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■2009/09/05 (Sat)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P045 第5章 ドラコニアの屋敷


藤吉がやっと見つけてくれた携帯電話で、警察に通報した。警察の車は、すぐに糸色先生家の前にやってきた。最初は覆面車のセダンだけだったけど、後から鑑識のワゴン車や白黒パトカーが次々とやってきた。
糸色先生の小さな借家は、警察の人たちで一杯になってしまった。私たちは邪魔にならないように庭に出て、土の上に座り込んだ。
青空がゆっくりと暗い影を落としつつある。夏の長い一日は終わり、太陽が沈みかけていた。ただ一つ開けたままになっている雨戸から、借家の明かりが庭に落ちていた。廊下や居間で、鑑識の青い制服の人たちが仕事をしている。カメラのストロボが、何度も暗くなりかける庭に飛び込んできた。
ここからは見えないけど、垣根の向こう側でざわざわと声がし始めた。騒ぎを聞きつけた野次馬が集ってきたのだろう。
私は土の上に座り込んで、膝を抱えてうなだれていた。ほかのみんなも、同じようにしていた。声をかけたり、目を合わせたりしようという人もいない。
「死体の状況は?」
刑事らしい男の声がした。私は顔を上げた。腕に、『機動捜査隊』の腕章をつけた、初老の男の横顔が見えた。ごく普通のスーツ姿で、腕章がなければ平凡なサラリーマンに見えた。
「死体は漂白剤で洗浄されています。死亡直後から低温で保存されていたらしく、体温は気温より低いです。今の段階では、死亡時刻の特定は困難です。蛆虫の付着もありません」
現場指揮らしい鑑識が事務的に報告した。
「コレクションは大事にするタイプだな。損傷は?」
刑事の男はメモを取りながら、次の質問をした。
「いずれも頭部への打撲です。皮下出血の跡がありました。最小限の手数です」
鑑識はさっきと同じ調子で説明した。
「手際がいいな。この家の中で血痕や争った跡は?」
刑事の男は厳しい目で鑑識をちらと見た。
「現在予備試験中です。肉眼及び紫外線撮影で発見されなかったので、ルミノール科学発光検査を行っています。家自体新しいので、異変があればすぐに発見できるはずですが……」
鑑識は説明しながら、作業を続ける部下たちに目を向けた。私には、専門用語だらけで何を言っているのか皆目わからなかった。
「よし、現場写真の撮影が終れば死体は行政解剖に回せ。あとは第1課の仕事だ」
刑事の男が指示を出して、そこを離れようとした。
「警部補、こんなものが発見されました」
若い刑事が、さっきの男を警部補と呼んで引き止めた。
私はうつむいて、足元の土を見つめた。起伏の浅い土が、くっきりとした白と黒に分かれていた。
私は、少し落ち着いた気持ちで、部屋のなかで見たものを思い出した。襖を開けたところに、死体が4体、こちらに足を向けて寝かせてあった。綺麗に等間隔に並べて置かれていた。
死体はどれも裸だった。全身が刻まれ、さらにそれを縫い合わせた跡があった。黒く太い糸が使用されていて、縫い目に皺が集っていた。
死体のうちの3体は少年で、残りの1体は少女だった。どの死体にも性器がなかった。新井智恵先生が言ったように、性器蒐集の趣味を持った人による犯罪らしかった。
そして、死体のうちの一体は、間違いなく野沢だった。顔面が斜めに引き裂かれ、それを糸で縫って形を整えていた。野沢の端整だった顔は、醜く崩れて歪んでいた。
野沢の死体を思い出して、私は急に胸が苦しくなった。肺に不浄が入り込んだように、息が苦しくなって、胸を押さえた。
借家のほうで、動きがあったらしい。私はもう一度顔を上げて振り返った。死体がビニールシートに入れて運び出されるところだった。借家の玄関口に、ワゴン車がハッチを開けてぴったりくっつけてあった。どのビニールシートが野沢の死体かわからなかった。
私はそれを眺めながら、感情が噴きあがってくるのを感じた。目から涙がこぼれる。泣き声を押し殺そうと、私は膝に顔をうずめた。後ろでうずくまっていた可符香が、私の背中を撫でてくれた。

次回 P046 第5章 ドラコニアの屋敷 4 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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■2009/09/04 (Fri)
429995e4.jpg「待って」
エレベーターに乗ったところで、女の声がコーキーを引き止めた。コーキーはとっさに扉を押さえた。
「どうも」
女が乗ってきた。髪にパーマを当てた、化粧の厚い女05e58c1d.jpgだった。一緒に男が入ってきた。恋人か旦那のどちらかだろう。
コーキーは五年の刑期を終えて出所したばかりだった。行く当てのないコーキーを、マフィアのビアンキーニーが引き取ってくれた。これから向かうマンションの一室は、ビアンキーニに割り当てられた部屋だった。
ふと女が自分を見ているのに気付いた。情熱的で、誘うような目。コーキーは女の視線を避けず、受け止めた。
間もなくエレベーターが止まった。10階。扉が開いて、男はさっさと出て行く。女は少し名残惜しそうにコーキーを見詰めたまま、出て行った。
コーキーはしばらくエレベーターに止まり、歩いていく女の尻を見詰めた。
――いい尻ね。
2c9ab002.jpga53ba14e.jpgブリーフを穿き、娼婦を誘うコーキー。男性的な側面が強調されるというより、男性自身である。女性視点のレズビアン映画とは、やはり趣旨が違う。どこか、後に性転換するラリーを暗示しているようだ。
エレベーターで出会った女はヴァイオレット。一緒だった男はシーザーだった。シーザーはマフィアの男で、ヴァイオレットはその情婦という関係だった。
だが、ヴァイオレットはシーザーに心を許しているわけではなかった。シーザーといれば、生活に困らないから。それだけの関係だった。
コーキーとヴァイオレットは、急速に惹かれあい、間もなく肉体的に結ばれる。
ある日、コーキーはマンションにマフィアの男達がやってくるのを目撃する。男達は、シェリーと呼ばれる男を連れていた。
シェリーはマフィアの金を持ち逃げし、どこかに逃亡するもつもりだった。しかしシーザー達に捕まり、これから拷問を受けるところだった。
拷問の悲鳴に耐えられなくなったヴァイオレットは、コーキーの元へ逃げ出す。ヴァイオレットは「シーザーが怖い。逃げたい」と告白。さらに、シェリーが隠し持っている200万ドルを横取りし、コーキーと一緒に逃げようと提案する。
コーキーは考えを巡らし、ビアンキーニの息子のせいにしてうまくマフィアの金を盗み出す方法を考える。
f56fe4ad.jpge65a085c.jpg性倒錯や拷問。『マトリックス』のもう一つの側面であるSM的テーマが随所に現れている。車の中で「盗みと性的興奮」を語る場面がある。細かいところは違うが、元ネタはサドの『悪徳の栄え』だろう。
後に『マトリックス』を制作し、世界的監督になるラリー&アンディ・ウォシャウスキー監督の映画デビュー作である。
物語も舞台構成も単純明快だ。主だった舞台は一つのマンションであり、ほとんどが隣り合った二つの部屋だけで進行する。
おそらく予算的な都合だったのだろう。セットの数は少ないし、登場人物は10人以下。ハリウッドのドル箱俳優は一人も登場しない。
だが物語は綿密に計算して作られ、映画から緊張感が失われる瞬間はない。どのキャラクター達も常に思考し策を練り、予定調和的な展開はなく、物語は二転三転とどこまでも意外な方向に転がっていく。
果たして物語がどんな結末を迎えるのか。最後の瞬間まで目が離せなくなる作品だ。
6853203b.jpg065b5375.jpg低予算映画だが、惹き付ける場面が多い。低予算であっても、充分に実力を発揮している。この段階から、誰がどう見てもウォシャウスキーの映画である。映画監督としての才能と実力を見ることのできる映画だ。
画面の構成はシンプルで俳優を冷淡に捉えるが、狙ったように極端なクローズアップカットが挿入される。
カメラの動きは完璧に制御されている。カメラは俳優の動きをなぞるように追跡し、特定のアイテムに接近する。俳優の立ち位置、動きなどはもちろん徹底した完璧主義で、動作も台詞も機械か何かのようにコントロールされている。
時にカメラは信じられない動きを見せ、カメラマンの存在を忘れさせてしまう。
何もかもが、ウォシャウスキー監督のスタイルである。ウォシャウスキー兄弟は監督デビュー作であるのに関わらず、自分の個性を完璧に理解し、低予算だが自身のスタイルを決して曲げず作品を描いている。
“ウォシャウスキー監督は、初めからウォシャウスキー監督だった”と言うべきだろう。
シンプルでいながら映画の力点をよく理解し、観客をひきつける方法も充分に知っている。
映画作りに必要なバランス感覚の良さ、聡明さ、一目で誰が制作したかわかるスタイル。『バウンド』はウォシャウスキー兄弟の基礎的な能力が妥協なく発現された作品である。

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本・製作総指揮:アンディ・ウォシャウスキー ラリー・ウォシャウスキー
音楽:ドン・デイヴィス 撮影:ビル・ポープ
出演:ジェニファー・ティリー ジーナ・ガーション
〇〇○ジョー・パントリアーノ リチャード・サラフィアン
〇〇○ジョン・P・ライアン クリストファー・メローニ
〇〇○バリー・キヴェル ピーター・スペロス



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■2009/09/03 (Thu)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P044 第5章 ドラコニアの屋敷


間もなくして、糸色先生の借家が見えてきた。
「では、みなさん。今度こそ、この辺で……」
借家の前までやってくると、糸色先生が私たちを振り返った。その顔が、少しではなくはっきりと引き攣っていた。
「上がっちゃおう、上がっちゃおう! ほら、みんなも」
可符香が明るい声で糸色先生を遮って、その背中を押して敷地の中へ入っていった。
「ああ、ちょっと可符香さん……。」
千里が可符香を引きとめようと手を伸ばす。だけど、
「お邪魔します、先生」
まといが遠慮なく家の敷地内に入っていった。それから、勝ち誇った目で千里を振り向く。
「じゃあ、私もご一緒しちゃおうかな」
私はぴょんと飛び跳ねるように家の敷地に入った。
「ほら、あびるちゃんも、一緒においでよ」
「うん」
可符香がもう帰ろうとしていたあびるの手を引っ張った。あびるは特に意思表示せずに、家の敷地内に入っていった。
「じゃあ、私も~」
藤吉は、ちょっと千里に微笑みかけると、家の敷地に入っていった。
私たちは玄関扉の前に集って、ただ一人残った千里を振り返った。
「もう、みんなったら。私も行く!」
千里は寂しそうな顔をして敷地内に飛び込んできた。藤吉が千里の手を握って迎え入れた。
「じゃあ、ちょっとだけですよ。何もない家ですから、すぐに帰るんですよ」
糸色先生は憂鬱そうな声で言うと、懐から鍵を引っ張り出した。
私たちは、糸色先生の了解を得たと見做して「やった!」と万歳した。
糸色先生が玄関扉に鍵を差し入れた。くるりと一回しして、開錠する。がらがらと玄関扉を開けた。
玄関扉を開けると、狭い靴脱ぎ場が見えた。当り前だけど靴は置かれていない。右横に、靴脱ぎ場と同じサイズの下駄箱が置かれていた。
その先にある廊下はまっすぐ奥まで伸びて、階段に繋がっている。廊下の右手は庭に繋がっているが、今は雨戸が締め切られていた。左手が襖になっていて、多分、居間に繋がっているのだろう。
廊下は全てが締め切られて暗い影を落としていた。糸色先生のイメージどおり、殺風景だけど慎ましやかで清潔な雰囲気があった。
糸色先生が可符香に背中を押され、玄関に入っていった。靴を脱いで、廊下に上がる。私たちも、順番に「お邪魔します」と後に続いていった。
「住み始めたばかりで、本当に何もありませんから。早く帰るんですよ」
糸色先生は私たちに押されながら廊下を進んだ。それからちょっと私たちを振り返って嗜めるようにした。
襖を開けると、中に広々とした居間が現れた。畳敷きで、二間連続している部屋の中央に、欄間が掲げられていた。
その部屋のなかに、死体があった。それも合計で4体。畳の上にごろんと転がしてあった。
私たちは悲鳴を上げた。糸色先生が吹っ飛ぶように雨戸まで下がって尻を突いた。私や千里やまといも、釣られるように一緒にのけぞって座り込んでしまった。
「何、何、何なの?」
私は困惑した顔で、誰かの意見を求めてみんなを振り返った。
「警察よ! 晴美、携帯かして!」
千里がパニックになりかけた声で藤吉を振り向いた。
「うん。あれ、どこに入れたんだっけ?」
藤吉はポケットを探るが、慌てているせいか携帯電話が見付からない。私も携帯電話を探すけど、混乱していて、いつもどこに入れているのかわからなくなってしまった。
「家の電話のほうが早いわ」
まといが立ち上がって、部屋の前まで進んだ。だけど、部屋の入口で足を止めてしまった。死体を前にして、それ以上一歩も進めないみたいだった。
可符香が、何かに気付いたように立ち上がった。可符香はまといの脇を横切って、平気そうに部屋のなかへ入っていった。
「可符香ちゃん、駄目よ!」
私は可符香を引きとめようと声をあげた。でも、腰が抜けて立ち上がれなかった。
可符香は死体の側へ進み、畳に投げ出された腕をぴょんと飛び越え、死体の頭の側に回った。そのうちの一体の前で膝をつくと、死体の顔面をしげしげと覗きこんだ。
「あなた、何をしているの?」
千里が顔を真っ白にして、可符香に声をかけた。
可符香が顔を上げて私を振り返った。
「奈美ちゃん、これ、野沢君だよ」
可符香は、こんな異常事態にも関わらず、いつもの柔らかい声で私に報告した。
「はい?」
絶句だった。

次回 P045 第5章 ドラコニアの屋敷3 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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■2009/09/03 (Thu)
『キング・コング・デラックス・エクステンデッド・エディション』は、映画『キング・コング』に13分の未公開シーンを加えたロングバージョンだ。
ピーター・ジャクソン監督によるエクステンデッド・エディションは、すでに『キング・コング』を鑑賞したファン向けに制作されている。
だから、物語が延長されたことによって、ドラマに厚みが増えたということはないし、意外な展開や、意外な事実が明かされることもない。
『キング・コング』に関する詳しい解説はすでに書いたので、ここでは省略する。
2005年版『キング・コング』の記事へ
ここでは、エクステンデッド・エディション版で追加されたシーンについて、解説する。



(DISC1 CH28 1:14:10)
4cccb57e.jpg最初に遭遇するはずだったトリケラトプス。この怪獣は、旧作では俳優がスクリーンに映る怪獣の前に立ち、銃を撃つなどの演技をする場面だった。デジタルによって、カメラを移動させつつ、立体的に俳優と演技するようになった。このトリケラトプスがカットされたのは、次に登場するブロントサウルスのインパクトを強くするためだろう。
最初の追加シーンは、トリケラトプスの襲撃シーンだ。
壁の向うに突入したカール・デナムたちが、最初に遭遇する恐竜だ。
このトリケラトプスは、33年版『キング・コング』にも登場した。これで、よりオリジナル版に近付いたといえる。


(DISC2 CH6 0:18:33)
9359000e.jpg続いて削除された水中怪獣のシーン。強烈なシーンが削除されているが、公開時間の長さ以上に、観客が初めて見るインパクトを大事にしたかったためだろう。エクステンテッド・エディションの観客は、基本的に「2度目のお客さん」を想定しているのだろう。
 
バクスターがジャングルから退散した後、ジャックたちは筏を組んで、川を横断する(この直前に、筏を組む場面が少しだけ加えられている)。
筏で川を横断しようとするが、やはりここでも水中に潜む怪物に襲われる。
こちらも33年版『キング・コング』にも描かれた場面だ。


(DISC2 CH7 0:24:21)
50be8341.jpg絶滅種のドードーを撃ってしまい、「なんてことだ!」と嘆くシーン。ピーター・ジャクソンらしいジョークだが、映画の雰囲気とあっていないし、面白くないので削除されて正解。



ジャングルを彷徨うアン・ダロウ。アン・ダロウを探すジャックたちの場面が交差する。
ふとランピーが茂みの向うに動く気配に向かって、銃を掃射する。
「やめろ! なんてことだ……」
茂みの向こうに走るジャック。そこにいたのは、なんと絶滅種のドードーだった。
劇場公開版になくて正解。ジョークだが、あまり笑えるものではない。


(DISC2 CH10 0:47:07)
d9de5e88.jpgカール・デナムは初めから狂人だったわけではない。ジャングルの毒気に晒され、次第に変化していき、フィルムを失ったことにより、一線を越えた。穴のシーンはその瞬間を描く貴重な場面。


a8b288ac.jpg谷底に落ちたジャックたち。バクスターの救出によって危機を逃れ、谷底から這い上がろうとする。
ジミーは谷底から昇る前に、ヘイズの帽子を手に取り被る。
同じく谷底から昇ろうとするカール・デナム。
だが、カール・デナムの正気は失いかけようとしている。
カール・デナムが一線を越える直前を描く、重要な場面だ。


(DISC2 CH20 1:32:16)
c702d50e.jpgちなみに、『エクステンテッド・エディション』のディスクには、他にも編集に加えられなかった未公開シーンがあるので、こちらもなかなか面白いシーンがあるので要注目だ。



アン・ダロウを連れさらったキングコングを、軍隊が追跡する。
あるトラックの中では、鬼軍曹が部下たちに檄を飛ばしている。
このトラックの中にいる兵士たちは、実は俳優ではなく、映画の製作スタッフたち。
要するに、内輪受けを狙った楽屋落ちシーン

1933年オリジナル『キング・コング』の記事へ
劇場公開版『キング・コング(2005)』の記事へ

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本:ピーター・ジャクソン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
脚本:フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン
出演:ナオミ・ワッツ エイドリアン・ブロディ
〇〇〇ジャック・ブラック トーマス・クレッチマン
〇〇〇コリン・ハンクス ジェイミー・ベル
〇〇〇エヴァン・パーク アンディ・サーキス



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■2009/09/03 (Thu)
64c5c3d6.jpg人通りの多い果物屋の前を、みすぼらしい姿の女が通りすがった。
果物屋の店主は、目ざとく女に警戒の目を向ける。
女は、ちらりと店主がこちらを見ていないのを確認して、林檎を一つ手に取り、懐にしまいこんだ。
3b3ba01b.jpg「待て。金を払うんだ!」
店主が女の手を掴んだ。
女は逃げようと手を振り回そうとする。だが店主は、強い力で、女の手をしっかり掴んでいた。
そんな時、男が二人の間に割って入った。
「失礼。落としましたよ」
男は静かに店主を宥め、コインを差し出した。
1d13b458.jpgジャック・ブラックは傲慢な映画監督カール・デナムを独特のユーモアで演じた。ジャック・ブラックはそれまで通行人、やられ役などで多くの映画に出演(出演作品だけなら非常に多い)。だがたまたま主演を務めた『スクール・ロック』がビーター・ジャクソンの目に留まり、抜擢された。『キングコング』はジャック・ブラックにとっても転換点となる作品だ。
1933年に公開された、映画『キング・コング』はあまりにも有名な作品だ。
謎の島、髑髏島に探検に向かった撮影隊が、かつてない生き物に遭遇する。
はるか昔に絶滅したと考えられていた巨大生物の群れ。
そして、髑髏島の住人達から信仰の対象となっている霊獣キングコングの存在。
ピーター・ジャクソン監督が現代に甦らせた新しい『キング・コング』は、驚くほど当時のままだ。
当時と同じメロディに、当時の書体そのままのタイトルバック。
余計な追加や、浅はかなオリジナル要素などもない。
何もかもが当時のまま、ピーター・ジャクソン監督は1933年の情緒を現代の技術映画のスクリーンに再現させた。
296609bd.jpg83e19cd7.jpg1930年代の風景はほとんどデジタルで制作された。ピーター・ジャクソン監督は「デジタルの魔術師」と認知されているが、実際はコンピュータ音痴。デジタルに強いのは、あくまでも若いスタッフ達。
1c88c7d6.jpg女優アン・ダロウは、映画監督カール・デナムと共に船に乗った。
シンガポールを舞台にした映画の撮影で、内容は冒険要素のある恋愛映画であると説明されていた。
だが、カール・デナムには秘密があった。
1e772ec8.jpg夜のうちに、船の針路が密かに変更される。スマトラを西に向かった海域だ。
カール・デナムは、秘密の地図を手に入れれていた。
まだ文明人が一度も足を踏み入れた歴史のない13ac2f17.jpg島。そこには、我々のまだ感じた経験のない神秘が待っている。
一方で、危険な島であった。
船員の一人が、警告をする。
「スマトラ沖で、漂流者を乗せたことがある。その島には、壁があった。大昔に誰かが作った、大きな壁だ。高さは30メートル。古いが、いたって頑丈だ。その壁の向うには、何かがいる。獣でも人でもない。馬鹿でかい怪物が潜んでいる……」
0e3b4148.jpg水夫の役で出演したアンディ・サーキス。キングコングやゴラムを演じた俳優だ。世界的な俳優だが、実際に顔を見たのは初めて、という人は多いはずだ。



6b0e0291.jpgうして、謎と神秘の髑髏島に到着する。
1933年版の『キング・コング』では、髑髏島の住人は、いかにも無知な原始民族として描かれていた。しかも、まったくの未踏の島にも関わらず、何故か通訳の言葉が通じる場所だった。
現代の『キング・コング』はかつての映画とははっきりと違う趣向で描かれている。
現代は未知を失った時代だ。
我々は、モニターを通じて、世界中のあらゆる風景と現象を知るようになった。世界中のあらゆる事件は既知のものとなり、我々は現実世界から神秘を失った。
だからピーター・ジャクソンが描き出した髑髏島は、独創的で、恐ろしさをより強調するように描かれている。
当時の人々が感じていたであろう神秘と、恐ろしさを現代人の心理の中に再現しようとしているのだ。
542c9af0.jpgニュージーランド出身のピーター・ジャクソンは、髑髏島の原住人を、ニュージーランド人らしい配慮で描いている。リアルだが現実に存在するどの部族にも似ていないように描かれている。


34faa29e.jpgれでいて、髑髏島の描写はどこまでも詳細で、現実感を持って描かれている。
登場する怪獣は独創的なものだが、生態系の連なりを重視して描かれている。
怪獣の動きは、旧作においては平面的でぎこちなかったが、2005年版の『キング・コング』では立体的に人間と交差し、肉体的なぶつかり合いすら見せる。
怪獣同士のぶつかり合いは素晴らしい技術で描かれ、過去の全ての恐竜映画を歴史の中に封印した。
イメージ自体は既知のものをレイヤリングしただけだが、圧倒的な重量感が見るものを神秘の島の冒険へと没入させる。
4758dc3e.jpgデジタル制作の怪獣達。よく「デジタルを使ってるから不自然だ」という批判をよく聞くが、そもそも映画は不自然それ自体である。馴染みがあるかないか、だけの話だ。冷静に映画を見てもらいたいものだ。


旧作を忠実に再現された『キング・コング』だが、いくつか変更、追加が加えられている。
43887700.jpg一つは前半30分の説明的な場面だ。
オリジナル版では、何も説明もないまま、いきなりアン・ダロウが果物屋で林檎を盗む場面が描かれる。
同時代であれば、それで通用したかもしれない。
当時がどんな時代であったか、同時代であれば説明されずとも了解が得られたかもしれない。
だが、この映画は70年前の昔を描いた作品だ。当時がどんな時代で、どんな風俗を持っていたのか、改めて知る必要がある。
2005年版の『キング・コング』には多くの追加シーンがあるが、あくまでもドラマの構築として必要最低限のものでしかない。
71e068fe.jpgいくつもの名シーンを復活させた『キングコング』。V-レックスとの対決シーンは旧作どおりの構図、展開にスケールだけが増幅されている。旧作への愛情が見えるシーンだ。



2005年版の『キング・コング』において大きな違いは、次の二つだ。
一つは、脚本家ドリスコルの登場だ。
475260b2.jpg旧作にもドリスコルに相当するような人物はいたが、ずっと曖昧で、特に重要なキャラクターではなかった。
2005年版の『キング・コング』ではアン・ダロウと心を通じ合わせる人物として、その重要度を高めている。
もう一つは、金髪の美女アン・ダロウと霊獣キング・コングとのかかわり方だ。
旧作ではアン・ダロウは、恐ろしい怪物から、ただ悲鳴を上げて逃げ回るだけだった。
それが、リメイク版『キング・コング』では濃密にキングコングと心を通わせ、ともに地平線に浮かぶ太陽を眺める。
e9e6fab1.jpg何もかもが、ピーター・ジャクソンが子供時代に感じた感情を再現するためだ。
未知の世界への冒険に胸を躍らせ、ラストのキングコングの死に涙する。
変更点が加えられたのは、当時の人が感じ、子供であったピーター・ジャクソンが感じた感情を、多くの現代人の胸に再現するためだ。
最新のデジタル技術が甦らせた『キング・コング』。
だがピーター・ジャクソンが本当に甦らせたかったのは、当時と同じ“感動”なのである。

1933年オリジナル『キング・コング』の記事へ
『キング・コング デラックス・エクステンテッド・エディション』の記事へ

映画記事一覧

作品データ
監督・脚本:ピーター・ジャクソン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
脚本:フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン
出演:ナオミ・ワッツ エイドリアン・ブロディ
〇〇〇ジャック・ブラック トーマス・クレッチマン
〇〇〇コリン・ハンクス ジェイミー・ベル
〇〇〇エヴァン・パーク アンディ・サーキス



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