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■2010/01/02 (Sat)
オクターブ01ざわざわ……
ざらざら……
真直ぐのつもりの線は、よれてからまってぐちゃぐちゃに潰れる。

私がアイドルになったのは15歳の頃――。
コソコソととなり町まで買いに行ったオーディション雑誌。
みんな、私がMステとかに出たら、びっくりするだろうなぁ。

-She’sN-
シーズン
デビュー曲は『メトロノーム・ラブ』。
可愛くオシャレして、メイクして、照明一杯のステージに立つ。
みんな私を見てくれている。
私、“あっち側”にいる。
テレビの向こう側にいる。
ちっちゃい頃の夢のなかに――いる。

でも、She’sNはたった1年で解散した。
売れなかった。
まったく。ぜんぜん。
誰からも注目されなかった。
誰も私を注目していなかった。
私は田舎に帰って高校に進学した。
でも待っていたのは、好奇の目。根拠のない噂。――中傷。
「ほら、あれあれ」
「どれ?」
「窓際で教科書読んでいるアレ」
「あ~」
「んで、何だっけ? She’sN? 知らねぇ~」
「だから、売れないがら戻って来たんだべ」
「あんなちっちぇえ水着で写真とられでさぁ」
「ねえ~」
「耐えられんべ」
「やっぱ東京でヤりまぐってだんだべな」
「そりゃそーだべ」
「そごは腐ってもゲーノー界。乱交三昧?」
「あの子、小学生の時からスカートのスソ直すフリして太ももチラチラ~って」
「ひえ~」
「神社沿いの誰かどキスしてんのアニキが見だって」
「国道沿いのホテル、松山センセど出てきたってマジ?」
「ここだげの話だげんちょ、子供おろしたがら戻ってきたんでねえがってお母さんが……」

ざわざわ……
ざらざら……
もう、友達なんかいらない。
私はまた上京した。私を知っている人が誰もいない場所に。誰も私を噂にしない場所に。
人ばかりの街に、埋没したくて――。
孤独になりたくて――。

時々、オナニーする。
たった一人きりで、服を着たまま乳首をいじってパンツの中に指を突っ込む。
1人になりたいのに、イメージの中には寄りそうもう1人がいる。
他人にしてもらったら、こんなのじゃなくてもっと気持ちいいんだろうな。こんな、自分で触るよりも、何十倍も――。
でも、わからない。
ちんこって、どれくらいなんだろう。
指2本くらい?
それとも手首くらい?
そんなのが私の中に入ってくるの?
わかんないや。

「あれ、お客さん。テレビとか出てたでしょ?」
いきなり、声を掛けられた。コインランドリー。男の人。
え?
どうして?
私を知ってるの?
「あんた、いつもそれ、カワイイって誉めているつもりなんだろうけど、ただのヤバイ人だから。てか、そもそも女は洗濯中に男に近寄って欲しくないわけ」
「何で?」
「想像しろ。経営者だろ」
……ただのナンパだった。
私を助けてくれた女の人。岩井節子。22歳。昔、フェンネルってユニットを組んでた。作曲家の人。
でも、売れなくて今はコインランドリーの経営を兄弟でやっている。
――私と一緒だ!
「わ、私もそうなんです。私、宮下雪乃っていいます。一ヶ月前に上京したばかりで、あ……上京って言っても再上京で、ちょっとややこしんですけど……」
「私は岩井節子。よろしく、宮下雪乃さん」

次に岩井さんと会ったのは銭湯だった。
「さっき、シャンプーしている後ろ姿がやたら絵になってた。鏡越しに見とれちゃった、思わず」
岩井さんは唐突に話を始めた。
「え、あの……はい? や、それは気付きませんで」
「麻婆豆腐好き?」
「は?」
「だから、麻婆豆腐」

私はコインランドリー上の、小さな部屋に招かれた。
「その服、見せびらかしに来るお向かいの子。玲香ちゃんだっけ? 宮下さんがヨダレ垂らすの見たくてしょーがなかったんだろうね」
「ははっ。ヨダレってほどじゃないですよ。でも、やっぱり羨ましかったんです。いっつもフリルとかレースとか、お姫様みたいで――。手に入らないぶん、よけいによく見えたのかな。いつもくるくる~って、私の前で回って見せるんですよ。その度に私は――」
「私のほうが絶対に会う――って思ったんでしょ」
「そ、そんなこと……」
図星を突かれて、私は恥ずかしかった。
「でもさ、複雑だね。かわいいカッコしたいけど、モテたいわけじゃないって」
「単純ですよ。オシャレは自分のためにするもんじゃないですか」
私は少しイラッとして言葉を返した。でも岩井さんは無関心そうだった。
「ふーん、そう?」
「そうって……。じゃあ岩井さんは男のためにオシャレするんですか? 男は服なんか見てませんよ。男なんかいつだって……」
「男なんかいつだって、セックスのことばっか?」
「……え?」
まるで何でも見透かしているように。私はドキリとして勢いを挫かれてしまった。
「よくわかってんね。経験もないのに」
「でも、実際男子ってのはいっつも……」
「あ、やっぱ処女なんだ」
「だから、経験とかじゃなくて、事実として――」
「「埋没したい」なんてすっかり萎縮しちゃって――かわいそう。本当は人に見られるの、好きなのにね。それだけで濡れちゃうくらいに――。さっき、松の湯でほんとは気付いてたね。私が見てたの。鏡越しに私に気付いて、すごく意識してた」
岩井さんが私の側に擦り寄って触ってきた。岩井さんの微笑みが側にある。
私は飲み込まれるように、考えも、言葉も失ってしまった。
「そんなこと……」
ざわざわ……。
「そんなこと?」
ざらざら……。
そのまま岩井さんは私にキスした。
唇の中で、何かが柔らかく溶ける感触――。
岩井さんの吐息は、麻婆豆腐の味がした。
「大丈夫、誰も来ないから。だから、ね。力抜いて――」
私は岩井さんにされるがまま、服を脱がされ、裸を触られ――。
一人きりのオナニーじゃない。私の側に岩井さんがいて、私にぬくもりを与えてくれる。まるでプールを上がった後みたいに、私は気怠く湯の中を漂っているようだった。
気持ちいい――。
でも――。

ざわざわ……。
ざらざら……。


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漫画・著作:秋山はる
編集・出版:講談社
連載:アフタヌーン(2008年3月号~8月号掲載)






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