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■2010/04/12 (Mon)
シリーズアニメ■
第1話 高3!
まだ朝の早い時間で、光は穏やかで人通りは少なかった。
そんな通りを、女の子がぱたぱたと慌てるように駆け抜けていく。路上に散った花びらがふわりと舞って、女の子の足にまとわりついた。平沢唯だ。
唯は高校の校舎に入っていくと、茫然と立ち尽くしてしまった。
誰もいない。
唯はあっと思って、階段を駆け上り音楽
ギー太とアンプをコードで繋いで、スイッチを入れた。ぶぅんと低いソニックブーム音が響いた。
唯はベンチに座り、軽く弦を弾いた。低く淀んだ音が空間一杯に長く尾を引いた。
今度は連続してピックで弦を弾いた。音の一つ一つが音楽を作り出し、心地よいリズムを作り出す。
唯は自分で作り出したメロディにうっとりと身を委ねた。気持ちは次第に膨らんで行き、いきなり立ち上がると腕を大きく振り回すように弦を弾いた。
そうして演奏が終わった。
「何やってんの?」
田井中律、秋山澪、琴吹紬、中野梓の4人だった。
4人は何ともいえない、ぽかんとした表情で唯を見守っていた。
「え? 新歓ライブに向けて、必殺技開発中!」
唯は元気に答えた。
「それにしても、唯先輩早いですね」
何気ない感じに梓が訊ねる。
「目覚まし時計見間違えて、1時間早く登校しちゃった」
唯は軽い失敗を笑って、自分の頭をなでた。梓が呆れた微笑を浮かべた。
「何かついてるぞ」
律が自分の顎を指差した。
「あ、パン。……食パン!」
唯は物凄い発見のように声を上げた。
◇
といっても、当初は後に語られるほどの大きな評判はなかった。その他の多くの作品と同じように、しれっと深夜の時間に放送され、『けいおん!』はその他の多くの作品の一つ
しかし放送後まもなく、人気はじわじわと、それでいて猛烈な勢いで広がって行き、その影響力は日本全土を覆うばかりではなく世界にまで広がっていった。
関連商品の売り上げは言うに及ばず、登場キャラクターが使用する楽器は空前の売り上げを記録した。秋山澪が使用するフェンダー・ジャズベースは在庫が尽き、平時の2年分の発注があったという。
DVD売り上げは『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』、『化物語』に次いでその年の第3位を記録。『けいおん!』は関連する商品だけでも数億円を売り上げ、特に関連していない多くの企業がその恩恵にあずかった。
『けいおん!』は作品人気や評判だけにとどまらず、不況を救う起爆剤でもあるのだ。
それはある意味、めまぐるしく隙間を埋めたがる現代に対する反逆でもある。現代は何もかもに効率を求め、ほんの一時の休憩の“間”すら有効利用するべき、と語られる。現
『けいおん!』そんな現代に対するアンチテーゼのように、活動の合間にほんの一瞬訪れる“間”のみを集めて描かれる。
『けいおん!』を鑑賞していると、時間の経過が停止しているような不思議な感覚に捉われる瞬間がある。『けいおん!』と接している間は忙しく流れていく時間は忘却され、驚くほど静かで穏やかなくつろぎの時間がやってくる。考えてみれば、贅沢な一幕を描いた作品であるといえる。
作中に登場する風景のほとんどは実際の世界に存在する風景である。制服はオリジナルで制作されたものだが、もし現実世界にあったとしても普通の女学生と何ら違和感はないだろう。登場キャラクターが身につける衣装や
しかしよくよく考えてみれば映像作り作品作りにおいて当然のアプローチである。現実世界の風景をよく観察し、作品のなかで再現し、物語の一様として描写する。むしろ作品作りに
『けいおん!』のような作品を、いわゆる“癒し系”と呼ばれがちだが、実際の画像は濃密に描き込まれ、充実した世界が舞台となっている。
最近製作された学園ものアニメは、ほとんどが現実世界ではありえないような装飾の多い制服で、学校制度に謎めいた魔術や超能力の要素が加えられている。日本の漫画・アニ
だから『けいおん!』は、実は平凡な特徴を持った作品であるといえる。しかしその平凡さが、今の時代において際立った個性を持ったのだ。
作品を特徴付けようとして奇抜さに捉われてしまっている作家は、『けいおん!』を学んだほうがいいかもしれない。
だが第2期放送に懸念もある。
ほとんどの第2期作品が失敗作になるのは、製作期間の短さと、制作進行が作家側になく製作側の都合で決定されているからである。
一見すると第2期作品は必要な要素――設定や世界観が第1期で準備され容易に思える。だが実際の現場は想像以上に過酷だ。
まずいって時間がない。実際にあるメカ作監に話しを聞いたことがあるのだが、第2期制作に用意された期間がたったの3日だったという。だから3日間徹夜作業で必要なデザインを全てを書き起こしたそうだ。
シナリオ作りでも同じ状況なのだろう、と思う。第1期放送の人気で急遽続編が決定し、放送日時もすでに決められている。しかしアニメは一本作るのに3ヶ月。シナリオや設定に費やせる時間は自然と少なくなってしまう。一週間とか一ヶ月といった期間で、あれもこれも決定して制作をスタートしないと間に合わなくなってしまう。結末をどうするかも決められず、後は作りながら出たとこ勝負、という状態だ。第1期で全て語り終えたつもりになっている作家にとって、どうモチベーションを維持するか、という問題にもぶち当たる。
しかも『けいおん!』は展開の遅い4コマ漫画が原作で、もちろんまだ連載中の作品だ。だというのに第1期放送で物語中時間は2年も過ぎ去ってしまった。このペースで作品が進むと、どう考えても登場キャラクターの卒業まで描くことになる。原作に描かれていない領域に入っていくわけだ。
オリジナルという骨組みを頼りにできず、何もかも脚本をゼロから作らねばならない。ちょっとした匙加減で作品が大きく転覆する可能性をはらんでいるわけだ。
第1話は高校三年生になった唯たちが描かれている。
その描写や物語の運びは相変わらずだ。静かで穏やかな休息のひとときがゆったり綴られていく。何も変わらない、1年前の延長が当り前のように流れ過ぎていく。
今は懸念を抱くより、唯たちが戻ってきたことを素直に喜びたい。
作品データ
監督:山田尚子 原作:かきふらい
シリーズ構成:吉田玲子 キャラクターデザイン・総作画監督:堀口悠紀子
音楽プロデューサー:小森茂生 音楽:百石元 楽器設定:高橋博行
音響監督:鶴岡陽太 編集:重村健吾
美術:田村せいき 色彩設計:竹田明代 撮影監督:山本倫
アニメーション制作:京都アニメーション
出演:豊崎愛生 日笠陽子 佐藤聡美 寿美菜子 竹達彩菜
〇 真田アサミ 藤東知夏 米澤円 永田依子
〇 山村響 平田真菜 永木貴依子
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■2010/04/10 (Sat)
シリーズアニメ■
第1話 救出行
上海の都市は濃い霧に包まれていた。真夜中に関わらず煌々と瞬く光が、霧に霞んで都市を幻想的な手触りに変える。
周囲四方は人の影もなく、静かに沈黙していた。そんな最中を、男が気配を潜ませながら歩いてくる。
三好は目印代わりにヴァイオリンを弾いた。男はヴァイオリンの音を頼りにこちらに向かってきた。
建物の陰に隠れ、慎重に中の様子を覗きこむ。ようやく誰もいないと察して、男は建物の中に入ってきた。
三好はヴァイオリンの演奏をやめた。男は抜け殻の部屋をいくつか潜り抜けて、その向うのテラスに出た。三好は男を待ち受けて、ヴァイオリンの弦を引っかいた。ぐりぐりと、耳障りな音を発する。
男は耳を押さえ、中国語で怒鳴った。
「ご挨拶じゃないか。待っててやったんだぞ。今夜は忙しいんだ」
三好は演奏を止めて男に軽く応じた。
「気付いたいたのか。お前を追っていたことを……」
「元は言えば、あんたを探っていたのはこっちだからね。動きはお見通しってとこかな?」
「お前、何者だ。日本軍の工作員か」
男に警戒心が戻ってきた。
「まあ、そういうところだ。あんたが地方の軍閥、“劉宗武”の一派だと知って探っていた。まあ、待てよ。ところがとんだ見込み違いだ。あんた、軍需物資の調達を請け負っていただけらしいな。つまり、劉の商売相手だ。俺は鏑木財閥の会長が誘拐された一件を探っていたんだ。あんたは関係ないからもう興味はない。そっちも俺に付きまとわないでくれ」
男は拳銃を三好に向けた。
「え、待てよ。何か勘違いしているんじゃ……」
三好は慌てて男を留めようとした。
男が引き金を引いた。乾いた音が静寂に木霊する。しかし銃弾は、三好から大きくそれて足元を弾いた。
三好が空を飛んだ。男の背後に着地する。
男は振り返り、三好に銃を向けた。だが不可思議な力が男を押しの
三好が男を追いかけ、その腕を掴んだ。部屋の向うには何もなく、奈落が落ちているだけだった。都市を包んでいた霧が晴れかけて、はるか下に見える地面を浮かび上がらせた。男は右脚を部屋の端に乗せて、三好に腕をつかまれているだけで重心は空中にあった。
「悪いな。突然だと加減が難しいんだ」
三好は男を警戒しつつ、余裕の笑いを浮かべた。
「お、お前何を……」
「またあんたに興味が出てきた。勘違いの元について、ちょっとだけ話し合う気はないか?」
三好は男に顔を近づけて、にやりと微笑んだ。
「あ……ある」
男は引き攣る声で答え、頷いた。
鏑木会長が地方軍閥である劉宗武の一味に誘拐された。鏑木会長は日本の軍事兵器を扱っている財閥のトップだ。劉宗武は国民党に対抗するために、鏑木会長の身代金代わりに最新の兵器を要求していた。
三好たちは上海の一角に潜伏する劉宗武のアジトを特定し、そこから飛び出した車両を追跡し取り押さえるが囮だった。すでに鏑木会長は別の場所へ運ばれ
鏑木会長の居場所は劉宗武軍の本拠だった。南京の東の田舎で、2000人規模の軍団を結集していた。
ここで劉宗武側が交渉人を通じて要求の変更が提示された。武器ではなく、金をよこせ、と。
夜になり、三好と伊波の二人はパラシュートを使って密かに劉宗武本拠地へと潜りこんだ。その後、三好と伊波は劉宗武の仲間の振り
鏑木会長に対面した三好と伊波は、鏑木会長が劉宗武と取引したことを問い詰める。鏑木会長は自分のところで、兵器の調達を引き受けると劉宗武と契約していた。こんな間際に関わらず、鏑木は誘拐犯
三好と伊波は鏑木会長を殴り倒し、「いきなり倒れた。軍医のところに連れて行く」と塔から脱出する。しかし間もなく潜入がばれて攻撃が始まった。三好と伊波は向ってくる劉宗武軍に応戦しながら、秘密の地下通路のある場所へと向った。
その時、国民党の攻撃が始まった。激しい砲撃に地下通路の入口が破壊されてしまう。三好と伊波は脱出の手段をなくしてしまった。
仕方なく伊波はテレポートの能力を使い、際どく劉宗部軍本拠地から脱出した。
◇
上海は1840年の阿片戦争を切っ掛けにイギリスのバンドが成立
『閃光のナイトレイド』はそんな時代を舞台に活躍するスパイたちの物
キャラクターたちはそんな世界背景に対して主張しすぎず、むしろ埋
それでも活劇が始まると映像はダイナミックに飛躍し、キャラクターたちは異能の力を発揮して力強く際立ち始める。
『閃光のナイトレイド』の物語はほとんど説明がないままにスタートす
物語は冒頭から急転直下の勢いで流れていく。すでに事件の渦中で
映像への信頼と自信がなければそうそうできない演出であるし、『閃光のナイトレイド』は難しい課題を見事にクリアして独自の魅力を放っている。
1930年代の上海は、おそらくこれまでアニメに描かれなかった舞台であろうし、スパイものというジャンルもひょっとすると初めてかもしれない。
今、アニメの世界で主流になっているのは、いかに安易に描けるか、である。物語の背景となる世界をおざなりに描き、キャラクターの特徴は他作品でよく見かける言語イメージをカスタマイズして作っただけで独創や挑戦はどこにもない。机の上だけでいかに早く、簡単に、そこそこに黒字出せるものが作れるか。安易に考えて安易に作る。小さな市場の中で競い合って作品自体も小さく縮みかけている。
そんな最中だからこそ、『閃光のナイトレイド』の印象はより強く輝きだす。夜の闇を照らす、上海のネオンサイトのように。
◇
「劉一派の情報を、国民党に流しましたね」
三好は牽制するように尋ねた。劉宗武軍本拠地を襲った国民党の爆撃のことだ。
「国民党にとっても、劉は邪魔な存在だったからね。内と外、両面か
桜井は好々爺の調子で語り始めた。
「親切な話ですね。日本とは微妙な関係にある国民党に……」
「国是に反してはおらんよ。東アジアの安定と繁栄は理想だよ」
桜井が三好を振り返って答えた。
「……俺たちの目撃者を消すのが目的じゃないんですよね?」
三好は試すように、声のトーンを落とした。
「察しがいい。期待通りだ。君たちの力はそれ自体、国家機密だ。目撃者全員が死ななくとも、秘密が漏れる確率は少しでも減るほうがいい」
桜井の顔に油断ならない影が現れていた。
「君の胸に収めておけ。あの際、仕方ない。田舎軍閥とはいえ、兵隊はどこで死ぬかわからんものだよ。ご同様だよ。君たちや、僕も。そうは思わんかね。まあ、おかげで君らのいう要請を上層部に渡らせるこ
桜井は立ち上がり、三好に笑いかけた。
三好は桜井の前に進み出て、内ポケットからメモ用紙を引っ張り出した。
「いや、余禄はありますよ。鏑木会長のポッケから失敬しました。劉が鏑木財閥に発注した兵器の目録らしいですよ」
「なるほど。これは色々と使えそうだな。だが、なぜ僕に渡す気になったのかね?」
桜井はメモを受け取り、不思議そうに顔を上げた。
「味方と敵の両方に武器を売る鏑木のほうがよけい腹が立つ。あなたよりね」
三好は平然とした語り調子で、怒りを込めた。
不意に、三好が笑った。桜井は顔を上げて三好の顔を見た。今度は二人で笑った。
「君にはこれ以上、嫌われないようにしたいね」
桜井は愉快そうに言ってその場を去った。
「……食えない手合いばかりじゃないか。確かに、魔都だね」
三好は静かに呟き、ふわっと欠伸を漏らした。
閃光のナイトレイド 公式ホームページ
作品データ
監督:松本淳
キャラクター原案:上条明峰 キャラクターデザイン:佐々木啓悟
メインライター:大西信介 メカ・プロップデザイン:常木志伸
美術監督:谷岡善王 美術設定:金平和茂
音楽:葉加瀬太郎 門倉聡 音響監督:山田稔
撮影監督:那須信司 助監督:ヤマトナオミチ 色彩設計:中島和子
中国語指導:任暁剛 中国語翻訳:毛淑華
原作・アニメーション制作:A-1 Pictures
出演:吉野裕行 浪川大輔 生田善子 星野貴紀 大林隆介
〇 鏑木洋三 石原凡 篠原佐和 任暁剛
〇 凌慶成 斉中凌 国本直樹
■2010/04/09 (Fri)
シリーズアニメ■
第1話 迷い猫、駆けた
「こら起きなさい巧!」
まだ夢の中にいる僕を、強引な声が呼び起こそうとする。芹沢文乃の声だ。
僕はぼんやりした調子で言い返した。
「ったく、いつもは異常に早起きなのに、どうしたのよ、今日に限って」
文乃は僕の腕を掴み、強引に体を起こした。僕は無理にでも意識を覚醒させて目を開けた。
「……青……白……
目の前にあるものの正体を確かめるように、青白の縞模様を目で追った。
「――2回死ね!」
激烈な膝蹴りが顔面に落ちた。文乃の縞パンティだった。
「もう先行くからね! 絶対待っててあげないんだから!」
ちょうどいいから説明しておくと、今の縞々の女の子、芹沢文乃は素直じゃない。とにかく徹頭徹尾素直じゃない。
「どうせ巧のことだか
というと、宿題を見せてくれる。
「絶対に食べさせてあげないだからね」
というと期待していいという意味だ。
「2回死ね、馬鹿巧!」
「巧君の馬鹿!」
というと……何だろう?
早い話が、思っているのと逆のことをいう。右といえば左。コーヒーは飲みたくないといえば本当は飲みたくて、洋食が食べたいといえば和食が牛丼。天邪鬼か狼少女か秋月雪姫か。とにかく感情的に言った言葉はいつも逆だと思ったほうがいい。
朝の支度を済ませてドアを開ける。すると側の電柱に、文乃がもたれかかっていて僕を待っていた。
ご立派な釈明だ。意訳すると、「待って
道の角から菊池家康が飛び出してきた。家康は何か文乃に言ったらしい。その成果として、顔面に一発パンチを喰らった。はいご苦労さん。
「ははは! ご名答!」
こいつ。菊池家康は舌禍が服を着て歩いているような奴だ。いつも自分の口が災いとなって不幸に遭うが、一切反省しない困った男だ。ちなみに、文乃との相性は最悪。
「おはよう」
「よう」
と現れたのは幸谷大吾郎。僕のもう一人の悪友。幸谷流柔術……とかいう、古武術道場の跡取り息子として育ったせいか、やや一挙一動が古臭い。
眠ってしまう前に説明すると、『努力』『友情』『勝利』という週刊少年ジャンプなモットーが掲げられた、ここ、私立梅ノ森学園は中高一貫教育制で、俺と文乃はここの高等部に属している。こともあろうに学
いきなりスクール水着の小さな女の子が教室にやってきた。
違う。この子のお陰ではない。
この小柄な美少女は梅ノ森千世。理事長の孫娘。学園内をまるで自分の家のように闊歩するお嬢様。でも、なんで水着?
「佐藤」
「はい」
メイドの佐藤がタオルを千世に渡す。
「はい」
ぱちんと指を鳴らす。
千世の小さな体が筒状のタオルに隠れた。メイドの鈴木がその中へ入っていく。
千世が僕を指さし、尊大に言い放った。
「は、どういうこと?」
「こういうことでしょ!」
「何で?」
「何でこうなるのよ!」
文乃が武力介入してきた。
「出たわね芹沢文乃! ちょうどいいからあんたはサヤカやりなさい」
「知らないの? この子よ!」
千世が再び雑誌を示した。
「で?」
文乃は雑誌を手にしてぶるぶる震える。危険信号だ。2歩下がった
「都築巧はカイザーであんたはサヤカやらせてあげるわ。しょうがないから、衣装は私んところで作ってあげるから。二人とも、放課後家に来るように」
「ように?」
文乃が千世に雑誌を投げつけた。これはゴングと捉えていい。
「いい加減にしなさいよチビッ子腐女子!」
「ちび?」
「思ってるわよ!」
千世が言い返す。文乃は机の上に足を乗せた。
「ふーん! 馬鹿は2回死んで中等部からやり直しなさい! あんたみたいのなのが高校生やってたら、文部省もびっくりするほどの全人類の恥だっ
「あたしは恥ずかしくないもん!」
という返し方がムキになった子供そのものだった。
「だいたいあんたがこんなの身につけたら、一歩あるくたびに服がずり落ちて胸も尻もすっぽんっぽんだっての!」
「はあ! どういうこと、それ!」
「まあまあ」
そろそろ止めたほうがいいだろう、と僕は一歩前に進み出る。
「うっさわね! 巧も聞いたでしょ? 今の命令口調! 今日と
千世は言葉を失ってひくひくと顔を青くさせていた。
とそこに、なぜかタオルがはらりと千世から落ちた。現れた裸は、紛れもない幼児そのもので――。
「いやああああぁぁぁぁーーー!」
でも悲鳴はご立派だった。
◇
アニメにおいて個性が与えられるのは女性であり、男性はしばしば影法師のようにぼんやりとした印象で描かれる。『迷い猫オーバーラン』においてはその特徴が徹底されている。
それに対して、女性キャラクターたちは自由にイメージを膨らませて描かれている。キャラクターのビジュアルイメージだけではなく、人物
物語はアニメファンを徹底して意識され、アニメファンに迎合した作りになっている。登場人物のほとんどがアニメを詳しく
物語が描く風景も、アニメファンにとってはおなじみの構図と展開を繰り返し、そこから外部世界には一切目を向けられていない。作品が新しいビジュアルイメージや物語の形態を提示することもないだろう。既視感を飛び越える驚きは期待できない。
それだけに、キャラクターは作品の中でしっかり構築されている。キャラクターの線は丸みのある柔らかな線だけで構築され、ぬくもりのある印象がある。キャラクターのシルエットはシンプルだが洗練された
キャラクターの顔へ行くほど線の密度が増えていく。瞳は象徴的に様式化され、艶やかに輝いているかどこを向いているのか不明だ。まるで視線を定めない人形と接しているような印象にさせてくれる。
この種のキャラクターは「ただ線の密度が高いだけ」という印象になり
構図の作りは見たいものを中心に引き寄せている。キャラクターの顔や、少女たちの身体、太股。その一つ一つがキャラクターたちの楽しげな魅力を的確に捉え、作品を盛り上げている。
男性キャラクターは物語に介在する付属物に過ぎないが、情緒ばかり暴走させる女性キャラクターたちの宥め役であり、物語の司会進行
愛らしい少女たちとの夢をただようような戯れの一時を過ごしたいならば、この作品だ。
迷い猫オーバーラン! 公式ホームページ
作品データ
監督:毎週交代 原作:松智洋
シリーズ構成:松智洋 メインライター:木村暢 キャラクターデザイン:中本尚
美術監督:前田実 色彩設計:鈴木寿枝 撮影監督:石黒晴嗣
編集:廣瀬清志 音響監督:明田川仁 音楽:高木隆次
監督・脚本・絵コンテ・演出:板垣伸 作画監督:石川雅一
アニメーション制作:AIC
出演:岡本信彦 伊藤かな恵 井口裕香 竹達彩奈
〇 佐藤聡美 吉野裕行 間島淳司 堀江由衣
〇 寿美菜子 佐藤利奈 新井里美 宮坂俊蔵
〇 田村陸心 金光宣明 関山美沙紀
■2010/04/08 (Thu)
シリーズアニメ■
ACT.1 魔王が誕生しちゃった!
「こっちか……」
バッグを手に、階段を登っていく。
唐突に、側を女の子が飛び出した。阿九斗ははっと女の子を振り向いた。
阿九斗はえっと時間が静止するのを感じた。頭の中に、女の子のお尻とフンドシが克明に刻み込ま
……さすが帝都だな。
阿九斗はとりあえずそう感心して納得した。
ふと後ろで物音がした。すると階段の踊り場にバッグが落ち、中の物
「あらあら、嫌だよ」
「お手伝いしましょう」
阿九斗はすかさず老婆の前に進み出て、踊り場に広がった小物を集
「どうもすみませんね」
「いえいえ」
片付けはすぐに終わり、老婆はバッグを閉じる。
「ありがとうございました」
老婆は丁寧に頭を下げる。阿九斗は老婆の持っているバッグを手に取ろうとした。
「上まで荷物をお持ちしましょう」
老婆はやんわり拒否してバッグを引き戻そうとする。
「気にしないでください。人の役に立つことは率先して行う主義なんです」
「そのお気持ちだけいただきます。どうか気にせず」
「いえ、遠慮しないでください」
「いえ、遠慮させてください」
阿九斗と老婆はバッグを引っ張り合って綱引きを始める。
「お婆様! 不埒者!」
後ろから女の子の叫び声。
阿九斗は振り向いた。と同時に、靴が阿九斗の顔面にぶつかった。阿九斗は大きく反り返りながら、靴の主が空を舞うのを眺めていた。
……さっきの女の子?
阿九斗は奇妙なデジャヴを引き摺りながら、倒れた。
「お婆様、大丈夫?」
女の子は切迫した声で老婆の側に駆け寄った。
しかし老婆は、呆れたように溜め息を吐いた。
「お前って子は、どうしてこう慌て者なんだろう」
「……え?」
女の子はきょとんとして声を上げる。
絢子は代々帝国の国護を司るスハラ教の家庭に生まれた少女だった。今時は正義や他人のためというと笑う者も多いが、絢子はむしろ
一方の阿九斗はより良い人間を目指し、世の中をよくするために大司祭を目指していて、国を守る決意の絢子と意気投合した。バスの中で一本の刀を握り合い、友情の契りを交わした。
やがてバスはコンスタン魔術学院へ到着した。全寮制の巨大な学校だ。阿九斗は一度絢子と別れて、保健室へ向った。
校医兼教員である鳥井美津子は阿九斗に説明しながら保健室へと案内した。保健室には人工精霊ヤタガラスを入れたポッドが置かれ、
「この人工精霊ヤタガラスがあなたたちの健康状態をチェックします。そして健康状態だけではなく、将来の職業を教えてくれるの。占いなんかじゃないわ。帝国の魔法技術の結晶よ。今のところ、予測どおりの職業に就かなかった生徒は1人もいないわ。安心して。ほとんどの人が希望通りの将来を判定されるから」
言われた通りに、阿九斗は列に並んで順番を待った。間もなくして阿九斗の番が回ってくる。
ヤタガラスの診断は周囲に衝撃を走らせた。
魔王――魔物の王であり、社会に対する敵対者。素質、能力、いずれを診断しても、紗井阿九斗は魔王になるのに相応しい力を持っていた。
こういうのは始めが肝心だ。阿九斗は教壇の前に立った。
阿九斗は身振り手振りを交えて堂々とした演説を始めた。しかし、その姿は「まさしく魔王そっくりだ」と評され、むしろクラスの全員を遠ざける結果になってしまった。
その後、阿九斗は一番後ろの席を指定され、大人しく座席に着いた。
「新年度ということでクラス委員を決めなくちゃだけど、去年に引き続き服部さんにお願いしちゃおうかしら」
クラスの点呼が終わり、鳥井が話を進めようとした。
「先生! クラス委員選挙はそんな単純なものではないと思います。そうでなければ、我々に進歩などはありえません。僕は紗井君をクラス委員に推薦します!」
最初の演説でなぜか阿九斗に心酔した寛が推薦をする。これがクラ
裏切られたと思った絢子が逆上して阿九斗に決闘を申し込んだ。阿九斗は絢子の太刀をかわし、素早く回り込んで羽交い絞めにする。
「だからそれが辱めだと言っている!」
むしろ火に油を注いでしまった。
夜になり、阿九斗は絢子の誤解を解こうと女子寮へ向った。三輪寛の案内で導かれ、なぜか裏口からこっそり女子寮へ入っていく。阿九斗は言われた通りに絢子の部屋の窓へ進み、窓を三回叩いた。
絢子がいきなり窓を開けて阿九斗を怒鳴りつけた。窓を三回叩くのは、夜這いのサインだった。
阿九斗は絢子に追われて逃げ出す。そのまま森に入っていき、土手を転げ落ちていった。そこに待ち受けていたのは不思議オーラをまとう少女、曽我けーなだった。
何だかわからないうちにけーなは阿九斗への協力を名乗り出て絢子と対峙した。
絢子はけーなの前で分身してやりすごし、阿九斗を狙った。阿九斗の力が再び暴発した。草木は
「ああ、何ということでしょう。私の眠っていた凶暴な力が今まさに目覚めてしまったのね。ああ、禁断の力で人を殺めた罪は、一生掛けて償わなければならないかも。私はこれから、いったいどうすればい
なにやら勘違いしたけーなが自身の不幸に打ちひしがれていた。
そんな場所に、もう1人の女の子が現れる。
「紗井阿九斗さんですか。自分は監視員。識別名はころねです」
新たな刺客の登場だった……。
◇
だがそれは、あえてなのだ。通俗的な漫
コメディ作品ほど、通俗的なものが重要視される。パロディはパロディする作品をみんなが知っているからこそ笑いがある。前提となる作品を知っているからこそ、芸人が仰々しく演じる言い回しや身振りがおかしいとわかるわけだ。
『いちばんうしろの大魔王』はある誤解でクラスの美少女たちを引きつけていく物語だ。誤解されて結果として主人公を中
だが『いちばんうしろの大魔王』はその視点がちょっとずれている。ほとんどの場合
ここにもイメージの食い違いが見られる。紗井阿九斗の人柄は善人
この二つのギャップが『いちばんうしろの魔王』をある程度、特別にしている。多くの漫画作品は主人公が意志薄弱で周囲が勝手に、という描きだが、『いちばんうしろの大魔王』は善人であろうとして悪人と
といっても、結果として美少女たちと強引な結びつきを作り、ハーレム状態を作り出すわけだが。
もっとも、その先のイメージがあるわけではないから、いつも中途半端なところで終わってしまう。この種のラブコメは
『いちばんうしろの大魔王』公式ホームページ
作品データ
監督:渡部高志 原作:水城正太郎
シリーズ構成:吉岡たかを キャラクター原案:伊藤宗一
キャラクターデザイン・総作画監督:小林利充 小関雅 玄鶴・黒龍デザイン:宮武一貴
美術監督:河合伸治 色彩設計:西尾梨香 撮影監督:大西博
編集:中葉由美子 村井秀明 音楽:加藤達也 音響監督:本山哲
アニメーション制作:アートランド
出演:近藤隆 豊崎愛生 日笠陽子 悠木碧
〇 代永翼 伊藤静 広橋涼 たかはし智秋
〇 竹達彩奈 水原薫 寿美菜子 白鳥哲
〇 片貝薫 明石香織 高橋研二 相馬幸人
■2010/04/07 (Wed)
シリーズアニメ■
第1話「借りを作れない男」
俺は市の宮行。世界トップ企業である市の宮カンパニーの御曹司。いわゆる、生まれながらにして勝ち組という奴さ。今はT大にストレートで合格し、学費代からマンション代まですべて親に頼らず、自分で稼いでいる。
ここまで自立して生活する理由? それが家訓だからさ。
「他人に借りを作るべからず」
とにかく俺は、「他人に借りを作るべからず」という家訓を守り続けてきた。それは俺の誇りでもある。もちろんこれからも家訓を守り続け、誰にも頼らず生きていくつもりでいた。
そう、たとえこんな状況であってもだ。
こんな状況というのは、橋の中ほどに1人きりで取り残されているという状況であり、それから、パンツ一丁であることだ。
で、そのズボンは今、鉄柱の高いところに引っ掛けられ、鯉幟のごと
おおっと、悔しくなんてないさ。むしろ俺は清々しい気持ちだった。だって奴らは、俺に怒られなかったことで借りを作ったんだからな。はっはっはっは……。自然と笑い声が漏れるよ。
幸い、この時間は人通りが少ないらしい。今のうちにズボンを回収するんだ。俺は欄干に足を乗せてよじ登ろうとした。
だしぬけに女が俺に声を掛けた。
俺はぎょっとして声がした方向を覗き込んだ。欄干を越えた橋を支える橋脚の出っ張りに、女の子が1人きりで座っていた。のんびりくつろいだ様子で、竹の釣り竿を手に釣り針を荒川の流れに放り込んでい
女の子が振り返った。白い肌。青い瞳。長い金髪。美しい条件が全部整った、紛れもない美少女だった。
「いえ。俺、暑がりだから」
俺はごまかすように言って、欄干に体重を乗せた。
女の子は無関心そうに言って釣りに集中した。
俺は欄干の上に危うく立ち上がり、鉄柱の出っ張りに足を引っ掛ける。鉄柱を補強する筋交いに足を置いて、ゆっくりと登った。
落ち着け。今は一刻も早く、ズボンを回収するんだ。この女が勘違い
何かが引っ掛かった。針金だ。鉄柱に絡みついたハリガネが俺のパンツに引っ掛かり、際どい角度にずり下げてしまっていた。
「……なあ、もしかしてなんだが、あんた、3センチほどで公然猥褻罪になるんじゃないか」
猥褻という定義はいったいどこから何を指すのか――それには議論が必要そうだ。猥褻という発想は時代と文化によって大きく変わるものであるから、今現在のこの社会についてのみ論じるべきであろう。現代人の社会規範がどのように思考し、意識し、認識しているか。もっと具体的な命題を与えるならば、猥褻が“毛”からなのか“モノ”からなのか。もし毛であるならば、俺は確実に公然猥褻罪ずばり的中してしまっている。
鉄柱が鉄壁の防御となって防がれているが、俺は今、危険な事態に直面している。
「よかったら、治してやろうか? こいつで」
女の子が竿をちょいと持ち上げる。
こんなところで借りを作ってたまるか。もう少し。もう少しなんだ。ズボンが俺の目の前で、旗のようにひらひらとはためいている。もう少しでケツが出るがズボンにも手が届く!
「なあ、お前。それ以上行くと……」
俺は心から叫んでいた。こんな状況であっても、俺の体内に刷り込まれた教育とその理念は俺自身を固く掴んで離さなかった。
なぜってそういうふうに育てられてきたから……。
「行、ちょっと来なさい。1歳の頃の借り、いま父さんに返しておきなさい。さあ、早くしなさい。おもちゃを口に入れて遊ぶぞ。泣くぞ」
父の教育は激烈で徹底していた。今となっては家訓こそが俺自身の人格であり、家訓にすがって生きているようなものだった。
女の子の口ぶりは、はじめから無関心そうに変わらなかった。
俺はふう、と溜め息を吐いた。
「いいんだ。ありが……」
突然に、柱がガツンッと傾いた。
柱のどこかで明らかに何かが弾ける音がした。ぐぐぐと柱は悲鳴を上げながら、川の方向へとゆっくりと傾いていく。
「がんばれ」
女の子が俺を振り返って、ゆるやかな声援を送るのが見えた。
ドスンと川の水に落ちた。鉄柱は俺にのしかかって、底のほうへと沈めていく。俺はそこから逃れようとした。しかし間もなく無理だと悟った。こんな水中では力はでないし、よしんば力が出たところで鉄柱の
俺は、死ぬのか? こんな水の底で? そんなの嫌だ……嫌だ、嫌だ、嫌だ!
誰か……。
「おい、起きろったら」
不意に声がした。目に光が飛び込んできた。俺はオエッとこみ上げるものを感じて飛び起きた。
「生臭っ!」
「お、生きてたな」
女の子は無感情だけど、いくらか嬉しそうに聞こえた。
「悪い。先に謝っておくが。借り、作らしちゃったぞ」
俺は顔を上げた。女の子の膝の上に頭を載せていて、顔が間近にあった。
「な……なぁにぃひぃぃぃ!」
市の宮行は借りを作れない男だった。だがニノに命を救われ、「命の恩人」という大きな借りを作ってしまう。それは行にとって、人生における大きな挫折だった。今すぐニノに相応な借りを作らないと、と行は焦る。
だがニノは、ふと思いついたように市の宮に望みを口にした。
「私に恋をさせてくれないか?」
こうして行は、リクという新しい名前を与えられ、ニノとともに河川敷で暮らすことになった……。
◇
なぜ橋なのか?
創作の世界では、橋はしばしば境界を暗喩する場所として用いられてきた。橋は
だが『荒川アンダー・ザ・ブリッジ』において橋は、あるいはそこが荒川でなければならない理由はそこまで重大な意味を持っていないのだろう。意味があると同時に、まったくの無意味な設定である。ただ荒川の橋と特定し、読者に理由を思考させることによって、作品が提
考えれば考えるほど、作者が目論んだ手口のない思考の迷宮に迷い込んでいく……。これは、もはや罠である。
橋の風景はそのたびに異端の実体を明らかにしていく。金星人であると言い張る美少女ニノ。橋の周辺を仕切っている、河童着ぐるみの村長。星の頭を持つス
誰一人として、まっとうな人間が登場しない。キャラクターの頭身は現実的に描かれているが、むしろそうであるからこそ作品のシュールさが際立っている。
それは運命の悪戯だったのか。結果として市の宮行は、自身を規定していたアイデンティティに死の引導が下されたので
市の宮は荒川の橋の下で新たな生命が与えられ、新たな名前が与えられ、新たな人生観に向って突き進むのだ。
それまでの人生には大きな波も障害もなかっただろう。だが家訓の放棄こそが予定調和に構築された人生から市の宮行を解放し、あらたなステージへと行自身を変化させたのだ。
これからの市の宮行にはあらゆる苦難が待ち受けているだろう。よちよち歩きの子供のように、現実とは何か、社会を生き抜くにはどうするべきなのか、科学はどのように作用しているのか、人生に必要な意識と知識を再構築していくのである。これは笑いに彩りながらその過程を見守っていく物語である。
作品データ
監督:新房昭之 原作:中村光
シリーズ構成:赤尾でこ シリーズディレクター:宮本幸裕
キャラクターデザイン・作画総監督:杉山延寛 美術監督:東厚治
色彩設計:滝沢いづみ ビジュアルエフェクト:酒井基 撮影監督:内村祥平
編集:松原理恵 音響監督:鶴岡陽太 音響効果:野崎博樹 音楽:横山 克
アニメーション制作:シャフト
出演:坂本真綾 神谷浩史 藤原啓治 杉田智和
〇 子安武人 沢城みゆき 斎藤千和 大塚芳忠
〇 小見川千明 三瓶由布子 新谷良子 小山力也
〇 チョー 田中理恵 中村悠一 立木文彦 後藤邑子