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■2009/08/30 (Sun)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P039 第4章 見合う前に跳べ

15

〇〇……チジ
目を覚ますと、お花畑の中だった。
じゃなかった。私はふらふらする頭を起こして、目をこすった。私がいたのは客間だった。私の周囲で、可符香や千里やまといといったみんなが、布団も敷かず枕も置かずに眠っていた。
畳の上に、振袖の鮮やかな色彩が広がっていた。みんな思い思いの格好で、思い思いに手や足を伸ばして畳の上に転がっていた。艶やかな振袖の色彩が重なり合い、すらりと伸びた手と足がつる草のように絡み合い、それがお花畑のように見えたのだ。
〇〇〇〇〇〇〇……チジ
それにしても、みんな大胆な寝姿だった。胸元や太ももをはだけさせて、思い切り体を広げたり、側にいる女の子に絡みついたりしている。
改めて見るとエッチな光景だった。振袖の色彩が重なりあう様は美しいけど、際どく裾をはだけさせている姿は、同性でも胸をどきどきとさせるものがあった。
見ちゃいけない、と思いつつも、私は貪欲に、大胆に解放された胸元や、白く伸びた太ももが繋がる腰を充分に堪能した。
ふと冷たい空気が流れ込んでくるような気がした。振り向くと、庭と繋がる障子のひとつが開けたままになっていた。淡く色彩を抑えた空間に、そこだけくっきりとした光が輝く気がした。
私は立ち上がると、慎重にみんなを踏みつけないようにしながら、障子のそばへ向かった。
障子から外を覗くと、鮮やかに色づく緑が目についた。どうやら夜のうちに雨が降ったらしく、空気は冷たく張り詰めて、柔らかく包み込むような霧が漂っていた。
私は板間に出て、思い切り体をそらして深呼吸した。冷たく新鮮な空気が体一杯に満たされるのを感じた。
さらに私は、庭に出たいと思った。熱を持っている体を、外の空気で冷まそうとした。
そう思って靴脱ぎ石に目を向けるけど、草履はどれも汚れて、泥を被っていた。みんなこれであちこち歩いたし、雨が降ったせいもあるだろう。
綺麗な草履はないかと思ったけど、諦めた。えいや、と裸足のまま、庭の土の上に飛び出した。裸足に冷たく突き刺す感触があった。ちくちくして痛かったけど、ぼんやり寝ぼけた体にはちょうどいい刺激だった。
私はのんびり足を進めて、竹林の中へ入っていった。竹林に囲まれた細道は、全体が淡く霧が包んでいる。白く溶け込みかけた空間に、竹の緑が鮮やかに浮き上がっていた。敷石が濡れてひんやりと冷たく、踏んだ感触が心地よかった。
私は竹の香りに心地いいものを感じながら、ゆっくり風景を見ながら歩いた。なんとなく周囲の自然と一体になるような気持ちだった。
いきなり何かがぶつかってきた。私は自分を支えられず、尻を突いた。あまりにも唐突で、目の前をクラクラさせながら、ぶつかってきた誰かを探った。臼井だった。
「もう、何すんのよ!」
私は怒りに嫌悪をこめて、遠慮なく怒鳴りつけた。
臼井も尻を突いていた。私に怒鳴られて、臼井が顔を上げる。その顔が衝撃に張り付いていた。……ように見えた。
臼井は謝りもせずに跳ね起きると、そのまま逃げるように屋敷のほうへ走っていった。
「なんなのよ、あいつ。ああ、もうやだ。気持ち悪い」
私は全身に嫌悪を感じて、臼井が触れたと思う場所をぱっぱっと払った。立ち上がって尻についた泥を払った後も、私は念入りに着物についた臭いを手で振り払おうとした。
気分を改めるつもりで、私は細道のその先へ進んだ。間もなく竹林を抜けて、広大な庭園が現れた。どこまでも広がる空間に、淡い霧が塊となって漂っていた。森林の緑が、爽やかな色を浮かべている。風の感触はもっと自由で、軽やかに思えた。
そんな風景を前にして、さっきの嫌な気持ちも吹き飛ぶような心地になった。私は手をぶらぶらさせながら、庭園の中を進んだ。
足元に、短く刈り込まれた草が茂っていた。草には朝露の滴がきらきらと輝いていた。足が濡れて裾まで露を吸い込んだけど、それも心地よく思えた。
しかし、足の裏に異質な何かが触れた。ひどくぬめっていて、不快な感じだった。私はなんだろう、と足を上げた。足の裏が、黒く糸を引くもので汚れていた。泥だった。よく見ると、足元に茂る草の中に、黒く沈んだ色が混じっていた。

P040 次回 第4章 見合う前に跳べ16 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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■2009/08/29 (Sat)
雪は降り止む気配はなく、すでに随分な厚みを作り始めている。
谷を背にした小さな村は、雪に閉ざされ、白一色に包まれようとしている。
そんな雪の村に、薬箱を背負った男が一人、立ち入っていく。銀髪の蟲師、ギンコだ。
5c587036.jpg150fcf7d.jpg冒頭の雪山のシーンで登場する庄屋は、映画監督のりんたろうが演じている。ただし台詞なしでクローズアップのみ。表情だけだが、なかなかの存在感を放つ。大友克洋繋がりだろう。

庄屋の居間に行くと、男達が囲炉裏を囲んで談笑している声が聞こえた。
ギンコは居間に上がっていき、おずおずと男達に声をかける。
「蟲師のギンコと申します。一夜の軒下を借り受け、しのがせてもらいます」
ギンコは庄屋の主に感謝を告げて、厩に引っ込もうとした。
だが、庄屋の女将が、ギンコを奥の部屋へと誘う。
「実は、診てやってもらいたい者がおるのです」
女将は静かに、秘密を打ち明けるように、切り出した。
そこは深い谷の底の村。風もとおらぬ、静かな村だ。
村では何年かに一度、大雪が降り出すと、しんとして、物音一つしなくなる。静けさが極まると、気付けば話し声が聞こえなくなってしまうという。
昔からそれは、蟲のせいだと言われていた。
7fcaffd7.jpg60b6a92b.jpg真火は原作の設定では少年だったが、少女に変えられた。原作は女流作家らしいショタ趣味で描かれていたが、映画版は男性の監督で、しかも実写では漫画のショタは描けぬと判断されたのだろう。

庄屋の家でも、小間使いの何人かの耳が聞こえなくなっていた。
ギンコは、小間使いの耳を診断して、すぐに“吽”と呼ばれる蟲の仕業であると見抜く。
“阿吽”の“吽”。音を喰う蟲だ。
ギンコはただちに治療薬を作り、小間使いの耳から“吽”を取り除く。
ギンコの手際の良さに感心した庄屋の女将は、「実は」ともうひとつ秘密を打ち明ける。
「もう一人いるんです。それが、他の者とは、なにやら出方が違っておりまして。……両耳を病んでしまった者がおるのです」
屋敷のずっと奥に、秘密の座敷が隠されていた。
そこに、耳を塞ぐ幼い少女がいた。
少女の額には、四本の角が生えていた。
0653d202.jpgaa0aefe9.jpgSFの巨匠が日本の曖昧と言われる感性をどう表現するのか?見てみると、なるほど、原作を解体し、周辺世界をいちから組み上げている。大友克洋流のアプローチ方法を見る絶好の機会だ(大友克洋が映画に他人の原作を扱ったのは、この作品が初めて)。
『蟲師』が舞台とするのは日本だが、どこであるか不明である。
時代もいつの時代に属しているのか、特定できず判然としない。
だが『蟲師』が描いているのは、紛れもなく日本だ。
『蟲師』は、日本人がずっと深いところに感じ、決して失われない精神を描いている。
1e706744.jpgfe3f162d.jpg和の風景が大切に描かれている。光と影のくっきりとした対立。淡幽の屋敷では、常のぼんやりとした影が漂う様が描かれている。大友作品で、こういった中間色の使い方は珍しいはずだ。

『蟲師』には、映画全体に深い影が漂っている。
物語の中で“常闇”と表現される闇は、どこまでも深く、恐ろしく、それでいて静謐に満ちている。
まるで凪いだ水面のようにすべらかで、時々、ゆるやかな風に波紋を浮かべるように、『蟲師』の闇は静かな沈黙を湛えている。
“常闇”が生み出す闇はとてつもなく深いが、そこから感じるのは、恐怖がすべてではない。不思議なぬくもりであり、懐かしさであり、哀しげにさせるようなものが込められている。
それは日本人がずっと古くから、いや、日本の大地が記憶し、日本人に提供し続けてきた感性だ。
f9fd22e3.jpg物語の中心はほとんどが山や村。そういった場所に漂う影の暗さを意識して描かれている。原作は作者の感性のまま自由に世界観が構築され、物語が作り上げられていった。実写劇場版は、大友克洋らしい論理的構築で、物語の組み換えを行っている。電気が出てくる場面など、実に象徴的だ。『蟲師』で描かれた風景も、蟲も、蟲師も、いつか時代の狭間に失われていく運命を描いている。
『蟲師』は妖怪奇譚でもある。
『蟲師』に登場する“蟲”はどこにでもいて、自由に漂っている。
時々人間に取り付き、病を引き起こすが、決して人間を憎み、滅ぼそうとは考えていない。
ただそこに漂い、あるときには人間と共存するものとして描かれている。
『蟲師』が描く“蟲”は、かつて日本中に潜んでいた妖怪の姿を連想させる。
現代の妖怪は、コミックや西洋式唯物主義に毒されて、ただの商業キャラクターに成り下がってしまった。
だが『蟲師』が描いた“蟲”は、現代の風潮に正面から反逆し、日本が土着的に備えていた幽玄さと呼ぶべきものを甦らせている。
眩い白色灯の光が都市を覆い、騒がしいばかりの西洋文化が押し寄せてくる現代においても、我々の精神の底には『蟲師』に描かれたような幽玄さが、今も残っているのだ。
01614928.jpg原作の淡幽は穏やかだが芯の強い女性として描かれていた。実写劇場版を演じた蒼井優は、漫画版より幼く、可憐なイメージ。和装姿が実に美しかった。



映画『蟲師』の物語はあまりも暗く、ひっそりと沈黙している。
f4e18a80.jpgだが、『蟲師』は恐怖映画ではない。
闇が深いからこそ、ふっと射してくる光が美しく際立ってくる。
我々は、日本が土着的に備えていた闇を、通俗的な怪談物語に貶め、消費してきた。
現代人の多くは、暗黒や霊的なものに接しても、もはやテレビで見たインチキ心霊番組しか連想できなくなってしまった。
心の底からぞっとするが、穏やかで、ぬくもりのある闇。
あまりにも静かで、もの悲しげな闇。
『蟲師』の描く日本は、どこであるかわからない。だが日本人がかつて持っていた精神を、はっきりした形で描き、呼び覚まそうとする。

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本:大友克洋 原作:漆原友紀
音楽:配島邦明 脚本:村井さだゆき
出演:オダギリジョー 蒼井優 江角マキコ 大森南朋
○○○りりィ 李麗仙 クノ真季子 守山玲愛
○○○稲田英幸 沼田爆 りんたろう



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■2009/08/29 (Sat)
映画は詳しい解説より先に、実例を示している。

6b34fc8b.jpg彼はアダム。失業中で借金を抱えている。最近、事故に遭ったが何の医療保険を持っていなかった。だから、自分で傷口を縫い合わせて治療を行っている。

彼はリック。
88a23f00.jpg彼は仕事中、テーブルソーで2本の指を切断してしまった。中指と薬指だ。
リックはまず思った。
「保険がない。治療にいくらかかる?」
病院へ行くと、医者はリックに選択肢を示した。中指を接合したら6万ドル。薬指を接合したら1万2000ドル。リックは薬指の治療を選択した。

6578c388.jpgラリーとダナのスミス夫婦はその日、引越しをした。引越し先は娘夫婦の物置部屋だった。
二人は仕事と環境に恵まれていた。ダナは新聞の編集員で、ラリーは組合所属の機械工。6人の子供は大学に進学し、今はそれぞれ仕事に就いている。
だがラリーが心臓発作を起こし、ダナはガンを患った。ラリーとダナは医療保険に入っておらず、自己負担がかさんだ。治療を受け続けるためには、自宅を手放さなければならなかった。

b1cc2d5d.jpgフランク・カーディルは79歳になる老人だ。本来なら、楽隠居が約束されるはずの年齢だ。
だが、彼の公的医療保険(メディケア)では夫婦に必要な薬代が全額カバーされない。だから現在も働き続けている。

4f20b9f2.jpgローラは車両事故に遭った。時速70キロで正面衝突。意識を失った。救急隊員に助け出され、救急車で病院へ行った。
保険会社はローラに保険金を支払わなかった。「事前許可のない救急車の利用には、保険金は下りない」というのが、保険会社からの答えだった。
果たしてローラは、いつ保険会社に連絡するべきだったのだろうか? 衝突して気絶している間だろうか。

e7ce2cf1.jpg元保険会社の職員はこう語る。
「コール・センターには問い合わせが来るけど、どの会社でも断るような色んな既往症があるの。糖尿病、心臓病、何種類かのガン……。そういう病気を持っている人は、加入できないわ。その病名のリスト? すごく長いわよ。この家を包めるくらい。中には審査を待たず、NGとわかるケースはあるわ」

8903d4cb.jpgリンダ・ビーノ医師は医療審査の仕事をしていた。だが仕事の方法に嫌気がさして辞めてしまった。
「否認率10%の維持が至上命令なの。審査医事例について、毎週レポートが戻ってくる。全体の承認率と否認率の比較。審査医ごとの否認率。他の審査医と比較した表も別のリポートで届くわ。ここで否認率1位になった医師にはボーナスが出る仕組みなの。業界では保険給付を“医療損失”と呼んでいるわ。医師は患者の治療を拒まなくてはならない。保険会社を得させるためにね」
f56e5cbf.jpgある男性は保険会社に「マイケル・ムーアがあなたの会社を取材しようとしている」と言ったら、簡単に保険金の給付が認められたそうだ。なるほど、これはなかなかいい手である。



ドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアは568865e9.jpgアメリカの医療制度を疑問に思い、“保険会社とのトラブル事例”と募集した。すると、週末までに2万5000以上のメールが届いた。
映画の冒頭に掲げられたのは、そのほんの数例に過ぎない。
医療問題は我々の生活に密接に関わってくるが、実際にどんな問題があるか気付きにくい。健康であるうちは、対岸の火のように感じてしまう。
上に挙げられた事例は、アメリカでは特別な話ではないようだ。しかし、だというのに驚くほどほとんどの人がその実体について知識がない。多くの人は病気になり、病院での治療が必要になり、はじめて知る事実ばかりである。
134595ad.jpgマイケル・ムーアと言えば突撃取材だが、『シッコ』では登場回数は極端に少ない。「自分より彼らを見てくれ」ということだろう。ところど、この映画の公開後、随分後に、「この映画はヒラリー・クリントン候補を礼賛している」という某雑誌の記事を見かけた。しかし、それにはあたらないだろう。なぜなら大統領選挙はこの映画の2年後。誰もこの映画のことなど覚えていないだろう。
確かに偏りのあるドキュメンタリーである。
856f8286.jpg米国の問題を列挙した後は、外国の医療制度に目を向ける。カナダ、イギリス、フランス、キューバ……。
アメリカ以外の医療制度は天国のように描かれている。現実にはどの国でも負の側面はあるはずだ。『シッコ』ではその負の側面について、敢えてなのか、無知によるものなのか何一つ触れられていない。
ドキュメンタリーの主眼はあくまでも“アメリカの医療制度”だ。外国が天国にように描かれるのも、単にアメリカ医療制度が真っ黒だというだけの話だろう。
b2b7e8a8.jpgニクソンの証言は盗聴されたものだ。デマゴギーを見破るのは難しい。政治家はデマの大衆を騙すプロであるし、マスコミはいつも政治家の目論見に加担するだけ(しかも我々は政治家の発表は、ほとんどマスコミを介しないと知識が得られない)。マスコミは政治家のデマに気付いていても、大抵の場合、黙っている。肝心なのは、自分自身で情報を探し、政治家の発言が正しいか検証することだ。とはいっても、ほとんどの人には難しい話になってしまうのだが。

しかし、ではなぜそうなってしまったのか。なぜより良くしようとしないのか。
発端は1971年2月17日のニクソン大統領と顧問の対話にあった。
顧問「副大統領の問題について、一つに絞り込みました。カイザー・パーマネンテのような保険維持機構を入れるかどうかです」
ニクソン「私は医療保障などに興味はないよ
顧問「ですが、彼らは民間企業です」
ニクソン「ならば話は別だ」
顧問「E・カイザーは営利目的で財団を運営しています。なぜそれができるかと言うと、彼を呼んで話を聞いてわかったんですが、医療費を抑えた者に報奨金を出す仕組みでした。医療を施さないほど儲かる仕組みだったのです」
ニクソン「それは良い!」
その翌日、ニクソンから新しい医療制度が発表された。ニクソンの発言を信じるならば、新しい医療制度になれば、米国は最高の医療技術を維持でき、すべての国民が必要な時に医療を享受できるはずだった。
だが、実際には真逆の現象が起きた。患者は治療を受けられず、医療技術は低下した。医療保険会社は大儲けして、病院の体制はモラルとともに崩壊した。
942df81a.jpg(自称)自由国家であるアメリカにとって、社会主義は恐怖の対象だ。自由が奪われ、思考を失った全体主義に陥る……。話は変わるが、少し前にアメリカで発表されたインターネットの有害性を告発する論文を見た。長い論文だったのだが、話の後半に入って、急に共産主義の恐怖に話が変わった。「ある有名なサイトではユーザーを共産主義に洗脳しようとしている」「ネットを使うと、いつの間にか共産主義に洗脳される」。馬鹿みたいな話498f6449.jpgだが、アメリカではいまだに「共産主義の恐怖」は国民を黙らせる、国民に警戒心を抱かせる有効的な言葉であるのだ。とここで思うのだが、日本ではどうだろう。マスコミは方法は違うだけで、アメリカが実践しているネガティブ・キャンペーンと同じやり方で、自分たちに感心をむけさせようとしてはいないだろうか?ネットより、新聞やテレビのほうが偏りがなく、良心やプロ意識で作られている……(日本の場合では、パソコン使用による、健康d29353bb.jpgの恐怖、社会性が保てず、孤独に陥る、それから脳に問題を発生させる。どれも、最近の日本人が根本的に抱いている不安の事例そのものである。その国独自の恐怖意識を喚起させようとしている点で、やっている行為は同じである)。と日本のマスコミは力説しようとする。どこか、必死なものすら感じさせるが。外国を見ていると、自分の国でも見せ方が違うだけで同じことが行われているとよくわかる実例である。
問題の背景にあったのはデマゴギーであった。政治家は新しい制度の素晴らしさを語る。そこに負の側面があっても、決して口にしない。
マスコミは大衆の友達のような顔をしているが、味方だと思わないほうがいい。
人々は政治家の言葉を信じ、新しい体勢を受け入れようとする。大衆は新しい何かを受け入れようと熱狂状態になる。だがそんな状況こそ、政府が意図的に作り出したものなのだ。
映画中に、こんな台詞がある。
「国家を支配するには2つの方法がある。恐怖を与えることと、士気を挫くこと」
ドキュメンタリーの後半は、医療問題を飛び越して政治に対して批判に移る。
本当に生活や国家をより良くする方法やチャンスはいくらでもある。だがその度に、政治はデマゴギーを我々の前に、罠のように張り込む。
大衆が何もかもを信じるようになれば、咎める者はいなくなる。気付けば、大衆は互いの手で目隠しし合うようになっているかもしれない。そうなると、より良くするチャンスは失われるだろう。
だから我々は、与えられるだけの情報にはいつも警戒しなくてはならない。なぜならそれは、アメリカだけの話ではないからだ。

映画記事一覧

監督:マイケル・ムーア



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■2009/08/29 (Sat)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P038 第4章 見合う前に跳べ

14

という冗談はさておき、私たちは千里とまといを仲間に加えて、あの蔵へと向かった。蔵の奥へと進み、時田を先頭にして、地下の坑道へと降りていく。みんなそれぞれヘルメットを被り、懐中電灯で地下の暗闇を照らした。
地下坑道は映像で見るよりずっと闇が深く思えた。湿気が異様に濃くて、蔵井沢の涼しげな気候とは別世界だった。
糸色先生は、坑道に入って100メートルほど進んだ場所で倒れていた。糸色先生は目が半開き状態で、白目をむいていた。その手前に、妖怪のおもちゃが吊り下げられていた。妖怪のおもちゃは、人間と同じくらいの高さがあり、全体がぬるぬると濡れていて、思った以上に生々しかった。わかっていても、ちょっと悲鳴を上げそうな代物だった。
私は、しばらく妖怪のおもちゃを観察した。妖怪のおもちゃは、鎖で吊り下げられていた。坑道の天井にレールが付けられ、動く仕組みになっているらしい。
「ちょっと、日塔さん、あなたも手伝いなさいよ。」
ぼんやりしている私を、千里が注意した。
「ごめんなさい」
私は糸色先生の救助に加わった。
糸色先生を担架に乗せて、地下坑道から運び出す。蔵から出て、庭の細道を突っ切って屋敷に戻った。霧も一緒に屋敷に戻った。
糸色先生は客間の向かい側の部屋に運ばれて、布団の上に寝かされた。糸色先生は額に汗を浮かべ、悪い夢を見ているようにうなされていた。無理に起こさないほうがいいらしい。
千里とまといが看病するように側に付きっ切りになった。二人の顔に、はっきりと残念そうな色があった。
時計を見ると、9時になりつつあった。あと3時間で見合いの儀も終了だ。結局、誰の見合いも成立しなかった。でもそれはそれで、ほっとするものがあった。私たちの関係が変わるなんて、あまり想像もしたくなかった。
私は、ふと客間に残しているおにぎりを思い出した。そういえば朝から一口も食事を摂っていない。皆もお腹がすいているだろう、と思って廊下に出た。
ちょうど廊下の向かい側に、あびるがいた。あびるはちょっとこちらに目礼をすると、襖を開いて客間に入っていった。
私は目礼を返して、客間に入ろうとする。しかし、何かが後を追跡する気配があった。私ははっと振り向き、意識を集中した。
よく見ると、臼井がいた。夜の闇に存在が溶け込むように、それでも確かにそこに臼井がいた。
「さあ、子猫ちゃん、こっち見るんだよ」
臼井はいやらしい笑いをニヤニヤと浮かべて、あびるの後に続いて、客間に入ろうとしていた。
「あびるちゃん、危ない! 後ろ!」
私は襖を開いて、客間に飛び込んだ。
同じ瞬間、派手にぶつかる音がした。続くように、何かが砕ける音。
しかし客間に明かりはなかった。私は手探りで客間に入っていき、白色灯の光を点けた。
床の間の前に、あびると臼井がいた。臼井が床の間にもたれかかるように倒れていた。あびるの手首から伸びた包帯が、臼井の首に巻きついている。臼井の頬が赤く腫れ上がっていた。どうやら気絶しているらしいが、その顔にニヤニヤした笑いを張り付けたままだった。
「あびるちゃん、大丈夫?」
私はあびるが無事だったろうか、と思って近付いた。
「うん。真っ暗で何も見えなかったし」
あびるはクールな返事を返して、臼井の首に巻きついた包帯を外した。反対の右手拳が赤く腫れていた。
私は改めて臼井を見下ろした。床の間のものがみんな倒れてしまっている。臼井の体の上に、その一つが落ちて、真っ二つに割れていた。魯山人の器だった。
「あびるちゃん、ナイス!」
私はあびるを振り向いて、親指を突き立てた。

次回 P039 第4章 見合う前に跳べ15 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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■2009/08/27 (Thu)
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P037 第4章 見合う前に跳べ

13

時田を先頭にして、可符香、私という順番で地下の秘密の部屋を後にした。和室に戻ると、辺りはもう暗くなっていた。暗い部屋に、白い障子の色が浮かんでいた。
障子を開けると、廊下を挟んで手前に庭が現れた。全体が緑の苔に覆われ、照葉樹林がぽつぽつと立ち、奥に池があった。そんな中を、飛び石が点々と続いている。そんな風景にも夜の影が落ちかけていて、池が青い空の光を映していた。
「私は必要な道具をそろえてきます。しばし、ここでお待ちを」
「はい、わかりました」
時田は私と可符香に丁寧なお辞儀をすると、廊下の向うへと去っていった。
時田が去っていくと、なんとなく緊張から解放される気持ちになった。廊下を支える柱にもたれかかり、ぼんやりと庭園を眺める。
すると、近くでばたばたと走る音が聞こえた。さっきまで私たちがいた和室を挟んだ向こう側の廊下だ。そこを、誰かが走っていた。
「先生の奴、どこへ行ったのよ! いない、いない!」
苛立った千里の声だった。
私は頭を起こして、開けたままの障子に目を向けた。そのとき、向こう側の障子がぱっと開いて、千里が顔を出した。私は、とっさに目の前を掌で遮った。千里も同じようにしていた。ここにいると、確かに変なスキルが身につきそうだった。
「あら、あなたたち。糸色先生、見なかった?」
千里は私と可符香の姿を確認すると、節目がちにしたまま私たちに近付いてきた。
「ああ、千里ちゃん。先生だったら……」
と言いかけようとしたけど、
「目で見ようとするから見えないんだよ。心の目で見れば、全てが見えるんだよ!」
可符香の力強い助言が、私を遮った。
私は「え?」となって可符香と千里を交互に見た。千里は少し考えるふうにうつむき、顎をなでていた。
「わかったわ。心の目で見るのね。」
千里が納得したように言って、顔を上げた。
「千里ちゃん、何を言ってるの?」
私は困惑気味に千里と可符香の二人を見ようとする。
千里が目を閉じた。手の指を組み合わせて、何か念じるふうに「う~ん」と唸り始めた。
辺りの空気が、急に冷たく張り詰め始めた。夕暮れの闇が急に深くなっていく。風が力を持ち始め、私たちを取り巻くのを感じた。
その刹那、千里の額がかっと開いた。そこに、もう一つの目が現れていた。
「見えた! 先生は今、屋敷の西にいる。坑道らしき場所で眠っている!」
千里は託宣を受けたイタコのように声が震えていた。
「これは千里ちゃん。まさに千里眼!」
可符香が物凄い発見をしたふうに声をあげた。
「それを言いたいために、こんな不気味なことになってるの?」
私は非難するつもりで、可符香を振り返った。
だが、千里の千里眼はまだ終わりではなかった。千里はさらに深く念じ始めていた。辺りを取り巻く風が力を強めていく。障子がガタガタ揺れて、着物の裾がはためき始めた。
「見える! 見えるぞ! この国の未来が。悪い方向に向かっておるぞ、悪い方向に向かっておるぞォ! 政治基盤が崩壊し、隣国の植民地になる様が見えるぞ! 日本人が愚かな世論に扇動されて、自滅していく様が見えるぞ! 今こそ、行動の時ぞ。日本を崩壊から救うのじゃァァ!」
「千里ちゃん、正気に戻って!」
千里の声が明らかに別人の声になりかけていた。どうやら本当に何かが取り付いたらしかった。

次回 P038 第4章 見合う前に跳べ14 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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