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■2009/09/17 (Thu)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P057 第5章 ドラコニアの屋敷

15

突然、私は解放された。私は地面に崩れ落ちて、夢中になって空気を吸い込んでいた。体に空気が流れていく感触を、はじめて感じていた。両掌を縛っていたロープも解放されていて、いつのまにか自由が与えられていた。
私の前に、金属音が落ちて跳ね上がった。顔を上げると、目の前にナイフが放り出されていた。
顔を上げた。男爵がにやにやした微笑を浮かべて、私を見下ろしていた。
私は体内に、火が点いたような衝動を感じた。ナイフを握り、男爵に飛びついた。
ナイフの切っ先が、男爵の体に飲み込まれた。肉を深くえぐる感触を掌に感じていた。
「おめでとう、こっちの世界へ」
男爵は悪魔の微笑を浮かべて、輝く目で私を見ていた。
私は突然に我に返った。手が生暖かいもので濡れるのを感じた。私は意識が真っ白になるのを感じて、ナイフを放り出し、ふらふらと後ろに下がった。
「どうしたのかね。さあ、もっとナイフでえぐりたまえ。一度目は躊躇う。刷り込みと衝動が対立するからだ。だが、二度目には何の感情も起きなくなる。三度目には作業になる。四度目には情欲が欲するようになる。さあ、二度目を行いたまえ。二度目は一度目に感じた躊躇いと怖れなど感じなくなるはずだ」
男爵は今までにないくらい目を生き生きと輝かせて、私に囁きかけてきた。
男爵の言葉が、私の無防備になった意識に流れ込んでくるのを感じた。だけど私は男爵の操り人形にすらなれなかった。私はふらふらと後ろに下がり、足をもつれさせて尻をついてしまった。
「残念だよ。君には才能がない。私の弟子になる資格はなさそうだ」
男爵が落胆したように視線を落とした。腹に刺さったままだったナイフを引き抜いて、私の前に放り出す。私は「ひっ」とナイフを蹴って後ろに下がった。男爵の腹から、ぴゅっと赤い血が噴き出していた。
「日塔さん、こっちです。私の声が聞こえるほうへ、走ってください」
糸色先生の優しい声が聞こえた。
私は今にももつれそうな足で立ち上がった。意識はまだ真っ白で、目に映る光と色彩がなんであるか識別できなくなっていた。でも私は、私にかけてくる声に優しさとぬくもりを感じて、その方向に這い進むように歩いた。
富士額の少女が飛び出してきて、私の手を握った。私は本能的な反射で少女の手を握り返していた。
「私、どうしてここにいるの? 何が起きたの?」
私は混乱しながら、誰かに答えを求めようとしていた。
「大丈夫。助かったんだよ。助かったんだから。」
少女が宥めるように私を抱きしめて、背中をなでた。
急に私は、視界に色とぬくもりが戻るのを感じた。私を抱きしめているのは千里だった。千里の肩越しに、まといと藤吉とあびるが私を見詰めていた。そうして私は、「そうだ、助かったんだ」と理解した。

次回 P058 第5章 ドラコニアの屋敷16 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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■2009/09/16 (Wed)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P056 第5章 ドラコニアの屋敷

14

「そこまでです!」
大袈裟なようだけど、その声は天上から響くラッパのように聞こえた。私は涙で滲みかけた目で、声がした方向を振り返った。
振り向いたその方向に、通路が見えた。通路を前に、糸色先生が立っていた。糸色先生の背後に、まといがぴったり寄り添っている。さらに千里、藤吉、それからあびるの三人が通路を走ってくるのが見えた。
「これはこれは。脱獄でもしたのかね? なぜ検察は起訴状を出さなかった?」
男爵は驚きというより、愉快そうに声のトーンを上げた。
「48時間の拘束時間中に容疑を確定できるような証拠が発見されなかったので釈放されたのです」
糸色先生は乱れた呼吸を整えながら毅然と答えた。全力で走ってきたらしく、額に汗が浮かんでいた。
「警察の質も落ちたものだな。昔なら、24時間以内に自白を強要し、逮捕状を出せたのに。詰まらん時代だ。我々のような悪党が自由に振る舞える時代はどこへいったのか」
男爵は芝居がかった身振りで、大袈裟な声を張り上げた。
「あなたが現役だった時代より、治安がよくなったのですよ。ご存知ですか? 間もなく取り調べも可視化されるのですよ」
糸色先生は男爵を真直ぐに見て、挑発的に言葉を返した。
「なるほど。では、どうやってこの部屋を突き止めたのかね? この地下世界は複雑な迷宮になっている。悲鳴でもたどってきたのかね」
男爵は両手を後ろに回して、次なる疑問を投げかけた。
「これよ!」
まといが答え、発信機を引っ張り出した。
私はあっとなった。糸色家の客間で、私の襟口に発信機を取り付けたのだった。そういえば、あれから外していなかった。
「これはしまった。もっとしっかり身体検査をするべきだったな。楽しみは後で、なんて考えたのがいけなかった」
しかし男爵は、失敗したという様子は見せず、軽く首を振って肩をすくめただけだった。
「男爵。私の生徒を返してもらいます!」
糸色先生が勢いよく男爵を指さした。よく通るスイートな声が、空間一杯に満たされるようだった。
私を捉えていたロープに、急に緊張が失われた。私は僅かな自由が与えられ、体が床に投げ出された。
しかし、両掌はまだ背中で合わせたままだった。その体勢でも、私は体を起こして、糸色先生のもとに向かおうとした。
だけど、首に輪になったロープが絡みついた。あっというまもなく、強引な力で、私は引き上げられたしまった。
「動かぬほうがいいな。手に戻らなくなる」
男爵は手のロープを器用に操りながら、にやりと口元を歪ませた。
私の首に、輪になったロープが引っ掛けられていた。その体勢で、私は身長のぎりぎりのところまで引き上げられていた。私は爪先立ちになって、際どく自分の体を支えていた。
糸色先生が戸惑いを浮かべて足をとどめた。集ってきた女の子たちが、息を飲み込むのが聞こえた。
「人の首は非常に脆い。このロープをあと数センチ引けば、この少女の首は折れて、脊髄が損傷する。死にはしないが、後遺症が残るだろう」
男爵の言葉に邪悪な歓喜が混じるような気がした。
私は全身をピンッと張り詰めさせていた。喉元を絞められて、浅くしか呼吸できなかった。少しでも空気を取り入れようと、喘ぐように胸を上下させていた。
男爵は悪魔の微笑を浮かべながら、じわりじわりとロープを左右にずらしていた。私の首に、ロープの粗い目が食い込んでくる。その度に激しい痛みが襲い、呼吸が乱れたけど、悲鳴すら上げられなかった。数秒おきに失神しかけて、視界が白く霞むのを感じた。
「男爵。これが10年前の事件に対する、復讐ですか」
糸色先生は慎重な言葉で問いかけた。
男爵は首を振った。
「復讐ではない。挑戦だよ。10年前、私が君に挑戦したように、今度は私が君に挑戦する。これはただのゲームだよ」
男爵は宣言するように手を広げて、糸色先生に微笑みかけた。
「あなたのそういう快楽主義の性格は変わっていませんね。もっとも、刑務所の生活で枯れるとは思っていませんでしたが」
糸色先生の声は低く、鋭いものがまとい始めるのを感じた。いつもの穏やかさと頼りなげな弱さはそこにはなかった。
「そうだ、その目だ。お前が腰抜けになる以前の、その目を待っていた。そういえば教職に就いたそうだが、一つ教えてくれないかね。美徳はいつも人間を無気力にさせてきた。美徳に塗り固められた学校教育が望んでいるのは知的な教養や有意義な哲学のためではない。教育は人間としての力強さを奪い、美への感性を鈍らせているだけだ。世界を見たまえ。どこに秩序がある。どこに美がある。世界にあるのは、ただ通俗なだけで、思考の力を失った退廃だけだ。これが君のような理想家が願い、作り出した世界だ。君は何を望んで教職に就いたのかね? 理想? それとも、未成年の性的欲求? 君は教師という職分をもって、何を目指すつもりなのかね」
男爵は説教でもするように糸色先生に問いかけた。
私の体に、力が失われていくのを感じた。もう爪先の感覚は痺れてしまっている。空気を感じなくなって、私は舌を突き出して、意識を留められなくなるのを感じていた。
「あなたのサド論は結構です。私が教職に就いたのは、教職免許が簡単に取得できるからですし、私はただ文部省に指示されたことを授業でやっているだけです。教師などただのサラリーマン。教育の意義や効果など、そーいうのは国や偉い人が考えるものであって、現場の教師の考えなんて、誰も求めていません!」
糸色先生は勢いよく言葉を返した。
「先生、こんなところで、ぶっちゃけないでください!」
すかさず千里が嗜めた。
「よろしい。実に正直だ。理想も理念も感じないカオスを感じるよ。ならば、私が教師の代わりになってもよい、というわけだな」
男爵の声が、低く歪んでいくのを感じた。

次回 P057 第5章 ドラコニアの屋敷 15 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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■2009/09/15 (Tue)
8d94f45b.jpg974d5d2f.jpgカフェのカウンターに、一組の男と女がいた。
最初は男も女も静かに食事をしようとしていた。
だが突然に、女がカフェの客に襲い掛かった。女は品のない言葉で罵り、殴り、店を破壊し、人を殺す。静かなカフェは、瞬く間に悲鳴と血が飛び交う狂気の場と化した。
そして、最後に生き残った一人に、こういい残す。
「ミッキーとマロリーがやったと言うんだよ」
8105dca0.jpgb79a07b4.jpg犯行現場にわざわざ生存者を残す理由は?有名になりたかったのか。注目されたかったのか。いや、自身の作品を語り継ぐ誰かを残すためだろう。彼らにとって破壊行為は作品。だが存在の証としてそのうちの一人を残す。
c0004cd2.jpgミッキーとマロリーの二人は、まるで遊戯のように銃弾を放ち、人を殺す。
すぐにでも警察とマスコミが、ミッキーとマロリーの後を追跡した。
人々は、二人の放蕩と殺戮を支持し、瞬く間に時代の寵児として祭り上げられる。
1ae81ea8.jpg「私を殺して!」
「彼らなら許せるよ」
ミッキーとマロリーへの犯罪は、堅牢に構築された社会を、ほんの一瞬でも木っ端微塵に破壊する幻想を与える。
ひょっとしたら世の中を変えてくれるかもしれない、という期待と希望を与えてくれた。
fef735f2.jpga7bc34b2.jpg映画の全体はサイケデリックなイメージで描かれる。ミッキーとマロリーの逸脱した精神世界を表現する。ただしモンタージュの一つ一つは通俗の極み。

ミッキーとマロリーの旅は、決して逃避行のためではなく、渾沌を作り出すために駆け出していく。
ミッキーとマロリーは、標的が恐怖に怯え、火薬の音が弾け、血が噴き出す瞬間に、恍惚めいたものを見出していた。
人が生涯の職業を見出したときに感じるような、ある種の心地よさの発見だ。
ミッキーとマロリーは、人を殺すたびに、むしろ自身の精神を解放させていく。
彼らの行く先には、悲劇ではなく、血に塗られた絨毯が敷かれている。
e95a81c3.jpg5b76b9ef.jpg二人の背後には過去と宿命が追い詰めてくる。二人の現実に対する異様なシニシズムは、何もかも過去を喚起させるからだ。過去から解放されるためには、あらゆるものを殺さねばならない。

2090789f.jpgミッキーとマロリーの背景には、常に過去がつきまとわりついてくる。
暴力的な家庭に生まれたミッキー。
父親から性的虐待を受けていたマロリー。
社会とは、集団幻想の中にぼんやり現れた蜃気楼のようなものに過ぎない。
2c254fd4.jpgそもそも規範的とはいいがたい社会に生まれついた人間が自由と解放を獲得するには、反社会的行動を実践せねばならない。
だからミッキーとマロリーは、自由のために、両親を殺害した。
自由のために、自由をなくしてしまうような犯罪者にならねばならなかった。
b01ea9ff.jpg犯罪映画の多くは、犯罪者の逮捕か死で終る。つまり、規範的社会の勝利と通俗的結末による“安心”を与えることで終る。だが『ナチュラル・ボーン・キラー』の狂気はそこから一歩踏み出す。ちなみにオリジナル脚本はクエンティ・タランティーノだった。なるほどタランティーノらしいテーマだ。タランティーノ監督で見たかった。きっと社会がどうこうは関係なく、何かが突き抜けた明るい作品になっていただろう。
77a9ca4c.jpgミッキーとマロリーの周囲には、常に狂気じみたモンタージュが被せられる。
アニメの動画であり、狂った色彩であり、通俗的はホームドラマであり。
映画は様々な手法を駆使して、ミッキーとマロリーの心理に迫り、見597ab110.jpgる者をその内部へと引き込んでいく。
ミッキーとマロリーの殺戮の旅は、やがて啓蒙的な色彩を帯び始める。
ミッキーとマロリーの殺人は、純粋的動機に基づく。
ストレスを解放する破壊の中から、ただ殺人のみを引き出して、その現象を我々の前に突きつける。
規範的社会は、異端を前にするとヒステリックな反応を示し、蜃気楼をかぶせてジャングルの中の狂気を覆い隠そうとする。自分たちが死肉を喰らっている事実を、忘れようとする。
だがミッキーとマロリーは、そんな我々の前に、死を突きつけ、社会に提示しようとする。
ミッキーとマロリーの狂気の旅は、二人を決して追い詰めず、むしろ自由を与える。

映画記事一覧

作品データ
監督:オリヴァー・ストーン 音楽:トレント・レズナー
脚本:デヴィッド・ヴェロズ リチャード・ルトウスキー
〇〇〇クエンティ・タランティーノ
出演:ウディ・ハレルソン ジュリエット・ルイス
〇〇〇ロバート・ダウニー・Jr トミー・リー・ジョーンズ
〇〇〇トム・サイズモア ロドニー・デンジャーフィールド
〇〇〇エド・マックラーグ デイル・ダイ
〇〇〇マーク・ハーモン アシュレイ・ジャッド



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■2009/09/15 (Tue)
前巻までのあらすじ(第12集より)
bc81c227.jpgこの国を変えねばならぬと強い意志を携え現代思想を学ぶため亜米利加に渡る望。しかし待っていたのは激しい人種差別と観る側のエロテロリスト容疑。「見る側のエロテロリストってインリン様観た時点でアウトじゃないですか! それじゃ日本の中学生男子はみんなテロリストです」。反論空しく「アメリカ政府はテロリストとは交渉しない」と親書をつっかえされアルカトラズに投獄されてしまう。失意の望に同じ房に収監されていたゲバラシャツ着た文化左翼のボブが話しかけてきた。「結局幕末以降の日本の歴史は司馬遼太郎が作るんだよね」と身も蓋も無い大予言。「あの白髪はかっこいいですよね」と言うのが精一杯の望だった。

眼鏡子の家
原作86話 昭和82年3月7日掲載
7bbc7313.jpg朝の予鈴と共に、糸色望が出席簿を手にして教室に入ってきた。
「おはようございます」
いつもの挨拶で教壇の前に立つ。
だけど教室中の全員が、言葉をなくしてじっと望を注目した。
「なんか、イメージ違くない?」
330be41b.jpg9543f83b.jpg木津千里が違和感を感じて疑問を口にする。
「あー、眼鏡!」
はじめに気づいて声をあげたのは、藤吉晴美だった。
073ff040.jpg「実は先週、眼鏡だけお経を書き忘れ、亡霊に持ってかれてしまったのです」
2ae5419c.jpg回想――原作85話 ティファニーで装飾を
しかしあまりにも端的で現実的でない説明に、千里が困った顔をする。
「言っている意味が、よくわかりませんが、眼鏡をなくしてしまったんですね。」
とりあえず、千里がわかったことを繋げて解釈した。
「まあ、緊急用の使い捨てコンタクトがあったので、当分コンタクトで過ごそうかと……」
望は自分の目を示した。その目が不自然な艶が加えられている。コンタクトによる反射だった。
突然、晴美が机を叩いた。
98441a83.jpgdc09ed77.jpg「コンタクトだなんて! そんなの先生じゃない! そんな先生認めない!」
激昂した藤吉の声。教室の全員が茫然と藤吉を振り返った。
ab7294c9.jpg971c0dcf.jpg藤吉が望に飛びついた。鋭い手刀が望の後ろ頭に落とされる。望の目から、コンタクトが落ちた。
「みんなカンパよ! 先生に眼鏡を買うのよ!」
強制的な募金。教室中の全員から、持っている金を供出させる。すぐにそこそこのお金が集まった。風浦可符香が眼鏡を買いに行く役目を請け負った。
1d3d63c7.jpgで、買ってきた眼鏡は――茶色の色眼鏡だった。
「なんでそんな色の眼鏡を、買ってきたのよ。」
千里があきれたように可符香に理由を尋ねた。
「可愛いかなぁって思って」
可符香はいつもの朗らかさで答えた。
望は眼鏡の調子を確かめるように周囲を見回す。
「不思議と度はあっているようですが……」
と千里に目を向け――、
「女子高生ってみんなパンツ売っているんでしょ。渋谷にいる女子高生はみんなエンコーしているんでしょ。巨乳はバカ。乳首黒いヤツは遊んでいる」
「なっ!」
いきなりの発言に、千里が戸惑いの声をあげる。
「先生が――物事を色眼鏡で見始めた」
望の背後に潜んでいたまといが、異変に対する答えを与えた。
物事を偏見や固定観念で観ることを、「色眼鏡で見る」と言う。例えば、
IT企業はみんな悪いことをしている。
公務員は全員働かない。
アニメは子供の見るもの。
派遣は3ヶ月でやめちゃう。
労働組合は左より。
等など。
「こんな危険な色眼鏡、どこで買ってきたの?」
06bdc17c.jpg「案内します」
と可符香がクラス一同を導いたのは、「メガネ道楽」という怪しげな眼鏡屋であった。そこでは世間に溢れるありとあらゆる「色眼鏡」が陳列されていた。
色眼鏡は時代の意識や空気を反映する。その色眼鏡をかけてしまうと、与えられた知識と意識だけで、思考力と判断力を失う。視野は限50e50719.jpg定され、観察と独創、それから哲学は力を失う。それは言語意識と強固な社会性の中で生きる人間の宿命のようなものであった。
だが、店長の鯖江はこう指摘する。
「こんな店でわざわざ買わなくとも、もう皆さんかかっているんじゃないですか? 色眼鏡」
原画マンさんはよく連絡が取れなくなる/演出さんはコンテが読めない/制作進行さんはカット袋をなくす/仕上げさんは怖い/美術さんは怖い/撮影さんは怖い
絵コンテ:高村彰 演出:信田ユウ 作画監督:鎌田仁 色指定:佐藤加奈子
制作協力:スタジオパストラル
4d9e2043.jpg798a4f82.jpgad29e7aa.jpg

閉門ノススメ
原作183話 昭和84年6月3日掲載
20c67ffd.jpgec95769c.jpg暑い夏の平日。だというのに、日塔奈美は自宅の部屋にいた。
暇、退屈、することがない。
そろそろ昼の12時を回る。でも何となくぼんやりとしていて、外出の予定がない0dc2fe70.jpgから、髪もきちんと手入れしていない。
テレビをつける。ちょうど「笑っていいともろう」が始まる時間だった。
面白くない。
テレビを流しながら、ソファの上に積んでいる本を手に取った。
やっぱり面白くない。
6ff9d286.jpg「はあ、退屈……」
溜息とともに、言葉が漏れた。誰にするわけでもない実況的な台詞。
テレビをつけたままノートパソコンを開く。でも特別しなければならない用事はない。結局なにもせず、色んなものを付けっぱなしにしてソファのアームに後ろ頭を載せ、天井を仰ぎ見た。
「ああ、暇で死にそう。あ、そうだ。誰かに電話しよう」
奈美は名案を思いついたように携帯電話を手に取った。電話帳を呼び起こして、一番に目についた大草麻菜美にかける。
パラピロッ。
f6976584.jpg「はい」
「もしもし、大草さん? いま暇?」
「ごめん。私忙しいから」
大草は奈美の話を聞かず、一方的に電話を切ってしまった。
「もう、何よ」
奈美は誰となく不満を訴える。
8148e14e.jpgそれからまた、ぼんやり。携帯電話を握ったまま、アームに後ろ頭を載せて天井を見上げた。
「決めた。カラオケに行こう!」
奈美ははっと決断すると、体を起こそうとした。
が、
パラピロッ。
「はい、もしもし」
cf9d2ad1.jpg3748b4a8.jpg「ちゃんと家にいるか?」
掛けてきたのは千里だった。
「も、もちろんだよ、千里ちゃん」
千里の妙に迫力のある声に、奈美は意味もなくごまかすように声を引き攣らせた。
5aa603ee.jpg「また1時間後に確認する。」
通話終了。でもまた、携帯がパラピロッと音を鳴らした。
「へぇーんーとぉー」
千里のぞっとするような囁き声だった。
「これじゃ恐ろしくて外出なんてできないよ!」
奈美はバタバタと両脚を振り上げた。

ea563c92.jpga7ca0320.jpgある木造住宅。
「ああ、退屈じゃ」
糸色倫が退屈を口にする。
「仕方ございません。家から出てはいけない決まりでございます」
c6fdb22d.jpg時田が倫をやんわり嗜めた。
「しかし、この部屋は狭すぎるぞ」
家具もそこそこの6畳の空間。しかしそれは、倫にとって窮屈な空間だった。
「ご自分で始めた貧乏ごっこのせいではありませんか」
時田はそれとなく倫を非難する。
倫は不満な顔を浮かべる。が、すぐに名案を思いつい643e3a6e.jpgたと顔を輝かせる。
「そうか! 要は自宅の敷地から出なければよいのだろう」
倫は立ち上がると、すぐに思い付きを時田に伝えた。
ブルドーザーで隣家の塀が突き崩される。隣の家を買収したのだ。
09c2d6d1.jpg「自分の家から出られないのならば、隣の家を自分の家の敷地にすればいい」
倫は自分の思いつきに納得して、笑顔で頷いた。
自分の家の庭と、隣家の庭と繋げた、そこそこに広くなった空間にチェアとテーブルをおく。倫はゆったりと椅子にくつろぎ、雑誌を広げc3ea33fe.jpgた。
間もなく、テーブルの上に置いた携帯が振動した。
「ちゃんと家にいる?」
恐ろしげな千里の声だった。
「もちろんだ。ちゃんと自宅におるぞ」
倫はなんとなく後ろめたいものを感じて、声を引き攣らせてしまった。
携帯を切る。
「……嘘は言ってないよな」
「はい」
倫は時田に確認を取る。時田はしおらしく頷いて答えた。
1e6fee03.jpg時計は昼の三時を回った。雑誌をペラペラとめくる倫。ふと、あるページで目が留まった。
「ふーん、近所にこんな店があったのか。ラーメン……。なあ時田。この庶民の食べ物が食べたい」
倫が時田を振り向き、希望を伝えた。
「しかし、出前はやっていないようですが」
あっさりと言葉を返される。
63d697fd.jpg「食べたい、食べたい、食べたい!」
倫が駄々っ子のような声をあげる。
「少々お待ちを!」
時田は慌てた顔をして、その場から走り去った。
時田は必要な準備を整え、倫の元に戻ってきた。
daee2dae.jpg「このように次々と隣家を買収していけば、ラーメン店に辿り着けるかと思われます」
時田が地図を広げ説明した。どこまでも連なる隣家。それを辿って行った先に、目的のラーメン屋があった。
「よし、買収しろ。行くぞ」
倫が出発の命令を下した。
6dff3d9f.jpg次々と塀と家が破壊されていく。倫にとって、どの家も通りに道に過ぎなかった。
ある古ぼけた木造住宅。その壁を破壊すると、向うに見覚えのある少女を見かけた。
「どうした。面白いポーズをして。新手のダイエットか?」
日塔奈美だった。奈美は尻を突き出すように倒れ、顎を畳の上に乗せていた。短いスカートがまくれ上がり、小さなヒップラインを覆う薄04650e02.jpg桃色のパンティをむき出しにしていた。
「あんたがぶっ飛ばしたんでしょうが、壁ごと!」
奈美が倫を振り向き、手を振り回して怒りの声をあげた。
「ここはもう我々の敷地だ。早々に立ち去れ」
「ちょっとそれ、どういうこと? ことと次第によっちゃ、法的手段に訴5d3f696e.jpgえるわよ!」
奈美は畳に両手をついて身を乗り出した。
「今は忙しいのだ。後で法務に説明させよう」
「今すぐ説明しなさいよ」
「ラーメン食べてからじゃダメか?」
58962489.jpg倫は怒る奈美に、困ったような声を漏らした。
「ラーメン?」
意外な言葉に、奈美はきょとんとした。
つづく
原作サイドとの/やりとりの不備で/単行本になってない/各話表紙を/まだもらえていないので/仮のサブタイトルです
絵コンテ・演出:龍輪直征 作画監督:小林一三 色指定:石井理英子
db8363e6.jpgb86cb4a0.jpg675e3ceb.jpg

学者アゲアシドリの見た着物
原作159話 昭和83年11月5日掲載
88078f53.jpg第159回体育祭。2のへ組少女達が、チアガールの扮装で応援をしていた。
「アカ倒せ! アカ倒せ!」
千里が景気のいい声をあげて足を振り上げる。千理の声にあわせて、少女達一同が足を揚げる。
e3a1d24b.jpg「そんなにおみ足を揚げたら、パンツ見えてしまいます!」
きもい男子の誰かが、興奮した声をあげた。
「キモいなぁ。こんなに喰いついて。見えてもいいパンツだから、あえて足を揚げているに決まっているでしょ」
奈美は軽蔑の目で、かぶりつきで注目している男子に目を向けた。de9a893e.jpgどの顔も、頬を赤くしてニヤニヤと目を輝かせている。
奈美はちらと望に目を向けた。望は体育祭だというのに、パイプ椅子に座って『人間失格』の読書に夢中になっていた。奈美はそんな望を見て、軽くニヤッとした。
「センセー……」
奈美はわざとらしく太股を上げた。短いスカートがずり下がっていき、白く細い太股がするすると現れる。傷も汚れもない、陶器のようにすべらかで、それでいて絹のような柔らかいぬくもりを持った奈美の肌――。
f7a2d022.jpgしかし――糸色望はまったくの無視だった。
「無視かよ、おい!」
奈美は悔しさに声をあげた。
望は本を閉じて、奈美を振り返った。
「あえて揚げ足を揚げてみせる。最近、わざわざ取られるように、上げているんじゃないかって揚げ足の多いこと……。
ファンの気をひくために、わざとパンチラをしているんじゃないかっていうアイドルとか、
非難されるのわかっていて、あえて言っているんじゃないかっていう大臣の発言、
シャラポワの付け乳首、
もうね、わざと揚げているとしか思えません!」
世の中、感心を引くために意図的に騒動を起こそうとする人がいる。例えば、
未発表の新曲がネットに流出してしまった!
56225624.jpgプログラムに大変なバグが発生し、あるコマンドを入力するとモザイクが外れてしまう!
「俺役。小池哲平君」
等など。
そんな、わざと取られるように揚げている揚げ足。それを取ってしまったら負けである。取られるように揚げた揚げ足は、彼ら扇動者による罠である。揚げ足を取るのは、彼らの策略に進んで陥ることだ。
68f12c79.jpgだが放置している間に、揚げ足のラインダンスが始まってしまう。
特定スポーツ新聞の見出し。
“パ”の文字の欠けたパチンコ店(絶対に突っ込み待ちである!)。
揚げ足を取るリスクは非常に高い。揚げ足を取ることにより恥を掻くだけならまだいいが、場合によっては犯罪に絡む場合すらある。だから望はこう考える。
「揚げ足を取って酷い目に遭うより、進んで揚げ足を揚げる側に回りましょう!」
本/来/光/明/真/言?
絵コンテ:高村彰 演出:信田ユウ 作画監督:前田達之 色指定:渡辺康子
制作協力:スタジオパストラル
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作品データ
監督:新房昭之 原作:久米田康治
副監督:龍輪直征 キャラクターデザイン・総作画監督:守岡英行
シリーズ構成:東富那子 チーフ演出:宮本幸裕 総作画監督:山村洋貴
色彩設計:滝沢いづみ 美術監督:飯島寿治 撮影監督:内村祥平
編集:関一彦 音響監督:亀山俊樹 音楽:長谷川智樹
アニメーション制作:シャフト
出演:神谷浩史 野中藍 井上麻里奈 谷井あすか 真田アサミ
〇〇〇小林ゆう 沢城みゆき 後藤邑子 新谷良子 松来未祐
〇〇〇矢島晶子 後藤沙緒里 根谷美智子 堀江由衣 斎藤千和
〇〇〇上田耀司 水島大宙 杉田智和 寺島拓篤 高垣彩陽
〇〇〇立木文彦 阿澄佳奈 中村悠一 麦人 MAEDAXR
この番組はフィクションです。実在する福井県鯖江市、川〇三郎、バクマンとは一切関係ありません。



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■2009/09/14 (Mon)
この小説は、『さよなら絶望先生』を題材にした2次創作小説です。2次創作に関する法的問題については、こちらをご覧下さい。【著作物】【二次創作物】【パロディ】【パロディ裁判

P055 第5章 ドラコニアの屋敷

13

男爵は散歩でもするかのように、軽やかに私の側に歩み寄ってきた。
「自然に帰りたまえ。神は人間の考える善や悪など、何とも思っていない。むしろ罪悪に没頭しない者の頭に雷を落とそうとする。その度に不当に扱われ、反省するのは愚かな善人の習性だ。身の内から聞こえる自然の声に耳を傾けたまえ。さあ、君は、何がしたい? その欲求が満たされたとき、人は真の幸福を得ることができる」
男爵の声は、今までにない静けさで私に語りかけるようだった。
私の内面に、引き裂かれるような葛藤を感じた。男爵の言葉に引き摺られる私と、善と道徳を信じる古い私の二人が対立し、私を危うく引き裂くようだった。
「もうやめて。お願い」
私は耳を塞いで、思考を停止させるように頭を振った。
「そいつは詰まらない。目玉をくり貫かれたフォンタンジュのようになりたいかね?」
男爵が私の前で足を止めた。その声に、今までにない脅しの色が込められていた。
私は「え?」と頭を上げた。突然、視界が反転した。私の体は宙に持ち上げられていた。いつの間にか私の足に、ロープが絡みつき吊り上げていた。
「君に改めて教育を施そう。下らない美徳など、尻から捻り出る汚物のように排出され、正直な衝動に身を任せられるように。そのためには、まず心のロックを一つ一つ解除せねばならん。なあに、安心したまえ。私を信頼し、身も心もすべて預けてくれればいいのだよ」
男爵は何かの指導のように私に忠告した。
私は逆さまになりながら、天井に目を向けた。幾何学模様のように梁が横切るのが見えた。そこからロープが伸び、私の足に絡み付いていた。ロープのもう一端は、男爵の手に握られていた。
私は頭から地面に落ちた。目の前がちかちかと暗転して、頭がくらくらした。だが再び体が持ち上げられた。気付けば体中にロープが絡み付いていた。ロープは一つ一つが意思を持っているように動き、絡みつき、私を操り人形のように翻弄した。
私は体を吊り上げられたまま、両腕を後ろに引っ張られ、信じられないような方向に捻って、背中で掌を合わせた。その体勢で、ようやくロープが動きを止めた。
「うむ。一目見たときから、君には『背面合掌縛り』が似合うと思っていた。実に美しい。ロープの具合はどうかね」
男爵は畑の実りでも尋ねるように、私に体の具合を聞いた。
「痛いです」
私は泣き出しそうな声で答えた。痛いし、それに恥ずかしかった。ロープが私の体を取り巻き、胸のふくらみを強調するように食い込んでいた。そんな体勢で、私は身動きとれず、男爵の視線に晒されていた。
「当然だ。一般的な縛りに使用するロープはジュード縄を使用する。だが私は、あえて目が荒く、使い古したロープを愛用している。そのほうが、相手により苦痛が与えられるし、気持ちのいい悲鳴を上げてくれるからね。それにいつ千切れて落ちるかという危機感がいい。おっと、腕は動かさないほうがいいな。下手に動かすと腱が切れて使い物にならなくなる」
男爵は操り師のように両手にロープを持ちながら、私を見上げていた。私の体は、男爵の前で全身を晒すようにゆっくりと回転していた。
男爵が、ロープの一つをピンッと指で弾いた。衝撃がロープを伝い、梁をまたいで私の体に落ちてきた。
「痛い! ……お願い、もうやめて。……もうやめて」
私はプライドがボロボロになって、自制心をなくすのを感じた。目から涙が溢れ出て、今までしたことのないような懇願をしていた。
「この世には2種類の人間しかいない。快楽を望む人間と、苦痛を望む人間だ。修行僧は悟りのために苦痛を選択するが、私は同じ理由で快楽を選択した。君もやはり苦痛を選択した。だから私は、君が望むとおりに苦痛を与えている」
男爵は教育者のような穏やかさと厳しさを交えながら私に語りかけた。
「わかった! 苦しいのは、もう嫌。だから、お願い……」
私の言葉は涙で滲んでしまった。私は目を開けていられず、世界のすべてを否定するように固く目を閉じた。
「それでいい。しかし、こうは思わんかね? 苦痛も快楽も、どちらも行為の原型を失うと、ただの刺激に過ぎん、と。人によっては苦痛の中に快楽を見出す。日本人は遺伝子レベルで、この性質を温存しているという。君の場合はどうかね。いま感じている刺激を、どうして快楽と認識できないのかね。私のような意識の高い人間には理解しかねるが、世間の美意識のない人間の習慣には、言動及び行動にしばしば快楽と苦痛が分離せず、渾沌としたまま同居している。君はもちろん生涯の中で、その実例に何度も遭遇したはずだ。その都度、君は考えなかったのかね。自分の身体で感じているその刺激が何であるのか。どのように分類され、思考を示すべきか。君自身に思考はなく、操り人形のように与えられた反応だけで生きる、下らない動物なのかね」
男爵は言葉の調子を変えず、手に持ったロープを自分の身体の一部のように操った。私の体が傾き始め、右脚に絡みついたロープが持ち上がった。私は自分の体を引き裂くように、両脚を広げ始めていた。
「お願いです。わかりません。わからないです。だから、もう、こんなのは……」
私は息を喘がすように男爵に訴えた。
男爵は、期待はずれだ、というふうに、うつむいて首を振った。
私は頭から地面に落ちた。私の体勢は、いつの間にか男爵に差し出すように両脚をM字の形に開いていた。
「下らん。言葉に美意識の欠片も感じぬ。さて、どうするべきか。下らない人間は一種の公害だ。殺すに限る。だが、若くて美しい肌の持ち主には、楽しむ価値がある。私は手に入れた玩具は、飽きるまで遊びつくす主義だ。君はどうかね」
男爵が床に落としたままだったナイフを手に取った。私はその切っ先が白く輝くのに、ぞっと戦慄を感じた。
男爵がかつかつと靴音を鳴らして近付いてきた。そのナイフの切っ先を、私の太ももに押し当てた。冷たく鋭い感触を感じて、私は全身を固くさせた。鋭利な感触は、私の太ももをゆっくりなぞり、間もなくショートパンツに包まれた股間のふくらみに達した。
あまりにも冷たく感じる緊張だった。今まで経験のない感触に、私の心理はぞくぞくと興奮するような昂ぶりを見せていた。まるで、男爵の審判が下されるのを、期待して待っているみたいだった。

次回 P056 第5章 ドラコニアの屋敷14 を読む

小説『さよなら絶望先生~赤い瞳の少女~』目次




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