえた。何かが鋭く風を切る。それに続くように、強い風が吹くように葉がざわざわと揺れた。あの音の正体はなんだろう、と私は細道を進んだ。
やがて細道を抜けた。細道を抜けると、左手に庭園と繋がっているのが見えた。正面は鬱蒼とした竹林になっていた。そこに、一人の少女が立っていた。
次回 P028 第4章 見合う前に跳べ5 を読む
小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次
P028 第4章 見合う前に跳べ
4
廊下を覗くと、足元で常夜灯が点々と光を投げかけているのが見えた。建物は古いが、意外と設備は新しいのかもしれない。
千里やまといはどっちに行ったのだろう。糸色先生はどこへ逃げたのだろう。私は廊下に出て、とりあえず正面の道を進んだ。
私は千里やまといほど、懸命にはなれない。千里やまといと同じ勢いで糸色先生が好き、とは言えない。でも糸色先生は若くてかっこいいし、落ち着きもあるから、憧れてはいる。こうして歩いていると、ひょっとしたら、棚から牡丹餅が落ちてくるかもしれない。私はその程度のつもりで、糸色先生を捜しはじめた。
間もなく廊下の先に中庭が現れた。中庭に置かれている石灯篭の中で、蝋燭の炎がゆらりと揺れている。中庭を挟んだ向こう側にも屋敷が続いているのが見えた。
私は渡り廊下を抜けて向こう側へ行くと、さらに廊下を進んでいった。どの廊下も点々と常夜灯の光が当てられている。土壁に埋め込まれている美術品が、常夜灯の光で立体的な影を浮かばせていた。私は、襖の装飾や壁に彫られたレリーフを何となく見ながら、廊下を奥へ奥へと進んでいった。
ふと私は、後ろを振り返った。そうすると、果たして自分がどの方向からやってきて、どの角を曲がってきたのかわからなくなってしまった。
私は心をざわざわとさせて、やってきた道を引き返そうとした。襖の模様や、横木に飾られた美術品が手掛かりになるはずだった。でもどの角を曲がっても、見覚えのある風景は出てこなかった。
道に迷った。私はようやく自覚して、本格的に焦った。初めて来る街とかならともかく、まさか誰かの家で迷子になってしまうなんて思いもしなかった。
どうしよう。そうだ、誰かに聞こう。糸色家には、たくさんの召使がいたはずだ。
そう思って辺りを見回した。でも、屋敷はしんと静まり返っていた。自分の胸の鼓動が、はっきり聞こえるくらいだった。
誰もいない。私の焦りは、困惑に変わりつつあった。なんだか周囲の闇が、急に恐いもののように思えてしまった。私はその場にしゃがみこんで、自分を抱くようにした。体が怯えを感じて、小さく震えていた。
すると、どこかで物音がするのを感じた。ざわざわとさざめく風の音に、それとは違うなにかの気配が混じった。
一瞬は不気味に思った。でも私は、誰かに会えるかも、と思って立ち上がった。
音が来た方向をたどって、廊下を進んでいく。廊下はやがて、庭のほうにせり出していった。広い庭園ではなく、茂みが多く、暗い影を落とす小さな庭だった。音は、庭の向うから聞こえてきた。
私はいよいよ本格的に不気味なものを感じた。幽霊や妖怪なんて信じる年頃でもなかったけど、古い様式を持った糸色家は、そういったものが現れそうな雰囲気が辺り一杯に漂っていた。
それでも私は、靴脱石に置かれた草履を履いた。不気味に思う気持ちの中に好奇心もあったし、それに人恋しかった。
庭は真っ暗ではなく、二つの石灯篭が光を放っていた。それを頼りに進んでいくと、奥に細い道があるのに気付いた。細い道は暗かった。細い道に沿って、点々と提灯が配されて、ぼんやりと揺れていた。足元の敷石が鈍く光を宿していた。
霊界トンネル。そんなものがもしあったとしたら、こんな眺めでこんな雰囲気だろう。私はむしろ肝試しの気分になって、真っ暗な細道に入っていった。
あの音は間もなくはっきりとした形を持って聞こえた。何かが鋭く風を切る。それに続くように、強い風が吹くように葉がざわざわと揺れた。あの音の正体はなんだろう、と私は細道を進んだ。
やがて細道を抜けた。細道を抜けると、左手に庭園と繋がっているのが見えた。正面は鬱蒼とした竹林になっていた。そこに、一人の少女が立っていた。
次回 P028 第4章 見合う前に跳べ5 を読む
小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次
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■2009/08/18 (Tue)
シリーズアニメ■
前巻までのあらすじ(第8集より)
アンドロイドは機械の花嫁の夢を見るか
原作158話 昭和83年10月29日
ある秋の放課後。糸色望は町の見回りついでに散策を楽しんでいた。原作158話 昭和83年10月29日
「ああ、先生。おひとついかがですか?」
露店に立っていたのは、気楽なパーカー姿の根津美子だった。2のへ組生徒の一人である。
しかし、
「氷1万円って、そんな値段では売れないのでは?」
「買わないんですか?」
根津はドライな言葉遣いで、望に購入を勧める。
「結構です」
本当に必要を感じない。そう思って、望は根津の前を通り過ぎていった。
角を曲がり、しばらく道を進んでいく。すると再び路上販売の露店が道の端に現れた。
望に声をかけたのは、丸内翔子だ。やはり2のへ組生徒の一人。丸内はやわらかな表情だが、妙に感情の冷たい声で望に商品を勧めた。
カウンターの上に載せらていたのは、マグロ風赤味ブロック。「5000円90%OFF→500円」と書かれていた。
「おお、これはお買い得ですね。買います、買います!」
望は商品に満足して頷いた。
「まいどー」
丸内は商品を包んで感謝を告げる。
これはよい買い物をした。望は満足で道を進んでいた。
だがそのとき、強烈な光が射し込んできた。秋とは思えないような、どこかで光を集めて注ぎ込んでくるような熱線だった。
「ああ、急に強烈な日光が。ああ、みるみる傷んでいく! どこに避けても、日光が追いかけてきます。近くのコンビニで、氷を買わないと……」
掌のマグロのブロックが、溶けるように鮮度を失っていく。望はおろおろとして道を右往左往した。
「ここらへん、10分以上歩かないとコンビニないですよ?」
丸内が現れ、望にさらりと教える。
「うわぁ、大変だ。マグロが腐ってしまう! どうしよう!」
望は大慌てで、もと来た道を引き返し始めた。
その途上に立っている根津の露店。望は、カウンターの上に置かれている氷にはっと目を向ける。
氷1万5千円。
「買った!」
「まいどー」
望は旅行ケースの中に砕いた氷を入れてもらい、そのなかにマグロを納めた。
宿直室に戻ると、ぷんすかと怒る霧が待ち受けていた。
望は「おかしいなぁ」と考える。賢い買い物をしたはずが、いつのまにか大きな出費になってしまっていた。
これは、“最初に損してあとで儲ける”という典型的なビジネスモデルだ。
例えば、最近のプリンター。本体は安いがインクは非常に高く、インクで利益を出している。
他にも、リゾートマンションがタダ同然のお買い得も、管理費月10万円でローン払っていると一緒だったり、
三ヶ月無料のノートン先生が、あるときから「俺いなくなったらヤバイよ」を連発。結局、製品版を買ったり、
望は、後で回収されるビジネスに引っ掛かって、絶望する。
そんな宿直室でのやり取りを見ていた、根津と丸内。
「なるほど。そういえば、ウチの先生、女生徒に人気よね」
根津は何か思いついたようににやりと微笑む。
絵コンテ:龍輪直征 演出:高橋正典 作画監督:田中穣 青葉たろ
色指定:佐藤加奈子
将軍失格
原作第83話 昭和82年2月14日掲載
原作第83話 昭和82年2月14日掲載
「さむっ……くもない」
太陽の陽射しはさんさんと注ぎ、コートを着ているとむしろ暑いと感じるくらいだった。
「今年は本当に暖冬よね」
千里が同意したように頷いた。
そんなとき、奈美が空き地に誰か倒れているのに気付く。
「ああ、人が倒れている!」
奈美はびっくりして悲鳴のような声をあげる。その場の一同が、はっとして振り返った。
「ああ、このお方は……冬将軍!」
望が驚愕に引き攣った声をあげた。
望は、さっそく冬将軍を学校に連れて行き、介抱し、丁重にもてなしをする。
だが、憂鬱な顔の冬将軍の口からこぼれたのは、意外な言葉だった。
「……実は、冬将軍辞めようかと思って……」
自分にふさわしい“将軍”職はないだろうか? 望たちは冬将軍を連れて、ハローワークへ向かう。だが、そう都合よく将軍職に空きがあるはずがない。唯一空いていたのは、“野次将軍”だった。
絵コンテ:龍輪直征 演出:高橋正典 作画監督:潮月一也 中村直人
原田峰文 高野晃久 色指定:佐藤加奈子
ああサプライズだよ、と私はうつろに呟くのであった
原作第153話 昭和83年9月17日
教室へ向かおうと、望は廊下を歩いていた。するとその途上で、奈美や芽留や大草やあびるたちが無言で望をちらちらと目線を送る。原作第153話 昭和83年9月17日
なんだろう?
望は何かひそひそするような様子を気にしつつ、教室への扉を開いた。
突然、クラッカーが華開いた。頭上に用意されていたクス玉が開き、花びらが周囲に飛び散る。「お誕生日おめでとう」と書かれた垂れ幕がクス玉から落ちてきた。
「え? えー!」
「びっくりしましたか? サプライズパーティーですよ」
可符香が笑顔で望に微笑みかけた。
「そらサプライズですよ。だって今日、私の誕生日じゃないんですよ?」
望は驚きを引き摺った声で返した。
可符香が朗らかな表情で頷いた。糸色望は11月4日生まれだ。しかし今は、夏の真っ盛り。誕生日は数ヶ月先だった。
「なんで、今日やるんですか?」
望は困惑しながら尋ねる。
「先生が仰ったんじゃないですか」
可符香は望の記憶を促すように、説明をした。
数日前。
奈美があびるにサプライズパーティーの協力を求めようと、声をかけていた。それを聞いていた望は、
「サプライズ? 誕生日に誕生パーティーをやることの、どこがサプライズですか!」
「……て」
回想から戻り、可符香が同意を求めて頷きかけた。
しかし、望は「はて?」と顎をなでて考えていた。
2期連続で首相が途中で政治を投げ出すサプライズ!
直前になって、漫画家の元に今さら締め切り一日早いの知らされるサプライズ!
10年間、汚染米が混入していたブランド米のサプライス!
そんなダメサプライズばかりですよ。もう日本人は、少々のことでは驚かないのです!」
望はいつもの勢いで啖呵を切った。
すると可符香は、残念そうな顔をして、うつむいてしまった。
可符香が携帯電話を引っ張り出し、どこかと連絡を取り始めた。
「だから、言ったじゃない。これから、本当のサプライズパーティーが始まるよ。」
携帯電話の向うから千里の声が聞こえてきた。何か不吉な予感を残しながら、通話が終了する。
「いや、別にいいですから、サプライズは!」
望は嫌な予感を感じて、止めようとする。
「なんなんですか、これは!」
望は動揺の声をあげた。
「さあ、サプライズパーティーを始めましょう。共産主義バザーとか、利き生肉とか、いろいろな趣向で、先生を驚かせちゃいますよ。みんなもびっくりしたかな?」
千里は期待に目を輝かせて、クラスメイトを振り返った。
だがクラスメイトの顔に驚きは無く、無表情に千里を迎えていた。
「まあ千里ちゃんだから、何をやっても大抵のことはびっくりしないと思う。むしろ、何事もなくフツーに誕生会やった方が、逆にびっくり」
あびるがいつもよりさらに感情のない言葉で返事を返した。
「それはびっくりだ」
藤吉が同意して大きく頷いた。
「何よそれ!」
千里は思わぬ不評に憤慨して声をあげた。
つづく
絵コンテ:板村智幸 演出:龍輪直征 作画監督・原画:岩崎安利 色指定:石井理英子『懺・さよなら絶望先生』第6回の記事へ
『懺・さよなら絶望先生』第8回の記事へ
さよなら絶望先生 シリーズ記事一覧へ
作品データ
監督:新房昭之 原作:久米田康治
副監督:龍輪直征 キャラクターデザイン・総作画監督:守岡英行
シリーズ構成:東富那子 チーフ演出:宮本幸裕 総作画監督:山村洋貴
色彩設計:滝沢いづみ 美術監督:飯島寿治 撮影監督:内村祥平
編集:関一彦 音響監督:亀山俊樹 音楽:長谷川智樹
アニメーション制作:シャフト
出演:神谷浩史 野中藍 井上麻里奈 谷井あすか 真田アサミ
小林ゆう 沢城みゆき 後藤邑子 新谷良子 松来未祐
矢島晶子 後藤沙緒里 根谷美智子 堀江由衣 斎藤千和
上田耀司 水島大宙 杉田智和 寺島拓篤 高垣彩陽
立木文彦 阿澄佳奈 中村悠一 麦人 MAEDAXR
この番組はフィクションです。実在するザンタクロス、ひちょり、福田首相とは一切関係ありません。
■
さのすけを探せ!
■2009/08/17 (Mon)
創作小説■
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判】
3
時計が12時を回った。どこかで打ち鳴らされた銅鑼の振動が、客間全体を満たした。
「それでは、見合いの義、開始でございます」
時田が力強く、ゲーム開始の宣言をした。
すぐに、千里が糸色先生の側に飛びついた。
「先生。ここは大人しく私と目を合わせて、きちんと籍を入れてください。」
千里が糸色先生に詰め寄る。だけど糸色先生は頭上を見上げて千里の目線をかわした。
「嫌です。私はいろんなものに背を向けて生きてきましたかね。見ないことに関してはプロですよ」
糸色先生は余裕の調子で返した。
千里が糸色先生の隙を探すように、その周囲をぐるぐるとまわる。でも糸色先生は、千里の動きを正確に察して、すばやく反対方向に目を向ける。
私たちは座布団に座ったままの姿勢で、糸色先生と千里のやり取りを見ていた。入っていく隙がない、というか、あの二人は何をしているんだろう、というような傍観者の立場だった。
「それじゃ、あの日のことはどう説明するつもりですか。今さら言い逃れは許しませんよ!」
千里が糸色先生の体を掴み、思い切り背伸びをして顔を近づける。
「誤解です。何もありませんでした!」
「嘘は許しません。いいから私の目を見て!」
千里は糸色先生にのしかかるようにして、目をくわっと見開いて迫る。
糸色先生がバランスを崩した。糸色先生が目線を下に向ける。その先に、まといが現れた。糸色先生はさっと掌で目の前を遮った。
「おっと、なにやら危険な気配がします。目を逸らした先に、何かいる気配!」
糸色先生はすぐに体勢を崩して、脇に目を逸らした。
「先生、私と目を合わせてください!」
まといが糸色先生にすがりついて、飛び上がった。糸色先生がまといの目線をかわす。千里がその先に回り込もうとする。糸色先生は素早い動きで、千里の目線を避けた。
それは、まるでボクシングのフットワークだった。糸色先生の動きは素早く、千里とまといを鮮やかな反射能力でかわしていった。千里とまといは、二人で共同して糸色先生の目を捉えようとする。だけど糸色先生の動きに一分の隙はなく、目線どころか顔すら合わせなかった。
糸色先生が千里とまといの一瞬の隙を突いて駆け出した。客間の外に出て、廊下を駆けていく。
「糸色先生!」
「待って!」
千里とまといは、虚を突かれたような顔をしたが、すぐに糸色先生の後を追って駆け出した。
廊下を駆け抜ける足音が、バタバタと去っていく。
私たちは、その足音が消えるまで茫然と廊下を見ていた。千里とまといの気配が感じられなくなって、ようやく緊張が解けたみたいになった。
「何か、ついていけないって感じよね」
あびるがクールな声にもあきれたものを浮かべていた。
「しょーもないイベントに参加させられたって感じね。私はこんなところで結婚させられるなんてごめんだわ。ねえ、何か暇つぶしできるものはない? ゲームとか、目を合わせないものがいいわ」
カエレが溜息と共に立ち上がって、時田を振り向いた。
「それでは、遊戯室があります」
時田は頭を下げたままの姿勢で、カエレを廊下へと促した。
「私も行くわ」
あびるも立ち上がって、時田とカエレに続いた。
《俺はケータイやってるぜ。ここ 充電し放題だしな》
着物の帯の中で携帯電話が振動した。引っ張り出してみると芽留からのメールだった。
振り向くと、芽留は客間の隅で、こちらに背を向けていた。携帯電話をコンセントに繋げて、すでにネットの世界に没入しているらしい。通信料金は大丈夫なのだろうか。
芽留の着物は赤で、黒の帯を締めていた。着物全体に折鶴がプリントされていた。
客間を見回すと、いつの間にマリアがいない。座布団に座っているのは、私と可符香だけになっていた。
「奈美ちゃんはどうする?」
可符香がいつもの朗らかさで訊ねた。可符香はピンクの着物で、大きな椿の模様が描かれていた。
「私は、えーっと、ちょっと、屋敷の中を探検しようかなぁ」
私はごまかすように言って立ち上がった。なんとなく可符香の目を避けていた。確かに見合いの義は、節目がちになりそうな催しだ。
「ふ~ん、そう。頑張ってね」
私の背中に、可符香が励ましの声を送ってきた。でも私は、見透かされたような気持ちになって、グサリを感じてしまった。
次回 P028 第4章 見合う前に跳べ4 を読む
小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次
P027 第4章 見合う前に跳べ
3
時計が12時を回った。どこかで打ち鳴らされた銅鑼の振動が、客間全体を満たした。
「それでは、見合いの義、開始でございます」
時田が力強く、ゲーム開始の宣言をした。
すぐに、千里が糸色先生の側に飛びついた。
「先生。ここは大人しく私と目を合わせて、きちんと籍を入れてください。」
千里が糸色先生に詰め寄る。だけど糸色先生は頭上を見上げて千里の目線をかわした。
「嫌です。私はいろんなものに背を向けて生きてきましたかね。見ないことに関してはプロですよ」
糸色先生は余裕の調子で返した。
千里が糸色先生の隙を探すように、その周囲をぐるぐるとまわる。でも糸色先生は、千里の動きを正確に察して、すばやく反対方向に目を向ける。
私たちは座布団に座ったままの姿勢で、糸色先生と千里のやり取りを見ていた。入っていく隙がない、というか、あの二人は何をしているんだろう、というような傍観者の立場だった。
「それじゃ、あの日のことはどう説明するつもりですか。今さら言い逃れは許しませんよ!」
千里が糸色先生の体を掴み、思い切り背伸びをして顔を近づける。
「誤解です。何もありませんでした!」
「嘘は許しません。いいから私の目を見て!」
千里は糸色先生にのしかかるようにして、目をくわっと見開いて迫る。
糸色先生がバランスを崩した。糸色先生が目線を下に向ける。その先に、まといが現れた。糸色先生はさっと掌で目の前を遮った。
「おっと、なにやら危険な気配がします。目を逸らした先に、何かいる気配!」
糸色先生はすぐに体勢を崩して、脇に目を逸らした。
「先生、私と目を合わせてください!」
まといが糸色先生にすがりついて、飛び上がった。糸色先生がまといの目線をかわす。千里がその先に回り込もうとする。糸色先生は素早い動きで、千里の目線を避けた。
それは、まるでボクシングのフットワークだった。糸色先生の動きは素早く、千里とまといを鮮やかな反射能力でかわしていった。千里とまといは、二人で共同して糸色先生の目を捉えようとする。だけど糸色先生の動きに一分の隙はなく、目線どころか顔すら合わせなかった。
糸色先生が千里とまといの一瞬の隙を突いて駆け出した。客間の外に出て、廊下を駆けていく。
「糸色先生!」
「待って!」
千里とまといは、虚を突かれたような顔をしたが、すぐに糸色先生の後を追って駆け出した。
廊下を駆け抜ける足音が、バタバタと去っていく。
私たちは、その足音が消えるまで茫然と廊下を見ていた。千里とまといの気配が感じられなくなって、ようやく緊張が解けたみたいになった。
「何か、ついていけないって感じよね」
あびるがクールな声にもあきれたものを浮かべていた。
「しょーもないイベントに参加させられたって感じね。私はこんなところで結婚させられるなんてごめんだわ。ねえ、何か暇つぶしできるものはない? ゲームとか、目を合わせないものがいいわ」
カエレが溜息と共に立ち上がって、時田を振り向いた。
「それでは、遊戯室があります」
時田は頭を下げたままの姿勢で、カエレを廊下へと促した。
「私も行くわ」
あびるも立ち上がって、時田とカエレに続いた。
《俺はケータイやってるぜ。ここ 充電し放題だしな》
着物の帯の中で携帯電話が振動した。引っ張り出してみると芽留からのメールだった。
振り向くと、芽留は客間の隅で、こちらに背を向けていた。携帯電話をコンセントに繋げて、すでにネットの世界に没入しているらしい。通信料金は大丈夫なのだろうか。
芽留の着物は赤で、黒の帯を締めていた。着物全体に折鶴がプリントされていた。
客間を見回すと、いつの間にマリアがいない。座布団に座っているのは、私と可符香だけになっていた。
「奈美ちゃんはどうする?」
可符香がいつもの朗らかさで訊ねた。可符香はピンクの着物で、大きな椿の模様が描かれていた。
「私は、えーっと、ちょっと、屋敷の中を探検しようかなぁ」
私はごまかすように言って立ち上がった。なんとなく可符香の目を避けていた。確かに見合いの義は、節目がちになりそうな催しだ。
「ふ~ん、そう。頑張ってね」
私の背中に、可符香が励ましの声を送ってきた。でも私は、見透かされたような気持ちになって、グサリを感じてしまった。
次回 P028 第4章 見合う前に跳べ4 を読む
小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次
■2009/08/16 (Sun)
創作小説■
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判】
2
スクリーンに光が失いかけて、客間に照明が戻った。
“見合いの儀”の説明は終った。でも私たちは、さらなる説明を求めるように、スクリーンの右横に立っている時田に注目した。
「何なのよこれ。見合ったら結婚成立なんて、そんな見合い、聞いたことないわよ!」
私の右隣に座っていた千里が憤慨した声をあげた。千里は濃い青の着物で、唐草模様が全体に広がり、点々と白い花が配された柄だった。赤と青の団子状になった鼈甲の髪飾りをつけていた。
「そういう決まりになっているんですから、仕方ありません。大正天皇が神前式を取り入れる以前から続く、糸色家の習わしですから。これは変えるわけには行きません」
糸色先生がぼそっと呟く。糸色先生は私たちの一番左端で、私たちに背中を向けてうなだれていた。
「先生、そんなのでいいんですか。」
千里が糸色先生に厳しい声で問い詰めた。私はまあまあ、と千里を宥めようとした。
「決まりごとですから、これは。私が伏し目がちな人間になった理由がお分かりでしょう」
糸色先生がちょっとこちらに横顔を向けた。糸色先生の言葉には諦めが込められていた。
「あの、“見合いの儀”は理解しました。でも、何で私たち、着物なんですか?」
私は時田を振り返って訊ねた。着物に着替えさせられた理由は、いまだに説明されていない。
「あなたたちも“見合いの儀”に参加していただきます。だから儀式にふさわしい正装にさせてもらったのです」
「はーーー!」
時田の説明に、私と千里が驚きの声を合わせる。
「あなた方だけではありません。旧糸色家の領地内。つまり町中の人間が“見合いの儀”の参加者。目が合ったもの同士、即成立。例外はございません」
時田は重大発表のように強い言葉で宣言した。
もはや私たちは驚きの声すら上げなかった。カエレが何か訴えたそうに立ち上がっていた。クールなあびるも、無表情で目を動揺させていた。朗らかな微笑を浮かばせているのは、可符香と、どうも事態を理解できているのか怪しいマリアだけだった。
「それ本当ですか。本当に糸色先生と結婚できるんですか!」
まといが希望に満ちた声で訊ねた。まといは黄色の着物で、直線とタイルを組み合わせた幾何学模様の柄だった。袴姿ではなかったけど、さすがにまといは和装が似合っていた。
「もちろん。尤もその間、望ぼっちゃまは誰とも目を合わせようとはしませんけどね」
時田は重く頷いて答えた。
私は糸色先生を振り向いた。私の視線を感じたらしく、糸色先生は反射的にぷいんと別の方向を向いた。なるほど、これは手強そうだ。
「ふふふ。いい話を聞きましたぞ。このシステムを利用すれば、変な宗教に入信しなくても結婚できる!」
なんとなくどこからか生暖かい空気がぬるぬると流れ込んでくる気がした。
「誰か何か喋った?」
私は何となく声を聞いたような気がして、誰となく周りに声をかけた。
「ううん。気のせいじゃない?」
あびるがクールな返事を返した。あびるの着物は、白地に松と羽ばたきかけた鳥の柄だった。
「百歩譲って、着物きせられたのは許そう。でも、なぜ私だけこの丈なのよ!」
カエレが私たちの前にずんずんと進み出た。カエレの着物は黒に近い紺色で、大きな花が一杯に散りばめられ、袖口にレースがちらりと覗かせていた。
そのカエレの着物だけ、スカートが極端に短く、きわどく股間が隠れているだけだった。こうして座った姿勢で見上げると、スカートの裾から白いものがちらりと見えた。私はちょっと恥ずかしくなって目を逸らした。
「それはもう、調査済みでございますから」
時田は堂々と胸を張った。
「訴えてやる!」
カエレの怒りの声が客間一杯に満ちた。
次回 P027 第4章 見合う前に跳べ3 を読む
小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次
P026 第4章 見合う前に跳べ
2
スクリーンに光が失いかけて、客間に照明が戻った。
“見合いの儀”の説明は終った。でも私たちは、さらなる説明を求めるように、スクリーンの右横に立っている時田に注目した。
「何なのよこれ。見合ったら結婚成立なんて、そんな見合い、聞いたことないわよ!」
私の右隣に座っていた千里が憤慨した声をあげた。千里は濃い青の着物で、唐草模様が全体に広がり、点々と白い花が配された柄だった。赤と青の団子状になった鼈甲の髪飾りをつけていた。
「そういう決まりになっているんですから、仕方ありません。大正天皇が神前式を取り入れる以前から続く、糸色家の習わしですから。これは変えるわけには行きません」
糸色先生がぼそっと呟く。糸色先生は私たちの一番左端で、私たちに背中を向けてうなだれていた。
「先生、そんなのでいいんですか。」
千里が糸色先生に厳しい声で問い詰めた。私はまあまあ、と千里を宥めようとした。
「決まりごとですから、これは。私が伏し目がちな人間になった理由がお分かりでしょう」
糸色先生がちょっとこちらに横顔を向けた。糸色先生の言葉には諦めが込められていた。
「あの、“見合いの儀”は理解しました。でも、何で私たち、着物なんですか?」
私は時田を振り返って訊ねた。着物に着替えさせられた理由は、いまだに説明されていない。
「あなたたちも“見合いの儀”に参加していただきます。だから儀式にふさわしい正装にさせてもらったのです」
「はーーー!」
時田の説明に、私と千里が驚きの声を合わせる。
「あなた方だけではありません。旧糸色家の領地内。つまり町中の人間が“見合いの儀”の参加者。目が合ったもの同士、即成立。例外はございません」
時田は重大発表のように強い言葉で宣言した。
もはや私たちは驚きの声すら上げなかった。カエレが何か訴えたそうに立ち上がっていた。クールなあびるも、無表情で目を動揺させていた。朗らかな微笑を浮かばせているのは、可符香と、どうも事態を理解できているのか怪しいマリアだけだった。
「それ本当ですか。本当に糸色先生と結婚できるんですか!」
まといが希望に満ちた声で訊ねた。まといは黄色の着物で、直線とタイルを組み合わせた幾何学模様の柄だった。袴姿ではなかったけど、さすがにまといは和装が似合っていた。
「もちろん。尤もその間、望ぼっちゃまは誰とも目を合わせようとはしませんけどね」
時田は重く頷いて答えた。
私は糸色先生を振り向いた。私の視線を感じたらしく、糸色先生は反射的にぷいんと別の方向を向いた。なるほど、これは手強そうだ。
「ふふふ。いい話を聞きましたぞ。このシステムを利用すれば、変な宗教に入信しなくても結婚できる!」
なんとなくどこからか生暖かい空気がぬるぬると流れ込んでくる気がした。
「誰か何か喋った?」
私は何となく声を聞いたような気がして、誰となく周りに声をかけた。
「ううん。気のせいじゃない?」
あびるがクールな返事を返した。あびるの着物は、白地に松と羽ばたきかけた鳥の柄だった。
「百歩譲って、着物きせられたのは許そう。でも、なぜ私だけこの丈なのよ!」
カエレが私たちの前にずんずんと進み出た。カエレの着物は黒に近い紺色で、大きな花が一杯に散りばめられ、袖口にレースがちらりと覗かせていた。
そのカエレの着物だけ、スカートが極端に短く、きわどく股間が隠れているだけだった。こうして座った姿勢で見上げると、スカートの裾から白いものがちらりと見えた。私はちょっと恥ずかしくなって目を逸らした。
「それはもう、調査済みでございますから」
時田は堂々と胸を張った。
「訴えてやる!」
カエレの怒りの声が客間一杯に満ちた。
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小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次
■2009/08/16 (Sun)
映画:外国映画■
空は、ガスの混じった雲が覆い、時々雷鳴をとどろかせている。
吹き上げたガスの塊が、炎になって燃え上がっている。
都市の上空を、三輪のスピナーが飛び交う。
そんな様子を、レプリカントの冷淡な瞳が見詰めている。
カメラはゆっくり空中を進み、都市の中央にたたずむ、巨大なピラミッド状建築の中へと入っていく……。
『ブレードランナー ファイナルカット』は、SFの古典名作『ブレードランナー ディレクターズカット最終版』にさらに手が加えられた新しいバージョンだ。
『ブレードランナー ディレクターズカット最終版』が原型とされているので、基本的な物語構成やカットの運びに変更はない。
『ブレードランナー ファイナルカット』はかつての映像をデジタル技術で洗浄され、映画監督の感性に可能な限り接近させた作品だ。
新たに洗浄された『ブレードランナー』の映像は、驚くほど鮮明だし、そこから得られる印象は鮮烈だ。
かつてぼやけて見えていた映像は、克明にディティールを描き出し、明暗の差はくっきりと浮かび上がり、色彩も音響もより鮮やかになった。
これが、リドリー・スコットが二十数年前に構想し、当時の技術では決して描き出せなかった映像なのだ。
『ブレードランナー』は、リドリー・スコット監督の評価を決定付けた作品だ。
その映像は、カットの全体に霧がかかり、何もかもが曖昧な空間に光が煌き、暗闇が深いところから迫ってくる。
リドリー・スコットは、この作品において、“光と闇の魔術師”と呼ばれるようになったのだ。
だがあの映像は、本当の『ブレードランナー』ではなかった。
『ブレードランナー ファイナルカット』の映像には、どこにも霧がかかっていなかった。何もかもが克明に描き出され、何もかもが鮮明に浮かび上がる。
これが本当の『ブレードランナー』だったのだ。
我々は随分長い間、劣化した作品に満足し、曖昧だった映像を見てリドリー・スコットを知ったつもりになっていたのだ。
現代の技術はようやくリドリー・スコットの才能に追いつき、我々は本当の『ブレードランナー』を目撃する機会を得たのである。
『ブレードランナー』は、もうとっくに過去の遺物と思われていた作品である。
かつて『ブレードランナー』を繰り返し鑑賞し、自身の体内に取り込んでいった映画作家は少なくない。
“SFのオリジナル”という称号は、その後に氾濫したSF映画の中で繰り返し真似され、いくつものパロディが作られていくなかで形骸化していった。
この作品が、現代の若い観客に、どんな感動を与えられるだろうか。
『ブレードランナー ファイナルカット』は当時の映像と物語を、そのままの形で現代の観客に提示している。
また新たな世代が、繰り返し見る作品になるように。
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作品データ
監督:リドリー・スコット
原作:フィリップ・K・ディック 音楽:ヴァンゲリス
脚本:ハンプトン・ファンチャー デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
出演:ハリソン・フォード ルトガー・ハウアー
ショーン・ヤング エドワード・ジェームズ・オルモス
ダリル・ハンナ ブライオン・ジェームズ
ジョアンナ・キャシディ M・エメット・ウォルシュ
ウィリアム・サンダーソン ジョセフ・ターケル